作:鍋奉行

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6話

大野が柿崎を落とす少し前、雷蔵側は混戦を極めていた。

 

孤月を納刀し盾とダブルシールドを展開していた雷蔵であったが、道半ばにして沢村隊の強襲を受けた。

 

嵐山のフルアタックを防ぐために孤月を納刀し、さらにシールドを薄く広げていたので孤月で盾を持っていた腕を切り落とされてしまった。

 

防御が弱まった瞬間を見逃すほど沢村隊の2人は甘くなかった。

 

ジリジリとだが確実に雷蔵は削られていった。

 

(腕を失ったのもそうだが、何よりも嵐山の動きがうざすぎる。)

 

これが個人ランク戦であればたとえ片腕を失っても削られることがなかっただろうが、これはチーム戦。

 

敵は目の前にいるだけではない。

 

沢村隊が強襲をかけた直後、銃撃が止み嵐山がレーダー上から姿を消した。そのため雷蔵は風間たちだけでなくどこかにいる嵐山にも意識を割いておかなければならないのだ。

 

それは大規模侵攻編時のランバネイン戦と似たようなものである。沢村、風間に対して50%ずつ意識を向けられていればおそらく大野が来るまで耐えられたであろう。

 

ピコン

 

レーダーに新たな点が生まれた。嵐山がバックワームを解除したのだ。

 

(フルアタックがくる‼︎)

 

雷蔵の思考が嵐山のフルアタックを防ぐことに回された隙を沢村は見逃さなかった。

風間が瞬時に後方へバックステップをするとともに沢村はノーガードで孤月を雷蔵に振り下ろした。

 

「シールドを風間に任せて切り掛かってくるのはずるいっすよ。」

 

「風間くんは身軽だからアステロイドくらいなら簡単に避けられるのよ。」

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出。』

 

「沢村さん、嘘言わないでください。あれが小南だったら信じて色んなところで言いふらされます。」

 

雷蔵が緊急脱出したのは大野がアステロイドを当てられる射程に沢村たちを捕らえる10秒ほど前だった。

 

 


  

 

 

マジかよ、雷蔵が何もできずに落とされた。

これがチーム戦。状況次第では格上の敵や厄介な相手も楽に片づけることができるか…

 

『すまん、何もできずに落とされちまった。』

 

雷蔵は作戦室から申し訳なさそうに言った。

 

「嵐山にあの動きされて片腕なら俺があそこにいても結果は変わらなかったから気にするな。次だ次。」

 

さて、雷蔵にそう言ったもののどうしたものか。

 

嵐山はまたバックワームを起動させて何処かに潜んでいる。

 

嵐山の狙いはおそらく漁夫の利作戦だ。

 

俺と沢村隊が潰しあって、安全にどっちも処理できるようになるまで息を潜めているだろう。

 

しかし今から嵐山を探してもおそらく見つからずゲームオーバー。

今のランク戦のルールは原作開始時と少し違い生存点は終了時点で最も多くの隊員が生き残ってるチームに入る。

このままだと沢村さんとこが単独トップだ。

嵐山もそれは避けたいから削れるなら沢村隊から削るだろう。

 

ならここは癪だが嵐山の掌で踊るか。沢村隊の1人を落としたら確実に今度はこっちを削りにくる。

そのタイミングで 嵐山を落としに行く。

 

なら今は沢村隊を絶対に見逃さないことに集中すべきだ。

 

沢村さんに向かってアステロイドを打つと風間がフルガードをしたのち、沢村さんが拳銃型のアステロイドを放ってきた。

 

あの人アタッカーだったよな。なんで三輪スタイルもう確立しとんねん。

 

そして沢村隊はバックワームを起動し、撤退を始めた。

風間がシールドを張り、後方から沢村さんがアステロイドを打ってくる。

 

めんどくさいことこの上ない。しかしこれでは距離が縮むことはないが、離れることもまたない。

 

何がしたいんだと思っていると2人が民家に飛び込んだ。

 

普通は罠を警戒して飛び込まないが、今2人を見失えば勝ちの可能性は格段に小さくなる。

 

大野は罠を覚悟で民家の中へと足を踏み入れた。

 

 

ガシャン、ガシャン、ガシャン

 

 

入ってきた入り口や家に付いている窓などの全てがエスクードによって閉じられ、あたりが真っ暗になった。

 

