NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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雪姫忍法帖6

 

 鞭と大剣という異色の武器使いとシャナが戦闘を開始。シャナにも一切余裕がないのか、ナルト達からグライアを引き離すことで手一杯。

 雪絵を逃がそうとするサクラとナルトだが、冬熊ミゾレがスノーボードの様なものを使い雪道を滑走してくる。そして、雪絵は雪忍たちの姿を見て恐れからか、動けないでいた。

 

「どけ小僧!」

「どかねぇってばよ!」

 

 雪絵を守りに前に出たナルトがクナイを投擲するがチャクラの障壁に弾かれ、巨体のミゾレによって殴り飛ばされてしまう。ナルトを排除し、雪絵を狙って腕に付けたアームからワイヤーを発射。それで捕獲しようと試みるも、サクラが前に出て攻撃を阻止。ならばと腕力で圧倒しようと迫る。

 クナイを構えるサクラだが、実力差から守り切れる可能性は低い。

 

「姫様!!!」

「三太夫、まさか、あなた」

 

 雪絵を避難させようとマネージャーである三太夫が駆け寄るが、その顔を見て雪絵は何かを悟る。自分を姫と呼ぶこの男の正体が何であるかを。すっと足の力が抜け、動けなくなる雪絵。

 だが、それを好機とミゾレが猛スピードで接近するが、先程吹き飛ばされたはずのナルトが赤いチャクラを放ちながら接近。

 スノーボードの速度を超え回り込んだ彼は、巨体のミゾレとがっつり組み合う。

 

「なんだ、この力」

「ぜってぇ、手は出させねぇってばよ!」

 

 遥かに小柄であるナルトにパワーで押されるミゾレ。ナルトは九尾のチャクラを引き出し、瞳が紅く変色していた。不気味な力を使うナルトを警戒し、彼が距離を取ると、遠くで水遁と氷遁で撃ち合っていたカカシが合流する。

 

「無事かナルト」

「う、うん。けど、先生、アイツらの鎧なんか変だってばよ」

「あれはな」

 

 カカシの言葉をカカシを追ってきた雪崩が遮る。

 

「これは、チャクラの鎧だ小僧」

「チャクラの鎧?」

「そうだ、チャクラの鎧は、装着者のチャクラを増幅し、様々な術を強化してくれる。体の周りにはチャクラの壁が作られ、貴様らのチャクラを無効化する。つまり、どんな忍術、幻術も通用しない」

「出鱈目だってばよ」

「真実だナルト。だが、俺の知っている奴より、遥かにパワーアップしている」

 

 カカシもナダレ相手に有効打がないらしい。ナルトとカカシの二人とナダレとミゾレが向き合い、戦況が膠着する。その隙に逃げねばとサクラと三太夫が雪絵を起こそうとする。

 

「姫様早く船へ。このままでは御命が」

「嫌よ! 死んだっていい! 絶対に雪の国になんかに行かない!」

 

 酷いパニックとストレスからか雪絵は意識を失ってしまう。無理にでも運ばねばと三太夫とサクラが雪絵の体を支えながら船へと向かう。だがそうやすやすと逃がしてくれる雪忍ではない。

 

「氷遁・一角白鯨」

「デカい。逃げろサクラ、ナルト!」

 

 雪崩が印を結ぶと、海から巨大な氷の一角が現れる。かなり大規模な氷遁で質量によって相手を叩き潰すものだろう。空高く飛び上がった一角がカカシ達に迫る。

 

「最後まで撮り続けろ! 写真屋の意地を見せてやれ!」

 

 船に逃げるスタッフたちだが、何故かカメラは回し続けており、戦闘を撮影していた。だが、彼らは十分逃げられる位置にいる。しかし、ナルト達は危険だ。

 ナルトは横で影分身を使い、螺旋丸を作成、カカシも雷切の構えを取り、どうにか一角白鯨を相殺しようと足搔いていた。

  

 しかし、空高く飛び上がったはずの一角は、瞬時に黒い炎に包まれ、地上で発射された光線によって撃ち抜かれ、瓦解する。バラバラになり、黒い炎によって氷でありながら燃え尽きた白鯨。何事かと一同が視線を炎と光の出所に向けるが、地響きと共に何度も激しい衝撃波が彼らを襲う。

 

「グライアの奴! うぉおお」

「くそ」

 

 そして、丁度雪忍たちの真上の氷山が崩れ、雪崩が彼らを飲み込んだ。

 

「今のうちに引くぞナルト」

「わかったってばよ!」

 

 影分身で人数を増やしたナルトが、サクラや雪絵、三太夫を抱えて船へと避難を開始する。殿になったカカシは、先程の攻撃とチャクラから、シャナがヒートアップしていると悟り彼女の帰りを待つ。だが、船は就航し、距離を取ろうとしている。このままカカシが残ったとしても、ナルトとサクラでは雪忍の相手は出来ない。

 やむを得ず、シャナを置いていく決断をするしかない。

 

「カカシ先生! 姉ちゃんは」

「あいつはまだ戦闘中だ。だが、すぐに戻ってくるはずだ」

「そんな! え、なんだってばよ、あれ」

 

 カカシが海面を走り抜け船に乗り込むと、先程まで戦場となっていた氷山に無数の光の矢の雨が降り注ぎ、次には黒い炎が全てを包み込んだ。逃げて居なけばカカシも危なかっただろう。

 

(シャナ、大丈夫なのか)

 

 ナルトには問題ないと言いながらも、やはり残るべきだったかと考えがよぎる。

 黒い炎によって松明のように燃え上がる氷山。その中で何度も黒い炎やチャクラ砲、光の矢や粒子砲が交差している。だが、一際豪快な爆音と衝撃波が出航中の船を震わせる。

 船が大きく揺れ、転覆するかと思われた。

 

「うわああああ」

「神さまぁあ!」

「監督ぅ!!」

「振り落とされるな! そして死んでもカメラを手放すな」

 

 船に摑まりながら、氷山を見たカカシは、氷山の中でぶつかり合う二体の須佐能乎を目にする。写輪眼持ちのカカシにしか見えないが、6本の腕を持つ須佐能乎と三叉槍を持った須佐能乎が激突し、衝撃によって氷山が崩れ、海の藻屑へと変わった。

 どっちが勝ったのかもわからず、シャナの安否が不明となる。誰もが息を吞んだとき、空から何かが船のマストを直撃。するすると滑り落ち、床に転がった。

 

 追手かと思い、カカシがクナイを構えるが、床に転がり汗だくになり肩で息をしているシャナを見て、緊張がほぐれる。

 

「無事だったか。まったく、心配かけてくれるなお前達姉弟は」

「ぜぇ、ぜぇ、ほんきで、しぬかと、おもった、ってばね、、みず、ちょう、だい」 

「あ、はい。これ飲んでください。後、兵糧丸も一緒にどうぞ」

 

 雪絵を安静な場所に寝かせ戻ってきたサクラは、ボロボロになっているシャナに水筒と薬を渡し、習いたての医療忍術でシャナの怪我を治療をすると言い始める。

 軽い怪我なら治療できるという彼女を信じてシャナも身を預けている。少し落ち着いたところで、カカシはシャナからグライアの話を聞き出した。 

 

 


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