NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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雪姫忍法帖2

 

 風雲姫の撮影のために護衛として雇われたナルト達。サクラとナルトは、カカシより待ち時間の間、映画を見ておくように言われ、天井にチャクラで張り付きながら鑑賞。

 

 エンディングに近づくにつれ、興奮したナルトのせいで映画館を追い出されてしまう。

 

「もうあんたのせいで追い出されちゃったじゃない。はぁ、助悪郎役のミッチー様の活躍をもっとみたかったのに」 

「ごめんだってばよ。けどさ、なんでカカシ先生ってば、この映画を見とけなんか言ったんだってばよ? まぁすげー面白かったけどさ」

 

 確かに疑問は残る。任務と映画のかかわりが解らなかった。しかし、その答えはすぐに訪れる。映画館の裏で時間を潰していた時、何処からともなく馬の蹄の音が聞こえ、その方向を見れば馬に跨り颯爽と駆け抜ける風雲姫が居た。

 それは見間違いではなく、風雲姫の衣装姿の富士風雪絵が何かから逃げているのだ。そして、彼女の通り過ぎた後を、鎧姿の男たちが同じく馬に跨り追っていく。

 

 見るからに怪しい連中にサクラとナルトは目配せし、彼らを追った。

 忍の脚力なら馬に追いつくことなど容易い。逃げる風雲姫を追う男達を見つけたナルトは、影分身の術を使い人海戦術で男たちを抑えていく。

 

「何?」

 

 突然加勢に入ったナルトに驚く雪絵。だが、好都合と考え馬を走らせていく。

 

「決して逃がすな!」

 

 眼鏡をかけた老人が、雪絵を追うよう命じるも、彼の背後にはサクラがクナイを抜いて立っている。首筋にクナイを向けられ完全に動きを封じられる。

 

「ナルト、影分身を置いて、風雲姫の所に行きなさい」

「わかったってばよサクラちゃん」

 

 本体のナルトがサクラの指示で逃げていった風雲姫を追いかけていく。サクラは残ったナルトの影分身達を指揮し、縄で拘束していく。すると、騒ぎに駆け付けたカカシが現れる。

 

「カカシ先生?」

「あらら、サクラ、すぐに縄をほどいてあげろ。その方たちは今回の依頼人だ」

「嘘!?」

―――――――

 

 ナルトが風雲姫を追いかけて走っていると、川で馬に水を飲ませながら休息している風雲姫が居た。

 

「お怪我はありませんか姫? なんちゃってな。姉ちゃん風雲姫だよな、俺さ俺さ、感動して涙が止まらなかったってばよ」

「何あんた?」

 

 突然現れたナルトを警戒する彼女。だがナルトは今見た映画の感想を述べながら、勇気を貰ったと感謝を伝えている。

 

「あんたの映画見てるとさ、ぜってぇ諦めねぇって思えるんだってばよ。だからさ、だからさ、俺も絶対火影になってやるんだ」

「私は風雲姫なんかじゃないわ」

「わかってるってばよ。女優の雪絵さんだよな。俺ファンなんだ、サインくれってばよ」

「私はサインはしないのよ」

「えぇ、頼むってばよ。うちの姉ちゃんもあんたのファンで、自慢してやりたいんだってばよ」

 

 しつこくサインをねだるナルトに雪絵は明確に怒りを表す。

 

「私のサインなんか貰ってどうする訳? 結局どこかに置き忘れてほこりをかぶってるだけの、何の役にも立たない物じゃない! 馬鹿みたい」

 

 そう言い残して雪絵は町の方に走って行ってしまう。ショックで固まったナルトは追いかける事が出来なかった。

 

 

―――――――

 

 事情を説明されたサクラは、カカシの案内で撮影現場に待機していた。

 現場では主演である雪絵が逃げ出したことで、撮影がストップし全員が休憩を取っていた。そして、手荒な手段を取ってしまったことを謝罪するサクラに、雪絵のマネージャである三太夫が誤解を招くようなことをした自分に非があると返す。

 

 スタッフとの顔見せも一応終わりかと思われた時、撮影スタジオで走り回っていた人物、うずまきシャナが胸にたくさんの色紙を抱えて戻ってくる。

 

「シャナ、はしゃぐのはわかるけど、程々にね。これ任務だから」

 

 撮影スタジオに入るなり、色んな役者にサインをせがみに奔走。ようやく戻ってきたと言うわけだ。護衛対象の顔を覚え、逆に覚えてもらうには理想的な動きではある。

 

「後は、風雲姫の富士風雪絵さんのサインだけだってばね」

「雪絵のサインは、難易度が高いぜお嬢ちゃん」

  

 雪絵はサインをしない上に、ファンに塩対応で有名だ。それを忠告してくれたのは、この風雲姫シリーズの総監督であるマキノという老人だった。

 一番最初にシャナがサインをもらった人物である。

 

「噂は知ってます。でも、プライドの高い女優の富士風雪絵、私のイメージ通りです」

「ハハハ、そこまで言ってくれるファンは中々居ないだろうな」

 

 マキノ監督にだけ敬語のシャナ。火影や里の上層部にすらため口や暴言の尽きない彼女を知る者が見れば驚くだろう。

 シャナの想像する富士風雪絵は、本人に近いイメージでそこが良いという。本来ファンをないがしろにすれば嫌われるはずだが、稀に本性そのものを受け入れるファンが現れる。

 

(こういう子は、大切にしなきゃいけねぇな。それにしても、この子が木ノ葉の里一番の手練れとは、世の中映画よりも面白い事が多いもんだ。こりゃなんかに使えるって、勘が騒ぐな)

「おい、そういえば、出そう出そうと思って没になったキャラが居たよな」

「あ、あぁ。そうですね。え、なんで急にそんな話を?」

  

 その場のライブ感で映画を製作し大成功してきた監督は、自分の勘を信用している。

 それを実行に移すために、隣の助監督と相談を始める。

 

 監督たちが話し合っている間、サクラは壁に貼られた雪の国の写真を眺めている。そこには、綺麗な氷の絶壁が映っている。

 

「それは、雪の国の晶壁さ。なんでも雪絵のマネージャーの三太夫さんが言うには、春になれば虹色に輝くんだとか」

「虹色に? すごい」

「だが、それはあくまで噂。あの国には春はこない」

「それってずっと雪ってこと?」

 

 俳優の一人がサクラに説明するが、その言葉を否定するカカシ。過去に雪の国に行ったことのある彼は、雪と氷に閉ざされた国の事を語る。

 すると、他のスタッフたちも雪の国について知ってることを教えてくれる。 

 

「でも雪の国ってかなり貧しいんじゃなかったか? 前の城主がカラクリ好きで、財政破綻したとか」

「まじかよ。暖房位あるんだろうな? 俺寒い所苦手だぜ」

「だったらお前も雪絵みたいに逃げ出したらどうだ」

 

 スタジオ自体は明るい雰囲気に包まれている。スタッフや俳優たちの仲もいいのだろう。唯一、主演である彼女を除いて。

 

「うずまきシャナさん、少しお話いいですか?」

「え? はい、何ですか?」

 

 サイン色紙をファイルで保護したシャナはリュックに大切そうに詰め込んでいると、助監督から相談があると呼び出されていた。その間にカカシとサクラと雪絵のマネージャーは、ナルトと雪絵の回収のためスタジオの外に出たのだった。

 

 

 

 

 

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