暖かい目で見ていただければと思います。
俺は『その道』を諦めた。
最初は好きだった。それをすることで母が、父が、その他大勢の人が笑顔や感動に溢れていたから。夢中とはこういうことを指すのだろうと思えるほどに、俺はそれが好きだった。
いつからだろう。それが苦痛へと変わったのは。
笑顔だった母が、毎日泣くようになったのは。
優しかった父が、暴力を振るうようになったのは。
いつからだろう。
俺がこの道を「楽しい」と感じなくなったのは。
*
「ここが結ヶ丘女子高等学校……。」
表参道・原宿・青山の3つの街のはざまに、その学校はあった。
新設校であるにも関わらず、どこか時代を感じるその学校…
(まぁ、理由は廃校になった高校を再利用してるから。なんだけどさ、)
俺は誰かに教えるかのように心の中で呟いた。
「俺は今日からここに通うのか……。」
(まぁ、人と関わらずに済むのならアリか。)
俺は疑問点を自己解決し、正門を抜けようとした時、
「あれ?栞くん?」
突然、後ろで聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると、
…そこには、見慣れた顔の少女が立っていた。
彼女の名前は澁谷かのん
俺の幼馴染だ。
昔、彼女の母が営む喫茶店に入ったことがきっかけで、それ以来、毎日のように遊ぶようになった。
「…やぁ、かのん。久しぶり。」
「どうしてここに栞くんが?」
かのんは不思議そうに尋ねた。まぁ当然と言えば当然。『女子校』に男がいるとなると、不思議どころか犯罪臭がしてしまうのも頷ける。
「俺も、結ヶ丘に入学したんだよ。」
俺は簡潔にそう言うと、かのん…と、隣にいる可愛らしい子が目をまん丸として「えぇーーー!!!??」と叫び声に似た声を出した。
「ど、どういう事!?栞くん、実は女の子だったの!?」
「そんなわけないだろ!いや、そう思うのも分からなくはないけどさ…」
「男の人がここに入学なんて出来るのデスか!?もしや!これが噂に聞く「裏口入学」なんデスか!?」
かのんの隣に立つ女の子が、我慢できずに俺に質問をなげかける。
「え、えーと。」
ここで真実を話すのもどうかと考えた俺は、
「ちょっとワケありで……できれば聞かないで欲しい…。」
さらに怪しいと思われそうな発言をした。
「……」 「……」
俺の誤魔化しにもならない言葉を聞いた2人は、より一層顔を顰めた。
(さすがにダメか……)
そう思った瞬間
「わかった。詳しくは聞かないよ。これからよろしくね、栞くん。」
かのんは俺にそう言った。
かのんはもう1人の女の子の手を引き、足早に校舎へと向かっていった。
まただ。
また、あいつは俺に優しくしてくれた。
あの時と………同じ……………
突然、頭に激痛が走った気がした。
とりあえず1話!これにて終わりです!
少し短いと思ったのですが、区切りもいいのでこれでよし!
もしよろしければ感想等お聞かせください。
誤字脱字等あればお知らせください。