NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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砂漠の遺跡

 

 シャナと自来也が模擬戦をした翌日、砂隠れから先日抜け忍となったムカデという男を追跡、抹殺してほしいという依頼が舞い降りた。

 なぜ木ノ葉に依頼が来たのかと考えた上層部だが、その内容を確認すれば、至極当然ともいえた。

 その男が、暁にも一人で匹敵すると言われる傭兵、国崩しのグライアと組んでいるというのだから。現状忍五大国には、グライアに対抗できる忍はいないと言われている。人柱力などの破格の戦力を投入すれば打倒は可能であると言われているが、一個人討伐の為に国家戦力の投入は控える他なかった。

 

 だから、彼女と交戦記録があり実質勝利したのは。木ノ葉の青い閃光、うずまきシャナ只一人。

 砂としても抜け忍とそんな人物が手を組んでいるとあっては、危機感を募らせるしかなく、こうして正式に依頼が来たという訳だ。

 

 そのメンバーは、第四班全員だった。綱手から指令を受けたヤマトの指示ですぐに旅支度をして、里を出た。ムカデたちの目的地が砂隠れにある、かつて栄えた王国、楼蘭の移籍の可能性が高いとしてそこへと向かう。

 

「どうして、こんなに急ぐんだってばね?」

 

 ヤマトの指示で、トルネが八雲を背負い、全員全速力での強行軍を行っている。あまり説明を受けずに里を出たシャナは、急いでいるヤマトやトルネに疑問を投げかける。

 

「楼蘭と言う場所は、今でこそ廃墟になっているが、其処に眠るものが、非常に厄介でね」

「眠るもの?」

 

 シャナの質問にヤマトは、静かに答えた。

 

「かつて、四代目火影が封印した龍脈のチャクラと言うものがある」

「おと、いや、四代目が封印した龍脈のチャクラ?」

 

 四代目と言われ、シャナの表情が引き締まる。父が封印した物体がグライア達の狙いであると理解する。それがどんなものかを尋ねれば、大地の底に眠る無限のチャクラだという。だが、本来は誰にも操れず利用できない力なのだが、その危険性は五大国すら吹き飛ばしかねない力であり、それを四代目火影が封印したという。

 

 どうしてそんなものを求めているのか考えるシャナ。だが、グライアの体質を思い出し、彼女の力の正体が龍脈であるのではと辿りつく。

 

「ヤマト」

「隊長だよ。で、なんだい?」

「グライア……、龍脈を操れる一族かもしれないってばね」

 

 楼蘭に向かっている龍脈を操ることのできる存在。その言葉だけで事態の緊急性を理解したヤマト。トルネとシャナに少し速度を上げると告げる。

 

「トルネ君、ごめんね」

「問題ない。それより、シャナが偉くやる気になっているのが気掛かりだ」

 

 八雲はトルネに負ぶわれながら、気恥しそうに謝罪をする。だが、トルネにとっては、八雲を一人二人抱えても問題がない鍛え方をしているため、気にするなと伝える。

 ヤマトから話を聞いて、張り切って先頭を駆けるシャナを見守るトルネ。任務は真面目にやるが、張り切って行く事が少ないシャナらしくない様子に違和感が芽生える。

 

「四代目様の名前が出たからかな? シャナって四代目様だけはリスペクトしてるし」 

「後は、青い写輪眼が相手だからか」

 

 この数年の間に浸透し始めた”青い写輪眼”を持つ存在。何人いるのかは不明だが、全員が洒落にならない戦闘力を持っているという。噂話から事実となり、青い写輪眼を持つ者は、手を出してはいけないとまで言われている。

 既に滅んだうちは一族の生き残りであるという話や別の血継限界であるなど、憶測が流れるが、青い写輪眼と敵対し、生きて帰るのが難しいというのは、周知されていた。

 

「二人とも、お喋りは構わないけど、シャナに置いてかれるよ」 

「あ、ごめんなさい」

「わかりました」

 

