小さな泊地に着任した新米提督と
そこで勤務していた木曾が出会い、戦後を迎えるまでのお話。
設定等たくさんブレがありますのであまり気になさらずにいただければと思います。
あとホントにパソコンのメモ帳とワードに落書きしただけの物をコピペしたものですから読みづらいかと思います。
木曾とツーリングしたい。戦後は片想いの木曾に行方を探されたいなあ。という気持ちを満たすだけのお話。

1 / 1
木曾と提督が戦後を迎えるまで

木曾 邪魔するぜ。

 

提督 おう いつもすまないな。

 

木曾 いいさ。俺が好きでやってるんだからな。じゃあ今日も始めるか。

 

提督 ああ よろしくたのむ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

木曾「だからこの状態のときにはT字有利がとれるんだよ・・そんで・・

 

 

木曾が話している間おれはペンを走らせる。カリカリとノートへ木曾の言葉がうつされていく

 

木曾が俺に戦法について教えてくれるようになったきっかけは俺の「艦娘ってなんで水上に浮いてるの」という質問からだった。

 

大学上がりで徴集された俺の経験不足を補うということで毎日執務後に教えてくれるのだ。

自分の仕事もあるだろうに「提督がほかの奴に無能だと思われないように」って熱心に教えてくれている。

ただただありがたい。

 

講義が終わると雑談をしながら夕食の準備をする。

金曜日はカレーだ。

提督業務では世話になりっぱなしだからな。

せめて木曾には夕飯をふるまっている。

 

提督 いつも教えてくれている木曾のためだからな

 

木曾 (お・・俺のため・・!

    (ぱあああああああ!

   あ・・ああ・・!

 

本人は隠しているつもりかもしれんがしっぽがあったらブンブン振っていそうだ・・

 

 

でもカレーだって腕前で見れば鳳祥や間宮のが絶対美味しいはず、、

それなのに木曾はこんなに喜んでくれてる、、

ありがとうな、、

 

・・・・・

 

木曾 ごちそうさま!・・ふぃいー

 

提督 お粗末様。毎度のことながら良い食いっぷりだな。間宮のと比べると見劣りするだろうが、、

 

木曾 いやいや!うますぎるぜ。

   お前のカレーが・・お前と食べるカレーが本当に好きなんだ。

 

提督 ・・!

 

木曾 お前は将来良い旦那になるだろうな・・

 

提督 ・・・!

 

木曾 ・・・!・ななな・・!ち、、違う!そういう意味で言ったんじゃないぞ!?

   俺がお前を旦那にしたいとかそういう・・・!・・そういう・・

 

木曾 あああーー!か・・帰れ!!

 

提督 いやここ俺の部屋

 

木曾 おおおおやすみ!アタシ帰る! バタン!!

 

提督 ・・ん??

 

 

最近恥ずかしがると木曾がアタシということがある、というのを発見した。

だがほかの奴に聞いても聞いたことがないという。

 

多摩は妙にニヤニヤしているが・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

大学卒業後 就職口を見つけられなかった俺に唯一残された道

 

それが提督だった。

 

 

提督になるための条件 4大卒であること

そして教育課程を履修し、免許を取ることで資格が与えられる。

 

俺はその免許を死ぬ気で取得した。採用試験は受からなかったが

一年契約で人の足りない泊地で勤務ができる

 

免許を取ってすぐ、俺はカバン一つでこの地へやってきた。

もともと失うものもない。気軽なもんだ。

当たって砕けるのだ。

 

桜の咲き誇る春、俺の提督業は始まった。

 

俺の配属された泊地には駆逐艦と軽巡洋艦の小規模な艦隊が訓練をしている。

 

木曾は駆逐艦を率いた艦隊の長である。

男勝りな口調だが荒っぽいというわけでもなく、新参者の自分を立ててくれる。

木曾のおかげで艦隊になじむことができたといってもいいだろう。

 

だが、初めての提督業。ろくに正確な指揮が取れないことを知って

駆逐艦の連中からは舐められ、仕事のミスは木曾がカバーする始末。木曾にはいろいろ大変な思いをさせていたのだった。

 

木曾は俺に艦隊をどこに配置すればいいのか、一つ一つやって見せてくれていた。

言い方を変えれば、ほとんど指揮は木曾がやっていた。

 

当時の俺は知らなかったが木曾は本当にストイックで戦闘狂と言ってもいいくらい機械的に

業務をこなしていたらしい。

 

だが提督の俺には時に厳しく、時に優しく姉貴のように接してくれた。実際姉御肌だった。

球磨型の中ではどちらかというと妹なんだろうけど、、

 

ただ、戦場に出れば敵を効率的に徹底的に殲滅する。本来の木曾の姿は海上での姿なのだった。

 

配置 補給 戦闘 指揮。すべて木曾の采配だったといってもいいだろう。

 

俺にできることは・・・木曾が帰ってきたときにねぎらうこと、

木曾の秘書業務が少しでも楽になるよう雑務をたくさんこなすこと、

そのくらいだった・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

木曾の日記

 

新任の奴が入ってきた。

まだまだ若い。すごく一生懸命で俺たちのために遅くまで勤務してくれている。

艦娘を気味悪がったり、特別扱いする奴が多いけれど、こいつは違った。

私たちを見て恥ずかしがったり照れたりしているところを見ると

人として扱ってくれているのだと感じる。

そういった人間が上にいるのはうれしいぜ。駆逐艦のやつらもそれを感じ取って

馴れ馴れしくなってきている。

 

だが経験が浅い。

どうも予備役らしく、正規の軍人ではないらしい。

案の定仕事もダメ、采配もダメ。ダメダメだ。

俺がこなすしかない。だがこいつのせいじゃない。

俺だって初めての仕事ならこなせないはずなんだ。

提督は初めての業務、いろいろとわからないこともあるだろうし上からも下からもつつかれて居心地も悪いだろうと思う。でもいつも笑顔でやさしく接してくれる。

今までのやつは事務的だったり高圧的で仕事はできても仲間ではなかった。

こいつはこいつなりに俺たちのことを一番に考えて一生懸命頑張ってくれているのがわかる。

まあ・・俺ができることは提督が威厳を保ち、指揮が堂々と行えるように導いてやること。

何より、平和のために一つでも多くの目標を撃破することだ。

生まれてきたのはそのためなのだから。

戦うために効率よくこなさなければ・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

木曾 じゃあな 提督、行ってくるぜ!

 

勤務して一か月。相変わらず指揮は木曾に任せっぱなしだ。

木曾は俺の仕事もこなし自分の出撃も怠らない。

そしてそのことに文句も言わない。

艦娘というものがどうしてここまで人類に忠誠を誓えるのか理解できないほどだった。

そして彼女たちは傷つくことを恐れない。

 

木曾など毎日のように大破して帰ってくる・・。

そして出撃を繰り返している。

 

このままでいいのか・・。いつか取返しがつかなくなるんじゃないか・・。

 

 

その日、木曾は夜まで帰ってこなかった。

 

深夜。木曾が帰還した。大破していた。

 

木曾 ちょっとばかし涼しくなったぜ・・

 

木曾はそのまま入渠した。

 

 

 

 

 

多摩 提督・・知らないでは済まされないからもう伝えるけど・・・

 

その日初めて木曾が大破進撃していることを知った・・・。

 

多摩 木曾は一度お姉さんが目の前で沈んでいるのを見てしまったにゃ。

   それから心を鬼にしてずっと戦い続けてるのにゃ。

   提督、木曾は戦う理由も失いかけているのにゃ。

   こうなった艦娘はいつ沈んでもおかしくないにゃ。

   提督にできることは・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

入渠を終えた木曾の部屋へ出向いた。

 

木曾 どうした提督

 

提督 木曾に命ずる。明日一日非番とする。秘書は多摩、旗艦は随時指示して決める。

 

木曾 はああ!?

 

提督 これからはお前が大破するたびにこうするからな!!

 

木曾 勝手に決めるな!!

 

帰ってきた途端に怒られたのもあるが、珍しい。あのやさしい提督が感情的だ。

 

提督 そっちこそ勝手に大破進撃していたんだろ!

 

木曾 うっ・・自分は傷ついても治る!

