ミナトによって詳しい説明を受けるサーラとシャナ。ミナト達は、現代の楼蘭を発展させた人物、摂政のアンロクザンという男から彼女の娘たちを保護するよう依頼を受けているという。
5年前に楼蘭に現れたアンロクザンと言う男は、まるで未来を予知するかのように楼蘭の危機を知らせ、それを打ち破って見せた。その功績と人気により、女王であるサーラの母親も彼を信頼していた。
しかし、女王はアンロクザンの怪しげな思惑に気が付いて、予め手を打とうとしていたという。しかし、時既に遅く、女王は帰らぬ人となった。だが、彼女が託した依頼だけは、木ノ葉に届いたのだった。
そこで派遣されたミナト達だったが、楼蘭の傀儡技術の発展と規模は、彼らの想像を超える物だった。戦力だけで言えば忍五大国と遜色ないまでに。
さらに厄介ごとがあった。現女王サーラへの接近を試みる度に現れる楼蘭史上最強の護衛、侍女のラーナと言う女性。サーラと瓜二つな彼女だが、戦闘能力が常識はずれであり、楼蘭に侵入した他里の忍達は既に彼女によって殺されていた。
ミナト達も運が悪ければ死体の仲間入りをしていてもおかしくない。そんな中でも今こうして女王とコンタクトが取れたという。
ミナトの想像では、アンロクザンと言う男は、本当に未来から来たのではないかと考えていたという。明らかに時代にそぐわない技術がふんだんに使われ、傀儡の術で一番発展している砂隠れの里ですら、作りえない数々の傀儡人形。
時代の先を読んでいると思わしき動きの数々。わずか6年足らずで楼蘭と言う国を大国規模の戦力まで押し上げた事実がその仮説に真実味を与えていく。
そして、シャナの存在。これまで彼女から得た情報や彼女の反応を見るに、未来人であるのは明白だった。
「これらの要素からアンロクザンと言う男も未来から来た忍だと推測している」
「私はアンロクザンと言う男は、知らないってばね。ただ、私は仲間と共に、未来でムカデと言う傀儡使いを追って居たってばね」
ミナトの推理は、シャナの持っている情報を持って完成する。シャナも相手がミナトだと分かった段階で全面協力を惜しまない方針にした。むしろ、全力で役に立とうというかつてないモチベーションに溢れていた。そして褒めてもらおうと心に決めている。
シャナのある意味熱い視線に気が付いていたミナトだったが、深くかかわるのはよろしくないと話をつづけた。それを見ていた同僚二人は、只ならぬシャナの表情から「この子、もしかして師弟上の関係だったのでは?」と勘違いしていた。
「そのムカデが楼蘭で何かを企み、そして今日、女王であるサーラ様の命を狙った」
「何を言うのです。そんなことあるはずがありません」
ミナト達の話があまりにも荒唐無稽のため、サーラが怒り交じりに否定をする。
「アンロクザンがそんなことをするはずがありません。あれは事故だったのです」
「足場が崩れたのは爆発があったからだし、その後も傀儡が襲ってきたはずだけど?」
「それは、きっと、そうです。侵入者である貴方から私を取り戻そうと」
サーラがアンロクザンの弁明をしているが、彼女以外は、アンロクザンが黒だと目星をつけている。
「取り戻そうとね……そういえば、グライアとはどういう関係だってばね?」
「誰です?」
「グライアだってばね。さっき襲ってきた女王様と同じ顔をした隻腕の女」
シャナがサーラとグライアの関係を尋ねた。サーラとグライアは瓜二つと言っていい顔をしており、無関係なはずがなかった。
「ラーナのことを言っているのですか?」
「その感じだと、ムカデと同じく偽名を使って潜入したみたいだってばね」
シャナの話を聞いていたミナトが、シャナに質問をしてくる。
「シャナ」
「はい。なんだってばね?」
「あのメイドは、もしや君の居た時代の人間なのかい?」
ミナトの言葉に反応して、シャナが元気よく返事をしている。そしてシャナは自分の知っているグライアの情報を伝えた。
「……恐ろしいね。国崩しのグライアか。そして、君の」
「血縁者だってばね。だから私と同じ、青い写輪眼を持ってる」
シャナの説明を受けて、木ノ葉の三人は深く納得していた。この任務、傀儡だけならどうにでもなっていた。だが、グライアと言うイレギュラーのせいで足止めを食らっていた。その正体が未来から来た強敵だという事実。
逆に納得がいってしまったのだ。
「はっきり言いましょう。ありえません」
シャナの話を最後まで聞いていたサーラが自信満々に発言をする。
「なんでだってばね?」
「貴方のいうグライアとラーナは確かに特徴が一致しています。けれど、大きな違いがあります。……グライアっていうのはシャナ、あなたより年上ですよね」
「まぁ。2歳くらい上になるってばね」
「そうですよね。貴方は私と同じくらいですし」
何が言いたいのかというシャナの目を見てサーラがはっきりと告げた。
「ラーナと私は、赤ちゃんの頃からずっと隣で過ごした乳兄弟です」
「え? は?」
「ラーナは私と同い年ですし。赤ちゃんの頃から隣のベッドにいました。そんな彼女が未来のテロリストな訳がありません」
シャナの訝しげな目を見たサーラは、胸元からロケットを取り出すと、其処には写真が入っており、その中には前女王と3歳から5歳くらいのサーラとラーナの姿が写っていた。
「これは、どういうことだってばね?」