NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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 本日は二話投稿です。


コダマ外伝 参

 

 起爆粘土の爆発で大きく怯んだ怪物の懐まで飛翔し、仮面を殴り飛ばしたコダマは、残った少女に掴みかかった。

 

「ひ」

 

 

 

 完全に勝負ありだった。怪物はすぐに再生を始めるが、コダマの方が早い。勝敗を分けたのは、コダマと少女の戦闘経験の差だろう。少女は、恐ろしく強い能力を持っている。だが自分より強敵との戦闘経験がない。それ以前に忍ですらない可能性がある。

 

 逆にコダマは、戦闘経験豊富であり、戦闘IQは高い。

 

 

 

 コダマの巨大な手で体を掴み上げられた少女。もとより体が弱いのか、まともに体を動かす事も出来ないらしい。そして、恐怖からか静かに泣き始めてしまう。表情は相変わらず無表情なのだが、コダマは心の声を聴いて狼狽えてしまう。

 

 

 

「やめておけ」

 

 

 

 コダマは、攻撃されただけで殺したいわけではない。どうするべきか悩んでいると、森の奥から男の声が聞こえた。

 

 振り返れば、バンダナをした白髪の老人が立っていた。彼の言葉の後すぐに、胸を押さえながら少女は、半透明の手や仮面の怪物を解除した。

 

 

 

「お前は誰だ?」

 

「コダマ。お爺ちゃん、お医者さん? コダマお医者さん探して此処に来たの」

 

 

 

 コダマは、少女を放して、老人に話しかけた。

 

 

 

「医者か確かにワシは、医者だ。なんだ、患者でもいるのか?」

 

「うん。海岸にいる。診てほしいの」

 

 

 

 コダマの言葉に少し思案し、周囲の様子を眺めながら老人は「案内しろ」とコダマに指示をした。どうやらグライアの事を治療してくれるらしい。だがコダマは、一目見ただけで、目の前の老人の事が大嫌いになった。

 

 彼は心の中で語っていたのだ。

 

 

 

【アレを倒す子供か。それにあの服、暁とかいう傭兵集団のものか】

 

【下手に断って、戦闘再開ともなれば、ワシの計画の妨げになるな】

 

【それにしても、役立たずな小娘め。また殺しを拒んで、実力の一割も出せなかったんだろうな。これだから、失敗作は】 

 

 

 

 老人の心の声を聴き、この場で殺してしまおうかと思ったコダマ。だがグライアを助けてくれるのは彼だけ。嫌々ながらもコダマを怒らせるつもりはないらしく、見逃す事に決めた。

 

 

 

「名前は?」  

 

「ワシは、神農という」

 

 

 

 老人は、倒れた車椅子を起こし、少女を座らせて車椅子を押そうとする。しかし、コダマが先に車いすを押すと言って彼をけん制した。

 

 そして、コダマは少女に名前を聞いた。

 

 

 

「……」

 

 

 

 心臓を押さえながら、言葉が出ない少女。目を伏せてしまっており、心を読む事が出来ない。

 

 

 

「その子は、リトラだ。ワシの弟子の妹でな。今はワシが面倒を見ておる。リトラ、自分の口で話さんか」

 

【リトラの存在を明かすリスクはあるが、既に青い写輪眼持ちだとわかっているのだから、下手に隠す必要はないか】

 

 

 

 神農の言葉に、胸の痛みが引いたのかリトラは、移動する際コダマと会話をしていた。

 

 

 

「コダマね、今年で11歳なんだよ。リトラちゃんは?」 

 

「…10歳」

 

 

 

 コダマと打ち解け始めたリトラ。時々神農を見ながらも、リトラは車椅子を押してくれるコダマと会話をつづけた。

 

 

 

「さっきは、ごめんなさい。手裏剣持ってたから、敵だと、思って」 

 

「コダマビックリした。リトラちゃん強いんだもん」

 

「私も。びっくりした」

 

 

 

