HUNTER×HUNTER世界でハーレムを目指す!   作:sakurano

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第21話:セラス湖の遺跡3

 落ち着いたリオンを連れ、開かれた扉の先へ進む。

 

 記憶の通り道を先に進むと、壁面から次々に水が流れ落ちている貯水池が広がっていた。そして貯水池の真ん中にある部屋へと続く道。明らかに自然にできた場所ではなく、水が流れ込むことを含めて計画的に設計されていることがわかる。そしてセラス湖へと流れ込む川があるのに流れ出す川がないにもかかわらず溢れない理由も、ここに流れ込み、その後地下水脈に流れているからだろう。つまり、この遺跡だけではなくセラス湖も合わせて設計された人口湖の可能性が高い。

 

 

「リン、キルア。すまないが二人は一旦ここで待機してほしい。

 あまり広くない道で、池から魔物が出てくると不意打ちをくらうことになるから、分身体の二人はここで様子を見て、有事の際は援護に徹してほしい」

「あいよ」

「……うん」

「ありがとう。

 じゃあ、いよいよこの遺跡も最奥が近そうだから、『凝』を怠るなよ」

「……この遺跡だと『凝』は意味ないんじゃない?」

「シズク、思っときな」

「…………」

 

 

 少し先に進むと道の途中で地震のようにぐらぐらと揺れたので、少し下がって様子を見ていると道の両側にある貯水池から水が吹き出し、そこから二体の仁王像が現れた。向かって左側は口を開いた怒り顔、向かって右側は口を閉じている怒り顔をしており、どちらも図体のでかさもあり迫力のある登場だ。見るからに敵対の意思をあらわにしている。

 

 幻想水滸伝Ⅴではこの遺跡で登場するボスはこの二体だ。

 向かって左側がダイアモンドサン阿、打撃に強く口を開いている。

 向かって右側がダイアモンドサン吽、魔法に強く口を閉じている。

 どちらも座禅を組んで浮いている。

 ダイアモンドの名を冠するだけあってどちらも堅いため物理攻撃が主体のこの世界ではやっかいだが、難易度をあげているのは全体攻撃魔法を頻繁に撃ってくることだ。阿吽の呼吸で同時攻撃されると更に威力があがるので一体ずつ倒したい。

 

 

「阿吽像か。

 ジャポンに昔から伝わる阿吽像がモチーフになったモンスターみたいだね。

 左側の口を開いているのが阿像。右側の口を閉じている方を吽像と呼称するよ」

 

 意思疎通を図りやすいよう適当に見たままの名称をつけて攻撃準備を整える。

 阿吽像は座禅を組んだまま浮いてはいるものの、貯水池から出てきた後は道の上に留まっているので攻撃を仕掛けることができるのは幸いだ。まずは小手調べに、腕と刀を中心にオーラを貯めて、居合の構えから剣撃とともにオーラを解き放つ! <居合流:飛剣>

 

 飛剣はその名の通り、剣撃を飛ばすものだ。

 感謝の一日一万居合斬りを毎日繰り返す中で、居合の態勢を整えて放つ時は音を置き去りにしていることに気づいた。マッハ2、マッハ3と徐々に剣速が上がっていくなかで気づけば斬撃すら飛ぶようになっていたのだ。そこに放出系の応用でオーラも合わせて飛ばすことで火力も上げたのが、この飛剣である。

 なお、居合流とつけてはいるが別に居合の型からじゃなくても放つことができる。技名にこだわりはないし、叫ぶ趣味もないので適当に自分がわかりやすいようにつけているだけだ。

 

 

 

 飛剣が阿吽像に直撃した結果は──────

 

 阿像には刀傷はついていないがオーラがぶつかったところが少し削れて見える。

 吽像には刀傷がついているがオーラによる傷跡は見受けられない。

 

 負荷があるので全力が出せないとはいえ……傷がほとんどつかなかったのはショックだな……。

 さすがはダイヤモンドの硬度というべきか、修行が足りないと嘆くべきか。

 

「阿像は斬撃耐性が高そうだね。

 マチは念糸で、リンは念弾で時間稼ぎ。他で先に斬撃耐性が低そうな吽像を倒そう」

「任せなっ!」

 

 刀や剣をメインで戦う俺、リオン、ミアキス、シズクは吽像と比較的相性が良い。攻撃されると厄介なことになるので一気に決めるつもりで仕掛ける。眼にも止まらぬ速度で近寄って相手の膝を踏み台に飛び上がり、最後に腕組みしているところを足場に、ほぼ全力の一撃<居合流:一閃>を吽像の首元へ放ち、切断に成功する。

 

 …………あれ? 