   だからそのことを考えたうえで最大限の攻撃をするだけだ!

   その何が悪い!

 

提督 約束だ。木曾。大破したら絶対に帰還しろ。命を捨てるような判断だけは許さん

 

木曾 ・・・・・・

 

提督 お前に死なれたら俺はどうしたらいいのかわからないよ・・。

   だから頼む。大破したら俺を助けると思って戻ってきてくれ。

 

木曾 女々しいやろうだな!

 

提督 好きな女の前なら女々しくなるにきまってんだろ!言わせんな!はずかしい!

 

木曾 ・・・・・はああああ!?誰が!? 誰を!?

 

提督 俺が!おまえを!だよ!

 

木曾 え?・・ちょっとまって・・どうして・・?

 

提督 お前が俺をここまで導いてくれたんだろう。俺はもうお前なしでは生きていけないんだ・・。

お前が必要なんだよ!!

 

木曾 ・・・!!

 

提督 明日の非番伝えたからな!!ちなみに!俺も!非番!

   あー明日はツーリングいこっかなー!8時に正門前スタートかなー!

   お休みいいいいいい!!

 

 

提督 はあはあ・・・緊張した・・

   でも、、言っちまった!!

   これでいいんだろうな・・・多摩・・?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

多摩 提督にできることは・・木曾と恋人になることにゃ!

 

提督 ・・・・ん?

 

多摩 木曾をメロメロにして提督のために戦う乙女にするのにゃ!

   戦う理由ができて生き残る理由もできるのにゃー!

 

提督 ワケがわからん!

 

多摩 多摩にはわかるのにゃ。提督は木曾がすきにゃ。ちがうのかにゃ?

 

提督 ・・・

 

多摩 隠すとためにならんにゃ。恋仲をてつだってほしくないのかにゃ!?

 

提督 ああ!もう!好きだよ!!

   でもあいつはこの部隊のエースでベテラン。俺とは合わねえだろ。

 

多摩 関係にゃい。木曾の戦う理由になってくれればいいにゃ。

   提督がどんなくずでも関係ないにゃ。死ぬよりましにゃ。

 

提督 ひど!

 

 

多摩 生きていれば明日があるにゃ。どれほどつらい今でも永遠ではないにゃ。

   木曾は体が無事でも心が死にかけているにゃ。

   提督は支えてほしいのにゃ。何かしてくれなくてもいい。木曾と一緒にいてあげてほしいにゃ。

 

提督 ・・・

 

多摩 お願いなのにゃ。

 

提督 わかった。多摩。おれにまかせておけ。

 

多摩 (提督・・)

 

 

そうして多摩にハッパをかけてもらって俺は半ば強引な告白をした。

そしてツーリングへ出かけるのだった。

 

翌朝、

 

正門前へバイクを走らせる。

泊地へ来た時もバッグ一つとこの相棒だけだった。

 

まさか女を後ろに乗せる時が来るとはな・・

 

正門前にはもう人影があった。

木曾がいつもの服で立っている。

だが様子がおかしい

せわしなくウロウロしていたかと思うと髪の毛を触ったり、手櫛をしたり

手鏡で顔を見たり。

俺の相棒のエンジン音に気づくとびくっとした。

 

振り返った時にはいつもの木曾だ。

 

提督 お前・・その恰好

木曾 ・・!?なんだ!?どこか変か!?

提督 !おお・・!?

 

木曾はあわてて自分の服をチェックしだした。

なんだ??いつもの木曾じゃないな?すごく慌てている。

 

提督 いや、服装におかしなところはないよ。

 

木曾 なんだそうなのか・・

 

木曾はほっとしたようだ。

 

提督 だがスカートがな・・

木曾 どうしてだ?俺は別に寒くないぜ?

 

俺はすこし考えて上着を脱いだ。そしてインナーの長袖も脱ぐ。

 

提督 木曾ちょっとごめんな

 

木曾 !!ななな!!こんなところでいきなりなにするの!?

 

木曾の腰に手を回す。

 

提督 これでよし!

木曾の腰に上着をまいた。

まあ、ないよりましだろう。

 

提督 またがったらいろいろと見えるだろう?

木曾 !!そうか・・!すまん。気づかなかった。

 

近くで見るとこいつは本当にきれいな顔立ちだな。

そしてなんかいい香りがする。

 

提督 今日はなんかいつもと雰囲気がちがうな?

 

木曾 !!そ、そうか・・?

 

提督 ああ。なんか見違えたぞ!

 

木曾 !!・・そ、そんなに見つめないでくれよ・・

 

提督 あ・・・ああ!すまん!!

 

木曾 べ、べつにあやまらないでもいいよ・・。

 

なんか調子狂うぜ。木曾が勤務中と全然違う。

だがここで気にしてはいられねえ!今日は死ぬ気で木曾とデートだ!

もともと叶わぬとあきらめていた恋。玉砕覚悟で当たるのみ!

 

提督 じゃあ行くか。木曾。後ろに乗りな。

 

木曾 あ、ああ

なんだ?・・今日の提督はやけに男らしいというか・・

(かっこいい・・!)

 

木曾が後ろに乗ってくる。・・・軽いな。

 

・・・バイクに女とニケツする時、その女がどんな姿勢で乗るかで好感度が分かる。

好意を持ってる女なら腰に手を回して密着するんだぜ!・・って言ってたやつがいたな・・

木曾は・・・・・・・・

 

肩!!!!!!!!!

 

ちくしょう・・・

 

木曾 提督・・どうした?

提督 ・・・・なんでもない。いくぜ!!

 

そうして木曾との初めてのツーリングはスタートしたのだった。

 

泊地のある地域は地方都市だ。海沿いもきれいだが今回向かう先はカルデラ火山の外周道路だ。

海はこいつらは見飽きているだろうから、というのと、この外周道路は全国的にバイク乗りに有名なツーリングスポットでもある。見渡す限りの大平原と外周から見下ろす風景は何度見ても感動する。

高速コーナーやヘアピンが多く、ツーリングをしている者を飽きさせない道だ。

 

木曾 (寒くないって言ったけど・・さすがにじっと後ろに乗っていると寒くなってくるな。)

 

提督 (そろそろコーナーが多くなってくるな。)

 

外周道路に上がる前、ヘアピンが連続している区間だ。

コーナー手前でエンジンブレーキを利かせてしっかり減速。リアブレーキを残しながらコーナーへと進入

初めて乗る木曾を後ろに乗せているので念のためにリーンアウト気味の姿勢で曲がってみる。

 

木曾 !!うお!!

 

提督 !!大丈夫か!?

 

 

木曾には初めての感覚だった。海の上でも体を傾けて曲がるが陸上では傾ける先は固いアスファルト

今までに味わったことのない感覚と恐怖に戸惑いを隠せない。

 

 

木曾 ひゃああ!?

 

提督 木曾!体を外に向けたらあぶねえ!あと肩の手をハンドルみたいに逆に切るなあ!

 

木曾 でもあぶねえよお!!

 

提督 俺の体に合わせて少しずつ傾けてみて!

 

木曾 わ、わかった!やってみる!!

 

三つ目のヘアピンをぬけた。

 

提督 おお!?

 

・・さすが艦娘!!身体能力と体幹の良さは尋常じゃない!!

もう俺の姿勢に合わせてきてくれている!!

 

提督 やるなあ!!めちゃめちゃうまいじゃん!!

 

木曾 そそそそうか!?

 

提督 めちゃめちゃ運転しやすくなったぜ!木曾はやっぱすげえなあ!!

 

木曾 !!ああありがと!!

 

提督 (でも手はめちゃくちゃぎゅっとつかんでるな・・。緊張してるのと・・寒いのだろうな・・

 

ペース落として丁寧に。傾きは最小限で・・

 

展望台で一度とまることにした。

 

木曾は・・・・ちょっと震えているな。

そしてバイクを降りてからふーふー言っている。

 

木曾 ・・・・・・・

 

ジャケットを脱いで木曾に羽織ってやる。

 

木曾 !提督・・?

 

提督 すまん。きつかったか・・?

 

木曾 そんなことないぜ!!なんだよ!?これ!

