仕事が命がけすぎて死んだふりして逃げたいんだけど………   作:じゃがありこ

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4話の前書きで感想は少しづつ返していくと言いましたが、返すタイミングを失って現在に至ります…大変申し訳ございません。感想を書いてくださった方には申し訳ないのですが、全部に返信をすると作者が死ぬので13話以降の感想から返信させていただこうと思います。余裕があれば、昔の感想にも返信します。初期から感想をくださった方はもちろん、今まで評価や感想をくださった方々にモチベーションをもらっています。ありがとうございます。以後このようなことが無いように気をつけます。


第14話

夜光はとある焼き肉屋の個室に自身のボスである男、斜佳道と二人で座っていた。彼の話だとこの焼き肉屋は自身の支援者の経営する店でありセキュリティ面も盗聴対策も完璧なのだそうだ。

 

「やあ、お帰り。武器は無事に回収できたみたいだね」

 

ハグして来いと言わんばかりの腕の広げ具合に完全に肩透かしを食らった夜光は、素直に返事をして席に着いた。

 

「で、寝る前に軽く報告はしたけど他に聞きたいことあるか?」

 

夜光は昨日の夜には東京エリアに戻ってきており、軽い現状報告をして丸一日眠りこけていたのだ。

 

「僕からはないよ。ただ、君は別なんじゃないのかい」

 

「………そうだな。俺の質問に答えてくれるって解釈でいいのか」

 

「答えられる範囲で応えるとも」

 

斜佳道は笑顔で肉を焼きながら答える。静寂の中に油が跳ねる音だけが響く。

 

「俺と玲奈を襲ってきた男を回収したあのピエロ。自分たちのことを『Purge』って呼んでた。あんたのことも知ってた。Purgeってのは何だ?何の組織なんだ?」

 

夜光の問いかけに驚くことなく、斜佳道は肉を焼き続ける。

 

「新人類主義、これは知っているかい?」

 

「ああ、俺たちサバイバーを優れた新人類であると定義し、それ以外の人類を滅ぼす思想だろ?」

 

「その通り。『Purge』はその主義を根底にして各国で活動している危険指定団体のことさ」

 

学園生の中にも新人類主義の思想を持っている人間は五萬といた。外の人間を憎んでいる生徒は多い。それは理解できる。夜光は転生者が故に、視野が広かった。しかし、学園に集められた生徒は大半がまだ子供だ。仲間が理不尽に死んでいく日常と襲い来る死の恐怖、そして学園に縛られているという現状。新人類主義のような思想が芽生えるのは当たり前だった。いや、そもそも今の主要都市を確立するために尽力した古のサバイバーを裏切り殺した時点で結末は決まっていた。

 

「『purge』は8年前に発足した組織だ。運命の悪戯かリーダーの男を慕うものの中に、空間移動の能力を持った武器(エンチャンター)を使えるものがいてね?あの男はそれを使い、各国を飛び回って戦力を整えているわけさ」

 

「戦力?」

 

「そう、戦力。『purge』の目的はサバイバー以外の人類の滅亡。だが、当然それを今の人類や社会は許容しない。必ず執行局のような各国の機関が敵対する。障害となる敵は自分たちと同じサバイバー。倒せるのはサバイバーのみ。わかるだろう?君が何故彼らに狙われたのか、玲奈ちゃんがどうして狙われていたのか」

 

「わからないな」

 

「………」

 

夜光は情報を整理する。

 

「玲奈はともかく、どうして学園から最近逃亡した俺の情報が『purge』に知られている」

 

「遊園地で執行局と争っただろう?『purge』はそろそろ大きく動き出す頃合いだ。戦力の増強のため、各地で目を光らせているのさ」

 

まるで生徒に模範解答を開設するような口調で話すボスに夜光は違和感と警戒心を抱いた。

 

「まるで『purge』のリーダーのような口ぶりだな」

 

「アハハハハハ!そうだね、ある意味間違っていないよ。『purge』のボスであるライツ・ウォルターは僕と同期だからね。3年間、学園を共に脱走してから一緒に戦ってきたし、学生の頃から彼の野望は飽きるほど聞いていたんだ。大体の計画は知っている」

 

「同期………」

 

ボスは生存しているサバイバーの中ではかなりの古株だ。サバイバーの力は長い時間を戦えば戦うほど強くなると言われている。もちろん戦いの濃度と才能にも左右されていくが、戦場から離れているボスでも夜光よりはるかに強いのだ。各国で戦っている『purge』のボスはいったいどれほど強いのだろうか。夜光は恐怖を抱いた。

