NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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雪姫忍法帖8

 

 未来視をフルに使う先見の万華鏡写輪眼の発動は、シャナの命を救う英断と言わざるを得なかった。

 発動と同時に、グライアが左目にチャクラを集めている事を察知。彼女の目から血の涙が流れ始める。

 

(やばい!)

 

 シャナは危機的状況を察知し、全力で横に走り始める。シャナが動くと同時に、シャナの先程まで立っていた位置に黒い炎が発生。勢いよく飛んだ黒い炎は、背後の氷の壁に命中すると激しく燃え始めた。

 そう氷が燃えたのだ。熱で溶けるでも蒸発するでもなく燃えた。燃えた後に蒸発はするが、明確に本来燃えない筈の氷が燃えている。

 

 未来視で自分がそれを食らい、消えない炎によって焼き殺される光景を見たシャナ。どうにか完全な不意打ちを回避する事が出来た。だが、グライアは距離を取っているシャナを仕留めようと、左目の瞳術、全てを焼き尽くすまで決して消えない黒炎を発生させる術『天照』を発動し続ける。

 

 術者の視界の中でピントを合わせるだけで黒炎を発生させられる術で瞬身の術まで用いて高速で移動するシャナを追っていく。シャナの動きが早く、なかなか捉える事が出来ないが、周囲に引火した黒炎が徐々にシャナの逃げ場を奪っていく。

 

 逃げ続けても、やがては逃げ場が無くなってしまうだろう。氷山が少しづつ黒炎に呑まれ始める。氷の壁を盾にし、逃げるだけでは勝てないと判断したシャナは素早く印を結び粒子で構成された弓を空に目掛けて構える。

 

「粒遁奥義・天弓!!」

 

 通常の粒遁よりもチャクラの消費量が多いが、抜群の制圧力を誇る新術を空に放つ。天に放たれた矢は、雲の上で無数に分裂を始め、それらが一斉に戦場に降り注いだ。

 

 空から降り注ぐ矢の雨。グライアは警戒しながら自分の半径1m範囲にチャクラの障壁を発生させ、それらを防いでいく。幸い範囲攻撃の為に威力は低い。粒子の矢は、障壁に弾かれてしまう。

 だが、あまりに降り注ぐ矢の数が多く、グライアの視界は、光と舞い上がった雪で殆どゼロだった。

 

(この技は、煙幕の代わりか? いや、それにしては、何をしてくるか想像ができへん)

 

 シャナが忍である事は理解している。だからこそ、無駄に術を使う女ではないとプレートを障壁の内側に展開。360度どの方向からの攻撃も防ぐ万全の構えをとる。さらに鞭を蛇腹剣のように収縮し、接近戦用の武器を作る。

 

 やがて、矢の雨がやみ始めた時、グライアの障壁を幾つもの爆撃が襲う。しかし、障壁の内側にプレートを張り巡らせたグライアの防御力は鉄壁。生半可な術では突破は不可能と言える。範囲や応用性に関しては、やや劣るもののラビリンスの結界術にすら匹敵すると自負するグライア。

 だが、シャナの狙いは、その防御を貫くことではなかった。

 

 突然、グライアの足元の雪が盛り上がり、地面からシャナが飛び出し、クナイが油断していたグライアの首を狙う。

 

「くっ!!」

 

 足元に注意を払っていなかったグライアの隙をついた奇襲攻撃。奇しくも万華鏡写輪眼の動体視力により、首を切り裂かれる前に身をよじって回避。不安定な体勢ながらも、蛇腹剣でシャナに反撃を仕掛けようとする。

 

「螺旋丸」

「きゃあァア!!」

 

 しかし、チャクラの障壁の内側に入り込んだシャナ。障壁の内側であれば、術を無効化されない。雪を掘り進み、障壁内に入ったシャナは最速で発動可能な螺旋丸を作成。カウンターよりも早く、グライアの腹部に螺旋丸を叩き込み、彼女の体をその威力で吹き飛ばした。

 

