NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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楼蘭3

シャナが撤退した地下施設で3人の仮面をつけた忍達がそれぞれ休息を取っていた。

 

 

 

「ミナト。なんだあの女は、お前と遜色ない速さの忍だったぞ」

 

 

 

 仮面を取りながら顔に文様を入れている大柄の男性が、シャナとずっと戦っていた黄色い髪の忍に声をかける。声をかけられた男も仮面を脱いで深呼吸をして、答える。

 

 

 

「ん。全く恐ろしい忍だ。僕らと戦いながら、まだまだ余裕を残してる感じだったね」

 

「黄色い閃光に追従できるとはな」

 

 

 

 汗を拭いている黄色い髪の男性、その名は波風ミナト。木ノ葉の黄色い閃光の名で他里に畏れられる忍界最速の忍の一人である。

 

 そして、一人は秋道一族の忍、秋道チョウザ。もう一人は油女一族の油女シビ。彼ら3人は任務のために楼蘭へ訪れていたのだが、想像以上に任務遂行が困難となっていた。

 

 

 

 一つは、楼蘭の防衛設備である傀儡たちが不自然なほど強力である事。そして、任務に必要不可欠である楼蘭の女王サーラとの接触が困難を極まている事。

 

 

 

 その障害となっているのが、彼女を護衛しているメイドである。青い写輪眼と言う特徴を持ち、サーラとうり二つの彼女の実力は、3人をもってしても手を焼くのだ。一度接近しようとして阻まれ、おめおめと撤退させられたのだ。

 

 それ以来、女王の警備が硬く、近寄れなかった。しかし、今回サーラ単体での移動が発覚し今度こそと思い接近した矢先だ。

 

 

 

 粒子のような術を操る”青い写輪眼”を持った少女がサーラに襲い掛かった。そこで戦闘にもつれ込んでしまったのだが、案の定、強敵だった。

 

 

 

「飛雷神の術……、いや違うのかな。どちらにせよ、似た術を使いこなし、さらに特殊な螺旋丸まで、敵なのに親近感が沸いてしかたなかったよ」

 

 

 

 ミナトはこう述べる。自分に負けず劣らずの瞬身、飛雷神の術ような術、明らかに性質変化まで加わった螺旋丸。どう考えても上位互換のような存在がそこにはいた。

 

 螺旋丸の開発者であるミナトにもできない性質変化を加えた螺旋丸。他人の気がしないのは、仕方のない事だった。

 

 

 

「だが、あのメイドは女王を警護しているのに、あの小娘は、女王を狙っていた。奴らは仲間じゃないのか?」

 

「推察は後だ。そろそろ傀儡たちが集まってくるだろう」

 

 

 

 油女シビの提案通りにその場を離れる三人。彼の言葉通り、サーラの異変を察知してか戦闘用の傀儡が集結しつつあった。

 

 それらと遭遇する前に撤退したことで、無事に潜伏できたのだった。

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 一方でシャナは、戦闘後の高揚感に酔いしれた代償か、注意力が散漫となり、警備担当の傀儡に姿を捕捉された。その為か、20を超える戦闘用の傀儡兵に追い掛け回されていた。

 

 

 

「しくったってばね! こいつら地味に強くてめんどくさい」

 

 

 

 飛行能力を持った傀儡たちから、手裏剣やチャクラを用いた砲撃を受けるシャナ。的中することなく回避し続ける。迎撃にと火遁豪火球の術で応戦。

 

 しかし、シャナの術は、傀儡たちの胸にある水晶のような装置から発せられたチャクラ障壁によって阻まれる。シャナは、仕方ないと両手剣の柄を連結、それに粒遁を流すことで弓を形成。さらに粒遁で矢を作り出し構える。

 

 

 

「粒遁・天弓!」

 

 

 

 生半可な術では障壁に阻まれ、命中しない。だが、粒遁を用いた攻撃であれば障壁を打ち破る事が出来た。今もシャナの放った粒遁の矢が傀儡兵たちを破壊していく。

 

 チャクラ障壁の強度は、同じ技術を使う雪忍達のものから劣化しているようだが、替えの利く傀儡兵たち全機に取り付けられるほど量産された装備としては破格だろう。

 

 破壊するのに使用するチャクラの消耗が激しく、それらが数で襲ってくるとなれば、脅威と言わざるを得ない。

 

 

 

 シャナも策略に嵌ってしまったのか、無駄なチャクラを消費させられる。一機一機破壊したところで、すぐに応援が駆けつけてくるのだから、じり貧は必至である。

 

 

 

 過去に繫栄した国である楼蘭だと聞いていたが、ここまで技術発展しているとは想定外だった。

 

 

 

(一度、大技で蹴散らしてから、天門で撒くってばね)

 

 

 

 一度ゆっくり休息を取りたいと考えていると、シャナの青い写輪眼の持つ未来視が強制的に発動される。未来視で見たのは、一番高い塔から発射される粒遁の奔流でシャナの下半身が消し飛ばされ、やがて上半身も炎に包まれ灰になる未来。

 

 

 

 突然訪れた死の未来。シャナは、立ち止まり数秒後に訪れるであろう死に抵抗するために武器の連結を解除。両手剣にした上で粒遁を流しながら二振りの剣を共鳴させ、粒遁の刃を増幅する。

 

 

 

「粒遁奥義・天羽々斬」

 

 

 

