《アマナス南西
[[統一暦302年 7月32日]]
『ここに聖戦の開戦を宣言する!我らは帝国始まって以来の
神聖皇帝の玉音演説が一分ほど経過し、特に前触れもなく
「全く、大義名文もなく何が聖戦だよ」
ラジオの電源を切った張本人である定食屋の店主に、かなりの都会から来たと思われる若い冒険者がぼやく。
「その通りさ。
店主はかなりイラついた様子で冒険者に答え、盛りけられた料理が溢れるほどの勢いで皿をテーブルに叩きつけた。冒険者も勢いよく酒を煽り、舌打ちをする。
「チッ。いい御身分だよなあ教会の連中は。自分は関係ねえとか抜かすくせに
言い切ったところで定食屋の戸口が開かれ、備え付けのベルが鳴った。
「ようおっちゃん、いつものあるか?」
そう言って店内に入って来るのは、宝玉が嵌め込まれた小さな盾を背負った癖毛の目立つ若い男。店主を“おっちゃん”呼びすることから常連客であることが分かる。
「おお
店主は男の声が聞こえるが否や手際よく野菜と肉を刻みはじめ、当たり前のように世間話を振った。
「また?嫌だねぇ。戦争はフィクションだけでやって欲しいよ」
顔を見た冒険者は思わず目を開き、店主と話す男を指差す。
「まさか、あんたが
指を差された男、【
「誰だお前?何で俺のこと知ってんの?(て言うか漢字読み間違えてるし…………)」
「知ってるも何もあんたを捜せって頼まれてここに来たんだよ!」
冒険者は興奮しきっているのかかなり乱暴に手元の鞄を開いて依頼状を
「ほらこれだ!依頼者の名前も書いてある!」
保管方法が悪かったのかかなりシワが寄っている紙を受け取ると、その紙には確かに複数の言語で依頼文と自分の人相描きが書いてあった。
しかし尚文が特に驚いたのは、
「
依頼人の名前が、実在すら疑われる日本史上の大人物の物であったことだ。
《
[[同年同日]]
〈
そしてその聖官軍の総司令部はオードミグス地区に設置されている。
「
総司令部の会議室。聖官軍の幕僚もとい司教を兼ねる将軍たち数名が集合している中、牛のように
「組織主宰の
「たわけ!ここに来るまでに
その将は
「それにしてもメルロマルクとハイリヒのバカどもは何をしておるか!開戦まで三ヶ月とわずかしかないと言うのに人質代わりの
と、デブ司教将は溢し、
「三勇教もエヒト教も堕ちたものですな。やはり
丸メガネの司教将はカイゼル髭を指で整えながらぼやいた。
「ともかく、教皇聖下は自ら
眼帯代わりの包帯を着けた司教将が紅茶を飲みながら呟いたその時、扉をノックする音が会議室に響く。
「言ったそばからとは…………」
蝶番が
(この女、手強いな……)
「十月機関総帥
機関員セトは短く自己紹介を終えた。
「お前たちの都合も分かるがこちらにも時間がないのだ!さっさと要件を話さんか!」
自分たちへの敬意の欠片もないセトの態度が気に入らなかったのかデブ司教将がまたも突っかかるが、当の彼女は然も関係ないと言う風な態度で報告を始めた。
「現状、カルネアデス藩国の北方から怪異の群れが近づいて来ております」
会議室にどよめきが広がる。セトはそれを気にせずに説明を続ける。
「数にして一個軍団。近日中に
淡々と説明するセトに、カイゼル髭の司教将が疑問を投げ掛けた。
「新たな
「今月の24日、三人の
重大事項を
「ふんっ!
「失礼致します!緊急でございます!」
デブが言い終わる前に大声が響き、声の主である一人の神官が扉を壊すほどの勢いで走り来んで来た。この会議室に到着するまで相当な距離を全力で移動していたらしく、息は
「何事だ!属領で反乱でも起こったのか!」
包帯の司教将は神官に問いただす。
「い、いえ!突然ファルマート藩邦の皇帝【
「な、何だと!?(よりにもよってあの大馬鹿者どもがっ…………!)」
(あの