NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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未来への帰還

 

 ウラシキの野望は潰え、全てが終わった次の日。

 傷が完治していたシャナは、里の人間に説明する手間が省けたとはいえ、釈然としていなかった。だがボルトとサスケが家に帰るためのチャクラが溜まったと、カラスキから連絡が入る。

 

 シャナのチャクラを吸収し、時間移動が可能となった事実は、彼らとのお別れを意味していた。

 未来から来たと二人は元の時間に戻る。これは避けられない運命だ。共に戦ったナルトと自来也にもお別れを言いに来たサスケとボルト。

 自来也は、未来人であるサスケたちの正体を知っていたが、それが良くない事だと分かっていた。

 

「儂とナルトは、知らなくていい事を知り過ぎた。言っていることはわかるな? 小説の結末は知らん方がいい」

「あぁ。俺の術で、記憶を消す。それでいいんだな?」  

「頼む」

 

 未来を知ることが許された人間は少ない。その掟を破ればどんな悪影響が出るかわからない。そう言われたサスケは、写輪眼で二人の記憶を消そうとしていた。唯一、シャナだけが二人の事を覚えていて問題のない人物であるため、彼女には何もする必要がない。

 記憶を消す前にナルトとボルトが何やら話していた。ナルトはボルトが家に帰ると聞き、とっておきのカップ麺をお土産に渡した。

 

「帰り気をつけろよ。父ちゃんと母ちゃん大事にしろよ」

「随分偉そうじゃねぇか」

「今度会った時は俺が火影になってるだろうけど、また、一緒に一楽でラーメン食おうぜボルト」

「あぁ。約束だってばさ」

 

 握手でお別れをする二人。残った挨拶はシャナだった。シャナは、ボルトの頭を撫でる。

 

「シャナさん、その、あの」

「元気でねボルト。伯母さんもボルトの未来が明るい事を祈ってるってばね」

 

 ナルトに聞こえないようにそういったシャナ。ボルトは静かに「ありがとう、シャナ伯母さん」とだけ告げた。本来いない筈の伯母。けれど彼女は、確かにここにいるのだから。

 

 お別れが終わった事で、サスケはナルトと自来也に幻術を掛ける。二人の中から未来の情報とボルトとサスケの情報を消すために。

 その瞬間、シャナの頭痛の種だった時空間の歪みが小さくなっていく。二人が眠ってしまったことで見送りはシャナだけになる。

 

「世話になった」

「もっと感謝しろってばね」

 

 サスケの別れの簡潔さに、呆れながらもカラスキを起動して、この時代から消えていく彼らを見送るのだった。

 

―――――――――

 

 カラスキの展開した空間に入ったサスケとボルト。

 

『警告、警告、時間の歪みが想定以上に強く、元の世界との繋がりが途切れかかっています』

 

 ウラシキが好き勝手やったことで、世界線がずれてしまい、元の時代に戻れるかわからなくなったという。サスケは如何にかしろとカラスキに命令をするが、賭けになると告げられる。

 

 それでも帰るしかない彼らは、強硬突破を命じる。そんなとき、カラスキとサスケとボルトしかいない空間に、誰かが侵入。カラスキを優しく抱えていた。

 

「その恰好、大筒木か」

 

 サスケが刀を抜いてボルトを背に庇う。サスケたちの前に現れたのは大筒木一族特有の衣装の上に天女の羽衣を纏う女。ウラシキの野望を打ち砕いた女性が、時間移動の領域にまで入ってきた。

 サスケが攻撃しようとすると、急にサスケの体が動かなくなる。正確には、前に進めないのだ。前に進もうとすると体が止まってしまう。斥力や引力とも違う力に戦慄するサスケ。

 

「安心しなさい。私は、あなたたちを帰す為に来たの」

 

 女性が手を伸ばすと、閉じかけて居た時空間の歪みが開く。超常的な力を見せられた二人は、動けないが不思議と敵意は感じない。

 無理やりこじ開けた歪みを指さし、カラスキに命令を下した。

 

『時間移動可能です。では、元の時代にお戻しいたします』

「お前は何者なんだ?」

 

 時間移動が始まり、ボルトとサスケは本来の時間軸に転移した。

 サスケの問いには、答えなかった。そして、半ば無理やり二人を元の時間に帰した女性。彼女が、頭の衣を取れば、クリーム色の髪と青い輪廻写輪眼が二人を見送る。

 

「さようなら、二人とも。もう、迷いこんじゃだめだってばね。……それにしても、後始末は本当に面倒だってばね」

 

 二人に手を振りながら時空間の穴を塞ぐという神業を披露した女性は、そのまま時空間の流れの中に消えていった。

 

 

―――――――

 

 事件が解決した後、記憶を失ったナルトと自来也。事件の事を語らないシャナは、自分の修業不足や九尾に対する制御できない感情なども含め、二人の修行の旅を承諾した。

 

 突然修業の許可が出たことに顔を見合わせて驚く自来也とナルト。心境の変化の理由は話せないが、数年の修業を許可するシャナ。たとえシャナが止めてもナルトは、決めたことは曲げない。

 そう自分に言い聞かせながらも、内心弟離れできていないシャナ。

 

 月に一度か二度トネリが木ノ葉に内密に訪ねてくる日に、彼の胸で号泣しながら心情を訴えかけたことは誰も知らない。

 





 これでボルトのタイムスリップ編は終わりです。
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