    すごいな!!バイクは!!

 

・・どうやら気に入ってくれたようだ。

 

提督 こういうの女の子は嫌がる子多いからな・・

    木曾もそうかと思ったが・・

 

木曾 陸でもこんな乗り物があるんだな!!めちゃくちゃ楽しいな!!

 

木曾は目をキラキラさせていた。そこには軽巡ではなく

アウトドアが好きな一人の女の子がいた。

 

提督 だろ!?よかったー!木曾が気に入ってくれて!

    そんでもってお前本当に後ろ乗るの初めてか!?めちゃめちゃうまいじゃん!

 

木曾 乗り方は海での艦隊機動に近いものがあるな!でも自分の能力じゃなくて

    なんていうかこう、、操縦している感じなのが面白いぜ!!

 

提督 そういうもんなのか!運転してみたらすぐ俺よりもうまくなると思うぜ!そうしたら峠のキング

    いやクイーン誕生だな!!

 

木曾 ははっ!いいな!俺も欲しくなったなー!

 

・・バイク好き同士だと会話もはずむ。木曾がライダーに目覚めた瞬間かもしれんな。

提督 あと少しだからこのままいくぜ。トイレとか大丈夫か?

 

木曾 ・・そういうこと女の子にいうもんじゃないぜ?

 

提督 !!悪い悪い!じゃあいくか!

 

・・木曾が自分から女の子というとはな・・!

ダメ元で誘ったけど一緒に来てよかった。

いつ沈没するともわからんこいつらに・・

木曾に・・・この風景、俺のこと。知ってもらえて

楽しんでもらえたならよかったぜ!

 

相棒にまたがる。

 

提督 木曾。おいで。

 

木曾 ・・・ああ。

木曾がまたがってくる。

 

木曾 っ!!!

 

がん!!

 

木曾 きゃっ

提督 いて!!

 

木曾が思い切りヘルメットごしに頭突きをしてきた。

 

提督 大丈夫か!?

 

木曾 だ大丈夫だ!!問題ない!

 

木曾が慌てて肩をつかんできた。

 

提督 いてて!!

 

木曾 わわわわ悪い!!

 

手を置くところは肩だ。でも落胆はしないぜ。

俺たちはチームだからね・・!!!・・・・落胆は・・しないぜ・・!

 

カルデラの内綸へきた。ここが今回の目的地だ。

 

木曾と二人。バイクを離れて草原の中へ。

何キロも先まで見渡せる大平原。馬が走っていたり、散歩をする人々がはるか先でも見える。

二人で何をするでもなく石に腰掛け、あとはだまって風の音を聞いたり、景色を眺めた。

バイクに乗っていた時のアドレナリンがぬけ、静かな時間が流れ始めた。

 

ふいに景色を見たまま木曾が話し始めた。

 

木曾 お前の告白のことを考えていたよ。初めは馬鹿らしい。って思った。俺は兵器なのに何言ってんだってな。でもその時のことを思い出したら俺は笑っていたんだ。必死な提督の顔を見たら笑ってたんだ。

あれだけ笑えなくなっていたのに。お前が俺を笑わせてくれたんだ。だから今日はそのお礼に一日お前と付き合おうと思った。一度だけってな。

正直、最悪だったぞ。スカートだから寒いし恥ずかしいしな。おまけに風で目が痛い。

・・・・怖かったし・・・、、いや!なんでもねえ!

でも、、、楽しかった。お前と一緒に乗るバイクでのツーリングってやつもだが・・

今こうして二人でのんびり空を見ているのも・・いい。

こうして過ごしてみると・・俺は意外とのんびり過ごすのも遊ぶのも好きだったんだってわかったよ。今までずっと戦いのことだけ見ていたがな・・。これからはお前とこういうこともして、世界を見てみたいって思えたよ。提督。ありがとうな。

 

木曾はそこまで一気に話すとそのまま黙ってしまった。

 

提督 ・・・?どういたしまして・・?

 

木曾 ・・・・大破のこととか、いろいろ心配かけちまったな。だがもう大丈夫だ。

お前と一緒なら・・俺はお前のために頑張れると思うよ。だから俺に任せておけ。

 

提督 ・・・??ああ・・?・・・・ん?・・・んんん??

それは・・告白の返事としては・・・・オッケーてこと・・?

 

木曾 ////////・・・・そういうことだよ・・・・もういわないからな!!

 

提督 ・・・・

 

なんだろう・・・ダメもとで告白したからかな・・・実感がわかない・・

 

木曾 なんだよ・・うれしそうじゃねえな・・

   やっぱ冷めちまったか・・?

 

提督 いやいやいやいや!そんなことないって!

じゃあこれからもお前と一緒に過ごしてもお前はいいんだな!?

この戦いが終わってもずっと一緒で良いんだな!?

 

木曾 やめろよ!死亡フラグみたいだろ!もちろんだよ!

 

木曾 ・・・不安なのか・・?

   ならこっちにこい。

 

木曾が手招いている。

近づくと

 

ぎゅっ

 

木曾 もう安心だろ。大丈夫だ。俺に任せておけ。

 

木曾さん・・男前・・・

 

木曾は俺を抱きしめるとくしゃくしゃと髪の毛を撫でた。

 

木曾 うふふっ

 

あ・・そうでもないわ・・この子もやっぱ娘だわ・・

 

なんだかお姉さんができたようであまりカップルという感じがしねえ。

ていうか男の威厳もねえ・・まあ木曾がうれしそうだからいいか。

 

そうして俺たちは日暮れ前まで二人で草原で肩を寄せ合って過ごした。

 

提督 そろそろ日が暮れるから帰るか。

 

木曾 ・・・・ああ。

 

二人でバイクまで戻る。

 

提督 木曾、乗りな。

 

木曾 ・・・・・・・・・・

 

木曾はだまってうしろにまたがった。手は・・肩に・・おかない・・?

ま・・まさか!さらに好感度が低いとされるグラブバーつかみになるというのか・・!?

ショックすぎる・・!いや!木曾のことだ。もっとコーナーを攻めろという意思表示か!?

 

提督 木曾、どうした?

 

こん。とヘルメット同士が触れた。

でも先ほどの頭突きみたいな激しさはなかった。

 

ぎゅっ

 

木曾が腰に手を回してきた。

そのまま体をくっつけてくる。

 

木曾 あ・・あのさ!さ・・寒いし、このほうが安定するだろうと思ってさ!!

 

慌てる木曾の回してきた手にそっと自分の手を重ねる。

 

木曾 !!!

 

提督 じゃあかえるか。

 

木曾がうなずいたのを見て、おれはバイクのエンジンをかけた。

正門前に戻ってきた。

 

だが木曾はそのまま降りようとしない。

俺もこのまま降りたくなかった。

 

今日でツーリングは終わり。明日からはいつもの戦いだ。

だから終わるのが惜しくて・・

 

提督 ・・じゃあ、駐輪場までいくな・・?

 

木曾 こくっ

 

木曾はそのまま離れようとしなかった。

 

駐輪場でバイクを止めて、エンジンを切る。

相棒は満足げにエンジンからちり、ちり、と音を立てていた。

 

提督 明日から、また・・よろしくな。

おれが切り出さなければいけないと思った。

 

木曾 ・・うん。

 

そして一つ。思いついたことを言ってみた。

 

提督 ・・・また休みの日は付き合ってくれるか。木曾。

 

木曾 もちろんだ!

 

提督 よかった。・・じゃあ・・

 

木曾 待って・・。もう少しだけこのままがいいんだ。

 

提督 おおう・・

 

木曾と二人でバイクにまたがったまま。じっとしている。

心臓はずっとドキドキいっている。

木曾がつぶやいた。

 

木曾 私は絶対帰ってくるから。お前のためにがんばるから。・・・だから

    頑張ったときは・・またこうして・・・

 

提督 もちろんだ。だが大破の時は・・

 

木曾 かならず守るよ。大破の時はすぐ撤退だ。

 

提督 約束を守ってくれるなら大破のたびにツーリングだな!ははは!

 

木曾 ・・!!いいのか・・?

