「夏油傑。貴方はサンタクロースの鉄の掟を破りました。故に、追放します」
「謹んで処分をお受けします」
「貴方付きのトナカイと妖精も同様の処分とします」
「待ってください、それは……!」
「「「「謹んで処分をお受けします」」」」
「サンタとトナカイは一緒にいるもんだろ」
「私も望んでた事だしな。黙ってみてるなんてできねーよ」
「お姉ちゃんと一緒なら何処でもいいわ」
「ずっと一緒ですぅ」
「甚爾……真希……真依……フィー……ありがとう」
そうして、私は追放刑を受けた。
追放された先は、誰かの寝室だった。
「なんだ!?」
「あーっと。私?」
飛び起きた私が寝巻きで応対する。どこだここ。屋敷?
部屋大きいな。
「並行世界でも飛ばされたか?」
「馬鹿な、禪院甚爾! 死んだはずじゃ」
「は? 俺は生きてるが?」
「殺す!」
「待った待った待った! 私の部下を殺されたら困るよ!」
慌てて身を盾にして止める。
「何故私が禪院家と行動してる!?」
「とある会社に就職して、普通に部下として配属されたんだよ……。甚爾は、私にとっては手取り足取り教えてくれた先輩だから、何が原因かはわからないけど、怒らないでくれないか」
「はあ!? 理子ちゃんを殺したんだぞ!」
「理子ちゃん? フルネームで言ってくれないかな」
「天内 理子だ」
「ああ、彼女。待って。こちらでは子供を残して亡くなったのかい? 可哀想に」
「子供……?」
「うん、去年5歳になった子供」
「……そちらでは、天内は学生の時に亡くなってないのか?」
「彼女を甚爾が殺す理由がわからないのだけれど……。痴情のもつれ? それにしては年齢差が」
「ありえない。会社ってどこに勤めてるんだ」
「運送会社だけど? トナカイ運送。こっちにはないかな?」
「トナカイ運送? 聞いた事ないな」
「子供のプレゼント専門で運ぶ運送屋だよ。まあおもちゃ屋みたいなものかな」
「なにそれ」
「もし良かったら、こっちでトナカイ運送を立ち上げるのに協力をして欲しいんだけど。私達、こちらの世界に投げ出されて戸籍も資金もないわけだし」
「それは嫌だし出来ないね」
「困っている人を見捨てるのかい?」
「猿を助けてなんになる」
「傑、世界間の差異は大きいみたいだ。傑が猿っていうなんてな。どうする?」
「うーん。様子見しつつ、向こうでの知り合いに助けを求めていくしかないね。でも甚爾が人殺し? どういう事なんだ」
「あー。俺、一時期殺し屋考えてた時あるわ。流石に実行はしなかったけど。今の会社に拾ってもらえなかったら、結果そうなってたって事だろ」
「私も人殺しだったらどうしよう」
「「「呪霊も殺せないのに、それはない」」」
「ちゃんと取り込んでるだろ!」
その言葉に、寝巻きの私はギョッとした顔をして、肩の力を抜いた。
「いや。私は大量殺人犯だよ。適当に出歩くと捕まるね。ちゃんと情報交換しよう」
そうして、寝巻きの私は教祖服に着替えて、家族達に紹介してきた。
なんか明らかに一般人じゃないんですけど。4人、小さくなる。
でも、私が頑張らないと。
「傑ちゃんが運送会社に、ねぇ。でも、運送会社を立ち上げるなんて大変よぉ?」
「わかってる。だから急がないと。クリスマス商戦に間に合わない」
「そういう問題?」
「傑。いっそこの人達丸ごと取り込んだらどうだ?」
「でも、甚爾。会ったばかりだよ?」
「こいつらが人殺し続けて、いいのかよ、お前。そういうのも拾ってこそ、トナカイ運送だろ」
「……わかったよ」
「待て。話が見えないんだが」
「私達は運送会社なんてする気ないわよ?」
私は手を差し出し、すると私の服装はサンタクロースのそれに変わっていく。
ラルゥの手を取ると、その手と私の手の間にプレゼントが発生する。
フィーが私の周囲を飛び回る。
「私、サンタクロースなんだ。元の世界から追放されちゃったけど、やる事は変わらない。子供達に笑顔を届ける。その為に、協力して欲しい」
「いたの? サンタクロース」
「私の世界には居たよ。こちらでは気配がないみたいだけど」
次々と握手をし、プレゼントを生み出して渡していく。
「君は、呪専に通ってはいないのか?」
「スカウトされたけど、断った。もう就職してたし……」
「五条悟を知っているかい?」
「ああ、あの嫌な奴」
「……そんな事は」
