仕事が命がけすぎて死んだふりして逃げたいんだけど………   作:じゃがありこ

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待ってる人がまだいるかはわかりませんが一応


第16話

400:いっち

ワイは自分の転生特典が怖い

 

401:名無しの転生者

わかる

 

402:名無しの転生者

ここまで綺麗に行くとな

 

403:名無しの転生者

ご都合主義の権化みたいな展開キタコレ

 

404:いっち

ナンパしている子を助けるまではいいけど、マジでサバイバーに襲われるとは思わないじゃん?

 

405:名無しの転生者

っていうか街中でサバイバーが一般人を襲うなんてあり得るのか?

 

406:いっち

あり得たらサバイバーは今よりもエグイ環境に置かれてる

 

407:名無しの転生者

だよな

 

408:名無しの転生者

ですよね

 

409:名無しの転生者

安価のせいでサバイバーが生えてきたけど、何者なんだろう?

 

410:名無しの転生者

っていうか画像上げてる場合じゃないだろ

 

411:名無しの転生者

確かに、はよ助けに行けって

 

412:いっち

ギャルモドキちゃん、巨漢に抱えられて車に乗せられる。そして、その車は大通りに向けて走り去ってしまったぜ。やばいな、どうやって追いかけよう

 

413:名無しの転生者

冷静に解説すんな

 

414:名無しの転生者

助けに行けよw

 

415:名無しの転生者

何を躊躇ってるんだよ

 

416:名無しの転生者

イッチこのまま見捨てる気?

 

417:名無しの転生者

それは流石に屑やで?

 

418:いっち

車に追いつくことは普通にできる。でも、車と人間が並走しているのを見たらサバイバーだって一発でバレる。

 

419:いっち

ワイがサバイバーだってバレるのは、ワイの他にも迷惑かかるから合理的に考えるのであれば見捨てるべきなんだけど、安価を自発的に諦めるとワイが死ぬのでそれもないなし

 

420:名無しの転生者

つまり?

 

421:名無しの転生者

打つ手がないと

 

422:いっち

そう、だからやることは決まってる。安価だぁ!車に追いつく方法!>>432

 

423:名無しの転生者

安価キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

424:名無しの転生者

それしかないよな

 

425:名無しの転生者

渋滞で車が止まるから徒歩で

 

426:名無しの転生者

走れ

 

427:名無しの転生者

先回りしろ

 

428:名無しの転生者

自転車を拾って追いかけろ

 

429:名無しの転生者

タクシー拾って追いかける

 

430:名無しの転生者

その辺に落ちている石とかを投擲して相手の車のフロントガラスを割る

 

431:名無しの転生者

その辺走ってるバイクを拾って乗せてもらう

 

432:名無しの転生者

手元にある適当なものを投擲して車に当てる。そして事故らせる

 

433:名無しの転生者

ナンパして車に乗せてもらえ

 

434:名無しの転生者

頑張って追い付いて

 

435:名無しの転生者

イッチの手元になにある?

 

436:名無しの転生者

また微妙なものが

 

437:いっち

コンビニで買ったソフトクリーム

 

438:名無しの転生者

 

439:名無しの転生者

 

440:名無しの転生者

草ですわ

 

441:名無しの転生者

投擲したら車に届く前に空中で四散するわ

 

442:いっち

え?ソフトクリーム投げるの?マジ?ま、まあ投げるけど………

 

443:名無しの転生者

いけそう?

 

444:名無しの転生者

届くのか?無理じゃね?

 

445:名無しの転生者

プラスティック容器入りだからいけるだろ

 

446:名無しの転生者

厳しいだろ?

 

447:いっち

他の車に当たってその車がハンドル操作をミスってギャルモドキちゃんが乗ってる車に追突した。で、ギャルモドキちゃんの乗ってる車が爆発した。

 

448:名無しの転生者

 

449:名無しの転生者

 

450:名無しの転生者

 

451:名無しの転生者

前科?

 

452:名無しの転生者

人助けだからセーフ?

 

453:名無しの転生者

クォレはやらかした?

 

454:名無しの転生者

いつかやると思ってた

 

455:名無しの転生者

車は止まったし、追い付けるだろ?

 

456:名無しの転生者

がんばれー

 

457:いっち

みんな暢気すぎん?どんくらいワイが焦ってるかわかるだろ?

 

458:名無しの転生者

>>457ドンクライドンクライ、そう落ち込むなよ

 

459:名無しの転生者

 

460:名無しの転生者

 

461:名無しの転生者

座布団1枚

 

462:名無しの転生者

>>458!?どんくらいがドンクライでDon't cryなのか

 

463:名無しの転生者

冷静な解説いらん

 

464:いっち

>>458

ぶっ飛ばすぞ

 

465:名無しの転生者

そう怒るなよ

 

466:名無しの転生者

とりま助けに行けば?

