グライアの襲来によって絶体絶命になったシャナ達だったが、交戦を目撃した木ノ葉の波風ミナトの助太刀によって安全地帯に避難出来た。
だがシャナからすれば助太刀に来たのは、正体不明の仮面の男。シャナは自分が転移したことを確認するなり、仮面の男に攻撃を仕掛けようとする。サーラを抱いたままだが片手で粒遁を発動しようとチャクラを練る。
「待って、待ってくれ」
シャナの敵意を感じ取った仮面の男は、自分に敵意はないと制止を呼び掛ける。
かなりの実力者である男が武装解除して休戦を求める姿勢にシャナは一歩踏み込めないでいた。青い写輪眼で睨まれているミナトは、どう説得したものかと考えている。
そんなタイミングで彼の仲間である秋道チョウザと油女シビが隠れ家内での騒がしさに気が付いて駆けつける。
「何事だ!?」
「こいつは」
「止せ。彼女は俺達の敵じゃない」
二人はシャナを見て部分倍加した拳と蟲を操り戦闘態勢に入ろうとする。それを強めの怒声で止めるミナト。
「結局のところ、お前らは何者だってばね」
シャナのもっともらしい質問に対して、ミナトが答える。
「ん。俺達三人は、木ノ葉の忍だ。前女王からの依頼で、現女王の救出の任を得て、この楼蘭に来た」
「お母さまからの依頼ですって? なぜお母さまが木ノ葉に依頼など」
警戒心を露にしたサーラ。何故亡くなった自分の母親が木ノ葉の忍に依頼など理解できない。怪しげな三人の男をシャナを盾にして睨み付けている。
盾にされているシャナも同じ意見だったため、三人の動きを写輪眼で観察しながら、サーラを抱えて逃げる準備をする。
「とりあえず、信用ならないってばね。女王様、掴まって」
「貴方の事も完全に信用したわけではないのですが……」
自分自身、サーラが味方かは定かではない。ただ、たった一人の非戦闘員を3人の手練れな忍達の前に放置するほど人でなしではない。サーラも得体の知れない三人よりは、自分を襲ったものの、間違いであったと謝罪し、命を救ってくれたシャナの方が信用できると感じた。
なにより自分が最も頼りにする守り手と被る部分が多いためか、警戒心が薄れるのも早かった。
「仕方ないな。本当は身分の証明をしたくないんだが、そうも言ってられない」
ミナトはそういうと、つけていた仮面を外した。それを見ていたシビとチョウザも仮面を外して素顔を晒す。
三人とも額に木ノ葉のマークがあり、木ノ葉の忍らしいことは明白だった。
「え、あ、うそ、なんで」
ミナト達が仮面を外すと同時に、シャナの様子がおかしくなる。現実を理解できないように目に動揺が浮かぶ。その様子を一番前で見ていたサーラが心配げな顔で尋ねる。
「大丈夫ですか? いったいどうしたのです」
サーラから見てもシャナの様子は変だった。泣きそうな顔をしたかと思えば、何処か嬉し気と言った不安定な表情。サーラ以外にも、シビとチョウザも様子のおかしいシャナに驚いている。
ただ一人、ミナトだけは冷静にシャナに近寄る。
「その様子だと、俺の顔を知っているみたいだね」
「え」
「だが、俺は君の顔を見たことがない。だけど、君の使う術や話し方。どう考えても俺の関係者である事は明白だ」
ミナトは確信をもってシャナの正体を考察していた。彼はシャナの目の前まで行くとシャナの正体について回答した。
「君は俺の、未来の……」
「弟子だってばね!! 私は未来の、あなたの、弟子だってばね」
ミナトの回答をシャナが遮った。シャナは動揺している間、不意に現れた自分の父親である波風ミナトに自分が何者と伝えるべきか悩んでいた。本来であれば、生前の父に会えた喜びでいっぱいであり、今すぐにでも抱きしめたいほどだ。
けれど、シャナは自分が過去にいる事を知っている。そのせいで、過去を改変する危険性を理解している。もし自分の正体を明かしてしまえば、未来が大きく改変する可能性がある。
以前、未来のサスケとナルトの息子がタイムスリップしてきたときに、身分を偽っていた記憶がある。それはなるべく波風立たない立場でなければ未来に影響があるから。
そこでシャナは、彼の未来の弟子であると身分を偽った。
「未来の弟子? ミナトのか?」
「確かにミナトの術を幾つも使えていたな」
黄色い閃光と呼ばれたミナトに匹敵するシャナの戦闘を見ていた二人は妙に納得する。シャナの説明を聞いたミナトは驚きながらも、「そうか」と言って納得した様子だった。しかし、シャナの表情はどこか暗いものがあった。
「未来とか、何の話をしているのですか」
「あ、申し訳ない。詳しくお話します女王陛下」
ミナトは、シャナとサーラに詳しい説明を開始したのだった。
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一方で現代の楼蘭では、砂漠だった地帯が発展した都市へと徐々に侵食されていた。その侵食速度はすさまじく、三日もすれば砂隠れの里すら飲み込み、一週間すれば木ノ葉まで飲み込みかねない勢いだった。
そんな侵食に巻き込まれた八雲たちはシャナの捜索をしながら、何処からともなく発生した傀儡兵の軍団を相手取っていた。
「木遁の術! くそ、キリがない」
「いったい何が起こってるんだ。八雲!」
幻術使いである八雲と傀儡の相性は悪く、仕方なく自分に宿った血継限界や口寄せ動物による攻撃をしている八雲。しかし、慣れない戦法での長期戦は厳しいのか、敵の攻撃を食らいそうになっている。
そこをトルネがカバーするが、敵の数が多くじり貧になっている。
ヤマトも疲労が顔に現れており、あまり長く戦闘は不可能と言えた。
「いったん逃げるしかないんじゃないかな」
「逃げるってどこにですか? それにシャナも見つけてないのに」
3人が奮闘している間にも、世界は楼蘭の侵食を受け続けているのだった。