「・・・以上だ。何か質問はあるかい?」
「いえ、大丈夫です。」
「そうか。なら午後から頼むよ。」
「はい。」
私は秘書艦になった。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はぁ・・・」
提督の秘書艦となってから忙しい日々が続いていた。私から志願したわけではない。決してやりたくないわけでも無いが・・・こう忙しいといつもの波止場で黄昏ている暇も無い。そう思いながら遅めの昼食を取ろうと食堂へとやってきた。
「ふぅ・・・」
「あれ・・・加賀さんどうしたんですかぁ」
「青葉・・・秘書艦って忙しいなと思って・・・」
「そうでしたか!秘書艦になられたんですね。すると私の出番は無しってことですかね。」
「・・・?」
「吹雪ちゃんに頼まれたんですよ。」
ああ、すっかり忘れていた。そういえば吹雪が刺客を送ると言っていた。忙しくて波止場に行く暇が無くなっていたからすっかり御無沙汰だ。
「いいのよ・・・気を使わなくて。」
「いえいえ秘書艦に任命されたのなら仕方がない事ですし。」
「そう・・・そうれじゃあ何か注文しようかしら。青葉も奢るわよ。」
「恐縮です!」
そう言って間宮に注文をするが・・・具体的に何を注文するかは決まっていない。
「間宮さん・・・えっと・・・何か早く出来そうな物をお願いするわ。」
「はぁい・・・早く出来そうなものと言うと・・・島風ちゃんがいつも頼んでるものでいいかしら?」
「おまかせするわ。」
「私はカレーライス!辛口で!」
「はぁい!」
間宮さんに注文を伝え、空いている席へと座る。青葉も一緒に座り、注文を待っている。
「いやぁそれにしても秘書艦に選ばれるとは流石加賀さんですね。」
「大したことはしてないわ・・・」
「出撃中も乱れぬ集中力があり、戦績も上々、向かうところ敵無しですね。」
「いつもやれる事をしてるだけよ。貴方もそうでしょう?」
青葉のカメラをチラリと見やると青葉は顔を赤らめた。青葉は艦隊新聞という自作の新聞を作っておりその為に日夜鎮守府内を縦横無尽に駆け回っているのだ。私には出来ないことだ。素直に尊敬する。
「いやぁ・・・私にはこれが精一杯でして・・・出撃しても大した戦果も上げられないですし・・・」
「そう・・・?味方の士気に関わる事だし。素直に尊敬するわ。」
「そう言っていただけると幸いです。」
「・・・。」
会話が途切れてしまったではないか。調子良く喋れていたと思ったらすぐこれだ。自分は何をしているんだろうか・・・
「はぁいお待たせしました!ホールインワントーストとカレー辛口!」
「・・・これは。」
「加賀さんのそれ初めて見ましたね。」
ホールインワントーストというのは初めて見た・・・中央が窪んだ食パンの中にポーチドエッグだろうか?マヨネーズで土手が作られておりそれがトーストしてある。確かにこれは調理の手間が少なく早く出来そうだ。フォークとナイフがあるがこれはこのままガブっと行くのが良いだろう。
「いただきます。」
「私も!いただきまぁす!」
ガブっと行く。バターが塗ってあるのか濃厚な香りとマヨネーズの強い味が口の中で暴れ回る。うん美味い。
「卵が・・・いい味出してるわね。」
「私も卵が欲しくなってきました・・・間宮さん!生卵ください!」
「はぁい。すぐ持っていくわね。」
青葉は卵をカレーにかけてむしゃむしゃしている。茹で卵はわかるが生卵をカレーにかけるのは初めて見たな・・・今度私もやってみよう。
「・・・そうだ!」
「どうしたの青葉。」
「次の新聞の見出しは勝負飯特集にしましょう!普段みんながどんなご飯を食べてるか取材します!」
「それはいいわね。」
「最初は新たに秘書艦になった加賀さんから・・・!」
「と言っても私はいつもこれを食べてるわけじゃないわよ。ホールインワントースト食べてるのは島風だって言うし。」
「そうでした・・・最初は誰にしましょうかね・・・」
「・・・提督でいいんじゃないかしら。」
「そうですね!提督ならばぴったりですね!」
「・・・。」
また会話が止まった。まぁ食事中だし。それほど気にする事はないだろう。多分。めいびー。
「・・・。」
「むしゃむしゃ。」
青葉は元気よく食べるな・・・なんて考えてるうちに青葉は完食した。え、早い。
「ふぅーごちそうさまでした!」
「早いわね・・・」
「早食いは記者の基本ですから!」
「そう・・・」
私もまだ午後からの仕事があるので早めに食べる。うん、ごちそうさま。
「ごちそうさまでした。」
2人で食器を戻し私は執務室へ、青葉は取材へと戻る。今日は青葉が吹雪からの刺客だったわけだがそれなりに話せたのではないだろうか。ちょっと調子に乗りながらも執務へ戻るとしよう。
「お、加賀戻ったか。じゃあ俺も飯行ってこようかな。」
「はい提督。」
「なんかあったら呼びにきてくれ。」
次の吹雪からの刺客がいつになるかはわからないがこの調子で攻略していけば私が変われる日も近いのではなかろうか。ふんと鼻を鳴らしながら私は執務に戻った。
つづく
いつの間にお料理SSへと変貌してしまったのだろうか。