 シャナが形成した粒遁の刃は、建物一つを軽々両断できるサイズとなる。それを軽く振りまわし、周囲に展開していた傀儡たちが障壁もむなしく蒸発する。

 

 

 

 そして、未来視の通りに塔から発射された粒遁の攻撃。速度と飛距離だけならシャナの粒遁を遥かに凌駕するそれを、奥義である粒遁の攻撃で迎撃。

 

 

 

 シャナの青い粒遁の刃と若干黄色の混じった粒遁の奔流が衝突。互いにバチバチと干渉するが、粒遁奥義・天羽々斬に込められたチャクラ粒子の道度の方が多く、一方的に狙撃に使用された粒子を切り裂いた。

 

 

 

 見事に狙撃を振り払ったシャナだったが、次から次に矢継ぎ早に狙撃を繰り出され、それらを打ち払いながら後退を余儀なくされていく。 

 

 

 

 さらに厄介な事に、シャナの粒遁と狙撃に利用される粒遁の粒子が混ざり合い、紫色の粒子となって周囲を漂い始める。こうなった粒子はシャナにも利用できず、天門のマーキングにする事も出来ない。

 

 そして、過去に粒遁同士でぶつかり合った時と同じように、シャナの青い写輪眼が徐々に赤い色を帯び始めていく。

 

 

 

(未来視がぼやける)

 

 

 

 何が起こっているのか理解できないが自身が不調に陥っている自覚はあった。その答えは、シャナが弾いた粒子砲が噴水に命中したことで判明。

 

 

 

 噴水から水が噴き出し、周囲を水浸しにしていく。そして、その水面に反射する赤い光をシャナは目撃する。

 

 

 

(写輪眼が赤く? これは、コダマの時の奴か)

 

 

 

 シャナはすぐに状況を理解した。そして、粒遁の隠された特性がマイナスに働いていると判断し、粒遁の使用を止める。塔から放たれる狙撃を避けるには未来視は必須。なら、ここで手札を失う訳にはいかないと楼蘭の街を移動する。

 

 数分間逃げ続けると狙撃が止み、シャナは建物の中に身を隠して息を整えていた。そこで手持ちの食料や忍具を確認しつつ、息を殺す。

 

 どうにか狙撃の網から逃げることは出来たようだが、仮面の男との戦闘後に一方的な消耗戦を強いられては、体力が持たない。何度か粒遁・天門の術で瞬間移動を挟んだのだが、監視に集まっていた傀儡に姿を捕捉されるとそこに狙撃されるため、神経を削られた。

 

 

 

「粒遁使いって、敵にいると此処まで厄介なんだってばね。……だめだ、ねむけが、すごい」

 

 

 

 さらに楼蘭に来てから休息が取れていないこともあり、シャナは無人の部屋にあった暫く使われていないであろうソファで眠ってしまった。一応警戒のためにトラップをしかけはしたが、シャナのカバンに【忍愛ノ剣】というマークが刻まれていることに彼女は気が付いていなかった。

 

 夜になりシャナが完全に寝静まった時。

 

 そのマークを起点に、地下施設でシャナと戦闘していた仮面の男が飛雷神の術で現れる。

 

 

 

「……」

 

 

 

 仮面の男はソファーで爆睡するシャナを見てクナイを向ける。

 

 

 

(これも忍の定め、悪く思わないで……ん?)

 

 

 

 しかし、直前でシャナの広げた荷物を見て動きが止まる。そこには、シャナの木ノ葉隠れのマークがついた額当てがあったからだ。

 

 偽物かと思い確認をする仮面の男。

 

 だが、明らかに本物であり、彼女が木ノ葉の忍である事実に気が付いた事にほっとする。だが、登録番号が明らかにおかしいのだ。自分たちの時代の下忍であったとしても、こんな数字になるはずがない。だから偽物かとも思ったが、シャナほどの実力者がそんな杜撰な偽物を用意するだろうかという考えがよぎる。

 

 

「これは、俺のクナイ?」    

 

 シャナの荷物には、彼が愛用するクナイが入っていた。流石に自分の忍具がある事に驚くが、それを手に取ってみると、妙に年季が入っていた。

 

 

 

(俺のクナイに違いない。けど、明らかに年代物だな。これは俺の特注だから、古くても数年前のものだがこれは。それに、よく見ると緊急避難用にクシナの家に置いてあるクナイと同じ番号だ)

 

 

 

 クナイの製造番号を見ると、それは彼が恋人であるクシナに預けていたものと同じだった。

 

 つい先日渡したばかりのクナイが何十年も経った姿で手元にある。そして、明らかに数十年は後の忍者登録番号。

 

 勘の良い彼は、ある事実にたどり着く。それがどれだけバカバカしいと思おうとも、それしか浮かばなかった。

 

 

(君は、この時代の人間じゃないのか)

 

 おそらく未来から来たであろう忍者。それも彼、波風ミナトのクナイを渡されている関係。螺旋丸の発展形の術や飛雷神の術、全てが自分と彼女のかかわりが只物ではないと察した。

 

 さらに戦闘中で気にしていなかったが、彼女の話し方の癖は恋人であるクシナと全く同じだった。ここまでくると、他人な訳がない。 

 

 

 

 ミナトは仮面を外し、寝入っているシャナの顔を見る。寝顔を見た後、持っていたクナイを戻すミナト。

 

 

 

「君が誰かはわからないが、あまり無茶はしないでくれよ」

 

 

 

 彼はそう言い残し、もうしばらく動向を探る目的でその場を後にする。

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