 

提督 お前は艦隊の要だからな!きっちり戦果を出しているだろうし、

    大破したときは大事をとって休暇にすると進言しておくさ。

 

木曾 ・・・・よし。わかった。

 

木曾はあっさりとバイクからおりた。

 

木曾 見ていてくれよ。提督!!

    じゃあまた明日な!!

    あと、ヘルメットは俺が持っておくからな!じゃあなあ!

 

提督 おい!・・・・いっちまった・・。

上着返せよ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

木曾の部屋へいく。

 

提督 おーい木曾―

 

多摩 お!うわさをすれば!なのにゃー!

 

多摩が廊下にいた。

 

提督 多摩。ありがとう。お前のおかげだ。

 

多摩 その様子なら成功したのかにゃ?

 

提督 ああ。なんとかな。木曾は?

 

多摩 木曾は部屋にゃ。・・でもぷぷぷ。

 

提督 なんだなんだ?

 

多摩 提督の告白を聞いた後の木曾の様子、提督にも見せたかったニャー!

 

提督 今だから大体わかるが・・

 

多摩 一言で言うなら完全に恋する乙女だったにゃ。

    告白のあとはしばらくぼーっとしてたにゃ。

    そのまま部屋に戻って・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

がんがんがんがん!!

 

多摩 なんにゃ!?隣の部屋から何かを打ち付ける音がするにゃ!

 

多摩 木曾!近所迷惑にゃ!って何してるにゃ!?床に頭を打ち付けて!

 

木曾 多摩ねえ!どうしたらいい!?提督が!俺のこと好きって!

    あしたデートだって!ツーリング?するって!なんだそれ!?

 

多摩の首をつかんでぶんぶんふる木曾。

 

多摩 おちつけにゃ!!

 

頭にチョップで木曾は我に返ったようだ。

話を聞くと提督に好きだと言われ、デートに誘われたらしい。

 

多摩 そんにゃのたのしんでくればいいにゃ。

 

木曾 どうしたらいい!?あたしのこと好きって・・突然言われてもわかんねえよ!

    デートってなにするんだ!?キスか!?

 

多摩 それもあるかもにゃ

 

木曾 

 

提督

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから木曾はすごかった。

前にも増して戦闘狂になった。ように見えた。

 

敵は必ず仕留め、最前線で常にMVPだった。

そして傷だらけで帰ってくるが仲間は絶対に轟沈させない。

 

自身が小破や中破の時はとても機嫌が悪い。そして入渠しようとしない。

 

木曾 おーし燃料入れてくれ!もう一回行ってくらあ!ワ級がウジャウジャいやがるんだ!

 

木曾 おい!多摩!アルコールあるか!?

 

多摩 あるけど・・・こ、、工業用と、薬用、どっちにゃ?

 

木曾 工業用にきまってらあ!あたしゃ艦装がデリケートなんでい!

 

多摩 木曾!引火してるのにゃ!

 

木曾 ガハハハ!いってくらあ!!

 

多摩 木曾やめるのにゃあ~!だれかとめてえええ!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

木曾 おい。ワ級!

 

ワ級 !!

 

木曾 もう少しだけ俺を攻撃しろ。大破にするんだ。いいな。そうしたら見逃してやる。

 

ワ級 がくがくがくがく!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

多摩 木曾!また大破したのかにゃ!

 

木曾 うふふ・・少しだけ風通しがよくなったでしょ・・

 

多摩 (怖いのにゃ!木曾が大破すると機嫌がいいのにゃ!)

 

こうして多少病みつつ木曾は確実に結果を出しつつ戦況を変えていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな木曾の様子が最近おかしい

 

妙に黙る。そしてこちらをじっと見ていることが多い気がする・・

 

 

木曾・・・・・・・・

 

今もだ・・

 

 

提督 なんだよ・・?

 

 

木曾 はっ!   いや・・なんでもない!!

 

 

どうにもやりづらいぜ・・

 

 

提督 そういえば今週末外出許可出たな・・

 

木曾 ・・!・・ああ?・・

 

提督 久しぶりにツーリングいくかなあ・・お前くる?

 

木曾 ・・・・・・・・いく。

 

提督 おっし!じゃあ明日8時に正門前でまっとけな。スカートはくなよ!やけどすんぞ!

 

木曾 わわ・・わかってるよ! 8時だな!

 

・・走って行っちまいやがった・・

書類も残して・・・・

 

おれにやれと・・・・ちくしょー!

 

 

最近、木曾の態度がそっけないんだよな。

何か話しかけても慌てるし、前のように堂々とした感じではないぞ。

どちらかというとオドオドしている、、

だが戦闘結果が悪い訳ではないしな?

他のヤツからも特に変化は感じないらしい。

 

、、ということは

 

オレの前でだけそういう態度になってしまうのか、、

 

 

もしかして、、木曾は無理して付き合ってるんじゃないのか、、

実は好きだったってのは気の迷い?本当はもう別れを考えてる・・?

 

 

そう考えれば先ほどの木曾の振る舞いもつじつまが合うな。

 

まあ考えてみれば、ダメダメ提督の俺と、今や人類期待の英雄。

ハナからうまくいかん恋だってのは知ってたさ。

でも木曾がせっかく良い状態なんだから精神的に乱れさせたくねえな。

 

 

木曾との付き合いを考えなければ、、!

 

北上 よっすー提督

 

提督 !!北上!ちょっとお願いがあるんだ!

 

北上 えーなにー?

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

木曾 俺はあいつが好きだ。 それを認めてから間違いなく俺は強くなってる。

   艦娘がそういうもんだというのも知っている。癪だがな。

   

   今まではただ戦ってた。理由なんてなかった。だから多少の無茶もしていた。

   初めて大破して帰ってきたとき、あいつが本気で怒っているのもわかった。

   だがそんなの当り前だ。

   俺たちは兵器だ。深海凄艦という磁石に吸い付く、鉄の一分子にすぎぬのだ。

 

   だがあいつと出会って、何のために戦うのか。その理由が俺の中で変わったんだ。

   それまでの俺は日本の平和の為、とか、そんなお題目を自分に言い聞かせて戦っていた。

   だが、あいつは戦場で戦う理由。それは隣の奴を死なせないためだ。と言った。

   あいつが泣きながら俺に怒ってきたのを見たとき、俺の中でそれが実感できたんだ。

   仲間のために、戦う。

 

   全員生きて帰る。それを教えてくれたんだ。俺に戦う理由をくれた人。

   絶望しかない戦いだが・・それでも俺は仲間の・・あいつのために戦うよ。

 

 

   戦友という気持ちがいつしか、もっと強い気持ちに変わった。

   艦娘として生まれた俺はいま、この戦いの後を夢見るようになった。

 

   明日のツーリング。俺たちにとってつかの間の休日。息抜きだった休日。

   これがいつしかかけがえのない一日と思うようになった。

   こんな日をあいつと過ごせるように、がんばるんだ!!

 

 

・・・・・・・・・・・

 

次の日

 

木曾 あれ?提督、、と北上姉?

 

提督 よう!待たせたな!

 

北上 どーもー

 

木曾 なんで車なんだ?ツーリングじゃなかったのか?

 

提督 ごめんな!急に予定を変更して!

   今日はドライブだ!

   で、退屈せんように乗りたいヤツに声かけたんだ。お前も気軽に話せる知り合いがい   た方がいいだろ?

 

木曾 あ、、ああ!、、  シュン

   (提督に抱き付けないのか、、二人で過ごせないのか、、ああああ!)

 

北上 ま、よろしくー!(なに?なんなのさ!このすれ違ってる二人!木曾小破してる!

   提督とのデートでズボンしかはかない理由はこれかー!これは見逃せないね!

 

提督 俺はドライバーだからお前ら二人後ろでいいだろ??

 

木曾 、、ああ、、

 

北上 おけー(もうやめて!木曾は中破よ!

 

提督 じゃ、車だすぞ!

 

 

・・・

提督 、、お前ら静かなんだな、、

 

木曾 、、ああ、、

 

北上 命かけて戦ってる仲間だからねえー

   今更言葉を話さなくても通じる、みたいな?(木曾は轟沈状態

提督気づいてないし ププ

 

・・・

 

北上 へえー!これがカルデラかあー!木曾が興奮するだけのことあるね!

