灰被りー元ウマ娘、現競走馬だけど質問ある? 作:パンダコパンダ
時間ができたので投稿です。
なろうのザマァ系とか、
一話目でザマァして題名関係ないじゃんってすごい思ったので、
無理に引っ張ってもしんどいのでこんな感じにしました。
後悔はしてない。
パシャパシャとカメラのシャッター音が鳴り響く中、3人の男が会場に入ってきた。
一人は、笠松競馬を取り仕切る会長。
もう一人は、とある馬の世話をする調教師。
そして最後の一人は、その馬を所有する医者。
「これより、笠松競馬所属、サンドリヨン号に関する記者会見を執り行います。早速ではありますが、同号の馬主様であります村瀬様よりお願いいたします」
地元テレビ局の美人アナウンサーの司会で始まった記者会見。その中心にいる俺は、マイクに向かって話しかける。
「今日はお集まりいただきありがとうございます。一介の医者にとってこんな場所は関係ないと思っていましたが、現実に起こってしまって緊張してます」
自分の緊張を解す為にも軽く言葉を発した上で、発表する。
「今回の記者会見で発表することですが、サンドリヨンの進退的なことです。あの子が3歳になり、中央クラシックに乗り込んだ頃から、他の馬主様から多く買取の申し出がありました」
この言葉に、多くのシャッターが切られる。
笠松馬で、地方馬で収まっていい器ではないと散々言われ、ネットではいつ中央に移籍するのか予想レース状態になっていた。
だからこそ、3歳の歳が終わったタイミングで記者会見を開き、古馬になるタイミングになるのを待っていたのだろう。
と、多くの記者たちは思っていることだろう。
「正直、サンドリヨンはオグリキャップの再来と呼んでいいと思います。地方からの成り上がり。中央の良血統を打ち倒すストーリー。それに、同世代で現れなかった二冠馬と言う実績」
笠松で9連勝し中央へ殴り込み。フィーリーズレビューと桜花賞はハープスターに譲ったものの、オークスで一冠。セントライト記念で牡馬との戦い方を確認した上で、菊花賞で二冠。さらには、まさかのダートに舵を切り、体制が変わったチャンピオンズカップにて同年三冠目。
「ありがたいことに、賞もいただきました」
中央に所属していれば、間違いなく年度代表馬も最優秀3歳牝馬も貰えていたはずの傑物だ。実際は、地方馬の中から選出する年度代表馬として表彰されたが。
「結論から言いましょう。サンドリヨンは、笠松に生きる競走馬です。笠松で育ち、笠松の馬と鍛えられ、笠松の誇りとして生きます。それはこれまでじゃなく、これからもです。サンドリヨンは中央に移籍せず、笠松の競走馬としてレースに出続けます」
おそらく俺の言葉は、記者やリポーターたちが想像していた言葉とは逆の言葉だったろう。それぞれが目を見開き、言葉の数秒遅れでシャッターが切られ、波紋が広がる。
「サンドリヨン号の笠松競馬所属継続に関して、ここからは私の方から説明させて頂きます」
笠松競馬会長がマイクに向かい説明を始める。
サンドリヨン号の中央競馬移籍に関して、笠松競馬の運営の中で議題に上がったのは、2歳を無敗で終えた頃まで遡る。
レースごとに差を広げながら勝利していくサンドリヨンの姿に、地元紙、テレビでオグリキャップの再来だと持て囃される。彼の時には整っていなかった、地方馬による中央クラシック乗り込みが可能になり、馬主である村瀬が中央乗り込みを選んだことで、手放すことを応援するのか、それとも引き止めるのか。と言う話が出てきた。
正直に言えば、サンドリヨンは金の成る木だ。それも大きな大きな木だ。
地元メディアの力もあり、2歳の最後の方には、彼女が出走するというだけで客が集まり、お金を落とした。
入場客が目に見えて増え、グッズの売り上げも高い。本音を言えば、手放したくない。
だが、笠松の環境は中央に比べれば低い。
度々役員会議でも話題になったが、方向性は手放す向きへと舵が切られていた。
オグリの再来として笠松を湧かせ、中央に乗り込む。そのストーリーだけでも潤うのだから、無理に止めるのは良くないと。そういう流れになっていた。
3歳の途中で中央に売られるのだろうと。
「ですが、オークスを勝利した後、村瀬氏との話の中で、3歳いっぱいは笠松所属のままで。という話になりました。これは彼女の周囲の環境を急に変えないように。という村瀬氏のご意見を尊重した加減ですが、菊花賞での獲得賞金の大部分を笠松競馬場に寄付していただくこととなりました。年末のチャンピオンズカップでの賞金も同様です」
この、サンドリヨンの獲得賞金のほとんどを、笠松競馬場に寄付しているという情報は少し前から広がっていた。
今では、その資金を元手に調教施設関連のことに着手してもらっている。
「この寄附された賞金は、村瀬氏の意見を尊重して、調教施設関連の拡大や設備の一新に使用しております。そして、このことそのものが、サンドリヨン号が笠松に所属し続ける目的でもあります」