 

467:名無しの転生者

逆に注目集まってそうだよな

 

468:名無しの転生者

これは逆に助けに行けないのでは?

 

469:名無しの転生者

誰か動画取ってそう

 

470:いっち

逃げられた、事故った瞬間にドア開けてギャルモドキちゃんを連れて行きやがった。急に車が爆発したから焦ったけど、ただの目くらましだったのか

 

471:名無しの転生者

 

472:いっち

とりあえず見捨てるのは寝ざめが悪いし、人気のない場所に逃げ込んだから追いかける

 

473:名無しの転生者

お、おう

 

474:名無しの転生者

急に意味わかんない

 

475:名無しの転生者

たぶん、イッチのソフトクリームで車が事故を起こす。で、その車が爆発して炎上したんだけど、その原因は事故ではなくて車から脱出するための煙幕でギャルを攫った男の自作自演だったと?

 

476:名無しの転生者

なるほど、わからん

 

477:いっち

もうすぐ追いつく。サバイバーを締め上げたらまた戻ってくる

 

478:名無しの転生者

待ってるぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

485:いっち

クソバトルジャンキーお嬢様(学園生)に、ワイの生存がばれました。

 

 

 

 

 

 

夜光が裏路地に飛び込みしばらく歩いた先にあったのは、少し開けた広場とそこで気絶している男と少女だった。

 

男の方は間違いなく少女を攫ったサバイバーであり、少女の方もまた攫われた被害者であった。

 

一体何があったのか…。首をかしげて困惑する夜光の頭上に人影が現れた。夜光は咄嗟に姿勢を前方に転がることで移動し、ギターケースから武器を取り出した。それはその場での最適解だったと言える。刀を握って自身がいた場所に敵意を剥けるがそこには誰もいなかった。しかし、その地面には斬りつけたような傷跡が付いていた。

 

未来視が夜光の危機を告げる。

 

夜光は自分の真後ろに刀を振るった。今度は刃が重なり火花を散らせた。

 

そこにいたのは長い金髪をお嬢様結びでまとめた少女だった。瞳孔の開ききった好戦的な緑眼と夜光の瞳が交差する。

 

そこから数回剣戟を重ねたのち、少女は大きく跳躍してビルの屋上に足を下ろして笑った。

 

少女は無傷で夜光は所々血で体を汚している。

 

「貴方、夜光よね?」

 

少女のその言葉に夜光は固まった。本日2度目のフリーズである。

 

「誰のことだ?」

 

何とかしらを切ろうとひねり出した言葉は少女によって否定された。

 

「剣を交えれば私は相手のことがわかるわ。技術とか駆け引きとかを嘲笑うかのような、理解不能の回避。凡人が生き残るために研ぎ澄ました生存特化の剣。それは紛れもなく私が嫌いな男の剣よ」

 

「………夜光は死んだはずだが?」

 

「ウフフフフフ!アハハハ、貴方バカかしら?バカだったわね」

 

「………おい」

 

「生き残る以外に能のない雑魚が死ぬわけないでしょ?」

 

一頻笑った後、少女は当たり前の常識を語るような口調で、そう返した。それは、ある種の信用であり夜光の評価そのものだった。

 

「誉め言葉として受け取っておく」

 

夜光は心の底からほんの少しも自身の生存を少女が疑っていなかったことに一抹の不安を覚えた。学園にも他に夜光の死亡に懐疑的な者がいると、見つかってしまうからだ。

 

「それで、俺は帰らせてもらえるのか?」

 

「あなたのこと黙ってた方が面白くなりそうだし、いいわよって答えてあげてもいいのだけれど、貴方の首を凛に見せたらいい顔しそうなのよねぇ」

 

「………趣味が悪い」

 

「知ってるでしょ?」

 

「ッ!」

 

月を背にして3階建ての屋上に立っていた、少女の姿が消える。そして、夜光に衝撃が走った。赤い軌跡を描く銀色の刃を躱したはずの夜光は自分の判断ミスを悟った。

 

(斬撃は囮で本命は蹴りか!)

 

戦闘での駆け引きにおいて夜光はほとんど負けたことがない。それは未来視という転生特典があるためだ。しかし、格上相手の場合この未来視は自分の生存能力を上げることには使えても、読み合いにおいて相手の上を取ることはできない。なぜなら、未来視にリソースを割き、より先をより正確に見ると現実での意識リソースが足りなくなるからである。わかりやすく言えば、計算を行いながら走ることはできても計算に集中したまま全力疾走するのは難しいのと同じである。

 

「いい声で鳴きなさい!」

 

骨を軋ませ臓腑を揺らす感覚を靴底に得つつ、強烈な後ろ回し蹴りを繰り出した少女が 好戦的な笑みを浮かべる。

 

「グッ!?」

 