 

「ヒュー♩ やるじゃん! さすがハヤテ!」

「かっこいい~~、お姉ちゃん惚れ直しちゃうわぁ」

 

 意外なことに一撃で倒せてしまったことに自分で驚きつつも警戒を怠らず残心していると、援護を指示していたキルアと、逆側から斬りかかっていたミアキスから声をかけられる。

 

 一閃はその名の通り、一振りに全力を尽くした一撃だ。

 足の指、足首、膝、腰、肩、肘、手首、剣先と、刀を振るう上で関連する部位に均等にオーラを配置するのではない。マッハを軽く超える居合を振るう際に、必要な部位へ必要なタイミングで最適な割合でオーラを移動させることで回転の力を極限まで高めるという『流』の神業的制御能力をもって放たれる切断力及び破壊力重視の一撃が、この一閃だ。要は対蟻王メルエムを想定したただの全力攻撃である。

 とはいえ、実戦で使用するのは初めてだったので、斬れ味に自分で驚いてしまった。

 

 ちなみに、飛剣や一閃は修練の積み重ねで身に着けた技術であり念能力として開発したものではない。強化系の素質も手に入れた俺なら、戦闘に下手な念能力を使用するよりは単純な強化こそが最高の武器になりえる。念能力では何でも斬れる剣が具現化できない? ならば俺自身が何でも斬れるように修行を積めばいいという簡単な話だ。

 

 

 吽像に動き出す気配がないことを確認し、もう一体に目を向けると……炎の嵐が吹き荒れていた。元から知っていたとはいえ、ターン制のゲームでは攻撃のタイミングでだけエフェクトが表示されるだけだったからここまでだとは思っていなかった。吹き荒れ続ける炎の嵐と、そこから感じる熱風は想像以上にやっかいであった。

 

 

「マチ、無事か!?」

「当然! 

 いくら相性が悪いからってこんなウスノロには負けないよ。

 念糸で縛って身動きを封じたにもかかわらず、炎で自分ごと焼き切って解かれたのはさすがに驚いたけどさ。強靭さと鋭利さを重視して性質変化させてたけど不燃糸も考えないとね……」

 

「あ〜それは指示ミスだね、ごめん。

 とはいえ、あの炎の中、どうやって近づいたものかな。

 俺は炎耐性も大分育ってるからごり押しでいけなくはなさそうだが……。

 シズクのデメちゃんであの炎は吸えないか?」

「あ、そうか。『凝』でもオーラが見えないから、ミアキスの風と同じでいけるかも。

 というわけでいくよ、デメちゃん。この通路にある炎全てを吸い取れ!」

 

 シズクの念能力発動を見て、それなりに期待して見ていたが、残念ながら炎には全く変化がなかった。この遺跡の中では本来のHUNTER×HUNTER世界とは異なる法則が働いているのかもしれない。

 本当になんで幻想水滸伝Ⅴの遺跡があるんだよ……。紋章までついてきてるし、誰かが神様特典で希望したのかもしれないと思うものの、どんな願いをしたらこんな部分的なクロスオーバーになるのか想像するのも面倒だ。ただでさえ他漫画関係の希望は特典に選んだ場合のデメリットが大きいので、今頃その転生者は苦労している可能性が高そうだ。

 敵陣営(幻影旅団)の可能性が高い転生者が苦労する分にはラッキーなのかもしれない。

 

 

「……だめだった。

 私達みたいな念能力じゃなさそうだけど、この遺跡の法則? モンスターの法則? にとっては念能力みたいな扱いになって吸えないのかも」

「りょーかい。

 仕方ないから遠距離から念弾でちくちく攻撃しながら相手の燃料切れを待つか、炎の比較的薄い場所を探そう」

 

 俺達の主な遠距離手段としては、

 俺の飛剣 →斬撃に念弾のせているだけで相性が悪い

 ミアキスの<風使い> → 炎を煽って逆効果になる可能性。そもそも密封空間では使えない

 マチの<念糸> →相性最悪

 ぐらいだ。悲しいほどに遠距離は弱い。

 

