NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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コダマ外伝 壱

 

 生物兵器コダマ。暁に所属する少女であり、通り名通りの怪物である。彼女は今日もペインによって与えられた任務をこなすため、空を飛行していた。今日は巻物を、暁のメンバーである角都に届ける事だった。

 

 暁一の飛行能力を持つ彼女は、その移動範囲の広さで、国外にもよく足を運んでいた。問題は極度の方向音痴と地図を見るのが苦手と言う弱点の為、寄り道が多い事だろうか。

 そんな彼女は、渡り鳥に意識を取られ、目的地ではなく海岸にたどり着いていた。

 

 そして、海岸にいる蟹を捕まえて食べていると、砂浜に打ち上げられている人間を見つける。

 

 

「おー。女の人だ。死んでる? それに変な手」

 

 水死体だろうかと近づくコダマ。浜にいるのは、赤い髪に紫のメッシュの入った女性。黒い軍服を着て右腕が機械の義手だった。それが不思議で近付くと、気を失っていた筈の女性は目を覚ました。

 

 起き上がった女性は、腰に巻いたガンベルトから銃を抜いて、コダマに向ける。そして、容赦なく引き金を引いた。そして発射されるチャクラ砲がコダマを襲う。

 

「ぺい」

 

 右手に持った巻物(?)を庇って左手を巨大な獣の腕に変化させたコダマは、チャクラ砲を力いっぱい弾いた。そして、攻撃してきた女性を敵と断定し、容赦なく巨大な爪で引き裂こうと接近を仕掛ける。  

  

 巨大化した手で攻撃を弾いて接近するコダマに何発もチャクラ砲を発射するが、平気で向かってくる彼女に下がりながら迎え撃つために、青い写輪眼を万華鏡写輪眼に切り替える。それを青い写輪眼で見ていたコダマが、ピタリと動きを止める。

 

「須佐の」 

「あぁーーーー!!! おんなじ目だ!」

 

 ビシッと女性を指さしながら、大声を上げるコダマ。突然の大声に、女性は動きを止めてしまう。そして偉く興奮気味に駆け寄ってくるコダマに、警戒心が緩んでしまう。

 

「なんて?」

「お姉さん、私とおんなじ目、ホラ! 同じ!」

 

 女性に駆け寄るなり、自分の目を指さして女性の目を指さす。確かに彼女の指摘通り、二人は青い写輪眼を持つ者同士だった。血継限界の中でも特に珍しい青い写輪眼持ちの二人。ぴょんぴょん跳ねながら喜んでいるコダマを見ていたら、毒気が抜かれたのか、女性は力なく地べたに座り込んでしまう。

 特に毒気を抜かれた原因は彼女が大事そうに握っている物だろう。

 

「いろいろ自分には聞きたいことあるんやけど、まずはええか?」

「ええか? ええか……いいよ!」

 

 まっすぐに見つめあう二人。一触即発だったが妙に和やかな雰囲気が漂ってしまう。

 

「なんで、大根持っとるん?」

 

 女性が指摘する言葉をコダマは理解できなかった。そして、彼女の指さす自分の手を見てみると、なんと、大根を握りしめていた。

 

「え? えぇ――――!! なんで? 巻物は!? どこ!? なんで大根持ってるの!?」

 

 どうやら大根を巻物と思いながら運んでいたらしい。とりあえず落ち着くように女性が宥め、少しづつ思い出すように提案する。そして、彼女は出発前の出来事を思い出していく。

 

「えーと、昨日の夜に、小南とデイダラとサソリに落とし穴掘って、悪戯したの」

 

 彼らが帰ってくると聞いて、集会場の入り口に落とし穴を掘って罠に嵌めようとしたコダマ。サソリは、事前に気が付いて失敗。盛大に睨まれ、尻尾で攻撃された。ただ、すぐに許してくれた。問題は残りの二人だったのだ。

 落ちなかったものの、落ちかけたデイダラがひどく怒って、爆弾片手に追いかけまわしてきた挙句、コダマを捉えられないと知ると、彼女の部屋に侵入し、冷蔵庫のお菓子を全部持って行ってしまったのだ。そのことに激怒し喧嘩になるもペインとサソリに睨まれる形で争いは終了。次は、頭からタライを落としてやると誓った。

 

 そして、残ったのは小南。彼女は完全に油断していたため、落とし穴に見事に嵌り、可愛い声を挙げながら落ちてしまった。その声にコダマとデイダラが笑うと、氷のような表情で睨まれ命の危機を感じた。

 

 小南もコダマにお仕置きしようとお菓子の没収を行ったのだが、既にもぬけの殻。なのでしばらくは、野菜生活をさせるという手紙と共に、野菜で冷蔵庫を詰められてしまった。

 

 そして今朝、任務を貰い、おやつを持っていこうと冷蔵庫を開けた時にコダマは絶叫。お菓子の代わりに野菜なんて嫌だと叫ぶが誰にも届かない。冷蔵庫の奥まで探すが、お菓子が一つもなく絶望しながら飛んできたと言う。

 

「たぶんそこで大根と巻物が入れ替わっとるな」

 

 泣く泣く大根をかじり始めるコダマの話を聞いていた女性は、冷静に推理する。そして、この子はあほやと正しく認識した。年齢こそ10歳前後に見えるが、相当天然で知能は低いらしい。そのぶん、戦闘能力は高いのだが。

