NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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砂隠れ

 

 サトリと化したコダマと七尾の戦いが終わり、周囲を砂埃が覆ったが、すぐに晴れる。

 そこには、既に護衛を殺し終えた角都と飛弾が駆け寄ってきた。

 

「おーい、こだま~。生きってか?」

 

 砂埃が晴れると動かなくなった七尾の尾獣が横たわっており、サトリと化したコダマの姿が見えなかった。飛弾は、七尾の胴体に跳び乗って周辺を確認するがコダマが居ない。

 

「コダマ!! 返事をしろ!!」

 

 意外な事に角都が声を上げながらコダマを捜索する。その怒声に飛弾も目を丸くしている。角都や飛弾そしてコダマは、不死身に近い能力を持っている。だが、七尾のような巨体に押しつぶされれば、死んでもおかしくはない。

 心底心配しながらコダマを探索する角都の姿を飛弾は馬鹿にできなかった。

 

「く」

「どっかに吹っ飛ばされたんじゃねぇか? あいつ小さいしよ」

 

 コダマが居ない事で腹を立てた角都が、硬質化した腕で七尾の胴体を殴る。それを止めず、飛弾は周辺を探してみようと提案する。新参者の飛弾から見ても、角都はコダマを特別視しているのは明白だった。相性がいいのか、それとも別の理由があるのかは不明だが明確に、不器用な男なりに可愛がっているのは事実。

 

(傍から見ると、孫と祖父だよな) 

 

 しかし、コダマは暁のリーダーが育成している私兵。任務中に行方不明となったとあれば、めんどくさい事になりそうだと頭を搔いている。

 

 ムショムシャ。

 

「ん? 何の音だ?」

 

 七尾のしっぽのあたりから咀嚼音が聞こえ、飛弾は音の方向に足を運ぶ。羽の裏側に気配を感じ、鎌を向けるが、咀嚼音の正体を知り肩の力が抜ける。

 

「おい、呼んでんだから返事しろよ」

「ムシャムシャ。ごめんなさい。コダマお腹すいちゃって」

 

 音の正体は、七尾の羽をちぎって食べているコダマだった。とんでもないものを美味しそうに頬張っているコダマの姿に呆れた飛弾だったが、角都が凄い速度で駆け寄り、コダマの手を止める。

 

「うえ?」

「お前、尾獣を食ったのか? すぐに吐きだせ」

 

 尾獣を食したコダマに手遅れになる前に吐き出せと命じる角都だったが、コダマは驚いて飲み込んでしまう。角都は過去に尾獣を食べた人間を知っている。

 

 その人物は、2位代目火影の生きていたころ、雲隠れの里の金閣銀閣と言う忍が九尾の腹に入ってその肉を食って生き永らえたという。だがその二人が特別なだけで、他の人間達は、尾獣の肉を食った瞬間苦しみながら死に絶えた。

 コダマが得意な体質とはいえ、命にかかわる問題に違いない。

 

「う、ぐうう」

 

 突然、コダマが苦しむような声を上げる。そして、赤いチャクラがコダマの全身からあふれ出し、彼女の全身を覆い尽くした。

 

「なんだこれ?」

「尾獣化したか」

 

 飛弾と角都は後ろに飛んで距離を取る。そして、コダマを包んだ赤いチャクラによってコダマの肌が剥がれ、七本のしっぽを持つ赤い獣のような姿になったコダマ。それは人柱力が尾獣の力を引き出す際に変じる尾獣化だった。

 死にはしないまでも七尾のチャクラに乗っ取られっとあれば、倒すしかない。戦闘態勢に入った二人だが、コダマが発した言葉で戦闘態勢は解除された。

 

「見てみて! コダマ変身しちゃったよ!! それに尻尾も6本も増えた! これはスーパーコダマモードと名付けよう」

 

 自分の姿を見て、滅茶苦茶はしゃいでいたコダマ。コダマは金閣銀閣と同じく、尾獣の肉を食い。その力を宿す事が出来たのだった。

 

(ありえん。リーダーは、何処からあの子を連れてきたのだ)

 

 暁のコダマ。生物兵器のコダマが、尾獣の力を得たことは、暁の中でも大きな事件となった。そして、回収された七尾は、暁の持つ隠れ家へと連れ去られたのだった。彼らの目的を果たすために。

 

ーーーーーーーーーー―――――

 

 場所が変わり木ノ葉。修練場は荒れ果て、戦争でも起こったかという有様だった。

 そして、修練場で大の字になって倒れている自来也が居た。仙人モードは既に解除され、両肩にいた仙人蝦蟇達も口寄せの限界時間が来たため帰還している。そして、彼の前に立っているのは、うずまきシャナだった。

 

「かん、全、勝利だってばね!!」

 

