NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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シャナ師匠。厳しい修行 後編

 今日の日課である模擬戦。一人一人では、瞬殺されるナルトとサスケだが、いつからか互いにカバーを行えるようになっていた。自分に向かってくるシャナの動きは目で追えないが、攻撃を食らいかけている味方なら見えるため、瞬時にカバーに入ることでどうにか戦闘を続ける。

 

 最初の内は一人で戦うことに拘っていた両者だが、実力差を体に叩きこまれたせいで、それぞれの感情を抜きにして共闘する道を選んでいる。

 

「ナルト。一人で突っ込むな!」

「お前が立ち止まってるのが悪いんだろうが!」

 

 口喧嘩は絶えない。性格的に仕方ないとはいえ、そろそろ慣れないものかとシャナがげんなりする。二人してシャナにかかってくる割に、隙があれば喧嘩するのだ。

 

「男の子って、めんどくさいってばね」

「ムキーーー! 姉ちゃんと言えども腹立つ!」

「喚くな! あれは確かに腹が立つが、どうしようもないだろ」

 

 ぼろぼろのサスケとナルト。対して無傷のシャナ。ナルト達が腹を立てているのは一人無傷な所ではない。二人の相手をしているシャナは、何故か読書をしているからだ。それもかなり真剣に本を読みながら、二人には目もくれない。

 シャナが読んでいる本は、先日八雲から押し付けられた恋愛小説である。

 

 そんなものに毛ほども興味のなかったシャナ。恋愛どころか、男女の違いすら理解していない節のある彼女だったが、八雲がそれを指摘した。

 初めて出来た女友達であるシャナと、帰り道に恋バナをしてみたかった八雲であったが、シャナの返答が全て理解不能だった。あまりに幼稚な感性を持っている友人に危機感を覚えた八雲。

 服装も趣味も趣向も男の子のようなシャナに対して、少しでも女子力を向上させなければという使命感が湧いたらしい。意外にも家事は好きだという事実が唯一の救いであったが、シャナの情操教育に取り組み始めた八雲。

 

 その一環が、恋愛小説の押し付けだった。少しでもシャナの女の子の面を成長させれればと、断るシャナに無理強いした。シャナは嫌がっていたが、年頃の男の子と暮らす上でも必要な事だと説得され、渋々読書を行っていた。

 だがナルト達との修行もあり、本を読む時間が取れなかった彼女は、あろうことか模擬戦中に読み始めた。さらに写輪眼すら解除しているため紫の瞳になっており、手を抜いているのが一目瞭然だった。

 

 もちろんナルトとサスケは、本を読み始めたシャナに激怒。ぶちのめしてやると意気込み、全力で襲い掛かった。だが、現状はかすり傷すら付けられていない。シャナは、恋愛小説が難しく頭を悩ませているが、修行の結果、写輪眼なしでも使えるようになった未来視を使い、しっかり二人の動きは洞察している。

 写輪眼に頼り切っていることを自覚していたシャナは、裸眼での未来視を戦闘に取り込む訓練を同時に行っていた。未来視の精度自体は落ちるが、これなら脳の負担が減り、長時間使えるのだ。

 

 未来を見て二人の動きを洞察し回避する。写輪眼の動体視力やチャクラを見る力を失うが、それでも二人相手に戦える。 

 

 本に集中しながら、未来視を行い、戦闘を継続する。その負荷はすごいもので、シャナ自身の特訓にもなると、八雲に感謝し始めていた。涼しい顔で戦っているが、並列思考しながらの戦闘という曲芸は、シャナの集中力を鍛える立派な訓練になっていた。

 

「ねぇ、二人は好きな子がいるってばね? どんな感じの子が好きだってばね?」

「知るか!?」

「そんな本読んでないで、修行に集中しろってばよ!」

 

 恋愛小説は難しいと、自分に殴りかかってくる二人に尋ねるが、求めていた返答が来ない。まだ二人とも小さいし、恋愛事はわからないかと自分の事を棚に上げるシャナ。

 模擬戦がメインで、それ以外はスタミナ向上のための体力つくりを言い渡されているサスケとナルト。二人は、全力で動きながらも長い時間動き続ける事が出来るようになっていた。

 

 特に目覚ましいのがナルトである。動きは単調で直線的、正直お粗末なものだが、ずっと動き続けるスタミナにシャナは驚いていた。ナルトの攻撃は一切止まらず、次から次に飛び掛かってくる。

 

 一方サスケは、フェイントを織り交ぜながら高い運動神経を発揮し、テクニカルに攻めてくる。

 

(ナルトが陽動、サスケが隙を見つけて攻め込んでくる。いつの間にか役割分担が出来てる)  

 

 喧嘩の止まない二人だが、シャナという共通の敵を持てば、いいコンビネーションを発揮する。

 本を読みながらの戦闘ではあるが、気を抜けば一発貰いそうになる。

 

「ナルト、何度も言ってるけど、動きが単調すぎ。サスケは、フェイントに拘って手数が少なくなりすぎ」

「なんで本読みながら、アドバイスまでできるんだってばよ!」

「(化け物かこいつ。息切れ一つしてない……いや、それはナルトもか)」 

 