 

「大根甘くないよ~コダマのチョコバー、どこ」

 

 また取りに戻らなければいけないと、落胆するコダマ。女性は、目の前の子供を見ながら、周囲から愛情をたくさん受けて生きているのだと感じた。失敗を恐れず、好き勝手に悪戯までしているのだから、この子の周りはなんやかんや甘いのだろう。

 実は忍五大国を脅かす規模のテロ集団とはさすがに知らない。

 

「攻撃して悪かったな。ちょっと、気が立ってて、それで、く、あかん」

 

 流石にこの子供から情報を引き出すことは難しいだろうと立ち去ろうとした女性だが、体に力が入らず倒れ込んでしまう。

 

「大丈夫?」

「命に別状はあらへん。けど、海で戦った時、毒で、痺れがな」

 

 女性は、この大陸に渡ってくる際に乗っていた船を巨大な蛸の怪物に沈められたという。化け蛸は、容赦なく殺したのだが、その際に毒を食らってしまった。その毒によって船員たちは即死。女性は、死にたくても簡単に死ねない体質だったことで、死にはしなかったが、神経毒故に体がうまく動かないのだ。

 いつになったら回復するかわからないが、おかげで海で何度溺れた事か。流石に体力が尽きて、海岸に打ち上げられたのだ。

 

 だがこれで溺れ死ぬことはないとわかった。しかし、即死する毒と違い、麻痺させる系統の毒は、効果を発揮し続けるのが厄介でもある。

 

「毒……、お医者さん呼んでくるね」

 

 生まれつき毒が効かないコダマ。だが、常人は毒で死ぬことは知っている。自分の攻撃に毒があり、それが有効だと理解している。目の前の女性も平気だと言っているが、顔色が悪くどう考えても無事ではない。だから助けるために医者を探すことにした。

 幸い上空で遊んでいた時、街らしき建造物を見つけている。ペインの任務が引っ掛かるが、この女性を助ける事を優先する。

 

「ええよ。別に」

「良くないよ。コダマ、お姉ちゃんの心が読めるんだから」

 

 盛大に自分の能力を語るコダマ。冗談かと思ったが、コダマが嘘をつけるタイプでないのは、あって数分でも明白だろう。自分を恨む人間は多く、賞金首になっている現状、まともに動けない今は、確かにまずい。

 

「コダマ。気い付けや」

 

 諦めて任せる事にした。青い写輪眼持ちである以上、女性は気が付いていた。コダマも自分と同じ血筋であり、妹である可能性が高い事を。

 

「うん。そういえば、名前は?」

「グライア」

 

 コダマは生を聞くなり嬉しそうに笑う。

 

「グライアお姉ちゃんだ。コダマはコダマ、って言います。では!」

 

 かわいらしいツインテールが瞬時に巨大な黒い翼となって、一瞬で飛翔したコダマ。それに驚かされつつも、地面に横たわるグライアは、「あの子、ウチ以上に変わっとんな」と零す。

 

 浜に打ち上げられていたのは、雪の国でシャナと激闘を繰り広げた【国崩し】グライアだった。シャナとの対決で不利を察して、敗走したものの、復讐するために忍五大国に渡ってきたのだが、その際に船で事件が起こり、後は海流に流されて来たのだ。

 術は使えても忍としての技術は未熟であり水上歩行などが出来ず溺れてしまったのだ。

 

 コダマが医者を呼びに言った以上、下手に動くことも出来ない自分は少しでも体力を回復するため、目を瞑る。

 

(ラビリンスとシャナ、あのクソ女とクソ妹は、心底嫌いやけど、あの子は結構かわいいな)

 

 自分の姉妹との相性はどれも最悪で、殺したくなる相手だった。年が近い事もあるのかもしれないが、無駄に年上ぽく振舞うラビリンスや生意気なシャナは、大嫌いだというのが感想だ。

 だが、コダマは幼いためか、敵意を抱かなかった。むしろ、心配になるくらい天然で、今も何かしていないかと考えてしまう。

 

 国崩しと呼ばれ実際に、国を幾つも滅亡させてきた自分がなんともらしくないと自嘲する。 

 

ーーーーーーーーー

 

 グライアの治療法を探すため、近くにあった漁村に飛んで行ったコダマ。そこで、「お医者さん!!」と叫びながら、病院を探していた。

 

 村に急に訪れた、少女に漁師たちは驚く。あわただしく村を行ったり来たりするコダマ。しかし、残念な事に村に専属の医者はおらず、少し離れた村に薬師が居るだけだと、伝えられる。

 そんな彼女にある村人が思い出したかのように、話をしてくれる。

 

「そういえば、村はずれの空き家に今、世界を旅しとる医術の先生がおったはずじゃ。あの大きな木の下じゃよ。

 白髪にバンダナをしたデカい爺さんと赤毛にバンダナの坊主と、車椅子の嬢ちゃんの三人組だからすぐわかると思うぞ。その人に見てもらうとええ」 

「ありがとう!」 

 

 かなりの俊足で、すぐの村から消えるコダマは、猛スピードで村はずれの空き家に向かうのだった。

 

 

 

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