NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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楼蘭11

 

「ふん。流石だなラーナ。いやグライア」 

「グライア……お前もそう呼ぶんか」

 

 須佐能乎と巨大傀儡の取っ組み合いは続くが、互いに決定打がないままである。両者ともに龍脈のチャクラを取り込み、無限にも等しいチャクラを得ているため当然ともいえる。

 

「あの木ノ葉の小娘、木ノ葉の青い閃光もそう呼んでいたのではないか? それがお前の本名だ」

「なんでお前がウチの本名知っとるねん。それ以前に、ウチはあの女の事なんて知らんで」

「それは致し方ないことだ。今から数十年後の未来。この楼蘭が滅んだ後の話なのだからな」

 

 アンロクザンの言葉を聞いていたラーナが動きを止める。

 

「何を言うとるんやお前は」

「お前も俺も、そしてあの木ノ葉の小娘も、全員この時代の人間ではないという事だ。俺達は未来から来たんだよ。未来で楼蘭の龍脈に掛けられた封印を解いた際に発生した光の柱。それに巻き込まれてな。だがそこでお前と木ノ葉の小娘が暴れた結果、我々は別々の時間に飛ばされたのだ」

 

 彼はグライアを殺そうとするも、彼女の問いには答えてくれていた。狙うのは、彼女が女王に忠実なラーナではなく、金に忠実な傭兵グライアへと戻る事。彼女であれば話が分かる相手の為、もう一度組もうと持ち掛けるつもりだった。

 

「俺は数年前に。お前は18年も前にな。驚いたぞ。王宮でお前を見た時にはな」

 

 王宮に潜入した彼は、そこで王女であったサーラと共に遊んでいるグライアの姿を見た。明らかに子供になっており、女王の娘とそっくりな見た目だったが、隻腕と青い写輪眼を持つ彼女を見間違えたりはしない。

 なんらかの原因があると睨んだ。そこでグライアを可愛がっていた当時の女王に、グライアの義手を作って差し上げようと言い近寄った。そこで傀儡の技術を見せ、グライアの義手を製作。その際に女王から参考にしてほしいとグライアが本来付けていた雪の国が持つチャクラの鎧のデータも手にした。

 

 それによって女王に取り入り、防衛を口実に傀儡兵器の開発を進言する事が出来た。その責任者となった彼は、グライアや王家の龍脈を操る体質を解析。研究の末にそれを操る術を手に入れたのだった。

 

「なぜ子供になっていたのかは知らんが、こうして成長したお前はやはり国崩しのグライアそのものだ。本来のお前はメイドなどではない。金さえもらえばだれでも殺し、欲しいままに奪ってきた重犯罪者。それがお前の正体だ」 

「くに、くずし、グライア? ぐ、頭が」

 

 戦闘中にもかかわらず、アンロクザンの言葉を聞くたびに酷い頭痛に襲われ、見覚えのないビジョンが頭に浮かび上がる。

 記憶が混乱してきたグライアは、須佐能乎を解除してしまう。

 

「隙を見せたな。さぁ自分のチャクラに焼かれるがいい」

 

 その様子を見てアンロクザンは、にやりと笑いながらチャクラ糸を操作して、グライアの義手に接続。すると、彼女の義手に備え付けられた制御装置が暴走。

 

「くぐ、くそ、チャクラがコントロール出来ん、なんや、これ(あかん。内側から爆発しそうや。けど、この感じ、おかんを殺した、あの時の……!)」

 

 今まで、背中から発生した炎の翼により余剰熱を放出することで龍脈のチャクラを制御していたグライアだったのだが、義手のチャクラ制御装置が暴走するとコントロールが不可能になる。無限に龍脈のチャクラを取り込み続ける体質の彼女は、既に戦闘によって疲弊していたことも重なり、すぐに熱爆発する寸前に陥る。

 未来で抱えていた弱点が、今再び彼女に牙をむいている。

 

 楼蘭で大爆発をおこせば、どんな被害が出るかわからない。内側から焼けるような熱と細胞全てが破裂しそうな痛みに襲われながら、楼蘭とサーラを巻き込んでしまう事が頭をよぎり、逃走を始める。

 

 アンロクザンとの戦闘を中断し、急いで少しでも遠くへ行こうと走り出した彼女だったが、それを大人しく見ている敵ではない。

 

「何処に行く気かな!」

 

逃げ出したグライアを狙って巨大傀儡からチャクラ砲が放たれる。その一撃を避ける気力もないグライア。そんな彼女の傍に突然、2つの青い光が現る。一つは楼蘭の上空を飛び、遥か彼方へ。もう一つは彼女とともに消える。

 

「なんだと。何処へ消えた? く、まぁいい。今はサーラを追うことが先決か」  

 

 突然消えたグライアに困惑するアンロクザン。逃げているサーラ達には傀儡兵をけしかけ追跡している為、すぐに追いかける事に決めた。そんな時、彼を阻むように巨人が現れる。巨人は巨大傀儡に殴り掛かり、その衝撃で大きくよろめくアンロクザン。

