術師名家の世間知らずなお嬢様が寝取られる話 作:三流木青二斎
「俺たちが幸せになる為には」
「お前にやって貰いたい事がある」
八峡義弥は指を三つ立てて四つん這いになっている間人胤護に話しかける。
「①結納の解消」
「②報復をしない」
「③金輪際俺たちに関わらない」
「これだけ守ってくれりゃ」
「後は俺たちで幸せになれるんだが……」
「守ってくれる?」
八峡義弥はそう聞く当然、間人胤護は牙を剥いた。
「誰が約束するかッ!」
「前にも言ったはずだッ!」
「貴様らは絶対に許さんッ!」
「俺の全てを使ってでもッ」
「不幸に追いやってやるッ!」
間人胤護は当然ながら。
八峡義弥の提案を断る。
それは八峡義弥も百も承知な事のようでうんうんと頷いて。
「まあ、そりゃそうだ」
「タダで首を振る訳には」
「いかねぇよなぁ?」
「だから」
「お前を嬲る事にするわ」
「首を縦に振るまで」
「私怨を込めて」
「思い切り、な?」
八峡義弥は近づく、間人胤護は睨み続ける。
「暴力か」
「馬鹿がッ」
「俺が痛みに屈するかッ!」
「約束など絶対にせんッ」
「それとも」
「俺を殺すかッ!?」
「そうすれば貴様らは」
「今度こそ逃げ場は無くなる」
「地の果てまで」
「咒界の人間が追い回し」
「貴様らを消すッ!」
「はははッ!」
「もう貴様らは既にッ」
「絶望の淵以外の選択肢など」
「残って無いのだッ!」
勝ち誇る様に間人胤護は八峡義弥を嘲笑する。
九重花久遠は心配するように八峡義弥を見るが八峡義弥は呑気に蒸れた包帯の中を掻いていた。
「別にお前に暴力なんざ振るわねぇよ?」
「言ったろ? 私怨を込めるって」
「それがどういう意味か」
「分かるか?」
間人胤護に近づいてその服を掴んで無理やり立たせる。
「私怨?」
「そうか、貴様」
「俺の顔の皮を剥ぐ気かッ!」
「だが、その程度で屈する──―」
「あー違う違う」
「そっちじゃねぇよ」
八峡義弥は間人胤護のズボンを剥がした。
下半身が露出する間人胤護をそのまま蹴り倒して尻を向けさせる。
「俺の女を犯した事だ」
「例え、久遠がそれを許しても」
「俺は許す気はねぇ」
「本当はぶっ殺してやりてぇが」
「それは無理だって言う話な訳よ」
「ならどうするか?」
「テンションマックス」
「アドレナリンドバドバ出てる」
「そんな状態の俺が」
「痛みと苦しみで」
「オーバーヒートしそうな脳ミソを」
「フル稼働させながら」
「ようやく考え付いた」
八峡義弥は指を鳴らして尻が丸出しな間人胤護に向けて言う。
「お前の処女を犯す」
「…………は?」
間人胤護は八峡義弥が冗談を言っていると思った。
だが、八峡義弥は真剣だ。
真剣で真面目に発している。
「テメエのなんざ汚ぇが」
「犯される方の苦しみを」
「テメエに味合わせてやるよ」
「待て、き、貴様ッ」
「正気か、そんな真似ッ!」
「
「大抵の根底が俺カッケーなんだよ」
「自分に酔ってるから」
「暴力でも拷問でも己を曲げる事はしない」
「傷つく俺はカッコいいなんて思うからな」
「けどよ」
「攻められるってのは辛くてよォ」
「自尊心が傷ついて、崩れて、壊れちまう」
「己自身が雌だと感じちまえば」
「自尊心なんざズタズタさ」
「なによりも」
「自己中心で」
「自分至上主義のお前なら」
「何よりも効果は抜群だ」
八峡義弥は、間人胤護を逃がさない様に腰を強く握り締める。血が出る程に爪を立てて、痛みに悶える間人は声を荒げた。
「や、やめろッ貴様ッ!」
「そんな真似をして何になるッ!」