 シャナは仙人モードを継続しており、何か所か怪我はしているが戦闘は可能。一方手札を出し尽くした自来也はすっからかんでもう動けなくなっていた。

 

 仙術を用いた闘争は、シャナが勝ったのだった。その結果に酷く満足したシャナはご機嫌だった。自来也は埃を払い立ち上がる。

 

(死ぬかと思ったわい。本当に、呆れるくらい強くなったのォ)

 

 本気でやっても負けた事実は、彼に酷く老いを実感させた。若さと才能を持った少女の成長速度が、もはや過去でしかない自分を追い越すのは必然と言える。その結果は苦く、そしてすっきりとしたものだった。

 そして、自分に勝った少女は、駆け寄ってくる。そして、自分を見上げている。

 まるで褒めてくれと言わんばかりに。そんなシャナの頭を自来也は撫でてしまう。

 

「自力で仙人モードに至るか。シャナ。一応、忠告だが、仙人モードは危険だ。あまり広めるのはやめておけ」

 

 シャナは自分の術や修行法を開示することがある。それは、主に仲間達にだろう。だが、いくら優秀とはいえ、仙術は本来リスクが多い。習得する際も、仙人が修行を見ていてようやくある程度の安全性を確保できるのだ。それを独断でやったシャナは、他の人間にもその方法を伝授してしまうかもしれない。

 そうなれば、修行の過程で死んでしまうものもいるだろう。

 

「え? でも八雲とトルネは、マスターしたってばね」

「は?」

 

 シャナの爆弾発言は、度肝を抜いた。そして、詳しく事情聴取したのち、彼女には念を押しておいた。

 

(時代の流れは、本当に恐ろしいのォ)

 

 自来也とシャナの模擬戦は、完全に終わり、同じころ鈴取り試験を行ったナルトやサクラ達とも合流して、全員で一楽に足を運ぶのだった。

 

 

ーーーーーーーーーー―――――――

 

 砂隠れの砂漠の一面で、数十人に及ぶ砂隠れの忍達が無残な死体となって転がっていた。そして、その場所に唯一立っていたのは、赤毛の軍服姿の女性と瘦せ型の男。男は傀儡使いのようで土偶のような人体より一回り大きな傀儡人形を操作している。

 

「く、むかで、きさま」

「俺様の裏切りに気が付いたまでは、よかったが実力がその程度ではな」

「ほとんどウチがやったんやろがい」

 

 男性の名はムカデと言う砂隠れの忍だったが、昨日目的のために砂隠れを裏切ったのだ。そして、地べたに転がっているのは追い忍達という訳だ。

 女性は雪の国でシャナを苦しめた傭兵、グライアだった。彼女は銃型のチャクラ砲を携えながらつまらなそうに生き残った追い人の頭部を吹き飛ばす。

 

「これで追手は終わりかいな?」

「いや、俺達を見つけた段階で里に連絡を入れているだろう。だが、本格的な追跡が始まるのはもっと時間をおいてからだろう」

 

 ムカデは砂隠れの組織体制を熟知している。故に余裕が出来たと伝える。彼とグライアは目的を同じくして手を組んだ。本来なら、金にならないような抜け忍の護衛などしない彼女だったが、彼女にも事情がある。

 彼女の持つ体質がもたらした力が、いよいよ彼女の命を蝕み始めたのだ。そのため3年間情報を集め、同じ情報を探っていたこの男と手を組むことにしたのだ。生きるために。

 

「それは結構。せやけど、こいつらはまた違うん?」

 

 グライアがムカデの言葉に反論するように背後を青い写輪眼で観察する。

 

「すげーな、おいらたちに気がついてやがったぜ、うん」

「俺じゃなくててめぇの下手な潜伏術のせいだろうが」

 

 グライア達を遠くから観察していたのは、頭に笠、赤い雲の文様を携えた黒いコート姿の男性二人。片方は中年で背中から金属の巨大な尾が覗いている男、もう片方は若く金髪で左目にはスコープを装着している。

 二人が姿を現すと、ムカデがいち早く反応し傀儡をけしかける。しかし、ムカデの傀儡が放ったクナイは、全て金属の尾で叩き落とされ、金髪の男が何かを放り投げるなり傀儡が爆発する。

 

「なんだと」

「このお粗末な傀儡人形。お前、傀儡部隊のムカデか」

「まさか、お前サソリか」

 

 自分の傀儡が破壊されたことで驚きながらも口寄せの巻物を使い、さらに追加で土偶型の傀儡を呼び出すムカデ。だが、相手の正体が元砂隠れの忍であり上司だった赤砂のサソリだと理解すると及び腰になる。過去の経験から理解しているのだ。自分は傀儡使いとしても傀儡技師としても彼には勝てないと。

 

