盾 作:鍋奉行
個人ランク戦で盾は使えない。
いや使えないのではなく作っている余裕がない。
特にアタッカー同士の戦いはすぐに戦闘が始まる。
そのためガンダムスタイルが取れず戦い方がくまちゃんスタイルに現状なっている。
シールドが開発されていなかった当時は鍔迫り合い時などにアステロイドでズドンすれば点が簡単に手に入っていたが今はできない。
もうランク戦に潜っているアタッカーに「大野はアステロイドを割れない」という事実がバレてしまっているのである。
そのため大体アステロイドの軌道上に集中シールドを置かれて防がれる。
以前の焼肉会で雷蔵に「割れるようになれば解決」と言われてしまった。
これは現隊長の沢村さんにも「チームランク戦が始まるまでに中距離での撃ち合いで機能するように仕上げておきなさい。」と釘を刺されてしまっている。
そのため現在、アステロイドを素早く割る練習をしているのだが…
「綺麗な割り方?そんなん気にして使ったことないっすよ。」
「考えれば綺麗に割れる。」
「私、感覚でやってるから…ほら私って他の人と違って球体じゃない?」
未来のエースシューターたちにアドバイスを求めても全く参考にならかった。
時間をかければ綺麗に割ることができる。
イメージはまず縦に切ってナタデココからハンペンを作る。
そんで横に切ってハンペンからトコロテンにする。
最後にトコロテンから小さなナタデココにすれば完成である。
誰もこんな思考をしないで一発で大ナタデココから小ナタデココに変換できるらしい。
ボーダーは変態ばかりだ。
そして最終手段の東さんに聞きに行った。
「なら思考過程を声に出せばいいんじゃないか?」
東さんはいつも天才的なことを言う。
この人の脳みそに詰まってないのはクソぐらいだな。
「ありがとうございます‼︎早速やってみます‼︎」
なんで思いつかなかったんだろう。こんな簡単なこと。
今までとは比べ物にならないくらい早く割ることが出来た。
これならたとえ初めてトリガーを使う人でも簡単にそして綺麗に割れる。
革新だ。ハトナ革命と名付けよう。これは時代が動くぞ。
この日、個人ランク戦ブースに来ていた人はとても奇妙なものを見た。
それは盾バカが盾を使わず食べ物を詠唱しながらアステロイドを撃つ様子である。
そして破竹の勢いで相手を討ち取っていく様子である。
アタッカーは近距離での斬り合いからのゼロ距離射撃を嫌って中距離から旋空孤月を放つと旋空孤月を受け止められ謎詠唱と共にアステロイドが飛んでくる。
そして間髪入れずに旋空孤月が飛んでくる。
1番の対策はダブル旋空孤月だがそれをした瞬間にノーガードのところに威力重視のナタデロイドが飛んでくる。
それを避けて2本とも当てられるのは今のところ太刀川と本部長だけである。
もしくは近距離で斬り合いを制すれば大野を討ち取ることができる。
ガンナーやシューターは大野が中距離での攻撃手段ができたので下手にフルアタックができない。
防御のプロにはたった1人のそれもフルアタックではない攻撃状況下で盾を作るなど造作もない。作成された盾とシールドで近寄られおしまいである。
対策はシールドや盾を叩き割るレベルで威力に振ったアステロイドを使うか防御の隙間をつくような弾を使うかである。
大野は個人ランク戦に帰ってきた。
かつての盾バカは謎詠唱マンとして返り咲いた。
「何あれ、ついに頭がおかしくなったわあいつ。」
小南がこのような感想を抱くのも無理はない。
普通の人は塊から一発で大野が言う小ナタデココの状態にできるのだ。
側から見たら意味不明である。
「いや小南、あれは馬鹿にできないぞ。よくみてみろ、普通は塊を出してから割るがあいつのは出てきた時点でハンペンの形状になっている。あれは相当高度な技術だぞ。」
「嘘でしょレイジさん、あのアホ絶対そんなこと気づいてないわよ。」
「だとしてもだ。ほら今度はトコロテン状態だ。あれは現状二宮や出水でも真似できない唯一無二の能力だぞ。」
ボーダー古参の2人からしても異常な光景である。
こんなのを訓練生が見たら困惑しか湧いてこない。
大野はシューターの「キューブを出して」「キューブを割って」「狙って」「撃つ」というアクションを近距離の場合は「キューブを出して」「撃つ」の二動作にし、中距離は「トコロテンorハンペン」「狙って」「撃つ」の三動作に短縮したのである。
なおこれができるのは後にも先のも大野1人であった。そしてあんまり役に立たない。
さらにチーム戦ではここに盾も加わる。大野も大野で変態である。
現状大野が勝ち越せないのは太刀川、小南、迅、二宮、出水、風間の6人である。
ちなみに出水は個人ランク戦をしている最中に大野の防御を正面からぶち抜くために思いつきで合成弾のギムレットを生み出した。
この一件で出水は弾バカ、大野は弾アホ(たまにアホ)と呼ばれるようになっていった。
また「大野のあだ名がかつて盾バカ1号であったことを知っている人は古参」という風にもなった。
迅はサイドエフェクトを話してないのに知っていた時とても警戒していましたが、現在は警戒を解いています。ここまでのやつだとは思わなかったようです。未来視は映像しか見えないので「ハンペン‼︎トコロテン‼︎ナタデココ‼︎」は会った時点ではわかっていませんでした。