ナルト視点は、基本ダイジェストになるかもです。
新章開幕 暁と第四班
何年もの修行からナルトが帰還し、成長したサクラと共にはたけカカシとの鈴取り試験を翌日に行うと決まったタイミング。
―――
木ノ葉の国境付近。砂隠れの里との間にある山道。
その場所にあえて建てられた団子屋。砂隠れと木ノ葉の両方の特産団子を出しているお店であり、甘味好きから評価の高い、隠れ家的なお店だった。
そのお店に、二人の客が団子を注文していた。二人組は男性で、赤い雲のような模様が入った黒いコートを身にまとっており、大柄の方が巨大な物体を背負っている。もう片方も竹笠を頭からかぶっており、正直目立つ。
「イタチさん、この店に来て大丈夫ですかね? 一応、木ノ葉との国境ですよ?」
「問題ない」
店員がお盆で持ってきた茶を飲む人物、木ノ葉の名門うちは一族を一人で壊滅させた抜け忍、うちはイタチ。彼の言葉を聞いて肩をすくめながら団子を頬張るのは、霧隠れの怪人、干柿鬼鮫。暁と言う組織に属する二人。
鬼鮫はある事情からイタチが木ノ葉に近づくのを避けさせていた。
しかし、今日は暁の任務でどうしても木ノ葉の領土を移動するしかなかったのだ。
幸い、彼の警戒してた事は起きなかった。
「お前は少し、用心し過ぎるな」
「昔からそういう性なのでね」
とりあえず、一息吐けそうなので鬼鮫も警戒心を解く。彼がそこまで警戒するものが何なのか。それは意外と近くにいた。イタチの座る席の真後ろに座っていた女性が、椅子を傾け、イタチの背中に寄り掛かるような状態になる。
偶然そうなったのだろうと鬼鮫がお茶に意識を向ける。だが女性は、その状態から動かず、話し始める。
「木ノ葉に来るのは三年ぶりくらいだってばね? 元々老け顔だからあんまりかわってないってばねイタチ」
「イタチさん!!」
「下手に動くな鬼鮫」
女性がイタチの名を呼んだことで、鬼鮫は自分の得物である鮫肌に手を伸ばす。しかし、当のイタチは酷く落ち着いている。
イタチは、写輪眼で周囲の様子を確認する。どうやら、背中に靠れかかる女性のほかに、2人の強者が客に紛れ込んでいるらしい。
だが自分に触れる女性の正体を知っているイタチは、少し黙った後、彼女との対話を始める。
「そういうお前は、随分……大人っぽくなったなシャナ」
背中に靠れるシャナを片手で起こして、向き合うイタチ。イタチを向き合うように座るのは、クリーム色の髪を腰まで伸ばし、三つ編みにして、額にはサングラスをかけていた。イタチの持つ赤い写輪眼と対を成すような青い写輪眼を持っている。
服装は、胸元が開いた青いパーカー(背中には、うずまきの家紋)に白いショートパンツ。インナーに鎖帷子を着ている。
イタチの知るシャナは、何年も前のうちは一族襲撃事件の時であり、その頃と見比べれば、随分と大人になったなと言う印象を抱いた。かつての小さき少女の面影は残しながらも、美しい女性に成長していた。
イタチ以外でも、3年前のシャナを知る人間なら、全員が全員、シャナが女性らしく成長したと称するだろう。そして、何よりも目力や威圧感は、遥かに凶悪になっている。一睨みで相手の戦意を喪失させかねないほどに、シャナは強くなっていた。それでも表情はどこか明るく、過去にあった暗さは軽減されている様子。
「よく言われるってばね。で、そっちの大きいのが、霧隠れの怪人?」
シャナの青い写輪眼で見つめられた鬼鮫。非武装の相手に対して、冷や汗をかいてしまう。
「木ノ葉の青い閃光に名を知られているとは、光栄ですねぇ」
「意外と目が可愛いってばね」
「は?」
「気にするな。こいつの感性は、少し変わっているだけだ」
(イタチさん。それはそれで私に失礼では?)
