NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

119 / 152
雪姫忍法帖13

 

 ドトウにより連れ去られた雪絵と彼女を追っていたナルトの両名は、彼の城の牢屋に囚われていた。

 

「ぐく、ぐあああ、畜生」

 

 ナルトは、両手を鎖で吊り上げられた状態で、必死に鎖を解こうとするが、少しでもチャクラを練ろうとすると、彼の腹部に装着された機械によって発せられる電流に苦しめられる。

 その様子を雪絵は冷めた目で見ていた。

 

 

 なぜこのようなことになったかと言えば、雪絵を誘拐したドトウ達だったが、雪絵の持っていた六角水晶が偽物だと発覚。その事に腹を立てた矢先、ナルトが無謀にも救出に飛び込んだが、雪忍達によって制圧。さらにチャクラを奪う装置を装着されたことで忍術を奪われてしまったのだ。

 そして、二人は人質として牢屋に拘束されたのだ。

 

「なんでそんな無駄なことするのよ」 

「無駄って、思ってねぇからだ」

 

 冷めた目で見る雪絵を他所に、ナルトは自分の靴に仕込んだ鑢を口で取り出すことに成功する。腕力や忍術での脱出が無理なら、道具を使えばいい。勉学の成績は悪いが、こういった切り替えの早さがナルトの強みではある。

 

 口に鑢を咥えながら懸垂をして手錠を削っていくナルト。

 

「本当に、馬鹿ね。まるで、来ない春を望んだ、父様のよう」

 

 無駄な行動を続けるナルトを見て、雪絵は今は亡き父を思い出す。春の来ない雪の国の主でありながら、春の訪れを信じてやまなかった父。

 

「は、はぁ。春が来ないって何だよ? あの敵の親分も言ってたけど」 

 

 懸垂につかれたナルトは、息を整えながら雪絵の言葉に疑問を持つ。雪絵と一緒に捕まる際に、ドトウも雪の国には春が来ないと言っていた。

 

「昔、私の父が言っていたのよ。信じ続ければ、春は必ず訪れるって。けど、雪の国に、春が来ることは英永劫ないわ。結局、春を見ることなく父は死に、私は、逃げた。逃げて逃げて、自分自身に嘘をついて……、こんな私には、偽りの自分を演じる女優くらいにしか、なれるものがなかった」

 

 雪絵の自嘲気味の語りに、ナルトは何も言わなかった。彼女が何も考えず、今のようになったのではないとだけ理解できた。

 一呼吸置いたナルトは再び、鑢で手錠を破壊しようと足搔く。少し手錠に切れ目が入ったと思った瞬間、ナルトの咥えていた鑢が口元を離れ、床に落ちてしまう。 

 

「ほらね、そんなことをしても、意味はないのよ」

「諦めたら、楽だもんな」

 

 万事休すなナルトだったが、その目は死んでおらず、雪絵の目を真っすぐ見つめ返していた。

 

「誰も俺なんか気にかけてくれなくて、世の中に俺の居場所なんかないんだって気がしてた。けど、諦めないで生きてたら、家族が出来て、仲間が出来て、いいことがあった!」

 

 チャクラを練りながら、拘束から抜け出すとするナルト。腹部のチャクラ制御装置による激しい電撃に晒されながらも、歯を食いしばる。

 

「諦めちまったら、夢も何もかもそこで終わりだ!!」

「やめなさい! あなた死んじゃうわよ!」

 

 雪絵の制止に耳を貸すことはなく、ナルトは不敵に笑う。

 

「あんたの父ちゃんや、三太夫のおっちゃんが間違ってねぇことを、俺が、証明してやるってばよ」

「あなた」

 

 その瞬間、ナルトの手錠が壊れ、ナルトは地面に着地する。

 

「じゃ、助けてやっからよ」

 

 ナルトがそう言いながら檻に触れた瞬間、電流が流れ彼の体を吹き飛ばした。まさかの電流にあっけにとられたナルト。それを見ていた雪絵は「本当に、馬鹿ね」と言いながら立ち上がる。そして、ポケットから小さなビンのようなものを取り出し、それを檻の鍵に投げつけた。

 投げつけられたビンは、カギに命中すると小規模な爆発を起こし、それを破壊した。

 

「え?」

「出ようと思えば、いつでも出られたのよ。あなたのお姉さんがくれたコレでね?」

 

 ポケットからもう一本のビンを取り出した雪絵は、ナルトの檻に向かって投げつける事で、簡単に檻を破壊してしまう。その手際にナルトが呆然とさせられる。

 

「で、どうするの?」

「行く、行くってばよ!(姉ちゃんのせいで、俺めっちゃカッコ悪いってばよ)」

 

 顔を真っ赤にしながらも、雪絵の手を引いて脱出を行うナルト。確かにカッコ悪い姿を見せたが、実際雪絵は脱出する事すら諦めていた。それでもナルトの勇気を見せられたことが彼女が前に進む要因となったのは事実だった。

 

 ナルト達が檻を抜けて、通路を駆け抜けていくと、彼らの前に雪忍が現れる。雪忍を見たナルトが先手必勝と格闘戦を仕掛けるが、雪忍はそれを躱し「ナルト、俺だ」と変装を解いて正体を明かす。

 

「カカシ先生」

 

 雪忍に化けたのはカカシだった。彼らは雪絵達を追ってドトウの城に攻撃を仕掛けていたのだ。

 カカシがナルトに予備の忍具が詰まったバックを投げ渡す。それを受け取ったナルトだったが、警備の雪忍達に見つかる。

 

「シャナ」

 

 カカシがインカム越しにシャナの名を呼ぶと、青い閃光が雪忍達を横切り、その首が体と泣き別れしていく。奇襲作戦でシャナの役割は機動力と攻撃力を生かした陽動と敵の人数を減らす事。カカシとサクラがナルト達の捜索を行っていたのだ。

 

「無事でよかったてばね」

「雪絵さん、ナルト!」

「姉ちゃんにサクラちゃん」

 

 サクラとシャナも合流を果たす。

 

「カカシって言ったわね。あなた、本物の六角水晶を持ってるの?」 

「えぇ。シャナがすり替えていたものを預かっています。これはあなたが持っていてください」

 

 カカシは懐から六角水晶を雪絵に手渡す。それを受け取った雪絵は覚悟を決めた顔で「こっちよ」と逃げ道を案内していく。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。