作:鍋奉行

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大野の頭を少し良くしました。
筆者のリサーチ不足によって消した11話を書き直し10話とくっつけたものになります。
前半は旧10話とほとんど差異がありません。





10話(改訂版)

「風刃とエスクード、どっちが先に生まれてたんだろうな…」

 

風刃とエスクードは物体を伝播するという点で共通点がある。

伝播するのがブレードかシールドかの違いだけなのである。

 

「エンジニアになりたての俺の勝手な解釈だが、風刃はエスクードの後だと思う。風刃の性能は孤月とエスクードが基礎技術になっている。ブラックトリガーってのは元になったトリガーがあるんだと思う。そのトリガーに命と残りのトリオンを注ぎ込むことによって爆発的に強化する。」

 

雷蔵はパソコンに何か打ち込みながら答えた。

 

「擬似的に風刃と同じ性能を持ったトリガーを作ることも可能ってことか?燃費とかコスパは無視して。」

 

「おそらく可能だろうな。ただまともに実戦では使えないだろう。」

 

そんな話をしていると足音が近づいて来た。

振り返るとそこには髪の毛を後ろで縛り、髭をこさえたダンディな男が立っていた。

 

「おぉ、大野。なんだまたサボりか。」

 

「違いますよ冬島さん。鬼怒田開発室長と今後の進路についての面談をして来た帰りに雷蔵の働きぶりを見に来ただけですよ。」

 

「何だ、エンジニアにお前も転向か?」

 

先の面談、俺は幹部候補生から外されたことを正式に伝えられた。

そもそも幹部候補生だったのか俺は…

 

風刃との戦闘が決定を後押ししたらしい。

直属の上司に確認を取る前に行動に移した独断専行が1番の問題らしい。

 

確かに軍事組織のボーダーでやってはいけないことNo.1だな。

元々幹部になるつもりはなく、戦えなくなるまで防衛隊員をやろうと思っていたので問題はないが。

 

ただその自由な発想と戦闘能力は高く評価されているらしい。

そこでボーダーの隊員がより増えた時防衛任務を主体とする隊員の育成を担当か、エンジニアのどちらかにならないかという打診を受けた。

 

「俺は幹部候補生クビらしいのでエンジニアになるかって言う面談でした。この前の合同訓練が決定を後押ししたらしいです。」

 

「クビになったことよりお前が幹部候補生だったことのほうが驚きだった。冬島さん、こいつが幹部になっている姿想像できますか?」

 

「できないな。でもエンジニアになって鬼怒田さんに叱られている姿のほうは容易に想像できる。」

 

「待ってくださいよ冬島さん。俺はそこまでポンコツではないですよ。俺はたまにアホなだけですって。」

 

「お前、鳴いたにもかかわらず上がれない手をよく作ってるじゃねーか。それはたまにじゃないだろ。」

 

全くもって反論できない。

 

 


 

 

 

俺のやらかしで少し低い順位から始まったチームランク戦であったが残り一戦を残して3位まで上がってこれた。

本当に2人には申し訳ないことをした。

 

最終戦の相手は1位の東隊、2位の太刀川隊、5位の嵐山隊の四つ巴。

どのチームとも正面からの火力勝負になると流石に押し負けてしまう。

ただし単体なら二宮以外には十分撃ち勝てる。

 

「今回の作戦はいつも通り大野くんにフルアタックしてくる中衛職を奇襲。転送したら私と風間くんはすぐに合流、大野くんは転送位置次第でこっちから適宜指示を出す。今回注意すべきことを、はい大野くん。」

 

「はい、今回注意すべき点はスナイパーが2人いることです。」

 

このシーズンで俺は沢村さんに頭が上がらなくなった。

いかに俺がアホであるかがよくわかった。だが少しは賢くなった…はず。

 

「50点。シーズンが始まる前よりかは賢くなってるけど、まだ足りないわね。じゃあ風間くん。」

 

「今回のマップ選択権を嵐山隊が持っていることですね。嵐山隊がマップ選択権をもった試合は近距離接近戦よりも大規模な中距離火力戦になりやすい傾向があり、その時のスナイパーはいつも以上に脅威です。」

 

確かに、撃ち合いになった時はシールドを薄く広く伸ばす。そこにアイビスでドカンとやられると大変に厄介だ。

 

