ロウきゅーぶ!!!~エリーゼ・ルタスの大冒険~   作:藤林 明

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祝・自室にPC環境完成!!
……だが長くなりすぎたので分割投稿にします。(一般よりは圧倒的に少ないですが)

さて、今回は本編ですが次回は幕間を投稿しようかなぁと思います。(スキットでやるには長すぎると思って・・・あ、内容は内緒っす)
多分あと2話で試合が終わる・・・と思いたい。

さて、長くなりましたが本編をどぞ!


第29話 「外国人」VS「異世界人」前編 ~第4Q~

~コートSide・硯谷陣地内~

 

長いボールデット(強制レフェリータイム)が明け、硯谷のメンバー(マリア以外)は慧心メンバーの変化に気づいた。

 

「みすず」

 

「うん。……まさかこんなに早く持ち直してくるとは思わなかった」

 

特に塚田・甲本のレギュラーメンバーは相手の予想より早いメンタル面の立て直しに少しの冷や汗と興奮を感じて自陣コートで守っていた。

 

「イズレニシテモ、ツギノテンスウヲアタエルノハトクサクデハアリマセン。ポイントガードノカタモセンターノカタモユダンシナイヨウニ」

 

そんな二人に冷静に声を掛けたのは、硯谷が慧心との軽めの調整(・・・・・)の後に予定していた交流試合の相手エース(・・・・・)でもあるマリア・オニールその人だった。

 

「…もちろん、油断なんてしてるつもりは無いわ。なんせこっちは絶望的に負けてる訳だし」

 

「そうそう。…それにあと少ししたらうちのエースも入るだろうし、それまでは頼んだよアメリカのクイーンさん」

 

「……ソコマデキタイサレタラシカタナイカ。ジャアミセテアゲル、ホンバジコミノバスケットヲ!!」

 

期待されていることを聞いたマリアはそう意気込むと、自分のポジション(今回はチーム編成上SG)の位置へと就いた。――――それを見ながらレギュラー組の二人は内心では好奇心で胸いっぱいだったりもする。何故なら・・・

 

「「(間近で敵のエース。それもあの全米で有名な”ファイヴ・クイーン”のプレーが見られる!!…硯谷でバスケしててよかったー!)」」

 

という訳である。集中せい

 

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~コートSide・慧心視点~

 

「紗季ちゃん!」

 

コートエンドから愛莉がパスを出して試合が再開された。

 

「はい!(愛莉とエリーゼのおかげでチーム崩壊は回避はできた。…ここから先の展開、多分私の様に時間を掛けるPGじゃひとつの間違えだけで負けかねない。…ここは慎重にいくべきか…?)…いや、ここは」

 

――攻めるべき!!

 

「エリーゼ!!」

 

「はい!」

 

普段慎重な紗季は、本来ならここは愛莉へのパスからの内→外→内のシンプルな攻めを選ぶ。

しかし、今回はこの悪い雰囲気・流れを壊したエリーゼへとパスを出した。――もちろん、意図はあるが。

”マリア”

そう呼ばれた白髪の少女の容姿が、たまたま見かけたバスケの雑誌に掲載されていた《全米のファイヴ・クイーン》という記事にあった写真に写っていた少女の1人とそっくりなのだ。

その上、彼女はこの合宿中で紗季の知る限り一切体育館で見かけていない。所謂”アンノウン”なのである。それ故に彼女の実力を見ておきたかったのだ。

 

「……ワンオンワン、ウケテタチマス!」

 

「……私は、1人じゃない……皆で…戦う…!」

 

マリアの言葉にそう返したエリーゼはフェイクをせずに右サイドへとドライブを仕掛ける。

 

「サセマセ…!?スクリーンッ!!」

 

「おー、とおせんぼーう!」

 

そう。マリアがエリーゼに意識を向けている隙にひなたはスクリーンを仕掛けていたのだ。

比較的小柄なマリアは意表を突かれたとはいえ、さらに小柄なひなたの存在に気づくのが遅れてしまい見事にスクリーンの餌食に。――誰もがそう思った。

 