 

提督 だろう!?ここがオレのお気に入りなんだ!

 

木曾は静かになってしまったので北上が気を利かせてくれたのだろう。カルデラに着くまでの間は北上と二人でドライブしてるようだった、、

 

木曾 ガチャ、ジャキッ、プシュー、、

 

北上 (やめて!木曾、装備展開しかけてる!

   あぶない!アンタが話せばいいじゃない!

 

 

・・・・・

 

カルデラの内輪部について、、展望台の駐車場に車をとめる。展望台は大勢の観光客でごった返していた。

 

いつもの場所は車がとめられない場所なので人が来ない。まるで別の場所のように思えた。

 

 

北上 ちょっとお花つんでくるねえー

 

提督 は?

 

北上 お手洗い!わかれ!

 

提督 う、、すまん、、木曾は大丈夫か?

 

木曾 あ、、あた、、オレは大丈夫だ、、

 

北上 (ウソ、木曾が素の話し方しかけてる、、!ウチがいるから直したのね!

 

 

 

 

 

・・・・

北上がいなくなって、木曾と二人になった。

 

提督 、、今まですまなかったな、、

 

木曾 (今日のことか?)

木曾 別にいいよ。北上とも仲良かったんだな。

 

提督 まあまあだな。たまに出かけて飯食ったりしてるよ。北上はやたら高い料理を食べたがるからなあ、、でも、それも良い思い出になれば、な!

 

木曾 北上ともデートしてたのか、、こ、、このっ、、浮気者お!

 

提督 デートなんてもんじゃねえよ。

 

木曾 でも!2人っきりだったんだろお?!

 

提督 木曾、声が大きい。みんな見てるぞ。

 

木曾 !!

 

提督 それも含めてすまない。と言ったんだ。

   お前に無理をさせていたんだな、、

 

木曾 、、そう思うなら、、

  (もっと2人っきりでいさせてよ)

 

提督 (初めからおれを誘うな。て言いたいんだろうな)

 

提督 とにかく、これからは無理に誘うことはやめるよ。お前たちには貴重な時間だから    な。

 

木曾 ・・・え??

 

木曾 あたしの聞き違いじゃなければ、提督はもうあたしたちと休みの日会ってくれないってこと?冗談だよね・・?

 

・・・・

 

 

 

次の週末

 

 

木曾 (あれは聞き違いだよな、、今週末こそ提督とツーリング、、!)

 

提督 さて!お仕事終了!木曾!今週もありがとうな!週末楽しんでな!

 

木曾 え?)あ、ああ!提督もな!提督は何するんだ?

 

提督 うーん、、決めてないな。まあツーリングだろうな!

 

木曾 もしかして、北上とか、、?

 

提督 いや?1人でだ。

 

木曾 そ、そうか、、

 

提督 また来週もたのむぞ!じゃあな。

 

 

 

木曾 せっかくだからあたしも連れて行ってくれればいいのに、、

 

でも、それから提督からツーリングの誘いが来ることは無くなってしまった。

 

・・・

多摩 提督。話があるにゃ。

 

提督 なんだ?

 

多摩 どうして木曾を遠ざけるのにゃ。

 

提督 ・・・

 

多摩 あいつは悲しんでるにゃ。毎日提督をせ・・

 

提督 俺は戦いの中、鎮守府で待っていることしかできない。

   戦場でどんな凄惨な戦いが行われているか。それは俺にはわからない。

   戦友として俺はお前たちと並んでたっていいのか?部外者のおれが・・

 

多摩 はっきりいうと提督は部外者になるにゃ。

 

提督 ・・・・

 

多摩 でも提督。提督は自分の好きな人に危ない戦いに参加してほしいかにゃ?

 

提督 ・・・

 

多摩 木曾は参加してほしくないと思ってるにゃ。だから自分が戦って提督のいる鎮守府や日本を守りたいって思えてるのにゃ。

 

提督 俺は木曾と休日をへらへら過ごしてるだけだぞ・・?そんな奴が横に立っていいのか・・。

 

多摩 わかってないにゃあ~!そのへらへら過ごす休日がどれだけ大切なものになってるのか!提督に伝えたいにゃあ~

 

提督 ・・・・

 

多摩 提督には提督にしかできないことがあってそれをしてほしいにゃ。それは木曾ともっと楽しく休日を過ごすことにゃ。実感はないかもしれないけど・・今はそれを楽しんでほしいにゃ。

 

提督 すこし時間をくれないか・・

・・・

 

提督 ふー、、ツーリングは出発はワクワクしてるんだが帰り道はクタクタで眠くなっていかんな、、

 

提督 あ、そうか、今までは木曾を乗せてたから木曾が起こしてくれてたもんな。

 

後ろに人を乗せると眠気出なくなるんだよな。

多分その人を守らないと、って緊張があるからなんだろうな。

 

いつものように正門を抜けようとしたとき

 

木曾の姿があった。あいつ。出かけたんじゃなかったのか。

よそいきの服だと思ったんだが・・

 

木曾は提督を見つけた途端顔を輝かせて走り寄ってきた。

 

木曾 よう、提督!

 

提督 おう!木曾!週末は楽しんだか!?

 

木曾 まあな!提督は本当にバイクが好きなんだな。

 

提督 まあな。これくらいしか趣味がないともいえるがな。

 

木曾 オレも免許取ろうかな、、

 

提督 とれとれ!一緒に走りいこうぜ!

   じゃ、バイク置いてくるわ。

 

木曾 ああ。

 

提督 (せっかくの晴れの休みなのにアイツあんな所で何してるんだ、、?

 

それからしばらくは 正門で木曾を見るたびに少し話したりした。

木曾はいつも夕方になると正門にいるようだ。

何かをするでもなく、俺が通りかかると走り寄って話しかけてくる。

 

多摩  ・・・・・・・・・にゃー・・・がんばるのにゃ・・木曾・・

・・・・・・・・・

 

木曾 提督がアタシを誘わなくなった。

   どうしてだろう・・。

 

   今までは提督に会う週末が楽しみでやってきていたのに・・

   何のためにがんばればいいのかわからなくなってきたよ・・

 

多摩 木曾・・提督にちゃんと気持ちはつたえているのかにゃ?

 

木曾 多摩ねえ・・ありがとう。でもいいんだ。提督に気を使わせたくないんだ。

 

多摩 木曾・・・・

 

毎週木曾は正門で提督をまつのだった・・。

 

多摩 提督は出かけていた木曾が正門でたまたま出くわしていると思っているにゃ

 

木曾の部隊では少しずつ被害が出始めていた。

小破だったり、大きな被害ではないが今までとは被害が出た時の状況に変化があった。

このままでは連携にも支障が出るかもしれない。部隊の中での士気にもかかわるかもしれない・・。

 

多摩 提督、木曾・・どうするのかにゃ・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

その日は午後から夕立が降った。

俺はツーリングを早めに切り上げたが間に合わなかったようだ・・。

雨の日のバイクほどみじめなもんはないぜ・・。

早く帰ってシャワー浴びてえ・・

 

正門までたどり着いてほっと一息つくと正門にいつものように木曾がいた。

あいつ・・!傘もささねえで!!

 

 

提督 お前!だいじょうぶかよ!

 

雨の日に木曾が正門で傘もささずに立っているのを見て、慌ててかけよる

 

木曾 ああ、いや、、大丈夫だよ・・!

 

提督 大丈夫なわけあるか!びしょびしょじゃねえか!

 

木曾 そうだな・・。

 

提督 何してんだよ!

 

木曾 待ってたんだよ。

 

提督 誰をだ?

 

木曾 ・・・・

 

提督 もしかしてすっぽかしか・・?まったく誰だよそんなひどいことしてんのは!

 

木曾 お前じゃん・・(ぼそっ

 

提督 え・・?

 

木曾 いや!なんでもねえ!

 

提督 せっかくのおしゃれが台無しじゃねえか。最近お前キレイになったからな

 

木曾 ・・!・・まあ・・いろいろ勉強してるからな!