 後ろも見ずに駆け抜けていくシャナの後姿が小さくなっていた。このままだと本当に置いて行かれるとトルネが速度を上げた。

 

ーーーーーーーーーー―ーーーーーーーーーー

 

 そして、僅か1日と18時間で砂隠れまで辿り着いたシャナ達。そこで休憩をはさみ、楼蘭周辺へと辿りつくが周辺の様子がおかしかった。

 

「なんだこれ?」 

「剣? 一面に刺さってる」 

「物々しい廃墟だな」

 

 シャナ以外の三人は、廃墟に無数に突き刺さっている武具に困惑している。だが、シャナだけは、この無数の武器の所有者を知っている。

 

「出て来いってばね!!!」

 

 シャナは声を張り上げ、隠れているであろうグライアを呼び出す。すると待っていたとばかりに瓦礫の陰からチャクラ砲が何発も発射される。

 

 その方向は、シャナではなく八雲やトルネの居る方角。完全な不意打ちではあるが、彼らもそんな攻撃を受けるはずはなく、散会して回避。さらに荷物を投げ捨てたトルネが発砲音の先に潜むグライアに接近。

 

 素早い動きにグライアは接近を許してしまう。そして、表蓮華の最初の蹴りを繰り出したトルネ。しかし、グライアは不敵に笑うと、人体を高く蹴り上げる威力の蹴りを片腕で受け止めてしまう。

 

「こないだと違って、強い奴連れとるな、シャナ」

「嘘だろ」

 

 身長が180を超えるトルネの蹴りを細腕で受け止めたグライアは、その足首を掴んでトルネの体を振り回し、遠くへ投げた。

 遠心力に振り回されながらも空中で体勢を立て直すトルネ。

 

「まぁこれで終わりや。天照」

 

 空中で回避できないトルネ目掛けて、天照が発動される。黒炎がトルネの右ひじから発生し、彼の体を黒い炎が包む。消えない炎に覆われたトルネは既に倒したとして、銃を持つ手を八雲たちに向けるグライア。シャナがいる以上、外野を先に片づけなければ不利だと理解しているのだ。

 

 照準を八雲と木遁を発動しようとしているヤマトに合わせた時。風を切るような音が聞こえ、咄嗟に振り返る。すると、黒炎で仕留めたはずのトルネが五体満足で接近しており、グライアは蹴りで迎撃するも回避される。

 完全に間合いに入ったトルネは、地面を強く踏み込みながら、正拳を叩きつける。

 

「須佐能乎」

 

 一瞬の判断で須佐能乎を発動したグライアは、須佐能乎の胴体部分で防御をするも、剛拳の前に須佐能乎の骨格が粉砕され、衝撃で吹っ飛ばされる。

  

「なんでや。確かに殺したはず……、幻術かいな」

 

 グライアが焼き殺したはずのトルネの遺体を見れば、霞の様に消滅し燃える瓦礫になってしまった。どうやら幻術によって瓦礫をトルネだと認識させられたと踏んだグライア。彼女の青い万華鏡写輪眼は、敵対者のチャクラの質を見極め、幻術タイプが八雲であると断定した。

 

問題は腕の装置で展開されるチャクラの鎧を貫通して幻術を掛けてきた事である。

 

(幻術にも効果があるチャクラの障壁が意味を成してない。それどころか、万華鏡写輪眼を使用しているウチに平気で幻術かけてくるんか)

 

 今まで対峙したことのない幻術タイプに警戒しつつ、須佐能乎を砕ける打撃能力を持つトルネにも意識を割くが、今度は足元から木々が急成長し彼女の足を取ろうとする。それを飛んで回避するグライアだが、一番警戒しなければいけないシャナの姿が見えない。

 その事実に気が付いた時には、彼女の背後にシャナが人差し指と中指を銃身のように構えるシャナが現れる。

 

「!」

「粒遁・天輪廻」

 

 シャナが術を発動すると、直径にして2センチほどの小さな粒遁の塊が指先に精製。それが光線となって発射される。通常の天輪と違い一撃で相手を蒸発させる威力はない新術・天輪廻。しかし、チャージまで時間がかかり、至近距離では自爆の可能性もある上に、細かな狙いをつけられない天輪と違い、この術は速射が可能。