「どうやら里抜けしたみたいだな。お前みたいな臆病者が、どういう風の吹きまわしだ?」

「サソリの旦那。オイラたち、こんなところで道草食ってる時間ねぇだろ。とっととやっちまおうぜ、うん」

「……、そうだな。好きにしろデイダラ」

 

 金髪の男、デイダラがサソリの許可を貰って掌にある口から何十匹もの鳥形の粘土を取り出す。それらが彼の印によって動き始め、グライアとムカデに襲い掛かる。

 

「グライア!!」

 

 早々に傀儡人形を破壊されてしまい、ムカデが頼れるのは、彼女只一人だった。彼女はチャクラ砲で向かってくる鳥形の爆弾を全て撃ち落とし、さらに、デイダラが砂に忍び込ませた蛇型の爆弾をチャクラで遠隔操作できるプレートを用いて串刺しにした。それらが爆発するのは同時だった。

 

「なんだと。オレの芸術作品が」

 

 一度に20近い爆弾を破壊され、デイダラが驚く。だが、目を凝らしてグライアを観察した瞬間、表情が一変する。

 

「なんや、あいつ。顔真っ赤になっとるで?」

「わからん」

 

 デイダラは、グライアの青い写輪眼を見た瞬間、自分が最も芸術を感じた瞬間を思い出していた。デイダラが暁に入った理由は、自分を勧誘しに来たうちはイタチの持つ写輪眼とその姿に芸術性を感じてしまったからだ。だが、真の芸術は爆発であり、他の物を認める訳にはいかないとリベンジ狙いで暁に入ったのだ。 

 だが、木ノ葉の里に任務で侵入したときに出会った、青い閃光との戦いで彼の中の価値観が歪んでしまった。

 

 圧倒的な実力差によって片腕を切り落とされ、痛みと怒りで自分を見下ろす青い閃光を見上げた時、その青い写輪眼と輝く粒子、そしてその姿に芸術性を感じてしまった。素直に美しいと口に出してしまった。

 

 そこからだろう、彼が青い閃光こと、うずまきシャナを意識してしまったのは。そして今目の前にいるのは、青い写輪眼を持った美しい女。デイダラは、その前を見てシャナの事を思い出してしまった。故に頬が紅潮し、目をそらしてしまった。

 その初心な姿を見てサソリが呆れる。デイダラが青い閃光について話す時は大体こうなのだ。明らかに異性として意識しているのは明白だった。

 

「おいデイダラ!! あいつは、青い閃光じゃない。呆けている場合か」

「お、あ、すまねぇサソリの旦那。似てたもんでな。というか、赤髪に青い写輪眼ってことは、こいつ、例の傭兵だな」

 

 3年間でグライアの名前は、かなり浸透していた。戦闘能力が高すぎて個人でありながら軍隊に匹敵する彼女。特に小国に雇われる形で名を売っていた。当然傭兵である暁とは、商売敵であるが、グライアを知るコダマが戦闘力が自分以上だと称したために、手を出せないでいた。下手に手を出せば手痛い代償を払うことになるからだ。

 その評価は、サソリから見ても同意する他ない。自分たちと敵対しているグライアのチャクラや青い写輪眼の持つ眼力、そして雰囲気が只の小娘ではないと訴えかけてくる。

 

「で、どないするんや? 続けるか? 大人しく別れるか?」

「……」

「ん? よく見たらその服、コダマの仲間か。なら、大人しく去りや」

 

 グライアはようやく、二人の服が自分の妹と同じだと気が付く。一応攻撃したのは、こちらからなので相手に戦闘継続の主導権を預ける。

 ムカデは、サソリとデイダラが警戒している様子を見て、勝てると判断したのか「今だ殺せ」と指示しているが、グライアは従わない。

 仮に殺し合うことになったとして、負ける事はないと踏んでいるが、ムカデは死ぬだろうと思っているからだ。

 

「コダマの姉ちゃんが、ああいってるけどよ、どうするサソリの旦那」

「言うまでもねぇ。行くぞデイダラ。俺達の目的は此奴らじゃない。それに、後の仕事も考えれば、ここでどちらかが死んでりゃ世話ねぇ」

 

 サソリもグライアの戦闘能力を自分より上であると判断。故に本来の目的を優先すると告げる。実際、グライアは戦闘開始となれば、天照で周辺一帯ごと焼き払うつもりだった。

 

「何故逃がすんだグライア」

「こいつら殺したかて、手に入らんやろ?」

 

 サソリとデイダラが横を通り過ぎるのをただ眺めているグライアに納得のいかないムカデであったが、彼女に睨まれて何も言えなくなる。

 

 サソリたちが砂隠れの方角に消えたのを確認したのち、二人は目的地である場所へ歩を進めた。

 

 

 




ムカデって名前の砂隠れの忍者、本編と映画で2人いるの投稿前に知りました。意外と毒虫系の名前が多いのかな、砂隠れ。
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