夜光は蹴りを受けて、身動きも取れないまま、背中から床に落ちそのまま広場の端近くまで滑って行って仰向けに横たわった。未来視で見えていても僅かに反応が間に合わなかったのだ。

 

(やばい………防御姿勢も受け身も取り損ねた。俺じゃなければ今のでゲームオーバーだぞ)

 

痛みに悶える夜光は片膝をついて相手を見据えることしかできなかった。

 

「貴方が死んだことになった後、凜がどうなったかわかるかしら?計正が何をしたかは?有栖はどうなったと思う?他の雑魚たちは?」

 

夜光は苦悶に顔を曇らせながらも、少女の言葉を聞き取っていた。なぜなら、あらゆる情報を取り込んでいなければ、目の前の少女に一瞬で殺されるからである。それほどまでに、夜光と少女の間には実力差があった。

 

「………」

 

「一人だけ逃げた臆病者にはわからないかしら?あれだけ威勢のいいことを言っておいて、あれだけ他人にお節介を焼いて足跡を残しておいて、逃げ出すとはね。私のことを言える立場かしら」

 

「………」

 

「あーあ、これじゃあ、あの人も浮かばれないわ。結局、あの人の選択は間違っていた。庇われた貴方が仲間を捨てて逃げ出す屑だったとはね」

 

彼女の言い分は間違ってはいないが、正しくはない。夜光と他の仲間では背負っている事情が違っていた。逃げ出せない理由があり、自ら進んであの学園に身を置いているのである。

 

だから、夜光にとって凛を置いてきたことに罪悪感はあっても自分の中で無理やり納得はしていた。

 

ただし、夜光の心を激しく搔き乱す言葉が彼女からは吐き出された。

 

「所詮、ヒーロー気取りの偽善者。先輩を殺して生き長らえた殺人鬼に期待した私が愚かだったわ」

 

視界が大きすぎる感情に塗りつぶされる。未来視に回していたリソースをすべて殺意に回す。痛みは組み伏せ、術理を置き去りにする。

 

「俺だって好きで置いてきたんじゃねえ!」

 

夜光が先ほどまでとは比べ物にならない速度で迫る。少女にはその動きが完全に目で追えていた。しかし、動くことはない。彼女は黙って目を瞑った。

 

膨大な感情を込めた膝蹴りが、少女の鳩尾に突き刺さった。

 

「ッ!」

 

横隔膜を撃たれた結果の悶絶と共にその体が大きく吹っ飛んだ。少女は、何の身動きも取らないまま、背中から床に落ちそのまま広場の端近くまで滑って行って仰向けに横たわった。夜光が蹴り足を引いて、息を整える。すでに夜光はボロボロだった。

 

「今の局面で刀を使わない甘さは反吐が出るけれど………前言は撤回するわ」

 

少女は口元を愉快げに吊り上げて立ち上がっていた。

 

「非礼を詫びましょう。腑抜けたままの貴方では暇つぶしにもならないから、挑発させてもらったわ」

 

「それは…失敗したな。俺はお前と戦う気はない」

 

「無理よ。私が戦うと決めたんだもの」

 

「しつこいと嫌われるって知ってるか?戦闘狂()!」

 

「あら、昔の女に追いかけられるのは嫌いかしら?」

 

「美女なら考えるが、ただの美女じゃなくて戦闘狂だからな。お断りだ!あと!お前は昔の女じゃねえ!!!!!」

 

向き合う二人の呼吸が完全に整う。同時に無言の意思疎通が交わされた。そして両者の刀が一斉に跳ね上がった。

 

一瞬にして距離を詰めた薊の刺突が夜光に肉薄する。受け太刀で応じた夜光がふと相手の大勢に違和感を覚え、そしてその違和感の正体を未来視する。咄嗟に夜光はバックステップで後ろに下がり、その勢いを殺さず左へ体を逃がす。

 

2秒後、夜光が今まで立っていた場所には深い、刀による斬撃の痕が刻まれた。

 

「貴方のそれ、ほんとに便利よね」

 

再び距離を詰め、数回ほど剣戟を重ねその果てに、待ち受けた機を見て取った夜光は、首を狙った横薙ぎの一撃を繰り出した。しかし薊は、初めからその攻撃を知っていたかのように、着弾地点に左手を置きその刃を素手で掴む。

 

夜行はそれに驚くことなく、体を仰け反らせる。結果的に、薊が放った斬撃は、最低限の動きで躱され、反撃に転じた。この時点で彼は自身の選択のミスを悟る。

 

なぜならば、彼が観測する未来に次の薊の攻撃を捌く未来が存在しなかったからである。

 

「だから戦うのは嫌だったんだ」

 

彼の吐き捨てるような言葉は少女の耳に届き、薊は楽しげに笑った。




いったん書き直すかもです

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