NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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それぞれの成長

 

 ナルト達が鈴取り試験を行うのとほとんど同時期。木ノ葉の郊外の密林では、うずまきシャナと自来也が対面していた。

 

 腕を組んでいる自来也に対し、シャナはストレッチをしながらこれから起こる激しい運動に備えている。

 

「本当にやるのかシャナ」

「やるよ。手加減一切なし、もちろん仙術も使ってもらうってばね」

 

 準備運動を終えたシャナは、写輪眼で自来也と向き合う。自来也は、心底嫌そうな表情だったが、これもシャナとの契約なので逆らえない。

 ナルトの修行が終わった後、シャナとの手合わせを行う。これが約束だった。シャナは身内であっても容赦ない。下手な事をすれば殺される。だからあまり乗り気ではない。

 

 3年の間でシャナがどれほど強くなったか。それに興味もあった。

  

「嫌そうな顔して、ずっとチャクラを練ってるの、気が付かないと思う?」

「お、バレとったか」

 

 戦闘開始前に、仙人モードの準備に取り掛かっていた自来也。本気で戦うのなら、自来也には一切の手加減をする余裕はない。多少の場外戦法も許されてしかるべきだろう。

 孫ほど年が離れた女子相手に、卑怯だとは思うが、忍の戦闘とはそういうものだ。シャナもそれを理解しているのだろう。既に殺気を彼に向けている。

 

「じゃ、やるかの」

「いいよ。結構楽しみにしてたってばね」

 

 そういうと、二人は瞬時に接近。お互いに掌に螺旋丸と螺旋輪虞を形成。たがいに必殺の一撃を繰り出し、それらが衝突。衝撃波が周囲を駆け巡り、体重の軽いシャナが押し負けて吹っ飛ばされる。

 

 飛ばされたシャナは、空中で身を捻り、木の側面に着地。自来也の出方を窺う。自来也は両掌を合わせており、準備は整っている様子だった。

 そして、指の皮を紙きり口寄せの印を結んでいく。

 

「お、いきなりだってばね」

 

 本気で挑んでくる自来也相手に嬉しくなったシャナは、自然と邪悪な笑みを浮かべる。強敵との戦いはいつも心が躍る。この楽しみのために暁を積極的に狩っているまである。

 

 シャナは自来也の口寄せに対抗するように、指の皮をかみ切る。そして、使えない筈の口寄せの印を結び、自分が足場にしている木に掌を向ける。

 

「「口寄せの術!!」」

 

ほぼ同時。二人が口寄せの術を発動し、煙が発生する。

 口寄せの煙が密林に広がり、中から両肩に小さな蝦蟇老夫婦を乗せた自来也が現れる。既に仙人モードに入っており、目に隈取が現れていた。

 

「なんじゃ自来也ちゃん、いうとった約束の日は今日かいな」 

「えぇ。個人的な戦いに巻き込んで申し訳ないですが、こちらも一切手加減できない相手でして」

「それで、相手はどこなんじゃ?」

「一応目の前にいますな。只油断だけはないようお願いします」

 

 通常よりも煙が濃い。直前に見たシャナの行動。それは間違いなく口寄せの術だった。口寄せ契約の出来ないシャナが口寄せを使う意味が解らない。だが、動物以外であれば口寄せできるシャナが、何らかの武器でも口寄せしたと判断する。

 仙人モード特有の感知能力でシャナのチャクラしか感じない。

  

「ところでよ、自来也ちゃん」 

「なんですかの」

 

 印を結び火遁の準備をする彼に、老蝦蟇であるフクサカが質問をする。

 

「仙術の修行をつけてやったのか?」

「は?」

「わからんのか小僧。あの娘、仙術を纏っておる」

 

 自来也が気が付かなかった事実に、二人は気が付いていた。煙が晴れて、中から出てきたシャナの様子がおかしかった。

 

 いつものシャナだが、下瞼に隈取が現れていた。さらに服装も変わっており四代目火影のマントのようなものを纏っていた。四代目の服と違うのは、両肩と背中に刻まれる瞳のような文様とその下に9つの勾玉と言うデザイン。それだけの変化でしかない。

