《セレステラ大陸西方 アーヴェイト藩邦
[[統一暦302年 8月9日]]
大陸の西側を縦断するように盛り上がった
「二人してすげぇ食いっぷりじゃねぇか!気に入ったぜ!」
集落にある建物の一つで、何枚もの皿に盛り付けられた料理を凄まじい勢いで掻き込む数人の男女がいる。その中の一人がナイフとフォークを
「《
長々と謝意を述べた後、再び大量の料理を口に運びだす少年。名を【
「
大量のパンを頬張りながら荒い口調でカスパーに怒鳴る男は【
「
大量のパンと共に
「まあまあ!二人とも飢えてんだから大目に見てやってくれよ【
が、犬の獣人が笑いながら
(もうイヤ……死ぬかも……)
呆れに呆れた
「
と、大声で叫んだ。
その様子を老いた羊の獣人と
「
「さあ?」
《セレステラ大陸南端部
[[同年8月14日]]
ロウリア藩国の都にして最大の都市、ジン・ハーク。人口約50万のこの都市の郊外には、かつてこの地が
この監獄は実に12平方里*1に渡る広大な敷地を有し、穀物を栽培するための畑、兵器を建造するための工場、
そして、その監獄を視察する男が二人。
「
将校の一人がその二人に報告する。摂政と呼ばれた髭面にローブを纏う男は腰の剣の位置を整えて立ち上がる。
「いくら
蛇の目のような鋭い眼光を警備兵に向け、
「ご安心ください。工場内には
報告を聞いた王と呼ばれた青年は腰の鞄からきれいに丸められた羊皮紙…………三ヶ月後の聖戦に備える
「予備役の兵らはまだ待機させていてもよかったはずですが…………」
「そうもいかないんだ。オルテからまた増援要請を出されている」
王は力無く言い放つ。
「しかし先月の東洋派兵で動員した
答える将校に、ロウリア王は答えた
「
《セレステラ大陸極東
[[同年8月15日]]
オルテ藩邦最大の都市ヴェルリナの西側、西門から速馬を使って四半日程度かかる野菜畑が広がる郊外に、その砦はある。
ここジュクトー監獄は統一暦以前、世襲王政時代の末期の頃に建設され、国父
その大監獄の入口に、女性的で派手な装飾が施された馬車が一輛停められている。
「ごめんくださいなあぁ~!」
監獄全体に響かんばかりの威勢のいい声が、顔に女化粧を施した男から放たれる。
声を聞いた入り口を警備する番兵の一人が慌てて男に走り寄った。
「さっ……【
自らの名を呼ばれた男、サンジェルマンは勢い良く右手を掲げて敬礼のようなポーズを取る。
「この
サンジェルマンの態度を見た番兵は、思わず萎縮しながら彼に問い質した。
「所長の
悪巧みをしている、という態度を全く隠さず答える。番兵は不気味にさえ感じる
「はっ、はっ……はい!
「ごめんあっさっせー」
「サンジェルマン伯爵か。久しいな」
気さくに話しかけるサンジェルマンに応答する男、
「いきなりで悪いけど最近の面白いニュースある?」
アレイスターの様子を見て何かを察したサンジェルマンは、窓の外に大量に広がる窓のない牢獄塔を眺めながら問いかける。
「長いことオーゼ半島を支援しながらグ=ビンネンと戦ってたんだが、オーゼ諸国のバカ国王どもが
ぼやきながら忌々しげに投げ渡すのは、オルテ国内における極一部の人物、つまり
「これを受けてやっと予備役兵の徴兵法案が可決されたんだ*3」
「それは結構。あんた自身の気分はどうなのよ?」
「いつもと同じだ。まだ地獄にいるような気分さ」
嘘偽りなく答えるアレイスターの顔が一瞬だけ
「この国で
と、力無く、静かに呟く。
「そうねぇ、行き過ぎた選民思想教育の弊害とでも言うべきかしら」
心中を察したサンジェルマンは静かに答えた。
オーゼ半島(Ouse)
セレステラ大陸極東、オルテの東側に存在する半島。
面積約74万km²、総人口約3519万人。
北部の
どちらも
カスパー・ハウザー(Kaspar Hauser)\西暦1812?~1833?
出生不明の孤児。
実在が疑われていることに加えて産みの親が不明なため、漂流者として登場させた。
史実では1833年12月17日に幼くして暗殺されたが、劇中では死亡する直前に紫のいる白い廊下に引きずり込まれ、そのまま漂流者となる。
なお、同時期に漂流者となったウィリアム・テルに保護され、現在は友人以上の関係となっている。
アレイスター・クロウリー(Aleister Crowley)\西暦1875~1947
登山家、オカルティスト、魔術師、著述家、黄金の夜明け団団長。
本人の戸籍・墓・遺体も残っているが超常的な逸話が多数あるため、漂流者として登場させた。
一度地獄に落ちてルシファーの化身であるルチフェロに食われては吐き出されを繰り返す拷問を受けていたが、ルシファーに「面白い世界があるから憂さ晴らしついでに遊んでこい(意訳)」と漂流者として異世界に飛ばされる。
同時期に漂流者となった安倍晴明ら五名と共に十月機関を立ち上げた幹部メンバーの一人。