盾 作:鍋奉行
試験的な側面が強かった初めてのランク戦がすべての試合を終え、シーズンを締めくくった。
我が大野隊は12チーム中4位で締め括った。1位が旧玉狛第一で2位が東隊、3位が沢村隊という結果になった。
途中何度かルール変更が行われたり、新規マップが追加された。
一つの隊に所属する人数が少ない関係から生存点が重要になり、慎重に行動するチームが多く生まれ積極的な戦闘が発生しなかったため生存点は真っ先に原作準拠に修正された。
また生き残るために多くのチームがマップを研究し開始直後下水道に飛び込みモグラのようにマンホールから出てきて銃撃を浴びせてくるチームまで出てきた。
そこでマップの範囲が地上限定に設定されたりなどの修正が毎試合ごとに適応された。
「ほら秀次、焼けたぞ。」
「ありがとうございます、東さん。」
今は東隊、沢村隊、大野隊、嵐山隊の8人で高くない焼肉を食べにきている。
旧玉狛第一と本部長は遠征に向かったのでここにはいない。
三輪と嵐山隊は東さんの奢りらしい。
入隊当時は目につく全てをぶっ壊しそうな雰囲気だった三輪だが、随分丸くなったように見える。
こうして肉と米を交互に頬張っている様は年相応の少年である。
「ぷはぁ、やっぱり焼肉にはこれがなくっちゃ。」
沢村さんはもうすでに出来上がりつつある。この場でお酒が飲めるのは沢村さんと東さんの2人のみ。
頼のもうとしたら沢村さんに止められた。確かに未成年飲酒になってしまうが…
「東さんが好きな部位って確かギアラでしたよね。あるけど頼まないんですか?」
確か第4胃だったはず。牛の胃っていうのは確かだがもう随分昔だしなぁ。
「あれ?言ったっけか?確かに好きだがここホルモンはあんまり美味しくないんだよ。」
「マジすか、でもじゃあなんでここに?」
「ここライスおかわり何回でも無料でホルモン以外は美味しいから育ち盛り4人にはちょうどいいからな。あとここはお通しのタコワサがなかなかにうまくてな。」
「確かに美味しかった‼︎」
心なしかいつもよりも沢村さんの声が大きいような気がする。沢村さんは酒が入ると声が大きくなるタイプだったか…
「育ち盛りは秀次たちだけですよ。自分はもうとっくに成長期は終わってます。」
風間よ、自虐のように言ってる割にお前嵐山や柿崎より食べてるぞ。
「あ、もうなくなっちゃった…。生追加するけどほかに注文したい人いる?」
沢村さんはタブレットを操作しながらあたりを見回した。
「ジョッキのコーラおねがします。」
「あ、じゃあ私も生じゃなくてコーラのやつにしよっと」
それからたわいもない話をし食事を楽しんでいると話題はチームランク戦へと移った。
「それはそうとずるいぞ嵐山!佐鳥を時枝ごと隊に引き入れるなんて。」
雷蔵が珍しく声を張って嵐山に苦言を呈した。
確かに原作が多少壊れてもスナイパーが欲しかったが無理だった。
それどころか正規隊員になったスナイパーが佐鳥しかいないので、水面下では佐鳥入手のためにスナイパーが欲しいチームは争っていた。
「そうよ!嵐山くんとこは遠距離2人もいるからいいじゃない。うちなんてアタッカー2人だから奇襲でしか点が取れないのよ!」
「沢村さん、それ俺らの部隊もそうですよ。」
あれこれ雷蔵も酒入ってる感じ?コーラサワーとコーラ間違えた?そんな漫画みたいな展開現実にあるわけ…
「いやぁ…佐鳥じゃなくて時枝に声をかけただけで、そしたら佐鳥も入りたいって言って成り行きで…」
酔っ払った年上2人に絡まれている嵐山がかわいそうに見える。ここは助け舟を出すべきだな。
「東さん、マジで佐鳥以外に正規隊員になれるスナイパーいないんですか?」
「「いないんですか‼︎」」
こいつら酒入るとうるさいな…
ビクってしてたぞ、三輪が。
「佐鳥が異常なんだよ。あんなに早くできるようになるなんて俺も思わなかった。未だにツインスナイプがなんでできるか俺にもわからない。」
始祖のスナイパーにここまで言わせる佐鳥ってマジで何者だよ。
てかもうツインスナイプしてんのかよ、やべーなあいつ。
「うちと嵐山のところは来シーズンから4人に増えるますけど大野さんと沢村さんたちは新規に隊員入れないんですか?」
「うちは俺とか雷蔵とかにフルアタックしてるときにそいつを落とせる駒が欲しかった。佐鳥が取れなかったからもうほかにいないんだよ。」
あと来シーズンの東さんところのシューター2人の対策でもあったけど。
「なら沢村さんところとくっつけばいいんじゃないですか。大野さんたちに対処してるガンナーとかを横から奇襲して食い荒らせばそこそこ点数稼げると思いますよ?」
