本当にあったとは言い切れない、それぞれの日常 シーズンF 作:JUBIA
<<3卓談義(焼肉編)>>
とある焼肉屋の3卓では、4人のハンターが祭りの打ち上げで、大いに盛り上がっていた。
A「すみませーんっ、ゴム皮一皿くださーいっ」
B「お前、ゴム皮よく食べれるなぁ」
A「えー、美味しいじゃん! あの食感がたまらないのよねー♪」
C「今日のオススメに、最上皮ってのがあるよ」
A「えっ!! マジ!? あっ、オバちゃーん、最上皮に変更してー」
D「フフっ、皆さんわかってないですねぇ。ゴム皮には、さらに極上皮というのがあるんですよ、フフフっ」
A「えーそーなのー? ……って、メニューにないじゃんっ!!」
D「フフっ、極上皮はそれはとてもとてもレア過ぎて、滅多にお目にかかることはできないそうですよ、フフフっ」
B「俺は皮だったら、断然ブヨ皮派だな」
A「あー、ブヨ皮も美味しいよねぇ♪」
D「フフっ、フルフルの部位だったら、腹かみが最もレア度が高く、脂ものってて……」
B「おばさーん、黄金芋酒おかわりヨロシク」
A「オバちゃん、私、ザザミソね」
D「フフっ、蟹は皆さんよく脚を食べますが、実は爪の方が美味なんですよ、中でも絶爪というのが……」
C「じゃぁ僕は、クックのミミガーでももらおうかな」
B「おっ、いいねぇ。ミミガーはツマミに最高だよなっ!!」
A「おつまみならポポタンじゃない? あのベロさいこー♪」
C「ベロって言わない! 僕は白レバーも好きだけどな」
A「うへーっ! レバー嫌いっ!!」
B「あれっ? さっきからお前、何食べてんだ?」
D「フフっ、これはガレオスから採れるキモと言って……」
ABC「うへっ! キモっ!!!」
<<ハンターさんと私の10の約束>>
私は、グークです。
3日前に卵から
孵った時、目の前には世話焼き猫さんがいました。
最初は、猫さんがお母さんかと思いましたが、猫さんは違うと言いました。
本当のお父さんとお母さんは分かりません。
きっと、今ガーデンにいるグークのどなたかでしょう。
ハンターさんから、素敵な名前をもらいました。
ハンターさんは、私をとても可愛がってくれます。
でも、少しすると、ほかのグークのところに行ってしまいます。
ハンターさんは狩りに出ると、長い時で一晩中戻って来ない時があります。
少し寂しいです。
ここにハンターさんが来てくれた時、私がどれだけ寂しい思いをしているか訴えても、少しの間抱っこしてくれるだけで、私の気持ちはまったく伝わりません。
そこで私は考えました。
一生懸命考えて、猫さんからもらったメモに次のことを書きました。
猫さんはハンターさんとお話しできるようなので、通訳してもらおうと思います。
1 私と気長に遊んで下さい。
2 私を抱っこしてください。それだけで私は幸せです。
3 私にも思うところがあるのを忘れないでください。
4 ハンターさんの欲しい素材を持ってこない時は、理由があります。
5 私にたくさん話し掛けてください。ハンターさんの言葉は理解できないけど、話し掛けられると、とても嬉しいのです。
6 私を怒らないでください。本気になったら、私のクチバシのほうが強いのを忘れないで。
7 新しいグークが生まれても、私と仲良くしてください。
8 私はガーデンから出られません。だからできるだけ私と一緒にガーデンにいてください。
9 あなたには狩りもあるし、ハンター仲間もいます。でも私にはあなたしかいません。
10 お別れのキャンセルで、私をもてあそばないでください。ですが、たとえお別れの時がきたとしても、どうか覚えていてください。私がハンターさんを愛していたことを。
猫さんから話を聞いたハンターさんは、何か短い言葉を掛けてくれましたが、どんな意味だったのかは分かりません。
猫さんに何て言ったのか聞いても、答えてくれません。
でも、ハンターさんには私の気持ちが伝わったはずです。
嬉しいなぁ、わーい、わーい。
トテテテテ、ドテっ。
「ピッ(痛っ)」
きっと、ハンターさんは転んだ私を心配してくれてるでしょう。
チラッと振り返ってみました。
でも……ハンターさんは、ガーデンから出ていったあとでした。
<<グークの鍋奉行>>
私は、グークです。
最近、私がもらうご飯は薬草ばかりです。
薬草だけだと足りないので、いつもお腹をすかせています。
ほかのグーク達にはこんがり肉をあげているのに、どうして私には薬草だけなのか、世話焼き猫さんに聞いてみました。
猫さんは、たぶん私が少しぽっちゃり体型になってきたから、ダイエットとして薬草にしたんじゃないかな、と言いました。
私の健康を考えてくれていたなんて……。
私のことが嫌いになったわけじゃなかったんだと実感しました。
それでもお腹はすきますが、ダイエットのために我慢しようと思います。
ところが、最近、グーク鍋が流行っていると、ほかのグーク達がおしゃべりしているのが聞こえました。
えっ?!
グーク鍋?
もしかして……。
ハンターさん……。
私のことが嫌いになって、鍋にして食べてしまおうと……?
私を美味しく食べるために、わざとぽっちゃり体型にして、もう十分だからとご飯を変えたのでしょうか?
うぅぅぅぅっ……。
そんなの嫌です、嫌ですうぅーーーっ!!
トテテテテ、ドテっ。
「ピッ(痛っ)」
うぅぅぅぅっ……。
私は起き上がれずに、そのまま泣き続けていました。
そうしているうちに、ハンターさんがガーデンにやってきました。
何やら猫さんに話し掛けて、鍋の用意をしています。
とうとう、食べられてしまうんだ……。
……最後くらい、ハンターさんの喜ぶ顔が見られたら、私は何も思い残すことはありません。
私が鍋に入る決心をした頃、ハンターさんは鍋の中に具を入れるとフタをして、私をそのフタの上にそっと乗せました。
あれっ?
ハンターさんは、ニコニコと笑顔で私を見ています。
どうやら鍋の具にならずに済んだようです。
ホッとしたと同時に、やっぱりハンターさんは私のことが嫌いになったんじゃなかった、と嬉しくなりました。
嬉しいなぁ、嬉しいなぁ。
すると、なんだか足の裏が少しずつ熱くなってきました。
あっ、熱いっ、熱いよぉっ!!
私がフタの上で足をバタバタさせていると、ハンターさんは笑顔で私をそっと降ろしてくれました。
やっぱりハンターさんは、優しい人だと思いました。
ところが、地面に足を降ろすと、足の裏がなんだかヒリヒリして、火傷のようにとても痛くなりました。
慌てて猫さんが、足の手当をしてくれました。
きっとハンターさんも私を心配してくれてるでしょう。
チラッと振り返ってみました。
ハンターさんは、鍋の中のものを大喜びで取り出すと、そのままガーデンから出て行ってしまいました。