 少しして海岸にたどり着いたコダマ達は、海岸で眠るグライアを見つける。神農は、異国の服装のグライアを不審に思いながらも、傷口や症状を観察し、猛毒の大蛸の仕業だとあっさり看破。解毒薬は、手元にないが麻痺を和らげる薬はあると、テキパキと用意を始める。途中目覚めたグライアが警戒するも、医者だと名乗り治療を施していく。

 

 その間に、車椅子を軽々と担いで、砂浜を走り回るコダマ。リトラは車椅子に掴まりながらも、文句は言わない。

 

 

 

「リトラちゃん。私達と同じ目の人って、見たことある?」

 

「ある。他の国で、金髪の」

 

「ラビリンスお姉さんだ。私も会ったことあるよ。海で迷子になってたら、色々あって戦う事になって、めちゃくちゃ厄介だった」

 

 

 

 事実である。戦闘になった際に、ラビリンスの属する軍隊の軍艦を何隻か沈めているのである。そう考えると、コダマは現状青い写輪眼を持つ4人全員と戦った経験がある事になる。

 

 

 

「でも、コダマ今日はびっくりしてる。青い写輪眼を持ったお姉ちゃんだけじゃなくて、妹も居たんだから」

 

「妹? お姉ちゃん?」

 

「そう。コダマの方がお姉さん。おんなじ目持ってる人は、コダマの家族なんだよ」

 

 

 

 それはコダマの理想でしかない。コダマはまだ知らないからだ。本当に血の繋がりが自分達にある事を。だが同じ目を持っている人間は、自分と同類だと理解しているが故に、自分を家族だというのだ。

 

 

 

「後ね、シャナっていうお姉ちゃんもいるんだよ。優しいんだけど、ちょっと怖い人」

 

「ふーん。おもろい話しとるな自分ら」

 

 

 

 コダマがシャナの話をリトラにしていると、麻痺が少しマシになったグライアが声をかけてきた。リトラは初めて見るグライアの目を見て驚いていた。

 

 

 

「奇妙な事もあるんやな。同じ目を持ったものが三人も集まるって」

 

「グライアお姉ちゃん、この子はリトラ。私たちの妹!」

 

 

 

 勝手に妹として紹介される。距離の詰め方が超特急クラスなコダマ。リトラの写輪眼にグライアも内心驚いていたが、コダマと同じく嫌な感じはしなかった。そのため、ラビリンスやシャナと違い、好意的に接する事が出来た。

 

 

 

「ほな、よろしく。グライアや」

 

「よろしくお願いしますグライアさん」

 

「自分も偉いかわええな。こんな妹なら何人おってもええんやけどな。それに呼び方は何でもええよ。お姉さんでもお姉ちゃんでも」

 

「グラ姉!」

 

「ま、ええやろ」

 

 

 

 素直で可愛らしいリトラに心を許しているグライア。今日だけで妹が二人見つかった。これでグライアも全員と顔合わせしたことになる。

 

 素直なコダマとリトラは、可愛らしいと好印象だ。その分、シャナのはねっかえり具合が目立つのだが、シャナに一番似ているのはグライアなので同族嫌悪である。

 

 グライアは、リトラの髪を触りながら、包帯塗れの顔を撫でている。

 

 

 

「こうして会えたのもなんかの縁やな。」

 

 

 

 そして、何よりこの三人の合流に驚いているのは神農だった。

 

 

 

(小娘だけでなく、あの女もリトラと同じ目を持っているのか。グライアと言う名も、有名な指名手配犯か)

 

 

 

 あわよくば、彼女たちも計画に引き込もうかと考えていた時。神農の気が付かないうちに、コダマが彼を下からのぞき込んでいた。そして、無邪気に笑いながらも、神農の胸倉を掴んで引き寄せる。

 

 

 

「おじさん、悪い人だね。けど、助けてもらったから許してあげる。だから、余計ないことしちゃだめだよ」

 

 

 