「馬鹿が! やめろ、やめろぉ!!」
「やめて欲しけりゃ」
「俺の三つの提案を飲むんだな」
「そうすりゃ、一発目で勘弁してやるよ」
「く、クソッ!」
「おいッ! 女ッ、久遠ッ!」
「どうにかしろッ! どうにかッ!」
間人胤護は九重花久遠にそう命令するが。
「……私は、八峡、さまの」
「全てを、見守り、ます」
「八峡、さまの寵愛」
「口惜しい、ですが……」
九重花久遠は八峡義弥のソレを見て妬ましそうな表情を浮かべながらも、この行動を見守るつもりでいるらしい。
「ひぃいいい! やめろッ!」
「そんなもの近づけるなッ!」
「や、やめッ! や──―」
四つん這いになる間人胤護に対して八峡義弥は彼の体に密着して耳元でゆっくりと囁いた。
「喉が張り裂ける程に」
「──―喘がせてやる」
「やめろぉおおおおおお!!!」
絶叫、悲鳴、雄叫び。
五時間にも渡る男の嘆きが。
この地下広間にて、無残にも響き出した。
五時間の時間。
間人屋敷には多くの人間が転がっている。
「つまらんな」
気絶する祓ヰ師を築きながらその上に乗っかり東院一はそう言った。
「あの凡人も」
「何時まで時間を掛けている?」
東院は苛立ちを隠せない様子だ。
三流から一流まで揃う祓ヰ師。
末端の末端と言えど神胤を操作する力を持つ陰陽師。
それらを纏めて相手をして東院一に一切の傷は無かった。
「ぐ、う、うぅ……」
陰陽師の一人が立ち上がる。
東院一がその死に体に目を向ける。
その視線が重なった瞬間。
「神胤、をッ」
陰陽師は東院一の神胤を操ろうとする。
神胤を操る能力は限定的な条件をクリアする事で能力を発揮する。
この陰陽師は目線を合わせる事で一時的に相手の術式を解除する事が出来るのだが。
「な、んで……」
東院が指を振るう。
陰陽師の目が削り取られた。
「ふん」
「俺に陰陽師の操作は効かん」
東院一はある程度のエネルギー選別によって自動的に削り取る事が出来る。
東院一は神胤を操る陰陽師の微かな電波を削り取る様に自動選択していた。
だから東院に陰陽師の力は通用しない。
「おい永犬丸」
「あのバカは何時戻る?」
八峡義弥が屋敷に侵入して彼是五時間は経過していた。
「そうだね」
「ボクにも」
「分からない」
両手を上げて首を傾げる永犬丸。
「……」
「もう我慢ならん」
「乗り込む」
そう言って東院が屋敷に入ろうとすると。
「それは」
「止めておいた方が良い」
永犬丸統志郎が東院の行く手を阻もうとして咄嗟に永犬丸統志郎が避ける。
「危ないな」
「虚空の愛し子」
永犬丸統志郎の前に東院一の虚空が展開されていた。
「それに」
「キミが動かずとも」
「我が友は来ているよ」
永犬丸統志郎は指で耳を指した。
それは八峡義弥の足音が屋敷から聞こえてきている様子だった。
そして八峡義弥が屋敷から出て来る。
「よぉ」
満足そうな表情を浮かべて八峡義弥は九重花久遠の腰に手を添えながら堂々と登場していた。
「我が友」
「その様子だと」
「無事、取り戻せた様子だね」
永犬丸統志郎は笑みを浮かべながらも八峡義弥から香る匂いに気が付く。
「……あぁ」
「時間が掛かったのは」
「つまり、そう言う事か」
永犬丸統志郎は九重花久遠を見る九重花久遠は頬を紅潮させて。
「(……八峡、さま)」
「(あれ、は、乱暴、過ぎま、す)」
「(……間人、さまより、も)」
「(激し、過ぎます……)」
「(あれ、程、攻められ、れば……)」
「(壊れて、しまい、ます)」
その様に考えながら。
九重花久遠は恥ずかしそうな表情を浮かべていた。