 けれどそれは決定的な変化だった。

 

「ご明察。ばっちり、盗ませてもらったてばね」

 

 シャナはこれを自来也に見せたくて仕方なかった。わざわざ時間を作らせてまで披露したのだ。自分はこれだけ強くなったのだと。

 

「その反応、教えておらんのか?」

「盗んだ言うとるで」

 

 姿を見て改めて理解した。シャナは、仙術をものにしていると。契約の出来ないシャナがどうやって契約し、口寄せ動物のいる里で仙術を学んだのかは不明。だが、言える事はシャナが、仙術を会得し、仙術モードになっているという事実のみ。

 

「はっ、これだから、時代の流れは、こわいのォ」

「さ、やろうってばね。仙術同士、どうしようもない闘争を」

 

 自来也は、右手に巨大な螺旋丸、仙法・超大玉螺旋丸を作成。それを繰り出そうと駆け出す。一方、受け止める体勢のシャナは、掌に巨大な螺旋輪虞を形成したかと思えば、それが圧縮され、潰れて円盤状に変形する。巨大な円盤を高速で回転させ始める。圧縮され、さらに高速回転させられたチャクラの円盤は、眩い光を放つ。

 見ただけで、感じただけで理解した。この術はヤバいと。それは両肩の二人も理解しており、印を結んで迎撃の準備をしていた。

 

「仙法・超大玉螺旋丸!!!」 

「仙法・天機」

 

 シャナと自来也両者の仙術が衝突。その余波で周囲のものはすべて吹き飛んだ。

 

ーーーーーーーーーー――

 

 ちょうど同じころ、滝隠れの里近くの山岳地帯。そこで、任務を終え里に帰る途中だった三人の忍がいた。2人の上忍と褐色肌に薄黄緑色の髪をした少女、名をフウと呼ばれた少女は、何者かの追跡に気が付き足を止める。

 

「何処のどなたか存ぜぬが、とっくに気付いてるぞ!」

 

 追跡者を警戒し、出て来いと大きな声で威嚇する上忍。その声に反応してか隠れていた3人が姿を現す。

 

「へへ、俺はやめとこうって言ったんだぜ? 殺せねぇのはめんどくせえしな」 

 

 姿を現したのは、銀髪をオールバックにし、赤い巨大な鎌を持った男。頭巾とマスクで顔を隠した大男。二人は、黒地に赤雲の模様がある外套を纏っていた。その姿は、忍五大国でも問題視され始めた傭兵集団、暁のものと情報が一致していた。

 暁の忍に警戒を強める二人の上忍。さらに彼らの背後には、黒髪のツインテールに青い写輪眼を持った少女が同じ衣装を身にまとって待機している。彼らは暁の飛弾と角都、そしてコダマ。コダマは3年前と姿があまり変化しておらず、変化と言えば背中にピンク色の飛弾と同じデザインの鎌を背負っているくらいだろうか。

 

「ねぇねぇ、このお姉ちゃんが人柱力なの?」

「そうだ」

 

 少女は、マスクの男の袖を引っ張りながら尋ねている。奇妙な集団で警戒心をさらに強め、いつでも飛び出す準備を整える二人。しかし、フウだけは暢気に声を上げた。

 

「あー! そこのおじさん、ひょっとして元滝隠れ?」

 

 フウは、マスクの男に指をさし、そう尋ねる。そのことに男は何も答えないが、彼の額当ては間違いなく滝隠れのもの。故に滝隠れ出身の彼女が知っているのは無理はない。

 

「あなた、知ってるっす。火影暗殺に失敗して、上役の心臓奪って里を抜けた角都先輩でしょ」

「お前そんなことしてたのかよ角都」

「昔の話だ」

 

 フウは、無警戒で角都に近寄り手を差し出した。

 

「あっし、角都先輩に会ったら友達になってほしかったっす。最初は大人の友達からでよろしくっす」

「なぁ角都、アイツ馬鹿?」

「さぁ。里を抜けたのは随分と前だからな」

 

 握手を求めるフウ。フウは、本心から和解を求めている。しかし、角都はそれに応える事はない。

 

「今日ここに来たのは、友達になるためではない」

「それは残念」

 