先日言い合った。すでに笠松競馬場に掲げられた横断幕。
「全ては、笠松を第二の中央へとする為です」
会長ははっきりと宣言した。
「笠松が力をつけるには、今以上の機会はありません。中央の競走馬に競り勝てる馬がいて、どの馬も調子が少しずつではあるものの上がっています。そして調教施設を整えれる資金をいただいている状態。オグリキャップの存在だけでただあるのではなく、サンドリヨンの存在にあぐらをかくのではなく、笠松競馬の存在をもっと大きくする為に。それが我々笠松競馬に所属する職員、調教師やジョッキー。そして、馬主様たちとの意見です」
競馬は娯楽であると同時にスポーツである。その事実を認識し、笠松競馬に関する人物たちの認識を共有した。その象徴が、サンドリヨンの笠松所属継続であると説明した。
そこからは質疑応答の時間。
今後、サンドリヨンが中央に移籍することはないのか聞かれると、俺はないです。とキッパリと答えたし、地方で走るのは弱いものいじめなのでは? という質問に関しては、勝てるレースに出すことになんの問題があるのかと突っぱねる。
「それでは、今後のサンドリヨンのローテーションはどうなるんですか?」
「地方の競走に出つつ、中央のG1に挑戦します。中央の方々は中央で、地方の方々はどうぞ笠松に来てください。我々陣営は一切逃げも隠れも致しません。まあ、怪我とかがあれば回避しますけど」
「村瀬さん。流石にそれは他の方々を舐めてるんじゃないですか?」
「いいえ。舐めるだなんてそんなことありませんよ。ただ、少なくとも地方馬たちにとって明確な目標が笠松にいる。それだけで、挑戦者気質な陣営は殴り込んでくると思いますが、そうやって強い馬が集まってくれることが重要ではないですか?」
自分達の馬が強くなる下地を整える。
自分達の馬が強いことを宣伝する。
自分達の競争の格を上げていく。
他所属の馬を集める。
このループが完成すればひとまずの目標になるだろう。
中央の馬主資格を持つ人たちのように潤沢な資金があるわけではない。
笠松主催の競争を新たに作ることも難しいし、おいそれと賞金を上げることもできない。
たとえ賞金を上げることができたとしても、たった一回だけでは、強い馬を集めることはできない。
ほんと。笠松の馬鹿はよくこんな事志したよ。賛同してくれたよ。
その馬鹿の一人は自分だけど。
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| 【芦毛の怪物】サンドリヨン 笠松競馬所属のまま古馬戦線へ |
| 12月27日(土)、第59回有馬記念の前日に行われた、笠松競馬場での記者会見にて、2014年度優駿牝馬(オークス)と菊花賞を制し、クラシック変則二冠。そしてジャパンカップダートから名称等を一新したチャンピオンズカップも勝利した事で、地方馬初となる同一年複数G1競走勝利を記録したサンドリヨンの馬主である村瀬氏。そして笠松競馬会長とサンドリヨンの調教師の3名が会見を行った。
会見の内容の要点は以下の2点となっている。
① サンドリヨンの笠松競馬所属状態を継続。 ② 笠松競馬のレベルを上げる。
①の、サンドリヨンの中央移籍が行われなかった事で、サンドリヨンの更なる活躍を期待していた多くのファンが不安の声を上げる中、調教の内容・施設のレベルに関して問われると、サンドリヨンの競争で獲得した賞金のほとんどが笠松競馬に寄付されており、その賞金をもとに調教施設の整備を始めているという。 実際に前日、測定員が笠松競馬場に訪れて何か作業している。といった話も地元住民から聞こえており、何かしら計画が始まっていることは確実だろう。
②の内容に関しても、笠松以外の競走馬に競り勝てるようしていき、伝説の名馬であるオグリキャップなど、かつての競走馬の名前で存続する状態ではなく、常に進化し続ける必要がある。と、笠松競馬会長は話した。
今後のサンドリヨン陣営の動向に関しては不明瞭なままではあったが、3歳最後のレースがチャンピオンズカップであったことを踏まえると、フェブラリーステークスを目標にしてくる可能性は高いと思われる。 その他の可能性を上げれば、大阪産経杯や阪神大賞典を挟み、天皇賞・春を狙いにくる可能性もある。 地方競争に出るならば、可能性があるのは名古屋大賞典になるだろう。春先のレースの上に地方と中央の交流戦となると、サンドリヨン陣営の指針と合致する。
どのような進路を取るにせよ、サンドリヨンはすでに話題の馬であり、注目されるべき馬である。今後の動向に目を向けていきたい。
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モチベに繋がるのでコメントください。
ちゃんと返信しますので。