 もし余計な事をすれば、神農を殺すと口にしたコダマ。嘘を言えない彼女の本音を聞かされ、神農は固まる。自分の背丈の半分もない小さな少女に、命を握られている。本気で戦ったとしても、勝てるかわからない。リトラを動員したとしても、グライアがいるのでは負けが濃厚だ。

 

 屈辱に感じながらも、目的のために偽りの人生を歩んでいる神農は、それを飲み込んだ。

 

 

 

「当然だろう」 

 

 

 

 流石に諦めるしかない。だが、この雪辱は必ず果たしてやろうと心に決めていた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「神農様、リトラ。こいつらは?」

 

 

 

 グライアの解毒剤を作成する目的で、荷物を取りに空き家に戻ると、別行動していた神農の弟子である赤毛の少年が武器を構えながら、警戒していた。だが神農に「患者だ」と告げられ、釈然としない表情ながらも師匠を手伝わない訳にはいかない。

 

 

 

「これね、傀儡って言ってね。こうやってチャクラを使って動かすんだよ」 

 

「凄い。可愛い」

 

 

 

 リトラとコダマは、コダマが口寄せした小さな傀儡人形(サソリ作)を使って遊んでいた。恐ろしいのが、コダマの雑な説明でリトラも傀儡の術を使用できている事だろうか。 

 

 

 

 そして、治療薬を飲んだグライアは、副作用から眠りにつき、コダマもリトラと同じ布団で眠ることになった。患者とその付き添い、その二人ともが妹分であるリトラと同じ目を持っており、赤毛の少年(?)は、何者なのか神農に尋ねる。

 

 

 

「医者は患者がだれであろうと救わねばならん。いつもそう言っているはずだぞアマル」

 

「すいません。ただ、リトラとの関係が気になって」

 

「……リトラの血筋なのは間違いないだろうな。だが心配することはない。あの子は、お前と一緒に居るさ」

 

「はい。ごめんなさい」

 

 

 

 神農に自分の本心を指摘され、気まずそうにアマルは自分の寝室に向かった。 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 次の日の朝、グライアは空き家にいなかった。謝礼として、多すぎる程の金銀を置いて、旅立ったらしい。彼女の人生の目標はたくさんある。姉やシャナに対する復讐。そして、自分の人生をつかみ取るという目的が。

 

 グライアが居なくなり、落ち込んでいたコダマだったが彼女もまた、迎えが来た。

 

 

 

 リトラ達と離れて、今から雨隠れの里に帰ろうかとした時、森から声をかけられる。

 

 

 

「何をしているコダマ」

 

「お、角都だ。えーと、巻物を角都に届けようとしてたんだけど、忘れちゃって」

 

 

 

 角都と呼ばれた男は、木の陰から姿を現してコダマを見下ろす。任務をさぼって遊んでいた自覚があるのかばつが悪い表情をしている。

 

 

 

「それならもうゼツから受け取っている。お前は、集中力に欠けているなコダマ」

 

「ごめんなさい」

 

 

 

 申し訳なさそうに頭を下げるコダマ。

 

 

 

「……反省はしているようだな。だが、お前のせいで遅れた仕事だ。手伝ってもらうぞ。今日は賞金首どもの集会場がある。そこを襲うぞ」

 

「はーい。終わったら、お団子食べたいです」

 

「ビンゴブックのsランク一人につき一皿だ……」 

 

 

 

 角都はいつもの事である仕事終わりのご褒美については何も言わない。そして、妙に調子のいいコダマを連れて、団子屋に行くことになった。呆れるくらい安上がりなので、角都は文句を言えないのだ。

 

 

 

 そこでコダマは、団子を5皿食べ満悦だったという。そして、角都と一緒に観光しながら雨隠れに帰った彼女が家で秘かに書いている絵日記には、楽しげな数日の事が書かれていたという。そして、次は五人でお団子が食べたいと書かれていた。

 





 コダマ外伝は、以上です。疾風伝への繋ぎとなりました。最近また感想頂けて嬉しいです。
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