「あ!加賀さん!」
「工廠へよおこそ!」
私はあれから工廠へ通うようになっていた。意外と話が合ったのだ。工廠面子と。
「今日はどのようなご用件で?」
「また少し零戦について話そうと思って・・・」
「いいですねー加賀さんの話を聞いておけばパイロット妖精さん達に練度向上のいいアドバイスが出来るんですよ。」
「お役に立てているなら嬉しいわ。」
「それでそれで?今日は何をお話しします?」
「今日は・・・」
「へぇ・・・」
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ふぅ・・・」
今日も工廠の2人とたくさん話せた。コミュニケーション不足も解消してきたのではないだろうか。工廠の2人が話せる2人で良かった。
「お腹が空いたわね・・・」
いつもの波止場に向かう途中ぐぐぅーと腹が主張する。お昼にはちと早いが間宮に行こう。
「ふん・・・ふーん・・・♪」
最近の私の成長ぶりにはついつい鼻歌もでてしまう。そのままで間宮に飛び込んだら変な目で見られてしまうので直前でやめてしまうが・・・
「・・・ふぅ」
「あら加賀さん。お昼ですか?」
「ええ・・・ちょっと早いけど大丈夫かしら。」
「大丈夫ですよ!何にしますか?」
「それじゃあ・・・いつものを。」
「はぁい!」
いつものとは稲荷寿司のことだ。いつもは10個程だがこないだ増量して20個にした。たくさん食べても平気だろうと思ったからだ。赤城さんならこれの三倍は食べる。
「お待たせしましたぁ!」
紙皿に山盛りになった稲荷寿司を受け取り外へ出る。お礼も忘れない。いつもの波止場へ向かい。海を眺めながら稲荷寿司を頬張る、これだ。
「ふーん・・・ふん・・・♪」
稲荷寿司を落とさないよう慎重に運びながらいつもの波止場に向かうと・・・
「ふふん・・・?」
先客がいた。黒髪を海風にたなびかせぼんやりと海を眺めている。
「暁・・・?」
「?」
うっかり声をかけてしまった。先客がいるなんて珍しいから・・・
「加賀さん?」
「え、ええ・・・」
「どうしたの加賀さん。お昼?」
「そうね・・・」
「そのたくさんの稲荷寿司・・・1人で食べるの?」
「そうね・・・」
私は何も成長していなかった。気の利いた話なんてできる気がしない。へこむ。
「隣・・・いいかしら。」
「いいわ!ここいつもの場所なんでしょ?」
駆逐艦の子達にまで話が通っているのか・・・なんだか恥ずかしい・・・いや考えれば加賀当番なんて言葉が出来てるくらいだ・・・私の噂が広がっているくらい簡単に察することが出来る。
「よっこいしょ・・・」
「加賀さん・・・おばさんくさいわ・・・」
「うぐ・・・」
ボディーブローのように腹に効いた。おばさんくさい・・・私が・・・
「・・・暁も食べる?」
「いいの?」
「ええ。」
隣に座っている暁にも稲荷寿司を分けてやる・・・しかし私がおばさんくさい・・・うう・・・
「・・・。」
「・・・。」
暁はぼんやりと稲荷寿司を咀嚼しながら遠くを眺めている。私もそうだが海を眺めながら食べるのは気持ちのいいものだ。
「・・・はぁ。」
「・・・。」
暁がため息を・・・いけ!加賀!話を聞いてやるんだ!コミュニケーション能力を鍛えるんだろう!?
「あああ、あの、暁・・・なにかあっひゃ・・・」
「・・・?」
噛んだ。すぐこれだ。誰も私を愛さない。
「ふふっ・・・」
「・・・。」
ついでに笑われた。もう生きていけない。顔も真っ赤だろう。もう死ぬ。
「んんっ!暁、何か、あったの?」
「・・・あのね・・・」
暁の話を聞いていくと、私は仰天した。
つづく