 『マップ、展示場。5分後に転送を開始します。各隊準備をしてください。』 

 

予想通り開けていて中遠距離職に有利なマップが来た。

スナイパーを完全に防げるのは地下駐車場くらいしかない。

 

「予想通り火力勝負になりそうですね。何より外の駐車場で撃ち合いになったら遮蔽物も少なく、奇襲も難しい。これは合流よりも構造物の中に入ることを優先したほうがいいかもしれませんね。どうしますか、沢村さん。」

 

風間の言う通りだ。

駐車場に転移されたら遮蔽物が少なくスナイパー格好の的だ。

このマップは転送位置の運が悪いと構造物にたどり着く前に蜂の巣にされてしまう。

うちの隊の利点を殺さない戦い方はある程度狭い展示場内部に入って射線などを遮ることだ。

 

「そうね、今回は合流よりも展示場にたどり着くことが優先しましょう。今回は大野くんも最初からバックワームを起動して展示場を目指す。多分バックワームを起動したままアステロイドで奇襲することは今回はないから、メインを孤月系に入れ替えておいて。」

 

「了解です。」

 

確かに今回の中距離戦は魔境になるだろう。

まともに撃ち合っていたらこっちの手がいくらあっても足りないだろう。

 

『転送1分前、ランク戦参加者はトリガーを起動してください。』

 

「しかしこのマップ、嵐山隊よりも東隊に有利なような…」

 

沢村さんの言う通りだ。

原作では東さんが得意とするマップで、最終戦で影浦隊を討ち取ったのも確か展示場だ。

 

「東隊は一回も東展示場でやったことはない。対して嵐山隊は2回も経験がある。そこを狙ったんじゃないですかね?」

 

「東さんがそんなことで止められるとは私思えないわ…」

 

 

『チームランク戦、転送開始。』

 

 


   

 

 

幸運にも展示場ほど近くの道路の上に出れた。

2人は展示場の中に出たらしい。

 

『ファミチ○ください。どの入り口から展示場の中に入りますか?』

 

『東口に二宮くんが見えたわ。そこから西は遠いから地下駐車場から入って上がってくるのが1番いいわね。』

 

『フ○ミチキください。了解しました。』

 

ここから南に少し行った先に地下駐車場の入り口がある。

そう思い地下駐車場の入り口まで来ると2本の旋空孤月が駐車場の奥から飛んできた。

メインに移した孤月と旋空を使って防ぎ、放ってきた方を見ると太刀川が見えた。

 

「沢村さん、入り口で太刀川と接敵しました。」

 

『運が悪いわね。多分烏丸くんが寄ってきていると思うから射線には気をつけて時間を稼ぎなさい。私が今からそっち向かうから。』

 

「おぉ大野さん。出水見なかった?」

 

「来てるのは出水じゃなくて烏丸だろ。もう俺はアホじゃないんでな。そんなハッタリ効かないぜ。」

 

『○ァミチキください。10分は無傷で耐えます。それまでにお願いします。』

 

射線に気をつけるなら地下駐車場の中でやるのが1番いいな。

 

そう思い飛んでくる旋空を旋空で撃ち落としならが地下駐車場内部に入り込んだ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「トコロテン‼︎」「シールド‼︎」

 

「「旋空孤月‼︎」」

 

地下駐車場での矛と盾の対決は白熱していた。

 

太刀川が大野の防御を打ち破るには両側から挟み込むように旋空孤月を放つ必要がある。

 

そのことは大野もわかっているので徹底して、相手にフルアタックをさせないためにトコロテンを撃ちシールドを使わせる。

 

「旋空孤月」

 

しかしそれでも徐々に大野の簡易盾は削られて行った。

 

旋空は効果時間と射程が反比例する。

そのためトリオン消費を無視すれば射程をとても短くして常に纏わせるように発動させることも可能である。

実際大野と対決する孤月使いはよく使う仕様だ。

いかに適切な時間だけ旋空を纏うかが大野との対決において重要になってくる。

 

『ファミチ○ください。沢村さん、十分後まで五体満足で持ちそうにないです。あれ使っていいですか?』

 

『周りに誰もいない?一応あれはまだ誰にも出してないんだから』

 

そうして大野は太刀川と斬り合いをしながら辺りを見渡した。

 