 

木曾はそういうと上着をぎゅっと絞った。

ジーンズの上にへそが見えてしまっているが気にも留めない。

引き締まってんなあ・・。

 

提督 そのしぐさは男っぽいけどな。

 

木曾 ふん!どうせ俺には似合わねえよ・・。お前もそう思ってんだろ・・?

 

提督 そうだったら「キレイ」なんて言葉つかわねえよ。

 

木曾 !・・へへ・・そうかよ

 

 

その時、俺は初めて木曾の服装に気づいた。

木曾は週末はいつだってズボンだった。

 

おれに誘われるのを待っていたのか・・?いやまさかな・・

でもさっきの「おまえじゃん」は・・

 

提督 とりあえず・・一緒に戻るぞ。

 

木曾 いいよ・・おれは

 

提督 誰かを待ってるのか。もうそんなやつほっとけ。

 

木曾 いいって!

 

提督 仕方ねえ奴だな・・

 

そういって俺はバイクに戻った。エンジンをかける。

木曾はだまって俺を見送ろうとしている。

 

そのまま俺はバイクを木曾の前で止めた。

 

木曾 なんだよ・・?

 

提督 ほら、後ろのれよ。プチツーリングだ。

 

木曾 なんだよ・・いまさら・・

 

・・その言葉で確信したぜ。お前ずっと俺を待ってたのか。なんていじらしいやつだ・・!

 

俺はそのまま木曾を抱きかかえた。バイクの後部座席に座らせる。

 

木曾 なななな!お前!何するんだ!!

 

提督 お前軽いなあ・・。このままだと風邪ひくからな。見過ごせん。

   そして・・お前にはいろいろと話さなければいけなくなった。

 

木曾 気軽に俺に触るな!

 

提督 え?でもお前いつもスキンシップは大事とか言ってるじゃん。

木曾 そういうんじゃねえ!!ああもう!!

 

提督 いいから肩もて!暴れず静かにのれ!

木曾 ・・・・!!

 

シートにまたがり木曾に少し強く言ってみた・・。

普段の俺からは想像できんぜ・・。木曾も静かになってしまった。

なんか喧嘩の雰囲気は苦手なんだよ・・

やっぱり俺の自意識過剰かな・・本当はキモイって思われてんのかなあ・・

だんだん後悔が・・やっぱ謝っておいたほうが・・

 

・・・・ぎゅっ

 

え・・?

 

木曾が体をくっつけてきた。

 

木曾 いつでも出発していいよ・・?

 

提督 あ・・・・

 

もうその言葉で十分だった。

俺は雨の中バイクを発進させた。

 

駐輪場までは何百メートルもない。

だが木曾はその間ぎゅっと体を密着させて乗っていた。

 

雨でぬれた木曾の体が初めは冷たかったが駐輪場につく頃には二人の体温で

すこし温かくなっていた。

バイクを駐輪場にとめた。

 

あとはエンジンを切って降りるだけ。だがそのことがとても名残惜しく感じられた。

木曾も、とまった後に降りるそぶりをみせない。

 

雨音のひびくトタン屋根の駐輪場で、二人でしばらくそうしていた。

 

提督 すまん。

木曾 ・・どうした提督。最近謝ってばっかりだな。

 

提督 お前が待っていたのは俺・・だったんだろ?

木曾 ・・・・・自意識過剰だな・・・

提督 ・・・・!・・・・やっぱちがう・・?

 

木曾 不安なのか・・?安心しろ。そうだよ。

   あたしはお前を待ってたんだよ。

 

木曾の一人称が変わってる・・だがその理由はうっすらと俺にも分かった。

 

木曾 あたしはお前とツーリングに行きたかったんだ。と思う。

   でも北上とドライブしたときに、提督は提督なりにあたしたちのことを考えてああ言ってくれたんだろ。

 

提督 

 

提督 木曾がそっけないのは木曾が迷惑と思っていたのでは。ということ

 

北上たちの気持ち お前たちを見ていると艦娘の戦後も悪いものじゃないと思えてくる

         お前たちが幸せな姿を私たちに見せ続けることが戦う理由になっている。

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正門前で木曾を後ろに乗せ、海から離れて山のほうへ。

 

この地域はカルデラ火山の周囲に延々と道が続いている。

海からあまり離れたことのない艦娘に日本のきれいな風景を見せてやりたい。

そう思って俺はよく艦娘を後ろに乗せてツーリングをしている。

 

髪の毛の長いやつは嫌がることも多いので駆逐艦の連中か木曾みたいにそういうことを気にしない艦娘が乗ってくれることが多い。

 

木曾は俺のやりたいことにはよく付き合ってくれる。そして一緒に楽しんでくれる。

俺は木曾と過ごす週末が気に入っていた。

 

木曾は後ろに乗っているときは静かだ。でもコーナーの時なんかはそっと重心を移動してくれたり、運転に支障がでないよう体をしっかりホールドしてくれる。

 

肩に置いた手もしっかりつかんでくれている。

 

言葉はないがそのやり取りが心地よい。二人のチームワークで最近は長い距離も楽しく走れるようになってきた。

木曾もそのうち自分で乗るようになるのかもしれないな。

最近はよくバイクの雑誌を読む姿を目にするし。

 

この戦いが終わった時には、あいつも自分の愛車に跨って、そして日本を、

守り抜いた自分の国を見て周ってほしいぜ。

 

 

走り始めるとき、コーナーで車体を倒すとき、俺はいつも実感する。

こいつらは装備を下ろして丘に立っていれば本当に娘なのだ。

こんなに軽いからだで命がけで日本を守っている。

 

こいつらを・・木曾を・・死なせたくない。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

正門前で提督を待つ。提督の言ってた通りにスカートはやめた。

 

提督 おい!木曾!スカートじゃないか!

 

 

へへっ、まったく!提督はわかってねえぜ・・!

 

 

木曾 スカートじゃないんだぜ~!これは・・ガウチョパンツ!!

   ちゃんとズボンになってるんだぜ!!

 

提督 おお・・!木曾がファッションに気を使っている・・!

 

 

・・・失礼なやつ!!・・まあ普段気を使っていないもんね・・

なんか、らしくないかな・・やめたほうがよかったかな・・

 

 

木曾 やっぱ似合わねえか・・

 

提督 そんなことないぞ!お前は球磨型の姉妹の中でもいつも必ずスカートだろ。

   お前らしいと思うよ。似合ってるぜ!

 

木曾 !!・・・・もういくぞ!!どうせ着替えに行くのも面倒だしな!

 

提督 へいへい!いやー今日はどこいこうかねえ!

 

・・こんな言葉でも・・私はたぶん忘れない。似合ってる。って言葉。うれしい。

提督は建前は私に言わない。だから本当に思ってるんだ・・。・・・・うれしい。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

バイクに乗るとき、一番提督に近づけるとき。

この時間が私には本当に幸せ。どれだけギュっとしても良いなんて!

 

普段は触れない提督に触れることができる。

 

提督がバイク好きなので私もバイク雑誌を読むようになった。

でも見てしまうのはファッションやタンデムのコーナー。

バイクに乗る提督の邪魔にならないようなおしゃれを考えて考えて選んできた。

髪の毛がショートでよかった。

提督は髪の毛の長い子を乗せてボサボサにさせてから気を遣うようになっていたから

提督の後ろに乗っていつまでも・・・。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

目的地はカルデラ火山の火口だ。この火山は火口にも草原が広がっている。

ライダーの聖地だ。10年に一度、ここで再会する、なんてイベントがあって、俺はそれにも二回参加している。学生時代からの俺の思い出の場所だ。

この景色を見たときの感動はいまも忘れない。

 

木曾とも何度か来ている。が、たぶんこれが最後になるかもしれない。

艦娘は死と隣り合わせだ。次はないかもしれない。

 

だから俺は休日を精一杯楽しむと決めている。明日死ぬとしても今日、悔いが残らないように。

 

 

しばらく景色を眺めていた。

 

木曾も静かに横にいてくれる。

何も話さなくても心地良い。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

目的地についてしまった・・。でも!まだ帰りもあるし!