「オペさん暗視支援お願いします。」

 

大野はオペレーターに暗視支援を要求したが適用まで時間がかかった。と言うのもこんな事態は現ボーダー設立以来初である。

夜間に防衛任務を円滑に行うために作られた暗視支援。

使う時は防衛任務を開始する際なので、適用までに時間が限られる状況などは今までは無かった。

 

しかし大野は疑問に思っていた。今回、2人の孤月は村上がショッピングモールで使ったように黒く塗られていなかった。つまり光の太刀筋が暗闇では丸わかりである。

 

そう考えた側から左側から一筋の光の立ち筋が大野に向かってきた。

 

大野はそれを弾くような軌道で盾を動かし、同時に思い出した。

 

ここは昇格試験時に小南をはめた場所だと。

つまり、光の太刀筋のうちどれかはおもちゃ。近くで落ち着いて見れば暗闇に光っている状態でも一目瞭然だが、もうすでに盾を構えてしまったので見えない。大野の動きが一瞬止まった。

 

同格の相手2人に一瞬の静止は命取りである。

 

パン、パン、パン

 

乾いた音が暗闇に響いたのち大野の体から煙が漏れ出した。

 

『警告、トリオン漏出甚大』

 

威力重視のアステロイドは大野の脇腹に風穴を開けた。

スコーピオンがないこの時代、穴を塞ぐにはエスクードがあるが漏出量と雷蔵のところに早く着くために多用したカタパルトエスクードにより穴を塞ぐトリオン量が足りない。

 

残されたトリオンはごくわずか。

 

このタイミングで暗視効果が適用された。

 

大野は盾を放棄して、なけなしのトリオンで孤月を作成。

 

位置バレをしないために孤月を納刀して、アステロイドを放ってきた沢村にエスクードカタパルトで急接近。

 

沢村は驚き孤月を抜刀しようとしたが遅かった。

暗闇に孤月が三日月を描き、大量にガスが噴出した。

 

『『戦闘体活動限界、緊急脱出』』

 

沢村と大野が緊急脱出したのは同時だった。

 

ダダダダダ

 

2人が緊急脱出した直後、天井からアステロイドの雨霰が風間に降り注いだ。

それはいつのまにか2階に来ていた嵐山からのアステロイドであった。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

 

シールドをはるのが間に合わず風間も直ぐに2人の後を追うように光の筋となった。

 

『チームランク戦第一試合、勝者嵐山隊』

 

得点生存点合計
大野隊22
嵐山隊123
沢村隊22

 

ボーダー初のチームランク戦が終わった。

 

 


 

 

 

「やっぱりスナイパーは必要だな。今回スナイパーがいれば嵐山たちにフルアタックの選択肢を与えずにもっと簡単に近づけた。」

 

大野隊の作戦室ではオペレーターさんがカタカタと報告書を書き上げる横で今回の反省会が始まった。

 

オペレーターさんが書いている報告書は、視覚支援をもっと簡単に発動できるようにUIの変更を打診するためのものらしい。

終わった後視覚支援のやり方を見せてもらったが、確かに煩雑だった。

よくあの短期時間で暗視効果を適用できたなこの人…

 

今季のチームランク戦はこのようなことをを整えていく側面もあるようだ。

 

「今回の嵐山みたいな動きもできるからますます欲しいな。それにしてもあの動きをされると戦いにくくてしょうがない…」

 

雷蔵は悔しそうな表情をしている。

 

「今回の試合は射程が長い奴がゲームを一貫して動かしていたな。俺たちは逆にずっと動かされていた。」

 

「てか今回の試合、あきらかに沢村さんとこお前メタってきてたな。ラストの屋内戦、あそこ前に言ってたおもちゃあるとこだろ。」

 

「あぁ、でも昇格試験の映像とかは残ってないはずだし…」

 

「てことは聞き込みして徹底的に対策してきたなあの人たち。」

 

実は聞きにいったのではなく一試合目の対戦相手が出た直後小南が沢村さんに教えに行き、さらにあのおもちゃは撤去されていたことを2人が知るのはシーズン終了後の焼肉会であった。

 




現状、この時期に正規隊員になっていそうな人物が少ないのでこれでランク戦は一旦終わりにします。次回は一気にランク戦終了後の焼肉会からスタートする予定です。
先生、お身体が大丈夫ならBBF2が欲しいです。
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