 サスケは、延々と動き続ける二人に、息切れしている自分を恥じていた。ナルトは生まれ持ったスタミナが異常であり、シャナは修行の成果と無駄の少ない動きで二人に修行をつけているが、サスケからすれば自分は彼らに劣ると感じていた。

 逆にナルトは、二人の動きが自分より遥かに優れていることに焦りを感じる。目指す先にいる二人がどんどん遠ざかっていく感覚を感じていた。

 

 相手の優れているところを感じるのは、相手をよく見て自分を観察できている証拠。

 それから20分ほど戦い続け、サスケとナルトが泥だらけになりながらも、一発入れようと工夫を凝らす。

 

「だぁら!」

「そこだ!」

 

 サスケの投げたクナイと突撃したナルトの攻撃を回避したシャナだったが、サスケがその避ける先に待機しており、シャナの顔を蹴り上げようとする。

 その蹴りは、シャナの持っていた本を蹴り上げ、空高くへと飛ばす。

 

「!」

「ふ」

「やったってばよ!」

 

 シャナの持っていた本を奪ったサスケ。落下する本を拾い、シャナに向ける。

 

「これでもう、本は読んでられねぇな」

「へへーん、そうだそうだ」

 

 手に持っていた本を奪われたシャナは、驚いた表情をしながら、サスケとナルトを見て微笑む。あまり見せない表情に二人は唖然とする。そんな二人を見ながら、シャナは腰のバッグからもう一冊の本を取り出した。

 その表紙は、サスケの持つ恋愛小説と同じタイトルでありナンバリングが2と書かれていた。

 

「残念、それは読み終わったんだってばね」 

「はァ!?」

「もうやだってばよーー!」

 

 その本は読み終わったとvサインするシャナに疲れ切ったサスケは尻もちをつき、ナルトは激しく地団駄を踏んだ。シャナに勝てないまでも本だけは奪ってやろうとしていた二人だったが、シャナが読み終わるまでに間に合わなかったのだ。

 

 疲れ切った二人に、休憩を言い渡したシャナ。二人はその命令に逆らう気力もなく、がっくりしていた。

 休憩しながら落ち込む二人を横目に、シャナは本を読みながら冷や汗をかいていた。

 

(読み終わる前に、本取られたってばね……)

 

 実はシャナは読み終わっていなかった。ただ、二人のドヤ顔を見て、素直に認めたくなかったのだ。最後のコンビネーションは、シャナの未来視の動きとはわずかに違い、新しい未来となってシャナから本を奪った。

 シャナの予想を超えた動きをした二人の弟子。二人の成長を嬉しくも思いながら、素直に負けを認めたくない意地が勝ってしまった。

 負けず嫌いは二人に限った話ではなく、シャナも十分に負けず嫌いなのだから。

 

―――――

 

 修行の時間が終わり、辺りが暗くなる。

 

「今日はここまでにするってばね。今度は3日後になる」

「3日か」

「それまでは、自主練でいい。主に火遁の術を練習するってばね」

 

 明日からは任務が立て続けで入っており、二人を見ることが出来ない。だからメニューを伝えておくことにした。サスケは、シャナから忍術の修行を言い渡され、不思議そうな顔をする。

 今までの修行内容は、体術メインの体力増強だったからだ。 

 

「そろそろ、チャクラを使った修業をするってばね」

「そうか。わかった」

 

 サスケは、その言葉に素直に従う。シャナは体術も強いが、生粋の忍術タイプの忍である。彼女の術の威力は子供の頃から知っている。シャナの術は、うちは一族の仇である憎きイタチですら認めていた。

 

「あのさあのさ、俺ってば腹減ったってばよ。帰りにラーメン行こう?」

「うーん、いいよ」

 

 一楽のラーメンが食べたいと言い始めたナルト。シャナも頑張っているのでご褒美に食べに行こうと言い始めた。一楽のラーメンが好きなナルト。シャナも好みの味で気に入っているので、よく食べに行くお店だった。

 二人が夕飯の相談をし始めたところ、サスケはポケットに手を入れながら帰り始めた。

 

「どこ行こうとしてるんだサスケ」

「なんだウスラトンカチ」

「今から食べに行こうって話してるだろ」

「だからどうした」

「お前も一緒に行くんだってばよ!」

 

 ナルトはサスケを誘った。もとより一緒に行くものと思っていたようで、サスケが一人帰ろうとした姿を見て引き止めたのだ。

 

 まさか誘われているとは思わず、サスケが固まる。

 シャナはそんなサスケに手招きをする。

 

「ほら、一緒に食べに行こうサスケ」

「はやくしろってばよ」

 

 うずまき姉弟に手招きされたサスケは、少しだけ立ち止まってしまう。しかし、待ちきれないナルトが走ってきて、サスケの背中を押す。

 

「押すなナルト」

「だったらテキパキ歩けってばよ」

 

 二人に連れられ、サスケは一緒に一楽に行くことになった。これはそんな修行の日々。

 

 

 

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