雪絵を誘拐し、雪の国に封じられた秘宝を手に入れようと雪の国の晶壁へたどり着き。そこに鎮座する装置に六角水晶をはめ込んだ。
だが、ドトウの期待していた宝は、存在しなかった。
雪と氷に覆われた周辺に、温かな風が吹き始め、氷が解け、雪解け水が流れ始める。
「暖かい。これって」
「発熱機だと!? こんなものが風花の秘宝だと言うのか」
目的のものがないとして、苛立ちを見せるドトウ。彼は雪絵の襟首をつかみ上げる。
「吐け、小雪!! 本物の秘宝はどこにあるのだ!!」
「し、しら、ない」
「ふざけるな!!」
雪絵の頬を殴打し、怒りを顕わにするドトウ。雪絵も絶体絶命かと思われた時、遠くからナルトの声が響いた。
「雪絵の姉ちゃん!!」
撮影班のスノーモービルで滑走してきたナルト。彼はスノーモービルから飛び降りると足の痛みを堪えながら走り出した。
「忌々しい。氷遁・黒龍暴風雪」
黒い竜の形をした雪を放つ術でナルトを攻撃するドトウ。直撃を貰い空に打ち上げられ、地面に激突するナルト。
「ナルトォ」
悲痛な雪絵の声が響くが、すぐにナルトは起き上がった。
「これくらい、なんともないってばよ」
「ナルト駄目よ。これ以上やったら、死んでしまう」
雪絵はもう止せと止める。だがナルトは諦めない。
「俺を信じろ。あんたが信じてくれるなら、俺は絶対、負けやしねぇ!」
覚悟を決めた男の目。そのナルトの目を見た時、雪絵はシャナとの会話を思い出した。
――――
「貴方が強いのはわかるけど、あの坊やは正直荷が重いんじゃない?」
シャナの弟であるナルトでは、雪忍には勝てないだろうと考えた雪絵。だが彼女の言葉にシャナは少し切なげに微笑む。
「何よ」
「あの子は弱いってばね。それは認める」
だったらなぜ笑うのかと問う。
「けどね、あの子は一度言ったことは諦めない。それに約束は絶対に守ろうとするの。あのこの諦めの悪さだけは、私以上なんだってばね」
「え?」
「だから、ナルトの事は、信じてくれていいってばね。自分の言ったことは、曲げない。それがあの子の忍道なんだから」
―――――――
「自分の言ったことは曲げねぇ、それが俺の忍道だってばよ!」
ナルトの意地に呼応するように、ナルトのチャクラがあふれ出してくる。チャクラの制御装置をつけながら、それを凌駕するチャクラの量にドトウが警戒しながら、息の根を止めようと走り出す。
鎧によって強化された身体能力で仕留めようとしたが、その一撃をナルトは片手で受け止める。
「なんだと」
「雪の国は、お前なんかに渡さねぇ!」
瞳が赤くなり、ナルトのチャクラも赤く染まる。そしてナルトの腹部にあった制御装置が破損。それによって噴出したチャクラによってドトウは吹き飛ばされる。その際に、チャクラの鎧に罅が入った。
九尾のチャクラを引き出したナルトに恐怖したドトウ。
「今までの借り、何倍にもして返してやるってばよ。影分身の術」
「ふざけるな!!! 氷遁・双龍暴風雪!!」
影分身で数十人に分身したナルトは、一斉にドトウに飛び掛かる。迎え撃つドトウは、暴風の竜巻を発生させ、影分身をすべて破壊していく。
「くくく、終わったか」
一撃によって影分身全てを消し去り、勝利を確信したドトウが笑う。だが、彼は雪に紛れて影分身と螺旋丸を作っていたナルトの気配にようやく気が付く。
「まだ終わってねぇよ。おわりってぇのわな。正義が勝って悪が負ける。ハッピーエンドに決まってるんだってばよ」
どこまでも諦めないナルトの姿。その戦いを見た雪絵。
「ナルトォ。私信じるわ。あなたは、風雲姫が認めた、最強の忍者よ!」
「んな事は、わかってらぁい」
ナルトと影分身が走り出す。その手には螺旋丸を完成させる。そして偶然にもドトウが起動した発熱機によって齎された一時的な春によって聳え立つ雪の国の晶壁の氷が剥がれ、七色の光を反射。
それらから集まった光がドトウの視界をくらまし、ナルトの螺旋丸を七色に染め上げる。
「七色のチャクラ、嘘」
「くらえ螺旋丸!!!」
映画と同じチャクラを纏った螺旋丸を持つナルト。くらんだ目でナルトの攻撃が見えなかったドトウは、その体に螺旋丸の一撃を食らう。
「ああああああああ」
チャクラの鎧は壊れ、直に一撃を受けたドトウは、高速回転しながら雪の国の晶壁へ激突。その氷が彼によって完全に剝がれたことで、風花の秘宝の真の姿が現れた。
それは立体映像による草原や草花の投影。春の来ない雪の国に疑似的な春をもたらす機能だった。
その映像には、幼い日の雪絵と父の会話が残っており、その映像を見た小雪は、ついに凍った心を溶かし、涙を流す事が出来たのだった。
戦い終えたナルトは、その場でやり切った表情で気を失ったのだった。