 粒子球から発射されたのは、粒子砲ではなく粒子銃ともいえる小さな光線。だが、範囲や威力に劣りながらも速射性及び貫通力に関してはオリジナルを超えるその術は、グライアが常時展開するチャクラの障壁を突き破り、彼女の右肩を抉った。

 

「く、そがぁ」

 

 グライアは、生身である肩を撃ち抜かれながらもう片方の腕で蛇腹剣を振るい、シャナを遠ざける。

 

「数年間、遊んどったわけじゃないんやな」

「ラビリンスも含めて、私の術を防げる奴がいるって分ったからな。必然的に対策はしてるってばね」

 

 撃ち抜かれた肩は、すぐに煙を上げて回復しているグライア。目に見えて再生能力が強くなっている。今の彼女は致命傷すら数秒で完治してしまいかねない。

 しかし、そんな無茶がずっと続くはずがない。

  

「グライア。お前、あとどれくらい時間がある?」

「……」

 

 好敵手であり、力を認める相手であるグライアの顔に浮かぶ焦りを見逃すシャナではない。こうしてシャナ達を相手に時間稼ぎしながらも、グライアは精一杯と言った様子だった。

 

 グライアは遺跡周辺に突き刺さった百を超える武具に義手から発生させたチャクラ糸を連結。傀儡の術を発動し、無数の武器を一度に浮遊させる。

 浮かされた武器全てにチャクラが行き渡り、それぞれが黒炎を纏う。そして、切っ先がシャナ達第四班に向けられる。

 

「また、珍妙な」

「大味な技やさかい、堪忍やで」

 

 グライアがチャクラ糸を操作するなり、無数の天照の黒炎を纏った武具がシャナ達に襲い掛かる。チャクラ糸の制御を司っている義手の破壊が頭をよぎるが間に合わない。

 

「トルネ! 八雲を連れて逃げるってばね。ヤマトは頑張れ!」

「もう十分頑張ってうぉっと」

 

 一発でも食らったら終わりの攻撃。それらが雨のように押し寄せる中で、シャナは攻撃を回避しながら一番回避能力の乏しい八雲を気に掛けている。しかし、シャナの指示より先にトルネが彼女を脇に抱え、剣群を避けている。八雲は舌を噛まないように口に手を当て、大人しくしている。

 一方でヤマトは、木遁でうまい事遮蔽物を作りながら逃げている。

 

 攻撃の範囲と勢いは激しいが、攻撃を掻い潜っているシャナは、狙いの甘さと明確な隙に苦言を零しそうになる。だが、ようやくグライアの狙いを察して、彼女が守っている遺跡へと強行突破を行う。

 

 グライアは、明らかに攻撃範囲を絞ることで遺跡からシャナ達を遠ざけるように誘導している。

 

(こいつと一緒に居るはずのムカデがいないってことは、封印を解きに行ったとみて間違いないってばね)

 

 父の施した封印であれば、封印するだけの理由があるはず。それを易々と解かれてたまるものかと、グライアの攻撃が集中する遺跡付近に会えて突っ込むシャナ。先見の万華鏡写輪眼を用いた未来視込みの回避で最短距離で遺跡へと突入を敢行する。 

 

「く、もう来たか」 

「先にお前から始末するってばね。クソ姉は後」

 

 遺跡の中央でムカデは封印を解こうとしていた。その封印は、父であるミナトの愛用するクナイを用いたものであり、彼はそれを引き抜こうとしていた。

 

「おとうさ、四代目の封印をお前なんかが解除できるはずがないってばね。粒遁・天輪」

 

 遠距離から粒遁の光線でムカデを消滅させようとするシャナ。距離があるため旧式の天輪を発動したが、その隙が良くなかった。

 

「天照!」 

「は?」

 

 完全に撒いたと思ったグライアが、蛇腹剣を用いた牽引によってシャナの背後に現れ、至近距離で天照を発動。シャナの体を黒い炎が覆い尽くす。

 