 明確な拒否に少し落ち込んだような表情になるフウ。一方で、フウの手を握って友達になろうとしたコダマだったが飛弾が襟首をつかんで止める。

 

「馬鹿、おまえが友達になってどうするんだよ」

「飛弾に馬鹿って言われた!? 角都、飛弾がコダマを馬鹿って言った!」

「あー、うるせぇうるせぇ」

 

 馬鹿とは何だと抗議するコダマと彼女の頭を片手で押さえてめんどくさそうにしている飛弾。彼らを無視して、角都は、フウに向かって拳を振り下ろす。フウはそれを見切って回避。さらに腰から虫の羽のようなものを生やして空を飛ぶ。

 

「ほお」

「うげ、飛べんのかよ」

 

 空を飛んだフウをどうするべきかと考えている二人。さらに護衛についていた忍達もクナイを投擲。飛弾は、それらを鎌で叩き落とし、角都は硬質化した腕で弾く。

 

「フウ!! ここは我々に任せて、里まで逃げろ!」

 

 フウは、七尾の尾獣を体に宿した人柱力。彼女を奪われるわけにはいかないと捨て身の応戦をかって出た。

 

「すぐ応援を呼んでくるっす!!」

 

 敵の力量はある程度理解。今の自分では勝つのが難しいと判断し里に向かう事に決めた。空を飛べる彼女の追跡は困難で、二人が時間稼ぎをするのなら、里にたどり着くのもすぐだった。

 

「ごめんね、お姉ちゃん。コダマ、尾獣を集めないといけないんだ」

(は? あっしより上に?)

 

 空は自分のフィールド。そう思い込んでいた。里の外を余り知らない彼女は、自分以外に空中戦を得意とする相手がいると想像していなかった。

 

 フウの上空には黒い翼を頭からはやしたコダマが先回りしており、巨大化した獣の腕で背中を殴りつけられたフウは、勢いよく地面に落下した。

 地面に激突するも、意識を失っていないフウは、どうにか立ち上がって再び空に飛びあがる。

 

「頑丈だねお姉ちゃん」

「あっしもだてに人柱力じゃないっす」

 

 フウは、腰から生えた虫の羽から、無数の鱗粉を放出し始める。それらは太陽の光を受けて反射し、コダマの視界を歪めていく。

 

「行くっす!」

「こーい!」

 

 クナイを持って接近するフウを迎え撃つ形で、背負っていたピンクの鎌を振り回すコダマ。忍界でも珍しい空中戦が行われた。

 

 接近しては互いに刃を振るい、火花を散らす両者。だが押しているのはコダマ。パワーに圧倒的な差があり、一撃が非常に重い。フウもこのままではやられると思ったのか、普段は行わない尾獣の力を引き出す。

 

「チャクラが噴き出してる」

 

 チャクラの衣を纏ったフウとコダマの戦闘は、更に苛烈になっていった。

 

――――

 

 一方で上忍たちを既に殺し終えた角都と飛弾。二人とも一応賞金になるからと角都が死体を集めており、その横では飛弾が地面に血で円陣を描いて儀式を行っていた。

 

「なぁ角都。コダマと人柱力、何処まで飛んで行ったんだよ? 第一、あのちびっこ一人で尾獣をなんとかできるのか?」

「お前が他人の心配とは珍しい。雨が降るな」

「ちゃかすなよ」

「あいつは、お前より強い。それはお前が理解しているはずだ」

 

 角都の指摘に苦い表情になる飛弾。初遭の際、角都と戦い、簡単に殺せない相手だと知った。互いに不死身の能力を持っており、痛み分けに終わったのは苦い思い出だ。だが、更にもう一人、飛弾の使う技を無効化する化け物が居るのは予想外だった。

 飛弾は不死身の肉体を持っており、相手の血を舐める事で相手を呪い、自分に与えたダメージが相手にも与えられる回避や防御不可能な術を使う。

 

 なのに、コダマは心臓を破壊されても痛がるだけ。むしろ、不可思議な現象に少し面白そうにしていた。流石にその能力にはドン引きした。

 けれど、死ににくいだけで、尾獣みたいな規格外の化け物を相手できるかと言えば別だろうと思った矢先。

 