シャナは鬼鮫に対する警戒を解いた。そして、古くからの知り合いに出会えたことに喜びながらイタチを向き合う。
「何故お前が此処にいる?」
「なんでって、お前たち暁で、話に上がらなかった? 私が何をしているのか。お姉さ~ん、この砂団子追加で、後こっちの人には、甘草団子追加で」
イタチと話しながら、美味しかった団子を追加注文するシャナ。店員もシャナとイタチ達の只ならぬ雰囲気に困惑していたが、一先ず争う気がないと知って安心していた。シャナがイタチの分も勝手に頼んでしまった。
だが、甘党のイタチは、その事に対して何も言わない。どのみち自分でも注文するつもりだったのだから。
そして、会話の中でシャナが言っていた、彼女がしていること。それは、暁にとって最も重要な事だろう。
「いいんですか、イタチさん。彼女は」
「問題ない。俺達がシャナの席を越えなければ、こっちは砂隠れの領土だ」
「貴方がそういうのなら、わかりました」
鬼鮫は持ち上げようとしていた鮫肌を地面に下ろし、椅子に行儀よく座り直した。そして、彼の隣の席でこちらを監視している二人の男女に目を向ける。
「貴方達2人も削り甲斐がありそうだったんですがね。その顔、ビンゴブックで見た事がありますよ、幻術姫と毒蓮華ですね」
「あはは、お互い連れには苦労させられますよね。一応戦闘は考えていないので、お団子を堪能しませんか?」
「俺たちは、別の任務の帰りに此処に立ち寄っただけだ。だから、この店を無茶苦茶にするつもりはない。だが、警戒はさせてもらう」
「ご自由に。私はゆっくりさせてもらいますよ」
鬼鮫の隣の席にいるのは、トルネと八雲だった。トルネは身長が伸び、180を超え、鍛え抜かれた体は、鋼を思わせる。それでいながら、隙一つない佇まいで、鬼鮫をして削り取れるかわからないと考えていた。服装は、全体的に黒い服で、顔を覆うようなマスクが印象的だろうか。声に威厳があり、自信に満ち溢れている。もし戦闘となれば、制圧する自信があるのだろう
一方、八雲は髪型をショートカットにし、紫と黒と青の少し派手な着物を着ている。その着物袖から見える指には、指輪が備えられており、彼女の戦闘スタイルを物語っている。全体的に優しげな雰囲気を漂わせているが、その目や気配から、歴戦の忍である事は明白。戦闘の意思はないと言っているが、鬼鮫が少しでも怪しい動きをすれば、八雲は瞬時に、命を刈り取りに来る。強者特有の余裕すら感じさせる。
(木ノ葉の第四班ですね。一人一人が、ビンゴブックsランクの子達ですか。厄介ですね)
ナルトが旅立った後、わずか1年で八雲とシャナも木ノ葉の上忍に昇格していた。解決してきた案件や敵対者が、どれも大物であり、その事実が彼女たちの出世につながっていた。
特に、第四班の面々の功績で新しいものは、鬼鮫やイタチが所属する暁のメンバーを4人殺している事だろう。暁は、3年の間に何人も追加でメンバーを増やした。全員がsランクの賞金首であり、特殊能力を持った強者たちだったが、全員木ノ葉の領土に足を踏み入れ、帰らぬ人となった。
岩隠れ出身の触れたものすべてを腐食させる人物が鞍馬八雲と戦闘となり、この世の恐怖全てを味わったような表情を残して無残に殺される。
雲隠れ出身の神速の剣を操る剣豪は、トルネと戦闘に入り、僅か3分で殺されたという。
時空間忍術に長けた一族で、自身を最速の忍だと自称していた男は、うずまきシャナにスピード勝負を仕掛けるも、僅か数秒で足を切られ、次に首を落とされたという。
一番新しいのが、電子という人間を沸騰させ瞬時に殺す特異な血継限界を持つ女は、シャナとの戦闘でこの世から消滅した。
どれも中々強い忍だったが、全て第四班によって殺されてしまった。その為、木ノ葉の領域に足を踏み入れる事を禁じられる始末。あまりにリスクが高いのだ。一人一人が暁と同等かそれ以上の忍が集まったのが第四班である。
他には、シャナの噂を聞いたデイダラが、ちょっかいをかけに行き、片腕と右足を失って帰ってきた事くらいだろうか。