 

「そうはいかん」

「木ノ葉の忍か」

 

 秋道一族の超倍加の術で巨大化したチョウザと取っ組み合いになるアンロクザン。さらに巨大傀儡の足元から無数の黒い虫が這いあがり、徐々にチャクラを奪いながら覆い尽くし始める。

 

「貴様らごときが」

「シビ。食らい尽くしてやれ」

「良く抑えていてくれ」

 

 木ノ葉の二人が参戦し、楼蘭はさらに激しい戦いへと巻き込まれていく。

ーーーーーーーーーー――――――

 

 一方で瞬間移動したグライアは、楼蘭の郊外に現れて倒れ伏していた。制御できないチャクラの吸収と熱変換されたそれが彼女を生きた爆弾に変える。

 

「ぐぁあ、ぐううう」

 

 苦しむ彼女の傍に立っているのは、シャナだった。足元に倒れているグライアの様子を写輪眼で観察しながら、もう爆発まで猶予がない事を理解する。

 

「解!」

 

 シャナは、グライアの爆発を止めるために巫女のチャクラに自分のチャクラを切り替える。体に文様が現れ、羽衣のような衣が形成される。印を結び封印術を発動する。

 

「粒遁封印術・金剛天鎖!」

 

 背中から無数の光の鎖が発生し、グライアを拘束する。鎖は、封印術であり縛った相手からチャクラを奪うことで強度を増していく性質がある。だが、グライアの龍脈から吸い上げるチャクラと鎖が奪うチャクラでは、ギリギリの勝負と言った所。

 競り負ければ、最悪シャナも吹き飛んでしまう。けれど、何故かシャナはそれを行ってしまった。

 

【理解できない行動だな。吾輩が理解できないだけか?】 

「私も意味不明だってばね。さっきまで殺し合ってたのに、今は命懸けで助けようとしてるってばね!」

 

 全力でグライアの余剰チャクラを吸い取っていくシャナだが、尾獣クラスのチャクラを継続的に吸い取っていては限界が来る。シャナが先にパンクしてしまいかねない。

 膝をついて全身から変な汗をかくシャナ。それをマントに変化しているジョウゼツが止めようとするが、断られる。

 

【……仕方あるまい。余剰のチャクラは吾輩が使用してやる。お前は全力で吸収したまえ】

「好きにやってくれってばね!」

【いいだろう。せっかくだ。木遁秘術・樹界降誕】

 

 チャクラを無駄遣いすると言って、ジョウゼツが勝手に術を発動。背後に馬鹿でかい樹海を作り出し、更に供給されるチャクラを使いどんどん規模を膨らませていく。

 千手柱間やヤマトのような血継限界の保持者にしか使えない木遁だが、ジョウゼツは木遁を使える能力を有していた。そもそも彼を大木に縛り付けていたのも木遁の術による効果であった。彼個人では使えないがシャナと融合しているときに限り、木遁を発動が可能となっている。

 

「ふぅ、ふぅ」

「少しづつ落ち着いてきたってばね。頼むからくたばるなってばね!!」

 

 それから数分後。ようやくグライアの状態が落ち着き、呼吸も戻り始める。そこで落ち着いた彼女の傍に座り、話しかける。その背後には、遥か広大な面積覆い尽くす樹海が誕生してしまっていた。

 

「何か言う事は?」

「せやな。この前の雪の国の件は、水に流したるわ」

「記憶が戻ったってばね」

「あぁ。ほんまに、長い夢を見とった気分や」

 

 体力の消耗が激しく、肩で息をしているグライアと向き合うシャナ。彼女は、アンロクザンとの会話と先程の爆発寸前の危機的状況下で記憶が戻ったらしい。

 

「なんで、助けたん?」

「理由なんてないってばね。なんとなく。そう、なんとなくだってばね」

【全く理解に苦しむな】

「うるさい。それに今はお前より、あのムカデだってばね。あいつをどうにかしないと未来が滅茶苦茶になる」

 

 シャナは、先程から未来視を行っていないにもかかわらず、警鐘のように起こる頭痛を感じていた。頭痛のたびに未来のビジョンが写り、それが良くない未来を記している。これは過去を改変しているが故に起こった現象だと確信しており、その原因がこの時代で好き勝手しているアンロクザンである。

 

「ほな、目的は同じか」

「そうだってばね。仲違いしている以上、お前をこっちに引き込んだ方が得策だってばね(という事にしておくってばね)。それにあいつは胸糞が悪い。先にあいつぶっ飛ばすってばね」

「ええよ。気に食わんけど、乗ったるわ」

 

 シャナの言葉と差し出した手に苦笑しながら、手を乗せたグライア。

 

「お前に何があったんだってばね」

「せやな。状態整える間に、ウチの話したるわ」

 

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