 

提督はついてからしばらくは話すけどそのあとはだんだん静かになる。

そして二人で流れる雲や草原を見てのんびり過ごす。

 

本当に別世界。退屈っていう子もいたけど私はこの時間が大好き。

提督が横にいればどんなことも大切。この人の横にいたい。

 

そう思えるからなんだろう。

 

提督 木曾・・話しておかなければいけないことがある。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

提督 俺は泊地を離れなければならなくなった。

 

 

 

木曾 え・・?

 

 

提督 決まったのは最近なんだ。お前には最初に伝えておこうと思ってな。

 

木曾 ・・・・・へえ、、

 

提督 知っての通り、俺は正規の提督じゃない。一年契約だ。そして俺たちの泊地は今年度で閉鎖するらしいんだ。

 

木曾 俺たちは・・・どうなるんだ、、?

 

提督 わからない。だが訓練課程を終えるからな。本当は一緒に戦いをサポートできればよかったんだが、、

 

木曾 うん・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

頭が回らなかった。こんなに早くこの時間が無くなるなんて・・

私はお前のために戦うって決めていたのに・・!

 

これから何のために戦うの・・?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

提督 お前たちをツーリングに誘っていた理由な。俺はお前たちに一日一日を精一杯楽しんでほしかったんだよ。お前たちは俺たちの勝手な都合でこの世に生まれてきた。そして戦うことを強制してしまっている。それが俺は嫌だった。お前たちが何のために戦うのか。その理由すら分からず沈むのは嫌だった。俺は提督になったのは生活のためだ。自分を守るために仕事してるんだよ。でもお前たちは違うだろう?

命を懸けて戦う理由はそんな安い理由じゃだめだと思ったんだ。だから・・せめて俺の好きな景色を見せて日本を守りたい、って気持ちを・・

 

木曾 そんなことが聞きたいんじゃない!!

 

提督 ・・!

 

木曾 俺は・・アタシは・・・

 

木曾 アタシは・・・お前が好きだ。

 

提督 ・・・・・・

 

木曾 お前のために戦っているんだ。お前と・・こうして休みの日に一緒に過ごすことがアタシの戦う理由なんだ・・。それが無くなったら・・アタシは・・どうがんばればいいのかわからないよ・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

好きだという木曾の気持ち・・

 

思えば誰かを好きになったことはあっても思われたことは無い人生だったな。

 

こんなにうれしいものなんだな。

 

だが・・おれは・・去りゆくものは・・想いを伝えていいのだろうか・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

帰りのツーリングもまた静かに過ぎていった。

いつもの正門の前で・・・

 

提督 木曾、、

 

呼び止めた。

呼び止めてしまった。

 

好きだが今は軍機もあり応えられないこと。

戦いが終わったらその時、あの場所でお前を待つことにする。ということ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

木曾 シャーこら!!先制雷撃いい!!

 

木曾 夜戦??連撃連撃いい! 

 

多摩 木曾がおかしいにゃ、、キラキラがまぶしいにゃ、、攻撃ターン守れにゃー!!

 

この休日以降、木曾にさらなる変化が起きた。

大破すらしなくなってしまった。

そして敵を見つけると飽和攻撃で先制攻撃し粉砕してしまう。

左眼が開眼し、索敵能力が圧倒的になる。

 

提督への愛ゆえの改二だった。

北方戦線は異常なし。この戦局がきっかけとなり終戦への道が開けたという専門家もいる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そうして終戦を迎えた。

 

木曾 提督・・・見てたか・・終わらせたぜ!会いに行くからまってろよな!!

 

だが、提督の足取りは途絶えていた。

 

あの場所で待ってもみた。だがあいつは来なかった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

提督は収容所だった。

正門でのことが漏れ、危険分子として隔離されたのだ。

 

提督は補給部隊へ転属。調理班への配属となった。

そこは教育部隊の食堂である。

朝5時に起床。食事の準備をする。コメを30キロ分焚き、みそ汁を寸胴に作る。

同時に幹部用の定食を作る。と同時に昼の下ごしらえ。食器を洗いつつ幹部食堂のオーダーを聞く。

さらに昼の食事時間へ。食器の片づけが終われば午後3時である。

そのまま夕食の準備へ。片付け終われば次の朝の下ごしらえ。

 

仕事が終わるのは早くて22時だ。

 

・・・そもそも回せる仕事量ではなかった。だが上からの命令にNoはありえない。

食事もまともに準備できないやつに艦隊を任せていたのか!?

そんな言葉とともに提督の評価は下がってゆく。

 

厨房の同僚には距離を置かれていた。艦娘に手を出した男だ。犯罪者扱いだった。

料理が手を付けられず返ってくることも多かった。そのたびに味見をさせられ、始末書を書かされた。

俺の調理したメニューが嫌がられているのだそうだ。

俺は何のためにがんばっているんだろう。

 

そんな中でも提督は木曾のことを思い、ただ厨房に立ち続けた。

 

家が戦災で燃えた時も、提督は厨房だった。

 

祖母が入院していた。

提督はすぐに見舞いに行こうと休暇申請をした。

申請書を見た上官は提督に言った。

 

「君が今一番しなければいけないことは何だと思うかね!?」

 

提督 (祖母の具合を一刻も早く見に行くこ・・!

 

「任務を遂行することでしょう!?」

 

「今はみんな大変なんだよ!?俺も親を亡くしてるんだよ!君の何倍も不幸なんだよ!」

「祖母は死んでないんだろう!?」

もちろん却下だった。

鍋を持つ手が震えた。

頑張る理由がなくなりつつあった。

 

そうして、少しずつ。俺は心が死んでいった。

 

戦場の木曾のほうがつらいんだろう。でも・・

俺にはもう耐えられない・・。

 

そうして終戦の時はきた。

 

俺のいた教育隊は戦後糾弾された。

艦娘への扱いがひどかったそうで、そこでの食事についても言及された。

・・・・そう。俺がすべて作っていたんだ。実行犯だ。

そのまま収容所いきだった。

 

皮肉なことに収容所の生活は快適であった。

しかし出てきたときには反戦国民として一家で糾弾され、住む場所も追われ、素性を隠し隠遁していた。俺たち家族は声を上げることが許されない戦争の犠牲者だ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

提督 お世話になりました。

 

看守 達者でな。

 

看守 (かわいそうに。国を守るために身をささげたものが10年。青春を奪われたのか

 

門を出て大きく伸びをする。・・長かったな。

自然と涙が出てきた。いや。おれはこれからようやく自分の人生を歩けるんだ。

 

 

通りの向こうから若い女性が歩いてくる。ショートカットでズボンが似合っているな。

そして目には眼帯・・・眼帯!?

 

まさか・・

 

木曾 ・・・・待ってたぜ・・

   おかえり・・提督・・

 

 

俺は・・・

 

1受け入れる

2拒絶する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拒絶

 

今、目の前に木曾がいる。あいつ。生き残ったのか・・。

提督 どなたでしょうか?

 

木曾 ・・・・え?

 

提督 もしかしてあなたの上官に似ていたのでしょうか・・?

私は本部で事務仕事をしていた人間ですので艦娘の指示をしたことは無いのですが・・。

 

木曾 あ・・そうなんですか・・?(本当に似ているけど・・話し方も違う・・顔つきも

   こんなじゃなかったのかな・・?

 

提督 もしよろしければ何かの縁です。道すがらお話を聞かせていただけますか。

 

木曾 あ・・はい。

 

提督(ここからだ・・!絶対感づかせるな!)

 

木曾は道すがらこれまでの経緯を話してくれた。

提督と仲良くなり、提督を思う気持ちで生き残ることができたこと。ツーリングの話、カレーの話、・・・多摩は生きていた。今は艦娘の生活協同組合を運営しているそうだ。

・・よかった。

 

提督 あなたが生きていたらそれだけで提督は満足だと思いますよ。あなたはもう軍に縛られることは無い。戦う理由はないんです。ですからあなたは自分の人生を生きなさい。

 

・・・・・・そう。これで彼女はようやく自分の人生を歩めるんだ・・。

 

木曾 そうですね。私が戦後どれほど探しても提督の足取りをつかむことはできなかった。

   これが最後の手がかりだったのです。この時間にくれば釈放される人がある。

ある人が教えてくれたのです。でも・・あなたは提督ではないんですよね?

