NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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覚悟

 

 絶体絶命というタイミングだが、シャナの稼いだ時間はしっかりと生かされていた。

 

「火遁・炎弾!」

「火遁・豪火球の術!」

 

 買い出しに出ていたサスケと自来也が騒ぎを聞きつけ、全速力で戻ってきた。二人は、膝をついているシャナとボルトとナルトから、ウラシキを引き離すために火遁を放つ。横やりを入れられたウラシキが攻撃をかわすと、炎は彼とシャナ達を引き離す壁となる。

 炎にさえぎられたウラシキにはサスケが刀で肉薄し、自来也が子供たちの保護に入った。

 

「無事かお前ら」

「シャナさんが、刺されて」

 

 腹部を抑え動かないシャナの様子に自来也がすぐさま傷の確認を行う。脇腹を刺されたシャナは出血をしているが、内臓はぎりぎり外れている様子だった。だがこのままでは、出血多量で死んでしまう可能性があった。

 ボルトはともかく、ナルトも精神的ショックがあるのか、顔色が悪い。

 しかし、それよりもシャナが優先だった。

 

「ゲコ仙人、ナルト達を、おね、がい」

「喋るな。く、傷が深いな」

 

 シャナが手で押さえているが、思ったよりも出血が多い。すぐに自来也が強い力で傷口を抑える。痛みからかシャナがくぐもった声を上げるが、止血が優先だ。

 

「こりゃ治療せんといかん。ナルト、ボルトは後ろを頼む」

「あ、あぁ」

「ナルト。しっかりせんかナルトォ!」

「いて」

 

 何時まで経っても血まみれの姉の姿に動けないナルトを自来也が殴る。殴られてようやく動けるようになったナルト。頬の痛みで血まみれの姉と言うショックから抜け出し、ボルトと共に自来也の後ろを警戒する。

 炎の向こうではサスケとウラシキが火花を散らしている。此処にいては、巻き添えを食らうと考えた自来也は、シャナの体を抱え、森に逃げる。

 

 自来也に同行してナルトとボルトも森に入り、残されたサスケはウラシキ相手に時間を稼いでいる状態となる。

 

――――――

 

 森の奥で土遁を用いて作った洞窟内で、自来也はシャナの治療をしていた。傷を焼き、消毒と包帯を巻くことしかできないが、シャナはそれを必死に耐えていた。

 

 応急処置ではあるが、それが出来ずに死んでいく忍は多い。どうにか出血も止まったが、シャナは流した血が多く無理は出来ない。体力の消耗も激しくシャナ自身、戦力から外れてしまったことを悔いていた。

 

「落ち着いたか?」 

「う、ん。ゲコ仙人、ナルト、どうしてる?」

 

 汗だくになりながら、シャナは自分が庇った弟の様子を尋ねる。ナルトの前で初めて傷を負ってしまった。ナルトにとって唯一の家族であるシャナの負傷は、間違いなく彼の心に傷を残した。ナルトの表情を見て、シャナはそれを知った。

 カッコ悪い所は見せたくなかった。それがシャナの本音であった。そして、家族が目の前で傷つき、血まみれになる恐怖は彼女が一番知っている。だからそんな思いをさせたくなかった。 

 

「あいつは大丈夫だ。すぐに立ち直る。あれでも、ナルトは木ノ葉の忍で、儂の弟子だからのォ」 

 

 弟子のケアは師匠がするものだと、孫娘のようなシャナを落ち着かせる。この場所はサスケと予め決めていた集合場所で、ウラシキにサスケが勝ったなら、ここに来るはずだが、気配はない。

 少しでも体力を回復するよう増血丸と兵糧丸と水を飲ませ、入り口を見張っているナルトとボルトの所にむかう自来也。

 自来也の姿を見て駆け寄る二人。

 

「シャナの奴は、もう大丈夫だ。無理をしなければ、すぐに治る」

 

 その言葉にほっとしたのもつかの間、自来也はナルトに対して「話がある」と彼を入り口まで連れていく。残されたボルトは、自来也にシャナの傍にいてくれと頼まれる。

 

「ナルト。後悔していてもシャナの傷は無くなったりせん」

「わかってるってばよ。ただ、姉ちゃんの血で手が真っ赤になって、頭がぐちゃぐちゃで、もう何が何だか」

 

 幼少期に孤独の中にいたナルトは、繋がりを求め、それが切れる事を何より恐れる。もし、シャナが死んでしまったら、ナルトの心は壊れ、九尾の力を解き放ってしまう可能性がある。

 自来也は混乱している弟子の肩を強くつかみ、目を合わせる。

 

「忍の世は、いつ誰が死んでもおかしくない。明日はお前が死ぬかもしれんし儂が死ぬかもしれん。今回はたまたま助かったが、シャナが死に掛けたのも事実だ」

「……死」

「それがお前にとってどれほどショックだったかは理解しているつもりだ。だから責めはせん。だが、今は戦闘中だ。下忍と言えどもパニックになってる暇はない。相手は強敵で、お前がパニックになっている間に、また誰かが倒れるかもしれん」

「そんな」

「お前は、忍だ。後悔してる暇があるなら、少しでも事態を好転させる方法を考えるしかない。今からはシャナはお前を守れない。むしろ、お前がシャナを守るために何ができるのかを考えるんだ」

 

 忍耐えろと自来也は言い聞かせる。彼ならそれが出来ると信じているからだ。我武者羅に突っ込むだけではだめだ。シャナを守るという使命を言い聞かされたナルトは、少しだけ息を整え、自分に出来る事をした。

 それはウラシキの能力について自来也に伝える事だった。それが今のナルトに出来る最善だった。

 

――――――――

 

「心配、かけたってばね」  

「こっちこそ、シャナさんのいう事聞かなくて、それに何度も庇ってもらって」

 

 自分たちが出しゃばらなければ、シャナが大怪我をすることもなかったと理解しているボルト。そんな彼の言葉を否定するように首を横に振るシャナ。

 

「大人が、子供を守る、あたりまえ、だから。ボルトのお父さんだって、きっとそうだってばね」

 

 ボルトとサスケは未来から来ている。ならナルトとそっくりな子供であるボルトの正体など、とっくに知っていたシャナ。本来は存在しない未来の甥っ子であるボルトの事を守って怪我したとしても、シャナに後悔はない。

 未来の、ボルトの父になったナルトなら、何があっても守り抜こうとするはずだから。根っこの所は人間変わらないものだ。

 ナルトを守り、ナルトの守る物も守りたいと思うのは、シャナにとっては当然の事だった。

 

「父ちゃんは、そんなんじゃ、ないってばさ」

「ふふ、本当にそっくりだ、ってばね、絶対、元の世界、に帰らせ、てやるってばね」

「なんでシャナさんが」

 

 ボルトと会話していて、シャナは少しリラックスしていた。さっきまで死に掛けていたとは思えないほどに。頭を撫でてやれば照れて、すぐに離れようとするが、シャナの怪我に気が付き大人しくしているボルト。

 そんな優しい子の頭を撫でながら、撫で心地がナルトと同じで、やっぱり親子なのだとシャナは笑う。そして、未来から来た彼らを家に帰すことを誓う。

 

 そして、戻ってきたナルトと自来也から、サスケが戻ってこない事から、ウラシキ相手に手古摺っている可能性を示唆され、この場所が見つかるのも時間の問題とし、作戦を伝えられる。

 

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