久しぶりに喋った柿崎は何気なくそう言いながら残り少ないお茶を流し込んだ。
「「それだ!!!」」
酔っぱらいどもが反応してしまった。
「大野くんは一応シューターだから中距離まで対応できて近距離もできるから護衛は必要ない。それにバックワームを全員が使って試合が長引くことも大野くんたちを囮にすれば起こりにくい!」
「おい待て、俺はナタデココ割るのが下手だから中距離で撃っても当たらないぞ。」
「それはお前が割るのを練習すればいいだけだ。」
うっ、その言葉は俺に刺さるぞ雷蔵。正論だからぐうの音も出ない。
「案外いいかもしれんな。」
嘘やろ風間、お前まで賛成なのかよ。
合併したら俺あのトリオン14のやつとかと撃ち合いしなきゃならんくなるのか…
その後沢村隊と大野隊は合併し新生沢村隊となった。
そして俺はわずか1シーズンで隊長をクビになった。
チームランク戦はしばらくお休みになった。
本来であれば第一シーズンが終わってから一月後には始まる予定だったが一シーズンずれた。
その原因は二つある。
一つは新型トリガーの大量開発だ。
スコーピオンやバイパー、ハウンドなどが同時期にリリースされた。
またエスクードを切り裂くために作られたオプショントリガーの旋空。
そして銃型トリガーの使うアステロイドに射程延長機能と威力増強機能がついた。
ここまで環境が変わってしまった今、個人ランク戦は大盛り上がりである。
そして二つ目は風刃の適合者が想定以上に多かったこと。
これらが起因して一シーズンチームランク戦の実装を送らされた。チームランク戦開始のひと月前に風刃適合者による争奪戦をやるらしい。
今の環境は盾持ちにはものすごい逆風だ。
まず近づけなくなった。
アタッカーには近づく前に旋空孤月に盾ごと真っ二つにされ、ガンナーにはアステロイドとハウンドやバイパーを使われ削られる。
そう、世は中距離火力時代。
まるで入隊初期と同じような状況が再び生まれた。
そして雷蔵が今度こそブチギレてエンジニアに転向した。
盾の使い手は俺1人となった。
やつは「次なる盾使いのためにしばらく地下に潜る」と言い残し沢村隊を去っていった。
開発室は地下じゃないぞ。
雷蔵が抜け、盾2枚では旋空孤月を防げないためガンダムスタイルに変更した。
しかし今までのトリガーセットでは
| メイン | サブ |
| 孤月 | アステロイド |
| シールド | シールド |
| エスクード | |
| スパイダー | バックワーム |
でメインに旋空を入れるとシールドを抜かなくいけなくなってしまっている。
旋空孤月を受け止められるのは同じ旋空孤月だけである。
しかしこれでは集中シールド2枚同時運用ができない。
そんなことを思いながら諏訪隊の防衛任務にヘルプで入った時のこと。
『前から思っていたけど、その工程無駄では?』
そう言ってきたのはアイアムまあまあアホこと小佐野瑠衣である。
「このエスクードに穴開けてワイヤーを通す工程?エスクードにスパイダーは通らないんだよね。でもこれでもだいぶ作業効率は良くなった方だよ。最初のうちは旋空がなかったから穴ひとつ作るのに10秒はかかったからとてつもない進歩だよ。」
そう話しながら旋空を起動して三角形の穴をエスクードに開けていく。
『エスクードにエスクードを生やせて、エスクードの縦横比と大きさを調整できるならそれを取っ手にすればいいじゃないですか…』
衝撃である。雷が落ちるという表現があるがまさにそれである。
そして同時に思い出した。
そういえば初めて迅と会った時に腹抱えて笑ってたのって…
「小佐野、お前はまあまあアホではない。これからはそこそこ秀才だ。」
『いやおーのさんがアホなだけでしょ』
迅にはこの未来まで見えていたのだろう。
これでトリガーセットの問題は解決した。
変更後のトリガーセットはこうなった。
| メイン | サブ |
| アステロイド | 孤月 |
| 旋空 | |
| シールド | シールド |
| エスクード | バックワーム |
そう、メインにアステロイドを持って来れば元々解決していたのである。
小佐野の言う通りアホなのは俺の方なのかもしれない。
ちなみ大野はハチノスが好きです。
自分のリサーチ不足で下記のアンケートにはすでにどなたかが書かれている概念があるかもしれません。
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