そのため、新メンバーには、殺しても死なない男が選ばれた。
的確に暁の侵入を察知し、狩りに来るのが第四班と言うのが暁の認識である。だから、鬼鮫は警戒していたのだ。そして、予想通り第四班は、現れた。
今鬼鮫たちが襲われない理由はただ一つ。二人が砂隠れの領土に座っているからだろう。
酷い緊張感のある空間だが、当事者であるシャナは嬉しそうにイタチと話している。
「イタチも昔より強くなったなら、私と戦ってみるってばね?」
「遠慮しておく」
本心だ。イタチとシャナが戦えば、何方が勝つかはわからない。だが、イタチはある目的のために死ぬ訳にはいかない。仮に勝てたとしても、手痛い代償を負うのは目に見えている。そんなリスクは負えない。
「いろいろ話したい事があるのに……私たちってば、立場が邪魔をするってばね」
「当然だな。忍とはそういうものだ」
「そうだってばね。……お前の目的はまだ変わってないってばね?」
シャナの質問。イタチはその質問に目で応える。
「そう。お前、いい死に方しないってばね」
「それは、皮肉か? それとも……例のあれか」
イタチは未来視を知っている数少ない人物だ。半信半疑であるが、シャナが未来を予知できる可能性は、高いと考えている。なら、彼女の言うそれは、イタチの未来を示唆している。
「あの子の運命を狂わせたお前は、私が殺そうかと思ってた。けど、その顔色を見たら、やる気がそがれたってばね」
「お前の目はそこまで、見えているのか」
シャナはイタチの抱えている問題に気が付いていた。そして、彼から醸し出される思想とその結末を予知している。だからこそ、止めるつもりはないと伝える。イタチはそのことに感謝した。
そして、今度はイタチからシャナに伝える事があった。
「コダマがお前に会いたいと言っていた」
「2年前に会ったきりだってばね」
「お前はあの子に攻撃を仕掛けないんだな」
「あの子は強いってばね。それに、毒気を抜かれて、殺す気になれないんだってばね」
唯一木ノ葉領に足を踏み入れて無事で帰ってきたのが、コダマである。独断行動が多いコダマは、暁でありながらいろいろな勢力に味方も多いという謎な人脈を持っている。その所以でシャナもコダマには、敵対していない。コダマがナルトを狙う組織にいる事はわかっているが、それでも見逃している。
それがシャナの甘さなのか、力ある故の余裕なのかは謎だ。
それから少し話をし、シャナ達が木ノ葉の里に帰ると言って席を立った。その際に、シャナは荷物から紙袋を取り出し、イタチに手渡す。
「これは?」
「故郷に帰りたくても帰れない哀れな男の為に、用意したお土産だってばね。八雲、トルネ、帰るってばね」
そう言い残しシャナは茶屋を後にした。鬼鮫が、イタチの手元の紙袋を見て、それは何かと尋ねる。イタチもそれを探るために、紙袋を開け、中を覗けば、中に入っていたのは煎餅だった。
「煎餅? なんでこんなものを」
鬼鮫が訝しむが、イタチは煎餅を手に取り、口に運んだ。毒の警戒はしていなかった。シャナは、毒殺など行う必要がないほど強いからだ。
そして、煎餅を食べたイタチの表情が少し、苦しげになった後、優しい顔になる。
「問題ないんですか?」
「あぁ。お前も食べるか? これは、うちは一族の煎餅だ。もうこれしか食べる機会がないぞ」
シャナがイタチに渡したのは、かつてうちは一族に存在した名物、うちは煎餅だった。シャナが子供の頃に好きだった煎餅であり、作り手はイタチが殺したため、失われた味だった。
しかし、シャナは時間が空いた時に、誰も管理しないうちは一族の集落を一人で管理しており、其処で偶々見つけたレシピで復活させたのが、このうちは煎餅だった。
「懐かしい故郷の味だな」
今はもう帰れない故郷の味に、イタチは、残り少ない自分の人生を見つめ直すのだった。
次回はキャラまとめ とかになりそうです。主に青い写輪眼の姉妹の情報追加などです。