NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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雪姫忍法帖11

 

 雪絵が協力したおかげで雪の国に上陸出来た一行は、スノーモービルのような車両で移動しながら、撮影を行っていた。

 

 まさに雪国と言った様子で一面の雪に覆われた風景に、一同は感動すらしていた。そして、元々鉄道が通っていた長いトンネルを抜けた場所を撮影場所に選んだ。

 雪絵も一切逃げ出すことなく、撮影に協力していた。上陸前まで怯えていた彼女とは打って変わった様子に、一同は訝しむが、強い意志が目に籠っていた。

 だが未来や明日と言った生きる力とは真逆な、どす黒い輝きを放っている事に気が付いたのはカカシくらいだった。

 

 雪絵を説得したらしきシャナにコーヒーを持ってきたカカシ。

 

「どう説得したんだ?」

「してない。ただ、選択肢を広げてあげただけだってばね」

「そうか。それと、ナルトと仲直りしなくていいのか?」

 

 カカシは、明らかにシャナと距離を取っているナルトの事を話した。シャナの折檻を受けてから、悔しさと怒りで一切関らなくなった二人。正直やりにくいことこの上なかった。

 

「問題ないってばね」

 

 仲直りを今する必要は感じていない。カカシもシャナが何を考えているのか把握できていない。

 

「それより、そろそろ、気を引き締めた方がいいってばね」

 

 静かだった旅路はもうすぐ終わるというシャナ。すでに敵のお膝元まで来ている以上、接触は時間の問題だろう。シャナも常に忍装束を身にまとい、戦闘態勢を整えている。

 前回は、忍具もない状況での戦闘で消化不良だが、今は十全の状態で戦える。故にシャナは獲物が向かってくるのを大人しく待っていた。

 

(お前が私の姉なら、あの決着で満足するはずないってばね。今も決着をつけたくて仕方ない筈。この血の滾りを前に、じっと待つなんてできないってばね)

 

 シャナは自分の心臓が高鳴っている事に疑問を感じていない。強者と戦うとき、いつも高鳴る心臓の音だからだ。これまで戦ってきた強者との胸の躍るような時間が、戦いなのだ。本質的に戦いを求める性があるシャナ。

 特に血が滾るのは、ラビリンスやコダマとの戦闘だ。死の恐怖がすぐそばにあるのに、楽しくて仕方なかった。そして、グアイアは、シャナからしても久々に相手する強敵。

 

「愉しみ」 

「何か言ったか?」

「何でもないってばね」

 

 うっかり口に出してしまった本心。それを誤魔化しながら、温かいコーヒーを口にしていると、シャナの未来視が不吉な未来を映し出した。ほんの数秒後の未来だが、自分たちを見下ろしながら、不敵に笑うグライアの姿が映る。

 そして、同時に異変が起こり始める。

 

「なんだ、急に線路が?」

「雪が解けてるのか」

 

 映画の撮影中に、先程まで雪に埋もれていた鉄道の線路が姿を現し始めたのだ。とっくの昔に廃線になった鉄道が姿を現し困惑する一同。だが三太夫さんだけがいち早く反応し、線路に駆け寄る。

 

「これは、チャクラだ。微量のチャクラで雪を溶かしている。こうしてはいられない! 皆さん!! 逃げてください!! 私は、助けを呼んできます!!」

 

 三太夫は避難を伝えるなり、大慌てで雪道を走っていく。彼の言う応援とは雪の国の先代当主に仕えた家臣たちの事だろう。彼らと合流する地点が近いと言っていたので、もうすぐやってくる脅威に対する戦力にでもするつもりなのだろう。

 三太夫の言葉に従った撮影班は、すぐに身を隠す行動に出た。

 

 一方で木ノ葉の面子は、いつ来るかわからない敵襲に備え、それぞれが配置につくことになるのだが、ここで一つ問題が発生する。

 

「あれ、大変です!! 雪絵が居ません!!」 

 

 スタッフの一人が雪絵の姿がないと告げる。先程まで撮影していた筈なので遠くには行けて居ないだろうが、撤収作業中のどさくさに紛れて、逃げ出したのだろうか。

 

「皆さんは避難していてください。シャナ、この足跡を追って雪絵さんを連れ戻してくれ。サクラとナルトは俺と一緒に」

 

 状況を判断し、一番早く一番強いシャナを雪絵の捜索に向けるカカシの指示だったが、シャナが「無理だってばね」と命令に異議を申し立てる。

 

 シャナの視線の先、数百メートルの位置にある巨大な雪山があり、その天辺に佇む存在がシャナをこの場所に縛り付ける。シャナの異変に気が付き、カカシもその視線を追えば、シャナが太腿のホルスターからダガーを取り出した理由が一目瞭然だった。

 

(グライアが来ていたのか。こうなってはシャナを動かせない)

「ナルト! 雪絵さんを頼む。サクラ警戒しろ、敵はもうすぐそばまで来ている」

「はい!」

「わかったってばよ」

 

 ナルトは、雪絵の足跡を追ってトンネルに駆け込んでいく。カカシとサクラも防衛のための配置に着く。唯一命令を受けていないシャナだったが、アイコンタクトでカカシに自分の行動を伝える。苦渋の決断だが、グライアの相手はシャナにしかできない都合上、取れる択は一つ。

 

 シャナは青い閃光となり、一直線に雪山の頂上に飛んだ。それを待っていたと言わんばかりに、チャクラ砲がシャナに向かって発射されたのだった。対するシャナも粒遁の粒子砲で迎撃。青い写輪眼持ち同士の第二ラウンドが始まったのだった。

   

 

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