「御三家だっけ? クリスマスプレゼント届けに行くの大変なんだよ。起きてるし、襲ってくるし、常に子供がいるから絶対行かないとだし、プレゼントをあげるべき子供は最奥に配置されるし。毎回逃げるの大変でさ。家も突き止められて、本格的に帰れなくなっちゃうし。最悪だよ、もう」
「待って逃げ切ってるの? 毎年?」
「私達はクリスマスイブの夜だけ最強だからね。それに悟は呪力しか見えないし」
「呪力、しか?」
「サンタさんは魔法を使うんだよ」
「今年だけで良いんだ。良い事を全力でやってみねーか? それで楽しければつづければいいし、気に食わなければお別れだ」
「……」
教祖服の私は、黙ってプレゼントを開けた。
中に入っているのは、五条悟のぬいぐるみ。それを見て、教祖夏油は目を見開く。
「ふっ ふふ。良いよ。初めてのサンタさんからのクリスマスプレゼントに免じて、一度だけ、君の望みを聞いてあげる」
「良かった。早急に勧誘が必要だ。何せ、私は術師の子供にしかプレゼントを上げられないからね。非術師のサンタを早急にスカウトしないと」
「いやー。今年は無理だろ。これだけの人数に魔法を掛けないとだし、調査もあるし、来年だな」
「術師だけにプレゼントをあげるというのなら、断る理由もない。私もハードルが低くて助かるよ」
「御三家モ襲撃スルノカ」
「どんな感じなわけ?」
「フィー! 昨年の映像を見せてあげて」
『喰らえプレゼントマシンガン! アハハハハハハハ!』
『甚爾くん、今年のプレゼントは甚爾くんがええなぁ!』
『大人はプレゼント対象外なんだよ!』
『親父! いい加減クリスマス以外にも帰ってこいよ!』
『貴様の父なんぞしらねぇなぁ! あと、サンタとトナカイに休みなんてねぇんだよ! 仕送りするから許せってお前の父親も言ってるだろうぜ!』
『対象の子供、あと2名! 制限時間あと30分』
『うわあああ! 一体今年はどこに隠したんだよ!』
「うーん、楽しそうだね。これを私たちもするの?」
「そうだよ。事前にプレゼント持ってくと荷物になるし、こうやって魔法を直接本人にぶつけて出したプレゼントの方が、本人好みのプレゼントが出るからね。エネルギーも使うし手間もいるから、数が少ない術師だけにできる事だよ」
「サンタって、そんなブラックなの?」
「日本の子供達全部にプレゼントあげるんだよ? 大変に決まってるじゃないか。術師の子供のプレゼントの段取り終わっても、非術師の方の部門手伝うしね」
「いい子悪い子の素行調査、サンタさんの手紙の確認、返信の用意、プレゼントの希望の確認、配達経路の確認、プレゼントの用意、本当にやる事多いんだから」
一方、呪専にはお客が来ていた。
「悟が二人!?」
「初めまして。俺は五条悟。この世界に逃亡したサンタクロースを狩りにきた」
「親父がご迷惑お掛けすると思います。すみません」
「もういらんのなら、元いた場所に返すのが常識やろ、全く。甚爾君は禪院家のものや!」
「呪術師にプレゼントが配られないのは最低だと思う。サンタは直ちに戻るべきだ」
「ごめん、全然意味わかんない。よくわからないけど、甚爾がサンタなの?」
「いや、夏油傑がサンタ。甚爾と真希と真依が配下のトナカイ」
「なんて?」
「あーもう! これ見て!」
渡された動画には、暴れまくる超強化されたサンタ達とプレゼント乱舞が映っていた。
「夏油傑は術師専門のサンタだ。そして高専には、永遠の子供受胎九相図がいる。御三家にも襲撃が行くだろうけど、そっちに俺たち全員が行くと問題があるだろうし、ここで待ち伏せて捉えたい。協力してほしい」
「えっと、子供を襲撃するの?」
「子供にプレゼント渡しに来るんだよ」
「それって防ぐ事なの? 別にいいじゃないかプレゼントくれるっていうなら」
「ばっかサンタ捕まえればずっとプレゼントもらえるじゃん!」
「?????」
「とにかく、報酬の呪具は用意します。労働も対価にします。ですから協力してください」
12月24日、百鬼夜行に匹敵する戦いが起きようとしていた!
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。
https://odaibako.net/u/karin2022v
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