 螺旋丸の直撃は、グライアの鎧のような軍服をもってしても防げず、衣服が裂け、明確なダメージを与えている。

 雪のクッションによって致命傷にはならなかったが、それでも一撃入れられたのはデカい。

 雪でうずくまっているグライアが恨めしそうにシャナを睨み付ける。

 

「随分可愛い悲鳴だってばね」

「う、ぐ、く、殺す! ぶち殺したるわぁああああ!!」

 

 怒髪天と言った様子のグライア。須佐能乎を発動し、巨大な三又鉾を持った巨人を生み出す。うちは一族の持つ最大級の奥義である須佐能乎を相手にするには、シャナも同じく須佐能乎を使う他なかった。

 

 シャナの六本腕の須佐能乎と三又鉾を縦横無尽に振り回す須佐能乎の激突。その衝撃波だけで周辺の氷山が崩れ始める。

 

((こいつ、強い))

 

 須佐能乎は、何方にとっても切り札である。しかし、素早い槍捌きで連撃を仕掛けるグライアと多腕から繰り出す連撃で迎え撃つシャナ。二人とも攻撃力や手数は同じで、決定打にかける。

 

 二人ともその事実は理解済みで、隙を窺いながら須佐能乎で繰り出せる最大火力の為のチャクラを練っていく。

 

 必殺の一撃を放つ準備が整ったのは同時であり、互いに大きく後ろに飛んで距離を取る。

 

「粒遁・須佐能乎螺旋輪虞」

「トリシューラ!!」

 

 シャナの阿修羅型の須佐能乎が3本の腕でようやく抱えきれる程の螺旋輪虞を作成し、投擲。対するグライアの須佐能乎は、三又の鉾が彼女のチャクラで発生した竜巻を纏い、それを投擲。

 巨大な螺旋輪虞と嵐を纏った鉾の激突は、周囲のものすべてを吹き飛ばす規模の爆発をおこした。

 

「あかん!」  

「くそ、足場が」

 

 互いに火力勝負を仕掛けたが、二人の技が衝突した余波で足場にしていた氷山が遂に崩壊。二人ともバランスを崩し、巨大な氷山が崩れ上から降り注いでくる。

 

 このまま戦い続ければ二人とも極寒の海に沈んでしまうだろう。不本意ながらも仕切り直すしかないと察する。先に須佐能乎を解除したグライアは銃口をシャナに向けながらも、すぐにその場から逃げ出した。

 

「次は殺すってばね」

 

 シャナも早く逃げなければと須佐能乎を解除し、粒遁・天翔の印を結んで上空へ急加速。空から船の場所を確認し、其処にもう一度、天翔で接近。船のマストにぶつかる形で合流したのだった。

 

――――――

 

 何が起こったのかを説明したシャナは、サクラに傷を治療してもらうなり、与えられた部屋のベッドで泥のように眠ってしまった。身体的にも精神的にも疲労困憊だったのだ。さらに須佐能乎の代償も当然シャナを襲い、気絶するように眠ってしまったのだ。

 

 グライアとの戦闘の話を聞いたカカシは酷く深刻な表情となる。

 

「姉ちゃんがあんなにボロボロになるなんて」

 

 一方でナルトもショックだった様子。

 

「それだけ強い相手だったという事だ。お前やサクラはあのグライアとかいう女を見たら絶対に戦うな」

「けど、それじゃ」

「断言する。あの女は、俺よりも強い。シャナでなければ、相手する事すらできないだろう」

 

 力の差は歴然だ。今回はたまたまシャナが同行したおかげで、拮抗したが、シャナが居なければあの場で全員殺され、富士風雪絵は連れさられていただろう。

 

「そうよ、ナルト。シャナさんと互角かそれ以上の相手に無理に挑んで死んだらどうすんのよ」 

 

 適材適所と言うものがある。ナルトは納得がいかない表情だが、従うしかない。忍において実力差は、そのまま生死に関わる。命を張るべき場面は、確かにあるが、その時が来るまでは生きぎたなくても生き残る選択をするべきなのだ。

 

 その後、今後の話をするため、気絶した雪絵とシャナが目覚めるまで、3人は見張りをしながら夜が明けるのを待ったのだった。

 

 

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