 

提督 ・・・残念ながら。では・・これで・・

 

(もう会うことはないだろう・・。)

 

提督 (さようなら。俺の好きだった人・・。)

 

 

 

木曾 ・・・・・・・不安なのか・・?

 

提督 (っ!)

 

木曾 ・・・!・・・大丈夫だよ。・・俺がいるよ?

 

提督 (っく・・!)

目の前が霞む。そこにはかつての信頼した部下、そして姉のような木曾がいた。

不敵に仁王立ちしている・・。服装はズボンであの週末の時のようだ。

でも・・表情は・・逆光で見えないけど・・たぶん・・泣いてる。

 

俺も泣いていた。

 

木曾 提督・・・!・・これでさよならなのか・・!・・なあ!

あんまりじゃないか!俺は・・何のために戦ったんだよ・・!

 

提督 ・・・・お前はお前のための人生を歩むべきだ。

俺は政治犯だ。もうまともな人生は歩めない。

監視もつくだろう。お前はそんな生き方に付き合っちゃいけないんだよ。

 

木曾 俺はお前と・・いたいんだ・・。

 

提督 木曾・・たくさんの期待がお前に向けられるんだ。お前はそれに応えるんだ。

それでいつか・・俺にその輝きを見せてくれ。

おれは遠くで見守ってることにするよ。

 

木曾 お前は・・俺のことを好きだって言ってくれてたじゃないか・・

あの言葉は嘘だったのか・・?

 

提督 (そんなわけあるか!)・・・・ああ。そうだよ。

 

木曾 ・・!

 

提督 軍の規律でそういう気持ちにさせる規定があったんだよ。

おれは・・・おまえを誑かして戦いを強制させた最低な野郎さ・・。

 

木曾 ・・・・・・そうか・・・わかった・・。

 

提督 ・・・じゃあな。もう会うこともないだろう。

 

木曾 ・・それでも・・・俺みたいなやつを選んでくれてありがとうな・・

 

木曾 お前のおかげで生き残れたのは事実だからな・・。

 

二人。正反対に歩き出す。

もう交わらない人生だ。

 

あいつは戦後の光に。俺は影に・・。

 

・・・俺もこれで肩の荷が下りたぜ。部下はみな元気にやってるようだしな!

俺は・・やり終えた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

それから15年。

 

多摩 木曾~ お前まだ独身かにゃ~!

 

木曾 うるっせえな多摩ねえ!

 

多摩 いい加減くっつけにゃ~!ていってもくっつく相手もないかにゃ

 

木曾 なぐっていいか?

 

多摩 子供の前ではやめてにゃ!

 

 

多摩は職場恋愛で結婚。幸せそうだぜ。日本の新しい世代を育てる使命に燃えているそうで。

保育士の資格を取って保育園も始めたそうだ。

 

俺は提督から別れた後、警察部隊に入った。予備隊と呼ばれ、じきに軍へと昇格する組織だ。

そこで訓練を担当し、階級は今では大佐だ。

 

だが今回予備隊が自衛隊という軍組織に再編成されることになり、退役を申し出たのだ。

俺の戦後の役目はここで終わりだ。あとは・・・

 

木曾 旅にでも出るかねえー

 

多摩 お?いよいよ提督との約束を守るのかにゃ?

 

木曾 あいつのことは言うなって・・

 

多摩 捨てられたのにいまだに未練をもって・・・。いた!!

多摩姉は一言多いんだよ。

 

多摩 まだ・・気持ちはあるのかにゃ?

 

木曾 まだいうk・・

 

言いかけて多摩をみてぎょっとする。・・あの戦時の多摩の顔つきだった。

大佐まで上り詰めてもあの時の戦友の顔には気持ちが引き締まる。

多摩は何かあの時代のことについて話したいようだ・・。

 

あたしも本音でいうしかなさそうだな。

 

多摩 懐かしい顔つきになったにゃ~

 

木曾 あたしが本音を言うときだからね・・。あ~あ!今でも大好きだよ!!

刑務所前で別れてからずーーーーーーーーーっと!!忘れられない!!

 

多摩 ・・・はあ~・・姉ちゃんとしてはあきれるばかりにゃ。

提督を正門で待ち続けてるときにも思ったけど・・。

待つのが好きな子だったのにゃ・・

 

 

木曾 生き方は変えられないよ。・・でもみんなそうじゃない?

人は人生の三分の一は探し物してるっていうじゃない?

物は違えどみんな何か探してたり、何かを待ってる。そうやって生きてるんじゃないかな。

 

多摩 こじらせてるのもあいかわらずにゃあ~・・とと・・・・提督も待ってるにゃ・・

 

木曾 ・・・・・・え・・?

 

多摩 毎週末・・・夕方・・・あの場所にゃ・・て!木曾!!?

 

木曾は走り出していた。あいつを殴らないと気が済まない。15年!

15年も!!アタシを待たせて!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

提督 ふぃー

 

ジタンが15年で葉巻に変わった。

安たばこから葉巻が吸えるくらいなんとか生活は安定した。

 

そうして、、思い出に浸るためにこの場所で夕方はのんびりしている。

かつての戦友たちと過ごした施設。今は取り壊され、正門の門だけが道に残っている。

愛車は今にも壊れそうだがあの時のまま。

 

15年。この地に帰ってきてから何とか仕事をして、一人、暮らしてきた。

 

15年、必死に働いた、、体もだんだんついていかなくなってきている。

そして何かあったとき・・おれは孤独死するんだろうなあ・・

部屋片づけねえとなあ・・エロ本ばれたら恥ずかしいもんなあ・・て中学生か!

 

馬鹿だなあ・・

 

柱の反対側から声がした。ような気がした。

 

 

提督 !!・・ほんとうにな・・

 

木曾 やっぱり不安なのか・・?

 

提督 そこそこな・・

 

木曾 連絡とればいいじゃん

 

提督 誰に・・

 

木曾 俺とか・・

 

提督 今更とれねえよ。でも・15年かあ。何してんだろうなあ。みんな。

子供とかできて幸せに暮らしてるといいな。

 

提督 お前とか何度か新聞で見たぜ。すげえじゃねえか。めっちゃ活躍したな!

 

木曾 へへ・・約束は守ったぜ。

 

木曾 でも・・お前と一緒にいるはずだった15年を失っちまった・・。

 

提督 ・・・たった15年さ。お前が充実していたならいいんだが・・。

 

木曾 お前はどうなんだよ・・

 

提督 おれは・・まあ何とかやってるよ。仕事はなかなか見つからないんだけどな。こうしてなんとか生きてる。・・・じゃあ・・そろそろ帰るな・・久々に話せて楽しかったよ。

 

木曾 15年たったんだよ。もう十分だよ。提督。

 

木曾 あたしと暮らしてよ。

 

提督 お前は相変わらずかわいいなあ・・。

 

木曾 !!

 

提督 照れた顔もあの時のままかわいいなあ・・

 

木曾 提督・・

 

抱きしめたい・・

 

木曾は変わってなかった。むしろ美しくなっていた。でも心はあの時のままだ。

大佐まで上り詰めた歴戦の勇士。それが俺の前ではあたし、と一人称が変わり恥ずかしがる・・

 

対して俺は・・白髪が増え、体は中年に・・釣り合わねえなあ・・

 

でも・・もう・・いいかなあ・・

 

提督 木曾。俺はもうおっさんだぞ。

 

木曾 関係ない。お前がいい。

 

提督 !

 

木曾 お前でないとダメなんだ。

 

提督 ・・・・わかった・・

 

そういってバイクのエンジンをかける

 

木曾はだまって後ろに乗ってきた。服装は・・ジーンズだった。

 

ぎゅっ

 

木曾が体を抱きしめたとたん、あの頃の感覚がよみがえってきた。

ああ・・やっぱりバイクはいいな・・

 

正門から出たそのバイクはもう戻ってこなかった。

 

それから・・正門前に一つのライダーズカフェが開いた。

おっさんと美人のお姉さんのコンビでおいしいコーヒーを出すそのお店は

美人の艦娘ライダーが集まるので有名になったとか。

 

 

木曾 大丈夫だ・・っていったろ?

提督 ああ・・お前とならな

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。