自来也の想像通り、ウラシキとサスケの戦いは、チャクラを奪われていたサスケが圧倒的に不利で、谷底に一緒に飛び込んだものの、取り逃がしてしまう。それどころか、意識を失ったサスケ。
サスケを振り切ったウラシキは、逃げたナルト達を白眼で追跡していた。空を飛べる彼と白眼の組み合わせは、あっという間にシャナ達を見つけるに至る。
自来也とボルトとナルトの3人は、既に洞窟から出ており、迎え撃つような形で向き合う。
「おや、かくれんぼかと思いましたが、潔いですね」
「いいか、二人とも、計画通り動くんだぞ」
「おう、わかってるってばさ」
返事をしないナルトだが、自分の額当てを強く締め付け、気合を入れた目には、対峙するウラシキを圧倒する何かがあった。舐めて掛かっていたウラシキだったが、ナルトの目を見て、嫌な予感がした。
遊ぶつもりだったが気が変わったウラシキ。すぐに邪魔者を始末しようと釣り竿を構える。戦闘態勢に入ったことを確認したナルトは、影分身の印を組む。
「じゃ狐、貰いましょうかね」
「やってみろよカス! お前だけは、絶対にぶっ飛ばしてやる。多重影分身の術!!」
莫大なチャクラを練り込み、千人近い影分身を生み出したナルト。周囲一帯がナルトの影分身に覆いつくされ、その数と規模にウラシキも驚いていた。
「「「「「「「「「うちの姉ちゃんが刺された恨み、千倍にして返してやるってばよ!!!」」」」」」」
「行くぜ皆!!」
本体であるナルトの号令と共に、雪崩のようにナルト達がウラシキに殴り掛かる。実力差があれど、数は強さだ。人海戦術によってウラシキに挑むナルト。
「数だけは立派ですねぇ」
釣り竿と糸で次々影分身を攻撃し消していく彼だが、影分身達が螺旋丸を作り猛アタックしてくるため、一度空に逃げようとする。
そこに影分身の風遁で自分を飛ばしたボルトの螺旋丸が牙をむいた。
「貴方も居ましたね」
「忘れんなってばさ」
螺旋丸を釣り竿で受け止めたウラシキだったが、動きを止まった隙をついて自来也の火遁が彼を包む。
「あまいですよ」
炎に包まれたウラシキだったが、青い輪廻眼の能力で何事もなかったように、空中にいるボルトの背後に移動。魚籠から取り出した水遁で胴体を貫いた。貫かれたボルトは影分身でダメージはないが、特異な術を前に嫌な汗をかいている。
だが、ナルトの攻撃は止まらず、次から次に螺旋丸で特攻を繰り返す。そして、明らかに当たった攻撃ですら、気が付けばウラシキが消え、奴に有利な立ち位置で姿を現す光景を目にする。しかし、爆撃のように攻撃を仕掛けるナルトの影分身達によって、瞳術を何度も使用させウラシキの術を完全に見抜いた自来也。
指を噛みきり口寄せの術を発動。その瞬間周囲の空間が暗闇に包まれる。
「なんです、ここは」
次第に光が灯ると、周囲は肉の壁に覆われ、足元は胃液のような強酸性の液体が流れていた。
「忍法・蝦蟇口縛りの術。ここは妙木山の大蝦蟇の腹の中だ」
「なるほど、胃袋の中ですか、あなた面白い事をする」
「お前の術は時間を巻き戻す事だというのは、わかっている。だが戻せても数秒が良い所だ」
「それが何か?」
「となれば、お前はもうこの蝦蟇の胃袋から時間を戻して出る事は出来んということだ」
依然と余裕な態度のウラシキだったが、自来也の背後にいるナルトの影分身たちが一斉に襲い掛かる。その攻撃を瞳術による巻き戻しで何度も回避し、魚籠から取り出した火遁の炎で全て焼き払うウラシキ。自来也は、蝦蟇の胃を変形させて、炎から身を守らせる。
「この程度で私を追い詰めたつもりになるなんて、哀れですね」
元々火を噴く蝦蟇の内臓は燃える事はなく、火遁に耐えはしたが、ナルトの影分身達はほとんど全滅した。チャクラによるごり押し戦法も封じられ、ナルト達に打つ手がないかと思われた。
「ぐふ、え、なんです、これは、ごふ。ごぼ」
得意げに立っていたウラシキが血を吐き出して蹲る。本人も自分に何が起こったのかわからず、不安が顔に現れている。
「かかったな。此処は腹の中と言うたろう。此処は酸性の毒で満たされておる。ちょっとの間なら我慢も出来ようが、お前は何度も時間を遡り、繰り返した。だからこそ、毒が全身に回ってるんだ」
罠を仕掛け、ウラシキの能力を逆手に取った自来也。
「下等生物が、なまいきなぁ!」
「ボルト行くぞ!」
「おう!」
怒りに身を任せ攻撃をしようとしたウラシキだが毒が回り、体が痺れていつもの動きが出来ない。その隙を見逃さず、螺旋丸を作ったナルトをボルトが風遁で吹き飛ばし加速させる。
加速に乗ったナルトの螺旋丸は、ウラシキの体を捉え、背後の岩山まで吹き飛ばした。螺旋丸をもろに食らったウラシキを追跡する3人。
崩れたがれきから起き上がったウラシキの姿と表情を見て、3人が固まる。
「もう、遊びは終わりだ。ここからは、一方的な殺戮だ」
凄まじいまでの殺気を放ち、自分の腰の魚籠を掴んだ彼は、その籠の中のチャクラごと魚籠を食らう。自分の武器を目の前で食べた男の異様さに、何が起こるかわからない不気味さに警戒するナルト達。
「足りねぇ、ふふ」
取り込んだチャクラでは不足だったウラシキは、あろうことか自分の両目の輪廻眼を指で抉り、それを食らった。
「自分の目を食ったのか」
「なんだってばよ、こいつ」
「ナルト、ボルト! 奴にはまだ何かある。油断するでない」
長年忍をやってきた自来也は、自分が此処で死ぬと察知した。ウラシキが何をするかはわからないが、これは非常にまずい。勘が此処から逃げろと忠告してくる。
そして、その予想は正しかった。莫大なチャクラを食らったウラシキは突然繭の様なものに包まれる。そして繭から飛び出した時、ウラシキの姿は大きく変貌していた。額に黄色い目が現れ、頭部には羽の様なものがあり、風貌も一変している。
だがその目に宿るのは強い怒りと憎しみであり、肌に感じるチャクラがウラシキが化け物に変化したことを伝えてくる。