「斬り合ってる最中によそ見とは随分な余裕だなぁ、大野さん。」

 

太刀川が攻撃の手を強めた。

 

「もう周りは見ないよ。トコロテン、ナタデココ‼︎」

 

弾数重視のアステロイドを放つとエスクードカタパルトで横に急移動すると、再びカタパルトで加速して突っ込んできた。

そして突っ込みながら孤月を投げつけてきた。

 

(大野さんがわざわざ弾数重視のアステロイドを撃った。おそらく孤月は囮だな。アステロイドを薄く広いシールドで防ぎ孤月を孤月で撃ち落とそうとした時に、あいつは孤月を解除。薄くなったシールドの上から旋空孤月が来る‼︎)

 

太刀川は学業は壊滅的だがバトルIQは高く彼の予測は良くあたる。

そして実際小南と言い争いをしている大野からそれと似たような事をやろうとした事を横で聞いていた。

 

太刀川は念のため若干体勢を崩して孤月を避け、左から来るアステロイドの軌道上にシールドを貼り、左に旋空を纏わせた孤月を構えた。

そして予想通り空中にあった孤月は消えた。

 

(来る‼︎)

 

太刀川は左からの旋空孤月を警戒したがそれは杞憂に終わり左からの旋空孤月はこなかった。

 

代わりに大野の蹴りが太刀川の右膝に直撃した。

 

(何⁉︎トリオン体は威力がないと傷つけられない。大野さんのメインのトリガースロットに空きがないのはさっきの斬り合いで確認済み。なら足からスコーピオンは出せない。何がしたいんだこいつ⁉︎)

 

太刀川の予想は正しい。

大野のメインのトリガースロットは全て埋まっている。

そしてサブではアステロイドを起動しているので今、大野の足からスコーピオンは出てこない。

 

「まずは右足、そしてさよならだ。」

 

大野がそう言うと太刀川の右膝の裏からエスクードが生え、太刀川の右足は棒のようにピンと伸びた。

 

エスクードは腕だけでなく足でも起動できる。

そして直接触れていればトリオン体に生やすこともできる。

その二つを応用したのが今回の技である。

 

孤月を避けるために若干体勢を崩したのが良くなかった。

それがなければ膝裏のエスクードにも太刀川は対応できたであろう。

 

そんなifは起こらず、太刀川は大きく体勢を崩し直後に大野が放った旋空孤月を受け止めきれなかった。

 

「初見殺しすぎるだろ、その技。」

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出。』

 

チームランク戦シーズン最終戦。

最初に光の筋となって現実へと帰ったのは、現在の個人ランク戦1位であった。

 

 


 

 

 

太刀川を撃破して、五体満足のまま展示場内部に入ることができた。

 

「よくどこも傷付かず太刀川くんを倒せたわね。大野くんって太刀川くんとの個人戦の勝率あんまり良くなかった印象だけど…」

 

そして風間と沢村さんたちと無事合流ができた。

 

「新技が綺麗に決まったから上手くいっただけですよ。それで無事展示場内部に入って合流できましたがこれからどうしますか?太刀川とやった時にバックワーム解除したんで展示場内部にいるの多分バレてますよ。」

 

部隊としての最初の目的は達成された。

しかし道中で太刀川と戦った時にレーダーに映ってしまった。

一応外に出るように一回外側に向かってからバックワームを起動したが誰一人騙せている気がしない。

 

「レーダーと音からして展示場の東口で撃ち合いが起きてるわね。多分東口にいた二宮くんと…銃声がするから嵐山くんたちか烏丸くんね。」

 

「レーダーの動きを見る限り三輪もいますね。ただ三輪と踊ってるのが誰か…」

 

「太刀川は俺が落としましたからね。三輪と近距離でやりあえるやつって残ってるの烏丸くらいじゃないですか?そうなるとこれもしかして三部隊が乱戦してる?近接で三輪と戦っている時に突撃銃って使わないだろうし。」

 

「そう考えるのが妥当ね。多分嵐山くんたちがバックワームで潜みながら撃ってるわね。よし、私と風間くんは漁夫の利狙いでこっそり近づくわ。大野くんはガードに全振りしてとにかく戦場を荒らして可能なら点を取ってきて。」

 

「えぇ〜せっかく合流したのにまた俺だけ1人っすかぁ〜」

 

