NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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楼蘭4

彼が立ち去ってから数分後に目覚めたシャナ。体の疲れは取れたようで、軽くストレッチをしながら装備を整える。

 

「ジョウゼツ。もう起きてるってばね?」

【今目覚めた所だ。その様子からして吾輩が休眠中は大変だったようだな】

「いろいろ。ん? なんか騒がしくない?」 

 

 シャナが目覚めたばかりのジョウゼツが変形した羽織を纏うと少し離れた場所から歓声が聞こえる。この楼蘭に来て初めてのことで窓から顔を出したシャナは酷く賑わっている一角を目撃する。

 

「あそこに行ってみるってばね」

【くれぐれも警戒する事だな。あまり好き勝手やっていると歴史が変わってしま】

「静かにするってばね」 

 

 話し始めると果てしなく長いジョウゼツを黙らせたシャナは、建物の影をぬって急行した。

 シャナが見たものは、静まり返った都市であった楼蘭で行われている盛大なパレードだった。木ノ葉の輪廻祭でもここまでの規模の祭りはないだろう。

 民衆が集まり、パレードを見守りそんな彼らを打ち上げられた花火が照らしていた。

 

【シャナ。上を見るんだ】

「上、あれはグライア!?」

 

 シャナが目線を上げると民衆の歓声を受け、手を振ってこたえているグライアが居た。何故あの女がと思っているとある違和感に気が付く。 

 

(あいつ、義手じゃなかったっけ?)

 

 思い違いなはずはない。グライアは、過去にラビリンスとの戦闘で隻腕となったのだ。そして、厄介な義手をつけてシャナを苦しめてきた。だが今国民に笑顔で手を振っている女は、義手には見えない。偽装している可能性もあるが、表情やしぐさもグライアらしくない。

 彼女の事を詳しく知っている訳ではないけれど、独特な覇気を纏っていたグライアとは、似ても似つかない。

 顔は同じなのに、別人としか認識できない。よく考えればシャナが奇襲を仕掛けた時もただ怯えて逃げているだけのようだった。

 

(いや、詳しく考えるのはやめるってばね……罪のない民間人に確認もせず攻撃したとか、バレたら、八雲に殺される!!)

 

 冷や汗が止まらなくなっていくシャナの顔色はそれは酷いものだった。問題を起こした時、必ず八雲に叱られてきた経験から、今回のケースは、それはもうこっ酷く叱られると予想。

 どうにかしたいが如何にかする知能がシャナにはない。

 

 頭を抱えていたとき、グライアと瓜二つの女性が手を振るバルコニーで爆発が発生する。バルコニーが崩れ、其処に立っていた女性は落下を始めてしまう。

 

【あれは放置してもいいのだろうか? 本来起こる歴史なのなら放置するのが正解か? いやしかし、この場合】

「助けるってばね」

 

 このまま落下すれば即死だ。シャナは、足に力を籠め駆け出す。

 

「キャーーー!! うぐ」

「ナイスキャッチ」

 

 シャナの瞬身の術は、見事に落下中の女性を拾いあげ壁に着地。チャクラの吸着で壁に垂直に立つシャナ。そんな彼女に抱えられた女性は驚きから固まっている。

 しかし、シャナの顔を見るなり、容赦なく拳を振るって暴れる。

 

「ぐ、いた、舌嚙んだ。あばれると、おっことすってばね!!」

「ひぃ! この無礼者!!」

 

 下を見た時高さを認識してかシャナにしがみ付く女性。シャナは、不意打ちで殴られた唇から血を流しているが、気にしていない様子で彼女を下ろしてあげようとする。

 気にくわないが、腕に抱いている女性がグライアではない以上、下手すれば殺していたのだ。なら、殴られるくらいは当然だと受け入れた。

 あわよくば、奇襲が帳消しになって八雲に怒られない方向に持っていけないかと考えた。

 

 大人しくなった女性を抱えながら、地面に降り立ったシャナ。

 

「このぉ!」

「おっと」

 

 地面に足が付くなり、容赦のない張り手が襲い来る。しかし、写輪眼を持つシャナには、軽く回避できてしまう。

 

「やめろってばね! 私はお前を助けたんだってばね」 

「ん、それは、その、うん。礼を言うありがとう」

 

 シャナの言葉に耳を傾け素直に礼を言う女性であったが、少し悩んだのちに顔を真っ赤にしてシャナを睨む。

 

「待て! 貴方は、先程私に襲い掛かってきた女ではありませんか! この楼蘭の女王である私を狙う勢力ですね」

「あれは、その、はい。人違いでした」

 