 放出系のリンが育てば一番の遠距離高火力になる見込みだが、まだまだ発展途上。習得した念能力も威力より手数と厄介さを重視したものなので今回はあまり有用ではない。

 もちろん弱いとはいっても俺達は素のAOPがかなり多いので、ただの念弾であってもスーパーバズーカ砲並みの威力はある。炎の壁で威力が減算された後に、ダイアモンドのように堅い防御を貫く必殺技になりえるものがないという意味だ。

 

 短期決戦は諦めるしかないか。この狭い通路で炎の嵐を躱し続けるという無謀、そして幻想水滸伝Ⅴでダイアモンドを名に持つ防御力に秀でた阿吽像で、そのうち斬撃耐性というか物理耐性の高い阿像を斬るという苦難を乗り越えていく必要がある。ダイアモンドだろうと、蟻王メルエムの方が堅いだろうからこの程度斬り倒せないようだと未来がないというものだ。

 

 

「と、思った? 

 ここで私の新念能力、いくよ、<コテっちゃん(コテっちゃん)>!」

 

 シズクがデメちゃんを消していつの間にか刀を具現化していた。具現化した刀であるコテっちゃんを振るうたびに炎と、コテっちゃんが纏うオーラが少しずつ減っていく。道中では普通に物理的な攻撃手段として使っていたが、どうやらコテっちゃんにため込んだオーラの分だけ念能力を消去できるような、特殊能力がついているようだ。とはいえ、阿像がどれだけの炎を生み出せるかはオーラが見えず未知数なので、シズクのオーラが尽きる方が速いかもしれない。つまり、今のうちに接近して仕留める必要がある! 

 

 同様に判断したリオン、ミアキス、マチとともに一斉に接近しフルボッコにして勝利を収めた。

 戦利品として身体を構成していたダイヤモンドを大量にゲットしたので<空想の家(ファンシーハウス)>に収納しておいた。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇勝利後に一度帰宅

 

「「「「「おつかれ(さま)ー!」」」」」

 

 勝利のハイタッチをして喜びを分かち合う。

 元々はミアキスが始めたハイタッチだが、いつの間にか苦労した時の恒例行事となっている。

 付き合いの良いリオンと俺はもとより、今ではキルアもちゃっかりと、リンはちょっと恥ずかしそうに、でも楽しそうな笑顔で混ざってやってくれている。

 

 マチからは睨まれるけどね。でもきっとあれは混ざりたいけど恥ずかしくてできないという照れ隠し的な睨みだと思ってるから気にしない。

 シズクは無表情だけどぱちぱちぱちと拍手しているので参加してくれているようなものだ。

 

「でも、思ったより手こずったな。

 吽像をすぐに倒せた時は余裕かなって思ったけど、あれも先手とれてなかったら阿像と同じように炎か何かを巻き起こして二重に面倒なことになっていたかも。今日のMVPはシズクだよね」

「どうもー。

 こんなこともあろうかと! 習得した甲斐があったよ」

「敵の必殺技を破るための隠し玉って感じでカッコよかったな! 

 俺もああいう奥の手的な念能力にしようかな〜。変化系だから具現化系もありっちゃありだし」

「というかぁ~~あの念能力ってぇ、もしかしなくても私対策だったりするぅ~~?」

 

 シズクの念能力を見て、まだ何も習得していないキルアが参考にしようとしていた。

 真似したい気持ちもわかるけど、できれば原作通り雷掌(イズツシ)、落雷(ナルカミ)、神速(カンムル)を習得してほしいというのが正直な気持ちだ。あれは正直痺れるし憧れる。このうち、雷掌と落雷は今の俺でも実は変化形と放出系の応用で真似ることができるが、神速だけは無理だ。これは念能力にまで落とし込まないと発動できないだろう。まぁ俺の都合で縛る気はないから、どのように成長するかはキルアに任せるけどさ。

 

 そしてミアキスは、これが対自分用の念能力じゃないかと疑っていた。

 シズクはあまり表には出さないけど、同年齢のミアキスのことをライバルとして認識しており、時々模擬戦を挑んでは負けている。初対面の時こそシズクが勝ったものの、それはミアキスが能力発動の事前準備としてオーラを混ぜ込んで武器とするつもりだった空気を、念能力発動前に<デメちゃん>で吸い込まれたことによる驚愕の隙をついてのものだった。<デメちゃん>はオーラが込められただけの空気は吸い込めるけど、念能力<風使い(フリーダムウィング)>で操作されている空気は吸い込めないので、タイミング勝ちとなった形だ。

 