「!?」

 

「コノクライナラダイジョウブ」

 

「うそ……一回転して追いついた!?」

 

スクリーンに就いていたひなたをスピンでかわしてキッチリと追いついたマリアに真帆が驚きの声を上げる。

――だが

 

「やっ!」

 

シュッ

ダンパスッ

ビィーーーーーッ

 

マリアが追いついた時には既にシュートを放っており、それがボードに当たって入った。

そしてブザーが鳴った事で両ベンチが動いた。

 

「硯谷、慧心、メンバーチェンジです」

 

慧心 136 - 98 硯谷

 

硯谷 IN藍田未侑  OUT北野若菜

慧心 IN湊智花   OUT三沢真帆

     八神ヒカリ    永塚紗季

     藤林すず     袴田ひなた

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

~ベンチSide・硯谷~

 

硯谷ベンチは交代選手を見て驚いていた。

 

「これは……」

 

「葵ちゃんが裏で何かやってんなーとは思ってたけど……そこも再生してくるか、慧心さん…!」

 

「ええ…………まさか、あの二人をこの試合で再び出してくるとは流石ですね。…ですがこちらも現時点での最強メンバーを揃えました」

 

「そうだよね!試合はこれからだよね、お姉ちゃん!!」

 

「勿論です。(とはいえ、あの少女が万全なら難しいのは事実。…だからこその未侑投入な訳ですが)…頼みましたよ、エース」

 

盛り上がるどころか、想像以上の静寂に包まれている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~ベンチSide・慧心~

 

一方の慧心ベンチ。

 

「……大丈夫かな、ヒカリは」

 

「大丈夫だよ!もう、ジュードは心配性なんだからー」

 

ジュードは試合に出したヒカリの事を案じ、それをレイアが笑い飛ばすという割と日常的なやり取りが行われている。

 

「もう、レイアは……でもよかったの昴?紗季を交代させてまでヒカリを使うなんて…」

 

「…そうだな。普通なら愛莉と交代して入れた方がいい場面なんだけど、ここはミスマッチ(・・・・・)を突いていこうと思ったんだ。ヒカリはポイントガードとしての練習もしていたし、特に大きな混乱は出ないと思う」

 

「ミスマッチ?…………そうか!」

 

「ええ、今まではこっちがひなたちゃんの所でミスマッチを突かれてたけど、今度はこっちの番、ってこと!」

 

そう、慧心サイドは今まで130cm台の選手と150cm台の選手との身長差を利用され失点している部分もあった。そこで今度は140cm台の選手が多いPGに170cmオーバーの選手を起用して意表を突く事にしたのだ。――――ジュードはその事に気づき納得したが、それでも彼の心配性は収まらなかった様で

 

「ヒカリと紗季の交代の理由は分かったんだけどさ、ヒカリは体力的にも精神的にも大丈夫そうだけど…すずは体力の方が厳しいんじゃない?こんな早く出して最後まで持つの??」

 

今度はすずの心配を始めた。

 

「それなんだけど……実は俺も不安なんだよな…すず本人とエリーゼ(・・・・)が言ってきたんだよ。『あの人が出てきたらすずを出してください』って。何か理由分かるかジュード?」

 

ジュードの質問(心配)に対して昴は腕を組み、考える様にうーんと唸った後、ジュードにたずねてみた。

 

「え!?根拠分からずに出したの!?」

 

「あ、あぁ、葵もレイアも大丈夫だから出してあげてって言うのに理由は教えてくれないんだよ……」

 

「えぇ……しっかりしてよコーチ……」

 

「面目無い……」

 

「男ってやつは……」

 

「あはは……」

 

肩を落とす男性陣二人を見て呆れる葵と苦笑いするレイアの姿がそこにあった・・・合掌

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~コートSide・硯谷視点~

 

「マタ、アノシュートデスカ……」

 

「さっきからどうなってるのよあの子のシュート」

 