 痛い所を突かれたシャナは地べたに土下座しながら深々と謝った。大人しく謝罪したシャナの態度に毒気を抜かれた女性は、何も言えなくなってしまう。

 

「えーと、確認したいんだけど。お前は、グライアではない?」

「誰です、その人は。私は楼蘭の女王、サーラです」

 

 シャナの脳内八雲がガミガミと説教を始める。それはもうすごい剣幕で。 

 

「ごめんなさいでしたってばね」

 

 さらにオデコが地べたに密着するほど頭を下げる。

 

「そ、そこまで頭を下げなくとも。結果的に、怪我もしていませんし、こうして助けてもらいましたし」

 

 どう言い訳してもシャナが悪い。もし仮面の男の邪魔がなければ、致命傷を与えていた可能性が高い。 

 

「じゃお言葉に甘えて。けど、さっきの爆発。いったい何があったってばね?」

「わかりません」

「誰かに命を狙われてるってばね?」

 

 シャナがそう尋ねるとサーラは、シャナに疑いの目を向ける。

 

「私じゃない。私はそんなことしないってばね。やるんなら直接こう!」

 

 シャナは横にあった大理石の壁を螺旋丸で粉々に砕く。その威力で自分が小細工を使っていないと証明できた。その自信満々の姿にサーラは疑うのを止めた。

 

「では、いったい誰が」

「国民に恨まれてるんじゃない?」

「失礼な! そんなことありません! あれは、その、何かの事故です!」

 

 サーラが顔を真っ赤にして怒るが、シャナはすっと立ち上がって彼女の手を引いて抱き寄せる。

急な行動に反応できていないサーラが、再び怒ろうとしたがシャナが「黙って」と言って止める。

 自分を見つめるシャナの写輪眼を見て息を呑む。写輪眼から伝わる殺気が、自分の信頼するメイドと被った。この目は自分に危機が訪れた際に、自分を守ろうとした時の目だと察する。

 

 サーラが大人しくなると、シャナとサーラが立っていた場所に無数のチャクラ砲が撃ち込まれる。それを事前に察知し、回避していたシャナ。攻撃の出所を見れば、それが上空に現れた無数の忍達だと分かった。木ノ葉や砂隠れの忍達のような衣装をまとっているが、全身包帯塗れで正体は不明。

 だがそれらは、クナイを構えて飛来してくる。

 

「忍!?いや、助けて、ラーーーナーーー!」

「守ってやるから、放すなってばね」

 

 シャナは、サーラを抱えながら忍達の攻撃を回避していく。だが、写輪眼が忍達の動きにある違和感を浮き彫りにしていく。

 

(こいつら、やっぱり傀儡だってばね。けど、チャクラが妙だな)

「ジョウゼツ、こいつらは何だってばね!?」

 

 シャナは両手が使えないので、蹴りで忍の頭部を蹴る。すると、固い感触の後に首がもげた。その断面を観察するが、やはり傀儡ではある。しかし、通常の傀儡と違い、明らかに生態的な素材が使われている。

 

【見た感じでは、生身を加工した傀儡だな】

「え、服が喋りました!?」

【これはこれは、楼蘭の女王陛下。吾輩はジョウゼツ。この、うずまきシャナの相棒をしている珍しい生命体でございます。以後お見知りおきを】

「丁寧なあいさつをありがとう」

「喋ってる場合じゃないってばね! アホ」

【女王陛下との謁見は大変光栄ではあるのですが今は有事ですので、舌を噛まないようにも沈黙が吉かと。後吾輩はアホではない。アホはろくに勉強ができないお前ではないかね】

 

 シャナはうるさいと上着になっているジョウゼツを殴るが、それを着ているのはシャナ自身であったので結構痛かった。 

 そんなコントを繰り広げながらでも、シャナは人傀儡とも言える敵を捌いていく。足しか使えなくとも、傀儡の相手程度であれば問題なかった。

 

「粒遁・天鎌(てんれん)」 

 

 シャナは、両足の踵から粒遁の刃を形成する。鎌のような刃を纏ったシャナは、蹴りだけで傀儡たちを一刀両断していく。体の柔らかいシャナの足の可動域は素晴らしく、死角から来た傀儡もスパスパ切り裂いていった。

 

 少しづつ敵の数を減らし、このまま安全圏に逃げ切れると予想していた。しかしだ、シャナの未来視が、強大な敵の襲来を予知した。

 

「来やがったってばね」

 

 シャナが空を見上げた時、空間そのものが大きく揺れた。まるで大地や空そのものが怒りを表しているように。

 

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