作:鍋奉行

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なるべくオリジナルキャラの数を増やさないために不自然なほどオペレーターが喋りません。
今回挿絵があります。


5話

「結局ランク戦始まるまでにスナイパー見つからなかったな」

 

 雷蔵は改めてランク戦のルールについて読み返しながら呟いた。

 

「まぁそのかわり東さんとこのシューター2人は来シーズンから参加だから…」

 

 そう、一期生の俺たちは人手不足の関係から昇格試験という形で訓練生から正規隊員になったが二期生以降は違う。

 スナイパーは合同訓練で4週連続で上位15%以内に入りかつ東さんのお墨付きがあって初めて正規隊員になれ、アタッカーやガンナーは訓練生専用の個人ランク戦でポイントを奪い合い一定以上のポイントを得るとなれる。

 

「てことは今シーズンのランク戦、スナイパーは東さん一人だけになるのか。あんまりその辺に気をする必要がある試合が多くないのはありがたいな。」

 

「ガンナーがスナイパーっぽい動きもできるからそこまで楽観視もできないぞ。」

 

「確かにな。油断はいけな『転送1分前、ランク戦参加者はトリガーを起動してください。』ってもうそんな時間かよ。」

 

雷蔵は少し慌てた様子でトリガーを起動した。この時代には隊専用の服というものがまだなく、皆同じ格好だ。最近は見慣れたが、太ってない雷蔵の戦闘服姿には他のキャラにはない独特の空気がある。

 

「最終確認だ。まず狙うのは嵐山隊。そのあと沢村隊のどっちか。」

 

「嵐山のとこは可能なら挟撃。その時に沢村さんたちの奇襲の警戒、だろ?隊長さん。」

 

「転送してまずやることは?」

 

「バックワーム起動して高台に近い方が上登って嵐山たちを探す。もう片方はその間なるべく静かに簡易盾の作成。」

 

誰がどこに出てくるかもわからなく、おそらく全員バックワームを使うので簡易的なスポットは必要になってくる。

 

「よし、記念すべき初戦。何もできず終わるのだけは避けるぞ。」

 

「おぉ〜‼︎」

 

雷蔵と俺は空に拳を突き上げると、その時はやってきた。

 

『チームランク戦、転送開始。』

 

 

 


 

 

 

転送した先は幸運なことにビルの上だった。

 

「雷蔵、マジでラッキーだ。転送先がビルの屋上だった。これから嵐山たちを探す。」

 

『了解。簡易盾の作成に入る。』

 

防衛任務などで何回も聞いたが、脳の中に直接音声が伝わってくるこの感覚はいつまで経っても慣れそうにない。

そう思いながら視覚支援を受けつつ索敵をしていくと

 

「旧街道を北に向かって嵐山が上がっていってる。ちらっと国道を西に迷いなく進んでるやつが見えた。『多分それが柿崎だな。』ああ、おそらくな。沢村さんは郵便局あたりを南東方向に進んでる。風間さんは初期位置あたりを見たが発見できなかった。こりゃどっちの隊も合流優先したな。オペさんマッピングお願いします。」

 

そう頼むとオペレーターの人はものの数十秒で簡易的な図を作ってくれた。

その間に簡易盾を一個は完成させた。沢村さんの動き的にこのビルに風間がいることはおそらくないから音を気にせず作った。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『この図でいくとお前が右上方向に行ったら同時にバックワームを解除して左上に追い込みかける感じか?』

 

「そうだな、2個目の盾が完成し次第右上に向かう。着いたらまた連絡する。お前は一回バックワームを解除して右下に向かって途中でまたバックワームを起動してから左上に向かってくれ。ちょっとでも沢村さんたちの思考を鈍らせたい。」

 

『OK』

 

まだ見つけられていない風間の存在だけが気がかりだが沢村さんの動き的南東で合流だろう。

 

話をしているうちに2個目の盾も完成した。沢村さんの動きがフェイクの可能性もあるので周辺を警戒しつつ北東へと向かった。

 

「右上に着いた。準備はいいか、雷蔵。」

 

『問題ない、いつでも行ける』

 

バックワームを解除した瞬間、他の部隊に動きが知られる。

ただこうしないと沢村隊の動きを限定できない。

今回初めに高台を取れていなかったら、おそらく全員が慎重に索敵していく時間がとてもかかる試合となっただろう。

 

「よし、バックワーム解除。嵐山たちを落とす。」

 

 


   

 

 

「嵐山、東と南からこっちに向かってくるのがレーダーに見えるがどっちだと思う?」

 

柿崎はレーダーを見ながら十中八九、大野のところだと思っていた。

 