「あぐ、泡遁・膜壁」

 

 炎に焼かれる痛みに耐えかねた彼女は、大筒木トネリ直伝の泡遁を発動。緑色の膜がシャナの全身から発生し、それらが黒い炎をシャナから引き離し、全身を覆う防壁と化す。シャナはそれを瞬時に解除し、天照の直撃をなかったことにした。

 同じように須佐能乎や時間を巻き戻す事でも回避できたが、この方法が一番チャクラの消耗が少ない。

 

 再びグライアと戦闘になるかと思われた矢先。

 最悪のタイミングで龍脈の封印が解かれてしまう。

 

「しまった! 邪魔をするなってばねグライア!」  

「お前こそ、ウチの邪魔すんなや!」

 

 シャナの指先から放たれる粒遁の光とグライアの持つ中から放たれるチャクラの光が交錯する。そして、封印が解かれた龍脈から膨大なチャクラが沸き起こり光の柱として周囲を飲み込んでいく。

 

 シャナとグライアの立っていた足場も光に包まれていくが、二人とも撃ち合いながら、もう片方の手で決定打を生み出そうとしていた。

 グライアに関しては、目的の成就が目前に迫り、シャナを逃がすつもりは皆無の様子。

 グライアが一歩前に踏み出した。彼女の左腕には天照の黒い炎と彼女が発動させたであろう火遁の炎が渦巻いている。

 

「口寄せの術!」

「獄遁・八熱!!」

 

 シャナが指を噛みきり口寄せで呼び出した衣。しかし、それを纏う前にグライアの左手から黒炎と炎の混ざった柱が発生。それが槍の様にシャナの顔面を狙ってきたため飛んで回避する。 

 

 シャナの未来視では、その攻撃を避けなかった未来が映っている。まさに蒸発と言った様子で食らった部分が消滅する未来が存在した。その威力の前に、シャナは冷や汗を流さずにいられなかった。

 避けなかった未来では、口寄せでなく粒遁螺旋輪虞でもって応戦したのだが、勝負にもならず一方的に撃ち負けていた。

 

 しかし、シャナの避けた方向が悪く光の柱に水から飛び込んでしまう。光に飲み込まれる瞬間、シャナの持っていた衣が膨張し彼女の体を包み込んだ。

 

 そして、必殺の一撃を躱されたグライアだったが、すぐに振り返って光の柱を見つめる。

「粒遁・天機!!」

「んな、あほな、」

 

 突然、光の柱からシャナの言葉と共に飛来した光の円盤がグライアのチャクラ障壁を切断。彼女の胴体を切り裂いた。両断とまでいかなくとも、致命傷を負わされたグライア。龍脈のチャクラの満ち溢れた空間でグライアの持つ体質が暴走。

 光の柱に呑まれながら、自身の熱によって爆発を起こしてしまった。

 

 ムカデとシャナとグライアの三人を飲み込んだ光は、徐々に広がり遺跡を崩壊させていく。

 第四班の面々は、シャナの安否を確かめようとしたが、遺跡の崩壊が迫るため退避を余儀なくされる。光の中に微かにシャナのチャクラを感知した八雲だったが、トルネとヤマトによって退避させられる。 

 

 そして、光がようやく収まると、遺跡後に底が見えないほど巨大な大穴が開いていた。

 

「そんな、シャナが」

「落ち着くんだ八雲。シャナがそう簡単に死ぬはずがないだろ」

「探しましょう」

 

 トルネが穴の調査を宣言するとほぼ同時に、新たに地響きが発生。

 大穴を囲うように地面から大都市ともいえる規模の建物が隆起し始める。そして、その異変は遺跡後の砂漠地帯を大理石のような床が侵食していくのと並行していた。

 

「な、なにが」

「これは、とんでもない事だぞ」

「これって、まさか、滅んだっていう楼蘭」

 

 まるで何かを塗り替えるように砂漠が侵食されていくのだった。

 

 

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