 

「ちなみに、当代最強のサバイバーと名高い防衛局のトップ。彼とも僕たちは同期でね?いやー、昔は方針の違いからよく喧嘩したものだよ………」

 

寂しげな笑みを浮かべるボスは過去を懐かしんでいるようだった。

 

「………情報量が多くて頭が痛いが、二つ聞いておきたい。『purge』の目的は人類の滅亡で、あんたはそれには賛同しなかったから袂を分かったんだよな?今一度あんたの立ち位置を知りたいんだけど。あと、そもそも………あんたは『purge』の計画がうまくいくと思っているのか?」

 

「ライツの目的はそうだね。人類の滅亡ひいてはサバイバーにとっての楽園を作ること。手段と目的が逆転している気もしないでもないけど、彼は立ち止まれないだろうね」

 

斜佳道はトングから手を放し、夜光に視線を投げた。

 

「僕が知っているのは5年前の段階でのライツの計画だけど、勝率は4割といったところだろうね」

 

ボスは少し悩んだ後、訳知り顔でそうつぶやいた。

 

「結構あるんだな」

 

武器(エンチャンター)にAからCのランクがあることは知っているね?」

 

「ああ、その武器(エンチャンター)の性能の高さと危険度、製造の難易度を加味してAからCに武器はランク付けされているな」

 

「正確にはAの上にSランクとZランクがあるのは知っているかい?」

 

「Sは聞いたことがあるが、Zってのは知らないな」

 

「Sは性能が高く希少でありかつ扱いが難しいAランクの中でも極めて希少なものを指定するためのランクでね。公式ではないが『天邪鬼払』もそれに該当する。そして、Zランクとは使いこなせば単身で国を落とせると言われる武器(エンチャンター)のことさ。都市伝説のようなものだけどね?」

 

「見たことがあるのか?」

 

「君だって見たことあるだろう?」

 

夜光は首を傾げた。単身で国を落とせるほどのエンチャンター。そんなものがあれば、サバイバーの生存率はもっと上がっている。そもそも武器(エンチャンター)は、素材となった魔物の性質を色濃く反映させる。つまり、素材となった魔物がそれだけのポテンシャルを持っていることになる。………そこまで考えて夜光は一つの疑問にぶち当たった。

 

(そういえば俺が玲奈からもらった『天邪鬼払』は何が元になった武器だ?いや、元の魔物がわかっていない武器、俺はそれを最近見たはずだ。そして、目の前の男もそれを知っている)

 

「ッ!開祖の筆か」

 

夜光の答えに斜佳道は拍手をしながら首を縦に振った。

 

「そう、あれはまぎれもなく国を、世界を変えられる最強の武器(エンチャンター)の一つだよ。Zランクは近年つけられた分類で、本来は神器と呼ぶそうだ。古い文献によれば、確認されている神器は4つ。その内、現存を確認できている者は開祖の筆だけだけど、もしライツが3つのうちどれかを見つけていれば計画は成るかもしれないね。まあ、使いこなせるかという問題があるけど」

 

「まて、さっきの質問に答えてないだろ?あんたの立ち位置を教えてくれよ」

 

「…前に話した通りさ、サバイバーだけの国を作るっというのは僕も必要なことだとは思っているよ。共存の道を模索するまでは我々の安全地帯が必要だ。しかし、それはそう簡単にいくとは思っていないし、人類を滅ぼすなんてことは現実的じゃない。だけど、不可能ではないのさ。一部の人間はそう確信したから僕たちサバイバーを徹底的に管理する今の体制を作ったんだしね。だから、この国で計画を実行するようなら僕は止めるし、君を含めた仲間に危害が及ぶならライツを殺すとも。ただし、優先すべきはサバイバーの保護であり、彼らとの戦いではない」

 

嘘をついている気配を夜光は感じなかったが、それでも気持ちの悪い言い知れぬ違和感に襲われていた。

 

「聞きたいことは聞けたかい?」

 

そこまで話した時点で二人の間に沈黙が降り、無言の時間が始まった。夜光は情報を整理しながら唸っており、斜佳道はそれを見ながら笑みを浮かべている。斜佳道が浮かべている笑みは何を考えているのかわからない不気味で腹立たしいものだった。少なくとも夜光にとって。

 

だからなのだろう。きっと夜光は安価のことがなくともこの質問をしていた。目の前の男の薄気味悪い笑みを崩せると思って。

 

「聞きたいことは山ほどあるんだけど、先にこれを聞いとく。………女を落とすコツってあるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

54:いっち

ってなわけでボスから女性遍歴を聞き出してきました。予想外の質問だったらしくアホ面晒してて最高に面白かった。

 

55:名無しの転生者

おいその前に言うことあるだろ

 

56:名無しの転生者

第三勢力の説明よりも先にすることあるだろ

 

57:名無しの転生者

黒髪ちゃんどこにやった?