「大野さんのところだろう。沢村さんならわざわざバックワームを解除したりはせず奇襲してくるだろう。これは沢村さんたちをこっちにこさせるために意図的に解除しているな。」

 

「どうする?片方ずつ集中して落とすか、同時に相手するか。」

 

「多分2人同時にアステロイドで攻撃しても雷蔵さんは抜けるが、大野さんが抜けない。今どっちが大野さんかわからない以上、片方ずつ落とすのは運が絡んでくる。ならどっちも足止めして、沢村さんが横から突いてきた方に全力で向かって対処した方が確実だろう。ザキさん、東の方を頼む。」

 

「了解した。」

 

柿崎は南が大野であってくれと願っていた。

柿崎は嵐山ほど近接戦が上手くないことを自覚しており、アステロイドを打っても止まらず突っ込んでくる大野の対処方法が未だイメージが湧いていなかった。

 

(やられるにしても、せめて沢村隊が来るまでは耐えてみせる。)

 

射程距離内に盾バカ1号が入った。

 

柿崎は大野の足元を狙って突撃銃の引き金を引いた。パラパラと乾いた音の数秒後硬いものにぶつかるような音が大通りを包んだ。

 

(うっそだろ、あの人固定シールドの靴を履いてやがる。固定シールドってあんな風にも使えたのか)

 

固定シールド、それは任意の空間上に出せるシールドを空間中に浮かせるのではなく物体に固定して設置した状態のシールドである。

しかし普通思いつくのはエスクードのように地面に固定する方法である。

あくまでも固定できるのは物体のみで威力のないトリオン体はシールドを貫通してしまう。

 

ではなぜ大野が靴のように履けているかというと、スパイダーで足をぐるぐる巻きにしているからである。

 

なぜこれを柿崎は知らないのか。

それは現在、スパイダーとエスクードがマイナートリガーになっているからである。

大抵の隊員はシールドとエスクードを入れ替えているので同時に使うことがないのだ。さらにスパイダーなどは現在、簡易盾の製作以外には使われていない超絶マイナートリガー。

 

こんな裏技のような仕様、出てきて二週間で思いつくやつの方が異常である。

 

(くっそ、足元狙えば少しはスピード落ちると思ったが全く落ちねーじゃねーか。ならもう寄って、近接で足止めするしかない。ゼロ距離アステロイドには発射前にわずかな静止時間がある。そこを見逃さずに時間を稼ぐ)

 

覚悟を決めた柿崎は孤月を抜刀し、突っ込んでくる大野に向き合った。

 

それを見た大野は突如、片方の盾を柿崎向けて投擲してきた。

 

柿崎は一瞬動きを止めてしまった。

投げつけられた盾を避けるか弾くか。通常であれば避けるのだが不幸なことに柿崎は一度簡易盾を持ったことがあった。

そしてそれが見た目の割に軽かったことが頭の片隅に残っていた。

 

(避けた瞬間にその方向にアステロイドを撃たれたら避けきれずに部位欠損が発生する可能性が高い!ならここは弾く!)

 

孤月は飛んでくる盾を弾き返すには理想的な軌道を描いた。

 

ここで横に弾いていれば結果は変わったのかもしれない。

 

孤月が盾に当たる直前、盾が空中で一瞬静止した。そしてわずかに当たるタイミングがずれた孤月を絡めとりながら大野の方へと戻っていった。

 

(!?)

 

柿崎の思考が完全に停止した。持っていた孤月をいつのまにか手放していたのである。

 

その一瞬を大野は逃さなかった。

 

トリオン体単体では不可能な急加速をして柿崎の懐に飛び込むと、柿崎の両手首を掴みゼロ距離ナタデロイドを起動した。

 

(しまった⁉︎避けようにも掴まれていてはどうしようもない)

 

この時スコーピオンがあれば危機を簡単に回避できたであろう。しかしまだ現ボーダーが設立して一年、シールドがついこないだできたばかりである。

 

(どうせやられるなら腕の一本は落とす‼︎)

 

思考回路が復活してからの柿崎は行動がはやっかった。

 

口で孤月を加えて右腕に振るったのはナタデロイドが発射されるコンマ数秒前だった。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

 

白煙と共に白い光の筋が空へと昇っていった。

 

煙が晴れるとそこにはいたのは坊主の青年1人であった

 

「やられた。まさかあそこから口元に孤月を出すとは…。スコーピオンがまだないから手を抑えれば近接では何もできないと思っていたが、これは想定していなかった。」

 

青年の足元には、切り落とされた手の甲が落ちていた。

 




実況がないランク戦って書くのが難しい。
早く入隊してくれ、武富桜子。
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