NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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後始末

 うちは一族の壊滅。それは木ノ葉の里だけでなく、他の国々をも震撼させたニュースとなった。

  

 唯一保護された、二人のうちは。片方は、事件の犯人の弟。もう片方は秘匿されているとはいえ、四代目火影の忘れ形見。重要人物のみが生き残り、他のうちはは全滅していた。

 

 事の詳細は、うちはのクーデターを察知していた里の上層部が、イタチに命じていた作戦だった。イタチ一人に全ての罪を背負わせ、クーデターの鎮圧を行わせたのだ。

 弟の命を救う代わりに、一族抹殺に手を貸したイタチ。彼は、予定通り里を抜ける寸前に、ダンゾウを通してサスケとシャナの身の安全、そして行動の邪魔をするなと脅した。

 

 イタチの脅しは効果的であり、残されたうちはサスケを狙っていたダンゾウは、身動きが取れなくなった。心神喪失状態のサスケは、木ノ葉の病院に入院中。

 もう一人はと言えば。

 里の上層部の4人。三代目火影とダンゾウ、ご意見番の二人と向き合うのは、シャナ。彼女は、青い写輪眼でもって4人を見定める。

 

 無傷でイタチを撃退したとされるシャナ。その実力は、折り紙つきだろう。ダンゾウ達も最大限警戒せざるをえない。

 一方、既にシャナの要望を叶えるため書類を用意していた三代目は、その書類を読み上げる。

 

「本日より、うずまきシャナと名乗り、ナルトと暮らすことを認めよう」 

「何を考えている猿飛!!」

 

 物言いをつけたのは、ダンゾウだった。九尾の人柱力と万華鏡写輪眼を持つうちは。その二人を同じ場所で管理するとなり、文句をつけてくる。

 

「二人を引き離したのは、何方も幼く力が不安定だったが故。現にシャナはあのイタチと戦い無傷で生き残っておる。自分の力を制御できているなら、ナルトの九尾を制御するのに、この子以上の適任もおるまいて」

「しかし」

「儂の管轄下にシャナとナルトを置く。全ての責任は儂がとる。これでも不満か」

 

 三代目火影の決定に、ダンゾウは反論できず、ご意見番の二人もシャナの力を利用し、九尾を制御できるのならと許可する。

 

「だが、その子は、忍ではない。一般人に九尾を制御させるつもりか?」

 

 ダンゾウは、シャナがアカデミーに通っていないことを引き合いに出す。確かにシャナは忍術使いであっても、忍として登録されていない。言うなら一般人だ。

 忍者候補でもないシャナに、里の尾獣を預けるつもりかと尋ねる。

 

「そうじゃな。確かにシャナは、忍ではない。昨日まではな」

 

 猿飛は、ダンゾウに向かって書類を投げ渡す。書類を受け取ったダンゾウは、それに目を通して、固まる。それはシャナの忍者登録証だった。

 

「シャナは、アカデミーに入学後、すぐに卒業した。故に、まだ仮ではあるが、下忍なのじゃよ」

 

 権力の行使に迷いのない火影。シャナの立場を整えるために、手を尽くしていた。珍しく先手を取り続ける猿飛に、ダンゾウも言葉が出ない。

 そして、反対意見がなくなったことで、シャナの処遇が決まる。 

  

「じゃ、行くってばね」

 

――――

 

 シャナはあらかじめ三代目に渡されていた木ノ葉の額当てを眺めながら、木ノ葉の病院へと向かう。すぐにでも弟の所に行きたい気持ちを抑え、義理を果たすため、サスケの病室の窓から侵入する。どのみち面会謝絶なのはわかっていたので、窓から入り込んだシャナ。

 病室の中では、ベッドの上で目覚めていたサスケが、シャナを見る。

 

「シャナ……生きてたのか」

「私は強いからね」

 

 サスケは、精神的な理由からか、見るからにくたびれていた。

 

「イタチが、みんなを殺した……父さんと母さんも」

「生き残ったのは、私とお前だけだってばね」

 

 それは事実だった。サスケは、その光景を思い出したのか唸りながら、頭を抱える。その目には、明確に闇が漂っていた。それは間違いなくイタチに対する復讐の炎。イタチの弟を思う心によって植え付けられた復讐心は、幼かった少年の心を変化させていた。

 やがて、唸るのを止めたサスケの目は、シャナの目を見返す。

 

「イタチは俺に、殺しに来いと言っていた」

「聞いてたってばね。器がどうとか言ってた」

「あいつは、そんなくだらない物の為に、うちは一族を……」

 

 シャナは気が付いた。サスケの性格が以前と変わっていることを。深い悲しみによって写輪眼を開眼していたサスケは、間違いなくうちはの闇に囚われていた。

 

「お前も家族を奪われたんだろ? なら、お前もイタチに」

「甘えるなってばね。それはお前の復讐。私を勝手に巻き込むな」

 

