イタチとの再会を果たしたシャナは、報告書を火影に提出しに行った二人と別れ、家に帰った。
「お腹空いたってばね。今日は、一楽にしようかな」
なんとなく外食しようという気分になり、軽い足取りで一楽へと向かったシャナ。店の暖簾をくぐると店長のテウチと娘のアヤメが、シャナを見て迫る。
「え、え、何? なんだってばね?」
急に二人に詰め寄られ、何があったのか理解できないシャナ。
「おいシャナ。お前聞いてないのか?」
「だから何を? 私何かやったってばね?」
木ノ葉の影ともいえる根の人間を5人ほど始末した事がバレたのか。他にも事件を引き起こした自覚はある。だがどれかわからない。二人に落ち着くよういうと、アヤメが答えをくれた。
「ナルト君よナルト君。今日帰ってきてるのよ。え、あ、はや!?」
「本当に閃光みたいに消えたな。まぁシャナの気持ちを考えるなら当然だな」
アヤメの言葉を聞くなり、シャナは店を飛び出して、家に向かった。ナルトが帰っているなら、家しかない。そう考えた時には、粒遁・天翔まで使って玄関前まで辿り着く。
(ん? 電気がついてない? それに息を殺している?)
――――――
ナルトが家に帰ったと思ったが、冷静に侵入者の可能性を導き出す。シャナは、ゆっくりドアを開け、中に入る。そして、部屋に入ると同時に気配を感じたリビングに瞬身で駆け込み、僅かな気配を漂わせる存在
に襲い掛かる。
「おわっ」
「動くな」
一撃で殺しはせず、ワイヤーで拘束し、床に押さえつける。そして、天井につるされた電球のひもを引いて電気をつける。
「あ?」
暗闇で写輪眼は光るので写輪眼を使わず裸眼での捕獲を行ったが、シャナが縛り付けたものは、丸太だった。完全に捕まえたつもりだったのだが、どういう事だろうかと考える隙が生まれる。
その隙をつくように、冷蔵庫の陰から人影が現れシャナの後頭部に固い何かを突き付ける。油断しすぎたかなと写輪眼を使おうとしたシャナだったが、背後にいる人物が笑いだす。
「ひひ、へへ。一本取ったってばよ姉ちゃん」
シャナの後ろにいたのは、ナルトだった。そして、シャナが縛っていた丸太が煙を上げ、ナルトの形に変化する。どうやら元々ナルトは影分身で2人になり、シャナが捕まえた方が瞬時に変化の術を使ったことで攪乱をしてきたらしい。
影分身と変化のタイミングがうまい事シャナの隙を突き、背後からサランラップの箱を突き付けたのが本体らしい。
二人のナルトがしてやったり顔で笑う。姉から一本取ったと喜ぶ姿は、まだまだ子供だ。だが、3年も経てば、男の子は立派な男になっていた。
シャナは、成長したナルトの様子をよく観察しようとしたが、ナルト相手に舌を出して笑う。
「惜しかったってばね」
ボフンという音と共に、シャナが消える。そして、玄関がガチャリと開き、シャナが入ってくる。
「えぇ!?」
「姉ちゃんも影分身だったのか」
シャナの本体は家の外に待機していた。そして、影分身が自分から消えたことで、内部の様子を知って入ってきた。そして、罠にはまったのは自分だったのかと嘆くナルトを抱きしめた。
「ね、ねえちゃん」
「おかえり、おかえりだってばね、ナルト」
感極まったような姉の声。涙を流しながら自分の帰りを迎えてくれたシャナに、ナルトは抱き返す。姉弟二人で再会を抱擁で迎える。二人してしばらく再会を噛みしめ、ようやく離れる二人。
「ナルト。背、滅茶苦茶伸びたってばね」
「へへ。昔は見上げてたけど、姉ちゃんと同じくらいだってばよ」
3年間で大きく身長が伸びたナルト。彼の言う通り、いつも見下ろしていた少年の目線は今は、同じ位置にある。可愛い旋毛をもう拝むことは出来なくなったと少し寂しいシャナ。
身長だけでなく体格も立派になっていた。現に、女であるシャナよりもナルトの方が体が大きいのだ。
「帰ってくるなら、連絡くれれば良かったのに」
「サプライズだってばよ」
本当に見ない間に立派になった。
つもる話もある二人は、テーブルに腰かけて、対面する。ナルトは何から話したらいいかわからないと言った様子だったが紅茶を淹れて、全部聞くってばねと言ったシャナの言葉に従い、3年近くの修行について語っていく。
いろいろと驚く話もあったが、いい時間を過ごせたのは間違いなさそうで安心するシャナ。自来也との修行は、ナルトの長所を伸ばす訓練が主だったようだ。影分身の使い方や、身のこなしの向上など。他にも解決した事件や、面白おかしい話など、ナルトの話は留まるところを知らない。
しかし、既に夕飯の時間になっていたこともあってか、ナルトのお腹が大きな音を立てる。
「お腹空いた? 今日はどうする? ナルトの事だから、一楽のラーメン楽しみにしてたってばね?」
今から一楽にラーメンでも食べに行くかと聞くシャナ。しかし、ナルトの返答は、想像しないものだった。シャナの提案に少し照れ臭そうにしながら答えるナルト。
「一楽のラーメンも夢にまで見てたんだけど、今日は、姉ちゃんの作ったご飯食べたいってばよ」
一楽のラーメンはずっと食べたかった。だが今日だけは、姉の手料理の味が欲しかった。その素直な言葉を受けてシャナが、涙ぐむ。シャナの手料理は、基本的にクシナの味なのだ。シャナは記憶している味を徹底的に再現するため、完成度は高い。
シャナが一番好きな味であり、ナルトもその味を恋しがっている。
「え、なんで、何で泣いてるんだってばよ」
「いや、何でもない。ただ、嬉しいこと言ってくれるってばね。いいよ、今日は姉ちゃんが作ってあげるってばね」
涙を拭いながら、冷蔵庫を覗くシャナ。あんな可愛いお願いをされたら断るわけにはいかない。そして、冷蔵庫の中の食材を取り出し、献立を鍋に決めた。
「ご飯作っちゃうから、お風呂入るってばね」
「俺も何か手伝うってばよ?」
「長旅の帰りだってばね。お前はゆっくり疲れを癒すってばね」
テキパキと作業していくシャナの言葉に逆らえず、数年ぶりの我が家で寛がせてもらうことにしたナルト。そして、ナルトが風呂から上がり、シャナの作った鍋を二人で平らげる。
そして、腹が膨れた二人は、夜遅くまで対話を楽しんだという。