マリアはボールデットの球を拾いパスをしながら呟き、そのボールを貰いドリブルしながら甲本はボヤく。

 

「構えから打つまでが早過ぎる(・・・・)よ!あれじゃあブロックが間に合わない」

 

甲本に続き塚田も焦った様に叫ぶ。しかし

 

「落ち着きなさい久美」

 

それを冷静な声で制止するのは硯谷バスケ部のキャプテンにしてエースの未侑だった。

そして矢継ぎ早に指示を伝えていく。

 

「先生からの指示を伝えるわ。あの子にはマリア、貴女がついて」

 

「ワカリマシタ」

 

「久美はそのまま同じ人をマーク。みすずは少し大変だけどあの大きい子と、蘭はあの小さいのと。…多分向こうの中でもかなり巧い方だから最低限シュートを打たせないように頑張って」

 

「じゃあ」

 

「ええ。未侑はあの忍者娘とやるわ。……それじゃあ、いくわよ!!」

 

「「「おう!!!」」」

 

「ゼンリョクデイキマス!!」

 

~~~~~

 

「さて、どう攻めましょうか……」

 

「悪いけど、簡単に負けるつもりはないから」

 

センターラインを超えた辺りで甲本は相手のPGであると思われる選手(ヒカリ)と対峙した。

 

「あーごめんね?私未侑達と違って1対1にあんまり拘り無いからさ…ひょいっと」

 

「!?」

 

話しながらのノールックパス。勿論経験値の低い(と思われる)相手には効果的だった様で見事に決まる。

勿論、その相手は

 

「ナイスパス……さ、いくわよ忍者っ娘」

 

「望むところです。受けて立ちましょう」

 

硯谷エースはそう言うと臨戦態勢となりその場に静止した。何故ならこの相手にはある意味弱点がありそれが逆に強みでもあったからだ。

 

「(今のところこの子の技は全てに共通して常識はずれな速さが関わってる。スティールも、あのダンクですらそう……でもあの子はあくまでドリブル(・・・・)ブロック(・・・・)は一度もしていない。…という事は)はっ!!…っく」

 

ピィィィィィッ

 

「しまった!?」

 

「チャージング!!硯谷フリースローツーショット!」

 

「っっ~…やっぱりそうなのね…」

 

そう。未侑は――硯谷ベンチは、気づいたのだ。

 

”彼女はシュートブロックをしたことはないのでないか?”

 

と。

その予想は的中し、本来バスケの経験者から見れば小学生女子には無謀なサイドラインに近い位置からのシュートモーション…フェイクにすらならないそれに彼女は超スピードで反応し未侑の身体ごと(・・・・・・・)スティールしてきたのだ。

 

「……これで、あんたの攻略は終わり。ここからは何にもさせてあげないから」

 

「…………」

 

そう不敵な笑みを浮かべて言い放つ未侑に対して少女――すずは無言で未侑を見送ったのだった……。

――――そして、エースである未侑がフリースローを外すことはなくスコアは

 

慧心 136 - 100 硯谷

 

となった。




後書きスキッド:空気

ミサ「いやー、マジで出番無いなぁウチら」

有紀「そうだね……」

ミサ「昔見た漫画で「あたしらさながら背景ですぜ」って言ってたキャラがいたけど、わいらはむしろ」

有紀「空気」

ミサ「なんよなぁ……」

有紀「ドンマイ」

ミサ「いやアンタもやからな?!わいだけやないで?!」

有紀「知ってる」

ミサ「なんでやねん!?」

智花「……(……言えない……原作主人公なのに出番が全く無いよ~とか…もう少し昴さんとイチャイチャしたいとか言えない……この二人の前でなんてむりだよぉぉぉ…)」

ミサ「ん?何でここに智花ちゃんおるんか?」

智花「試合いってきまーーーーーーす!!!」ピューン

有紀「…………(智花にあとでO☆SHI☆O☆KI☆しないとね)」

おわり
ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m

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