 イタチを殺す覚悟をしているサスケ。だが、そんな事に巻き込まれたくない。イタチに対する怒りはあろうとも。シャナには彼に対する復讐心などない。

 きっぱりと復讐の協力を断ったシャナに、サスケは理解できないと怒鳴る。

 

「なぜだ!? お前だって両親を奪われ、兄を奪われたはずだ! なのに、俺と同じ痛みを味わったお前が何故イタチに復讐を考えない!! 敵を討とうとしない!!」 

「興味がないからだってばね」

「く……、もういい! 復讐は俺だけでする」

 

 シャナの目は、イタチへの復讐の意志がないと語っていた。サスケが知らないだけで、既に彼女なりのケリは付けていたからだ。

  

「復讐は、人生の目標にするにはあまりに些末なものよ」

「黙れ。俺は、一族の、父さん母さんの仇を討たなければいけない。それが俺が生かされた訳だ」

 

 復讐に取りつかれている。この復讐心を払うことはできないのだろうか。サスケには、普通の人生を歩ませたいと思うのは、何故だろうか。

 愛するものの為に愛する家族を殺した兄、失った愛の為に愛する兄を殺す弟。なんと罪深い一族の宿命か。

 愛があるからこそ、うちは一族は止まれない。失った後も、止まることはできない。それがどれだけ困難な道で、そこに救いはなくとも、進むしかない。

 

「……出来ると思うの? イタチは強い。それをお前が?」

「どんなことをしてでも、俺は強くならなければいけない。……あいつを殺す」

 

(説得は無理か。私も狐と仮面の男を許すことは死んでも出来ないってばね。こんな気持ちを抱えて生きるか……)

「……」

「何だってばね?」 

 

 サスケは、拳を握りしめながらシャナを見る。

「お前は生き残ったうちはで、唯一の写輪眼の持ち主だ……だから、俺に」

「強くなる協力をしてくれってことだってばね?」

 

 言いにくそうに言葉を選んでいるサスケ。今までなら無理やりにでも修行に付き合えと言ってきたのに、変わってしまったようだ。

 それに断る理由はない。イタチに託されたのだから。

 それにサスケを鍛えなければいけないのは事実だった。サスケは生き残ったうちは一族の一人、この類稀な血継限界、写輪眼を求める人間は多い。政治的にも、物理的にも狙われるだろう。その中で生きていくには、自分を守れるだけの力が必要だ。

 

「まずは体を治すってばね」

「なら」

「いいよ。鍛えてやる。ただし、イタチを殺せる力じゃない。お前が生きていくための力だってばね」

 

 サスケは不満そうな顔をする。だが、シャナに兄殺しを応援する気はない。

 そういえば、サスケに伝える事があったと、話を切り替える。

 

「あと、私は今日から、引っ越す」

「引っ越す?」

「そう。元々うちはの集落は閉鎖状態だからな。私は、先に引っ越すことになる。この住所だってばね」

 

 シャナはサスケに住所の書かれた紙を渡す。 

 

「サスケは知らない事だけど、私には弟がいる。その子と一緒に住むことになっている」

「は? 弟? どういうことだ?」

 

 サスケの疑問に、シャナは答えていく。元々、うちは一族ではなかった事。血は継いでいるが、うちはの家系出身ではない事。シスイの家には養子として貰われていたこと、両親はすでに死んでいる事、保護者が居なくなったことで弟と暮らすことが決まった事を。

 彼からしては、青天の霹靂であり、シャナの言葉を頭の中で整理するのは時間がかかった。

 

「だから、私は弟と暮らすんだってばね」

「……そうか。わかった」

 

 シャナには、まだ家族がいる事を知り、自分と同じ孤独ではなかったのだと知るサスケ。だが、シャナが弟の話をするときは、酷く嬉しそうだったため、素直に「よかったな」と相槌を打つ。

 少しだけ弟と暮らす感想を語ってしまったシャナは、サスケに対して不謹慎だったと口を閉じた。

 時間が迫ってきたため、シャナは医師に見つかる前に窓から帰ろうとする。

 

「そうだ、苗字も変わったってばね。私は、うずまきシャナ。今度からは、そう呼んでくれってばね」

 

 そう言って窓から飛び出し、瞬身を使ったのか、すぐに見えなくなる。そんなシャナを窓越しに眺めていた。

 少ししてから、サスケはシャナの残した言葉を思い出した。

 

「うずまき? うずまきって……」

 

 サスケは、その姓を持つ人間を知っていた。シャナとの繋がりが、彼とその人物を繋ぐ大きな懸け橋になることに、まだ誰も気づいていなかった。

 

 

 




 イタチとシャナの力量差は、一族抹殺時は、シャナの方に軍配が上がります。
 理由はシャナがイタチの得意な幻術を看破してしまい、スサノオを使える事、先見の写輪眼での絶対回避などがあげられます。
 イタチは万華鏡に目覚めたばかりで、主に月読などの幻術がメインで、天照やスサノオは使えないので、こういう結果になりました。

 相性の面が大きかったですね。
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