 それ以降はミアキスも油断せず常に<風使い>を発動させ続ける徹底ぶりで、念能力を有効に使い、かつ武術道場の娘ということで近接戦闘力も高いミアキスが順当勝ちすることが多い。かすり傷でも負うとデメちゃんで血を吸い込まれて貧血に追い込まれるのでたまにシズクが勝つこともあった。

 そんな関係性に<コテっちゃん)>が加わることで、<風使い>は抑え込むことができ、勝率が低下するかもしれない、という思いからの問いかけだろう。

 単純に掃除機より刀の方が傷をつけやすいので、傷をつけるまでは<コテっちゃん>で、傷をつけたら<デメちゃん>に切り替えるという戦い方もできる。

 

 

「え、うん。

 デメちゃんの苦手分野を自覚できたから対策しようとは思ったよ」

「なるほどねぇ〜。

 まぁ味方が強い分には頼もしい限りだしいいんだけどねっ!」

 

 シズクは相変わらず誤魔化そうともせずに素直に気持ちを告げる。こういうところ可愛いよね。でも、照れたりはずがしがったりしているところを見たいという欲求も出てくる。たまに見られるけどね。

 ミアキスは無邪気仲間の成長を喜んでいるようだ。ええ娘や。でも負けず嫌いでもあるから、きっと陰では対抗心を燃やして更なる修行を積むのだろう。

 

 実際のところ、具現化系統は強化系と相性がよくないので、刀を具現化して接近戦をするのはあまり良いことではない。とはいえ、放出系も六性図で考えると真逆なので相性が悪く遠距離攻撃苦手となる。具現化系統のシズクは本来真正面から戦うことを考えるのは接近戦でも遠距離戦でも得策ではないだろう。その分、ハマれば強い一撃必殺ものが具現化系の真骨頂だ。それを考えればシズクはかなり珍しい部類の能力ばかりだ。

 それでも俺はシズクを止めるつもりはない。仲の良いライバル関係は望んでも得難いものだ。

 

 

 休憩を終了し、見えていた道の先にある小部屋に入ると、次に進む扉はなく、真正面の壁には先ほどと同じ紋章が刻まれていた。その壁の前には三つの台座があり、部屋の両側にはこの遺跡で時々見かけた未知の言語で書かれた石碑が点在していた。

 

「どうやらここが終着点だな」

「そのようね。

 あの紋章を見る限り、またリオンの紋章をかざせば何か動き出しそうな気はするけど、前回の扉と違って影響もわからないし、まずは言語学者でも呼んで石碑の文字を解析してもらったほうがよさそうね」

「実績として報告するなら、扉を開ける方法として紋章のことを説明する必要があるけどいいの?」

「はい、それは構わないですの。

 調査のためにずっとここにいなさいと言われるとお断りするしかないですけれど、扉に紋章をかざすだけであれば、紋章の効果は発動しなかったので安心ですの」

「協会が理不尽な要求してくるようなら<空想の家(ファンシーハウス)>に引きこもればいいしな」

 

 ここでも便利な<空想の家(ファンシーハウス)>。

 仮に退屈しても、見た目をかえた分身体で普通に出歩けばいい。

 ハンター協会に報告する内容を相談しながら帰途についた。

 

 ちなみに紋章によって開かれた扉は、俺達が出ていくと勝手に元の施錠された状態に戻った。

 幻想水滸伝Ⅴでは黎明の紋章をかざすことで開錠されていたから、黄昏・黎明・太陽の紋章のいずれかをかざした時だけ開かれる仕組みだろう。扉が閉まる前につっかえ棒を挟むとどうなるんだろうという興味もあったが、遺跡を壊したら面倒なことになる未来しか見えないので、今回は実験しなかった。

 そしてセラス湖の遺跡の出口までたどり着いた。

 

 

 




ダイヤモンドは靭性(じんせい)が高くないので叩くと砕けやすいのでは、という意見もあるかもしれませんが、そういうのは考えるのが面倒なので、そういう専門知識はさておき、一般的な認識通り単純に堅いとだけ認識してもらえると助かります。

皆様からいただいた評価をどう受け取ればいいかわかっておらず、評価0と1をつけてる人は何を作者に伝えたくてつけてるのかなと疑問に思ったのでアンケートです。本作品に限らず、評価0と1をつけたことがある人はどういう時につけてますか?(小説に関係ないアンケートは禁止されてますが、小説への評価の意図確認だから一応関係しているはず……だめそうなら消します)

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