「飛弾。どうやら、激戦となっているようだ」

 

 角都の言葉を聞いて、空を注意深く見れば、雲の中で馬鹿でかい二匹の怪物が戦っていた。

 

「んだよあれ」

 

―――――――

 

 空中を繰り広げていた二人だが、コダマによって瀕死に追い込まれたフウの封印が解けてしまった。それによって完全に顕現した七尾の尾獣、七本の羽を持ったカブトムシのような怪物はその圧倒的な速度と膂力、質量でもってコダマを圧倒し始める。しかし、コダマも切り札である自分の本性を解放。尾獣並みの体躯と巨大な黒い翼、両手両足は、獣のようで、胴体は非常に細く、人間でいえば胸部に巨大な口がある。

 

 怪物サトリの姿になったコダマ。その膂力と速度は七尾と並び、二体の怪獣は、ぶつかり合っては傷を負っていく。

 

【楽しい!!楽しいぃいい!!!】 

 

 3年前と違い、サトリの力を解放しても自我が失われていないコダマ。ただ、気分が高揚するようで常にハイになっている。そして、普段は抑え続けた力を発揮しても壊れない相手に興奮していた。最初は優勢だった七尾だが、カブトムシのような重装甲を規格外の膂力を持つコダマの変じたサトリによって鎧が少しづつ凹まされていく。サトリと化したコダマ相手に徐々に押され始め、いよいよ尾獣玉の使用を余儀なくされる。

 

 苦肉の策として膨大なチャクラの塊を口の前に集め放つ尾獣の必殺技。食らえばコダマとて無事では済まない。

 

【粒遁・天墜!!!】 

 

 サトリ(コダマ)は、胸部の巨大な口で粒遁の粒子を集束、圧縮した弾丸を形成。それを七尾に向かって発射。七尾もそれと同時に尾獣玉を発射する。威力自体は、七尾の尾獣玉の方が優れていたのか、コダマの粒遁・天墜が一方的に打ち破られる。

 しかし、コダマの天墜は集束が異常に早く、何発も連射することで尾獣玉の威力を殺す。

 相殺した後、さらに追撃で七尾に天墜を発射し続けるコダマ。一発一発の威力が高い攻撃を受け、七尾は自分の飛行能力を生かして逃走を始める。しかし、コダマはその大きな翼で獲物を逃がさず攻撃を続ける。

 

 七尾も尾獣玉で応戦。二匹の怪獣は、互いに遠距離攻撃を行い空で無数の爆発が発生する。その爆煙に身を潜めた七尾は、特大の尾獣玉を用意し、次攻撃してきたコダマを撃墜する準備を整える。

 

【こっちだよ!!!】

 

 どこから撃ってくるかと待ち構えていた七尾だったが、サトリ(コダマ)の行動は接近戦だった。煙の中から強襲し、巨大な腕で七尾の用意した尾獣玉を掴むと、それを七尾の口に押し込んだ。

 

 そして、威力の逃げ場を失った尾獣玉が炸裂。巨大な爆発が発生する。そして、爆発の中心から吹き飛ばされた二匹の怪獣は、高高度からの落下を始める。

 

【いててて】

 

 尾獣玉を掴み、相手の口にねじ込んだサトリの腕は、吹き飛んでおり全身大火傷を負っている様子。だがコダマよりも重症なのは七尾だった。口内で尾獣玉を暴発させられ、完全に瀕死の状態まで追い込まれている。

 コダマの作戦勝ちと言える。だが相手は尾獣の一匹。通常なら即死する攻撃だったが、すぐに意識だけは取り戻したのか、六本あった羽は四本も消し飛び、かろうじて飛べると言った様子で逃亡を図る。

 しかし、それを許さないと片腕のサトリが飛びつき、その巨大な口で残った羽を食いちぎり、咀嚼した。

 

 飛行手段を失った七尾の尾獣とサトリ化したコダマは、そのまま重力に引かれ大地へと落下。凄まじい衝撃が山岳地帯を襲い、山崩れを引き起こした。

 

 

 

 

 

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