「お前今メインにアステロイドないだろ?その大盾を背負って俺の代わりに奇襲するか?」

 

「肉壁として精一杯、戦場をぐちゃぐちゃにしてきます‼︎」

 

「なんかその表現だと大野くんがぐちゃぐちゃになりそうね」

 

 


 

 

 

東口の戦闘に大野が参戦する頃には出水や加古などが合流しており辺りには濃厚な弾幕が絶え間なく発生していた。

 

多数の部隊が入り乱れる戦いにおいて真っ先に標的になるのは落としやすいやつだ。

 

この場所でそれに当てはまるのは片腕を失った烏丸や柿崎ではなく、無傷の大野であった。

 

理由は二つ。

一つは大野には中遠距離による援護射撃がない。

沢村が拳銃型を装備しているが沢村は落とせる時にしか姿を表さないので実質無いに等しい。

腕を失った2人だが烏丸には出水という弾バカがいるし、柿崎には嵐山と時枝やどこかに潜んでいる佐鳥がいる。

 

二つめは大野の頭脳だ。

日常生活でもそのアホさを発揮している大野はタイマンでは無類の防御性能とそこそこの攻撃力を持つが多人数が絡む乱戦では防御しかまともに機能しなくなることがこれまでのランク戦で明らかになっている。

 

烏丸の腕を旋空孤月で落としたのは有能だがそのために激戦地のど真ん中に降り立ったのはアホというよりも、もはや無能である。

 

激戦のど真ん中では三輪と大野が、周りで激しい銃撃戦が繰り広げられている。

 

(初手で烏丸を後ろに下がれせることができたのはでかい。太刀川隊には新技がばれているが三輪にはまだばれていない。なら‼︎)

 

「トコロテン、トコロテン、ナタデココ‼︎」

 

大野は太刀川に放ったよりもさらに細かくしたアステロイドを放った。

そしてお決まりのエスクードカタパルトでの急接近。

 

「シールド」

 

三輪は薄く広くシールドを張った。

おそらくシールドの後ろでは孤月を構えて旋空を警戒しているのだろう。

 

太刀川の時のように孤月を投げつけたりはしなかった。

そろそろ大野もそろそろトリオンがやばいのだ。

トリオンを節約しよう。そのような一種の余裕が命取りであった。

 

ズンッ

 

太刀川のように三輪膝裏にもエスクードを生やし、体勢を崩した三輪に大野は旋空孤月をふるった。

三輪も旋空孤月で受けてめようと崩れた体勢の中で旋空を発動した。

 

『『『北西方向、狙撃警戒‼︎』』』

 

各部隊のオペレーターが警告をするのと同時に2発の銃声が鳴った。

 

ズドン ズドン

 

2発の重たい銃声と共に、大野の頭と三輪の胸が吹き飛んだ。

 

『『戦闘体活動限界、緊急脱出』』

 

『嵐山さん見ました⁉︎俺のツインスナイプ。これで一気に2点ゲットですよ‼︎』

 

『よくやった賢。場所を変えてもう一度頼む。』

 

変態はいる。悔しいが。

 

 


 

 

『チームランク戦最終試合、勝者東隊』

 

得点生存点合計
東隊44
嵐山隊33
沢村隊22
太刀川隊22

 

 


 

 

今シーズンのランク戦が終わった。

 

最終戦はあっけなく負けたが最終順位は3位だった。

原作ではA級の上位3チームが遠征に行くが今はまだ玉狛第一が遠征に行くので2チームだけだ。

よって我がチームはお留守番である。

 

『ファミ間さん、遠征行ってるチームには改造トリガーが与えられてるらしいですけどもしもらうならどんなのが欲しいですか?』

 

『ファ○マと風間でファミ間…うまいわね大野くん』

 

「それほどでも」

 

『お前にさん付けされるとむず痒いな』

 

『ファミ間くん突っ込むとこそこ⁉︎』

 

『対面で話す時に言われたら止めるがこれは内部通話だ。それに俺にお前は止められない。』

 

『ファミ間さんにさん付けしなかったらただのファ○マじゃ無いですか。それじゃ普通のフ○ミマと区別がつかないから…』

 

『大野くんにも知性があったんだね…』

 

他愛もない会話をしながら日々というものはあっという間に過ぎ去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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