加賀の視線   作:電動ガン

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page10 私と・・・B

私は悩んでいた。いやいつもそうじゃね?と言うのは置いておいて。とにかく悩んでいるのだ。

 

「・・・。」

 

「あ、加賀さん!」

 

「吹雪・・・」

 

波止場で悩んでいると吹雪がやってきた。ビニール袋を持っているから買い物帰りだと思う。

 

「どうかしたんですか?今日の加賀当番はまだみたいですが・・・」

 

「緊急事態よ。」

 

「緊急?」

 

そうなのだ緊急事態なのだ。暁だけでは対処出来ないし、私だけでも対処は出来ない。ここは多くの知恵がひつようになるのだ。

 

「ええ、緊急事態。」

 

「・・・何があったんですか?」

 

「実は・・・」

 

私は昨日暁と喋ったことを話した。吹雪はふんふんとうなづきながら聞いていたが話を聞き終わると顔を青くしていた。

 

「確かに緊急事態ですね・・・この話、他には?」

 

「まだ誰も。明石と夕張には話して助言を貰おうかと思ってたけど・・・」

 

「そうですね・・・まずは助言を貰いに行きましょう。」

 

「そうね・・・事は急いだ方が良いかも。」

 

「ですね、早速行きましょう。」

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

「それで私たちの所へ来たんですか。」

 

「うーんなるほど・・・」

 

工廠にて明石と夕張に話を聞いていると妖精さんも聞き耳を立てているのかカンカンと煩い工廠が静かになっている。

 

「・・・とりあえず、普通はありえません。艤装はオーダーメイドですし。でも暁ちゃんの言う通りならば体に何らかの変化が起きているわけですし・・・」

 

「このこと・・・提督には・・・」

 

「提督にはまだ黙っていましょう。とりあえず暁ちゃんを呼んで診察しないと。」

 

「そうね。私、呼んでくる!」

 

夕張が走り去り、するとまばらにも工廠の音が戻ってくる。妖精さん達も日常へと戻ろうとしているのだろうか聞き耳を立てている気配はそのままだが。

 

「それにしても、加賀さんお手柄ですね。こういうことなかなか話づらいですから。」

 

「たまたまよ。偶然・・・」

 

「加賀さんがみんなに歩み寄れている証拠ですよ。いやー加賀当番も無駄じゃなかったなぁ。」

 

「そうね。吹雪には感謝してるわ。」

 

「たはは・・・だけど暁ちゃん心配ですね・・・」

 

「ええ・・・まさか、艤装がキツく感じるなんて・・・」

 

そうなのだ。昨日暁が話してくれたのは基本オーダーメイドで作られ、体にフィットするよう作られている筈の艤装がキツくなったということだった。艦娘はどれだけ食べてもどれだけ時間が経とうとも体型に変化などは無い。痩せたり、太ったりすることはありえないのだ。もしあるとするならば・・・

 

「原因は・・・提督?」

 

「司令官・・・まさか・・・」

 

「でも可能性としては・・・」

 

そう、もしあるとするならば・・・妊娠した時なのだ。艦娘の体は痩せたり太ったりすることのない不思議な体であるにも関わらず妊娠するのだ。生まれてくる子供は人間なのだがどうして妊娠出来るのか等は永遠の謎だ。誰にもわからない。だができる事はできるのだ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・呼んできました!」

 

「いったいなんなの?」

 

「暁・・・」

 

「暁ちゃん・・・」

 

「吹雪までいるの?いったいどうしたの?」

 

「暁ちゃん。ちょっとね。おねーさんに診察させて欲しいの。いいかな?」

 

「なんか・・・雰囲気が・・・」

 

「ね?お願い。」

 

「う・・・わかったわ・・・」

 

「ありがとう。場所を変えましょう。」

 

・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

工廠内にある明石の個室に通された私達は真剣な顔で暁を見つめていた。明石は白衣に着替え聴診器を携えている。

 

「暁ちゃん。お腹出してもらえる?」

 

「わかったわ・・・」

 

「はい、じゃあ吸って・・・吐いて・・・」

 

暁の診察を待つ間私は思考を巡らせる。まさか提督が・・・そんな・・・ロリコン・・・?などと考えているうちに明石の診察が終わる。

 

「うーんお腹を揉んでも変化無し・・・」

 

「くすぐったいわ。」

 

「ごめんね。ねぇ暁ちゃん。最近味覚に変化はない?なにか急に食べたくなったものとかない?」

 

「うーん・・・特に無いわ。ご飯も好き嫌いなく食べてるもの。」

 

「本当?・・・うーん・・・」

 

「もう行っていいかしら?」

 

「ちょ、ちょっと待って・・・うーん本職じゃないから細かい事はわからないし検査する機材もない・・・結局わからないままか・・・」

 

私は明石にこっそりと耳打ちする。

 

「ねぇ明石、ここはもうどーんと聞いた方が早いんじゃないかしら。」

 

「どーんとは?」

 

「提督と、夜を共にしたかって。」

 

「いや加賀さんそれはマズイですよ!デリケートなことなんですから!」

 

「でも聞かないとわからないことよ。」

 

「そもそも変化がわかりづらいことですし・・・」

 

「それじゃ・・・やめておきましょう。暁じゃなく提督に聞けばいいことだしね・・・」

 

「(加賀さんの目が怖い・・・)」

 

「ごめんね暁ちゃん。加賀さんから話聞いてちょっとね。」

 

「夕張さんは私が太ったって言いたいの!?おやつも食べすぎてないし太ってないわよ!ぷんすか!」

 

「あはは・・・」

 

「吹雪、提督を締め上げに行くわよ。」

 

「え・・・本気ですか?」

 

「本気よ。」

 

「(怖い・・・)」

 

「加賀さんも!レディーの秘密を簡単に喋っちゃだめよ!」

 

「ええ、ごめんなさいね暁。心配だったから・・・」

 

「なら・・・仕方ないわね。許してあげるわ。」

 

「それじゃ暁ちゃん。時間取らせたわね。」

 

「んーん。心配してのことだったんでしょ?ならいいわ。」

 

「ありがとうね。」

 

暁が部屋を後にし、明石の私室の中が静まり返る。私はというともうとさかに来ているので提督を問い詰める気まんまんであった。

 

「行くわよ吹雪。明石と夕張も、ありがとう。」

 

「いえ、これから定期的に暁ちゃんを診察しようと思います。」

 

「まさか提督が暁ちゃんと・・・ロリコンってやつなのかしら・・・」

 

「それは問い詰めてみるだけよ。」

 

「(怖い・・・)」

 

「あんな小さな子に・・・許せないわ。」

 

「ええ・・・でも・・・」

 

「行くわよ吹雪。」

 

「あの・・・加賀さん・・・」

 

「行くわよ。」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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