秘書艦を解任になった。
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解任になったからと悪いことがあったわけではない。秘書艦はローテーションが組まれ、交代で任されている。私は何回か海域突破の為に出撃したが遂に突破は叶わなかった。へこむ。
「はぁ・・・」
そしていつもの波止場だ。私は持って来た紙ヒコーキを飛ばしため息を吐く。急に仕事が無くなって暇だったのだが暇になったからとすることがあるわけではない。困った。
「はぁ・・・」
「加賀。」
「・・・?」
振り返ると陸奥と長門がいた。今日の加賀当番というやつだろうか。
「吹雪に頼まれてね。加賀の様子を見てきて欲しいって。」
そう言うのは陸奥。今日の加賀当番は陸奥か。じゃあ長門は・・・?
「私は陸奥の付き添いでな。何か吹雪が変わったことをやっていると聞いて気になっていたのだ。」
「そうなの・・・」
「加賀ご飯食べた?持って来たわよ。」
ご飯、まだ食べてない。陸奥は手に紙パックを持っているそれが持ってきてくれたご飯なのだろうか。
「はい、どうぞナシゴレンよ。」
「ナシ・・・なんて?」
「ナシゴレン。インドネシアの料理よ。私が作ったの。」
ナシゴレン。聞いたことが無い。どんな料理なのだろうと受け取ると紙パックはまだホカホカで温かい。作りたてを持ってきてくれたのかありがたい。スプーンも持って来てくれたからかそういう料理なのだろう。
「わぁ・・・」
「ふふっ美味しそうでしょ?」
「陸奥は料理が上手いからなこれくらいお手のものなんだ。」
大きな目玉焼きが乗ったそれは・・・焼き飯だろうか。スプーンで掬い口に運ぶ。アツアツのナシゴレンは体に温かさを届け、ピリ辛な味つけは活力を与えてくれる。うん。美味い。
「美味しいわ・・・」
「そう?良かった。」
一口、また一口と口へ運んで行くと自然に笑みが溢れ始める。美味しいものは良い。
「ふぅ・・・美味しかった。ありがとう陸奥。ごちそうさま。」
「お粗末さまでした。ねぇ加賀、吹雪が言ってたけど何か悩んでるの?」
「う・・・」
思わず唸ってしまった。吹雪は何を何処まで話しているのだろうか。そもそも全容を話しているのだろうか。ちょっと怖い。
「加賀、悩み事があるならばこの長門にも話してみると良い。力になるぞ。」
「・・・。」
どうしたものだろうか。いやわざわざこうして来てくれているのだから話すべきだと思うのだが・・・
「あのね・・・」
「なにかしら・・・」
「うむ・・・」
掻い摘みながら話すことにした・・・まさか笑ったりはしないだろうが不安はある。艦隊のリーダー的存在である長門は特に腑抜けているなどと言わないだろうか。いや腑抜けていると言われても何も反論出来ないのだが。
「そうだったの・・・」
「ふむ・・・」
「こんなところかしら・・・」
「加賀よ。心配するようなことは無いと思うがな・・・元戦艦の胆力もあるし空母としても目がある」
「私もそんなとこかしら。加賀、貴方心配し過ぎよ。」
「そうかしら・・・秘書艦をやっていた時も遂に海域突破出来ずに期間が終わってしまったし・・・」
「聞くところによると大した被害を出さずに終わったらしいが?」
「被害が出る前に帰って来てるからよ・・・」
「それこそ加賀の的確な勘の鋭さのおかげじゃないかしら。」
「あとコミュニケーション不足だとも言われたわ・・・」
「そこは仕方がない。加賀の元来の性格にもよるだろう。」
「コミュニケーション不足は・・・吹雪の加賀当番に頼るしかないかしら。」
加賀当番でコミュ不足が改善するだろうか・・・するか。結構な割合で喋っているし。
「加賀よ。問題は加賀自身だ。加賀が変わろうとしなければ何も変わらないぞ。」
「そうねぇ・・・」
「うぐぅ・・・」
「じゃあちょっと加賀着いて来てもらえるかしら?」
「?」
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陸奥と長門に着いていくとそこは工廠だった。工廠で何をするのだろうかびくびくしていると陸奥に声をかけられた。
「そう怯えないで加賀。大丈夫だから。」
「そうは言っても・・・」
工廠に用事なんて滅多に無い。作業をしている妖精さん達に挨拶しながら進んでいくと明石達のところへ辿り着いた。
「あ!長門さん、陸奥さん、それに加賀さんも。珍しいですね工廠に来るなんて。」
「こんにちは!長門さん、陸奥さん、加賀さん。」
明石と夕張に挨拶されおずおずと返す。一体陸奥は工廠に何をしに来たのだろうか。
「加賀がね、艦載機に関してちょっと聞きたいことがあるって。」
「ヲッ!?」
何を!?陸奥何を言って・・・
「聞きたいことですか?加賀さんより詳しい人はいないと思いますが・・・」
「わざわざ工廠に来たってことはそういうことですか?」
どういうことなの・・・
「ほらっ、加賀。コミュ不足を解消するチャンスよ。いってらっしゃい。」
「む、陸奥・・・あまりにも突然過ぎて・・・」
「加賀よ。ここで臆してはならん。当たって砕けろだ。」
「長門・・・貴方ちょっと乱暴すぎじゃ・・・」
「「がんばれ!」」
「〜ッ!」
この戦艦2人・・・ッ!虎穴に私を放り込みおった・・・ッ!
「さぁさぁ加賀さんお聞かせ願いましょう!」
「エンジンですか?主翼ですか?それとも機銃?それともそれとも?」
目を輝かせている2人を前に、もう逃げられないと悟った私は観念して適当な事を話し出すのであった。
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つづく