 

58:いっち

>>57君のような勘のいいガキは嫌いだよ…

 

59:名無しの転生者

 

60:名無しの転生者

 

61:名無しの転生者

はよ薄情しろ

 

62:名無しの転生者

実際マジでどうしたんだよ

 

63:名無しの転生者

さらっと帰ってきてるけど

 

64:いっち

普通に置いてきたよ

 

65:名無しの転生者

はい死刑

 

66:名無しの転生者

クォレは屑ですね

 

67:いっち

黒髪ちゃんには黒髪ちゃんの生活があるし、正直シンプルに黒髪ちゃんを連れて東京まで帰ってこれない。魔物に殺される。

 

68:名無しの転生者

はー、イッチマジかよ。ファン止めよ

 

69:名無しの転生者

っていうかイッチよく無事に返してもらえたな

 

70:名無しの転生者

>>67嘘つくな。黒髪ちゃんは強いんやろ?

 

71:名無しの転生者

帰るって言ったら引き留められそうだけど

 

72:いっち

>>70素人が!戦闘経験がなければいくら強くてもサバイバルしながら移動するなんて無理なんだよ!

 

73:名無しの転生者

イッチガチギレやんw

 

74:名無しの転生者

>>72

ハイファンタジー組のワイが保障する。これはガチやで?チート持ちで戦ったことがない一般人は土壇場で固まっちゃうんだよな

 

75:名無しの転生者

転生特典当たりニキの中にも苦い経験をしたやつ多いだろ

 

76:いっち

>>69

すんなり返してくれたぞ?

 

77:名無しの転生者

うーむ、黒髪ちゃんの心情がわからない

 

78:名無しの転生者

イッチ的にはどう?黒髪ちゃん、イッチに依存してるよな?

 

79:名無しの転生者

スレ民は人の心がわからないのだ

 

80:いっち

>>78

よくわからないっていうのが正しい。弱ったところを土足で踏み込んだから、依存気味ではあると思うけど元々、何にも寄りかからずにトラウマをうまく制御している子だったから、ドロドロに依存はしてないと信じてる。

 

81:名無しの転生者

トラウマ隠せてたか?

 

82:名無しの転生者

まあ、初見じゃわからなかったな

 

83:名無しの転生者

黒髪ちゃんのどれが素なんだ…

 

84:いっち

全部素ではあると思う。攻撃的な面は威嚇だったにしても、男で遊んで楽しむのは本人の趣向入ってると思うし

 

85:名無しの転生者

そろそろボスの話して

 

86:名無しの転生者

>>84それはそれで問題なんよな

 

87:名無しの転生者

>>86は?興奮するだろ?

 

88:名無しの転生者

>>86未熟者め!興奮しろ

 

89:名無しの転生者

>>86ロマンが詰まってるだろう

 

90:名無しの転生者

>>86

腹黒お嬢様とか最高だろ?

 

91:名無しの転生者

お前らw

 

92:名無しの転生者

打ち合わせでもしたんか?

 

93:名無しの転生者

やはり清楚こそ至高!他は邪道だ!

 

94:名無しの転生者

は?やんのか?

 

95:名無しの転生者

これは戦争だな

 

96:名無しの転生者

宣戦布告とみなすぞ?

 

97:名無しの転生者

 

98:名無しの転生者

誰か収集付けて

 

 

 

 

 

 

 

117:いっち

皆さんが静かにならないので、報告は今度にして安価します。新しい趣味>>127

 

118:名無しの転生者

!?

 

119:名無しの転生者

急に!?

 

120:名無しの転生者

え?新しい趣味?

 

121:名無しの転生者

もっと他に何かあるだろ?

 

122:名無しの転生者

な、ナンパ?

 

123:名無しの転生者

散歩?

 

124:名無しの転生者

ゲーム

 

125:名無しの転生者

修行

 

126:名無しの転生者

ナンパ

 

127:名無しの転生者

日記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




斜佳道=イケメンボス

ライツ・ウォルター=敵のボス

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