NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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ナルトとサスケ

 木ノ葉の里。

 

 忍者アカデミーのお昼。教室内で昼食を終えたうちはサスケは、退屈そうに空を眺めていた。今日も退屈な授業を受けながら、珍しくナルトが来ていないことに気が付く。

 

 今日はシャナが帰ってくるはずの日であり、それを迎えに行ったのかと考えていた。

 シャナの用意したメニューは、難易度が高く習得には至っていない。手を使わずに木を登る行為があそこまで難しいとは思わなかった。

 

 ナルトと競って行った修行だがどちらも成果は芳しくなかった。とはいえ、チャクラの移動と維持を学べるなど、得るものも多い。今日の修行ではどうやって工夫するかを考えていると、教室にナルトが走りながら飛び込んでくる。

 

「サスケェ! ちょっと来るってばよ」

 

 教室に入ってきたナルトは他のクラスメイトに目もくれず、サスケの所まで駆け寄ると、サスケの手を引いて教室の外に連れ出した。

 

 サスケとナルトが外に出るのを見ていたクラスメイト。

 

「あれぇ? 今のナルト? 今日休みじゃなかったの?」

「さぁな。でも今来たじゃねぇか」

「サスケを連れて行ったね」

 

 チョウジとシカマルは、二人して突然現れたナルトの事を話しており。

 

「サスケ君が連れてかれちゃった」

「ナルトォオ!」

 

 女子たちは、サスケを連れていかれ、ご立腹の様子だった。

 

「だけど、最近サスケ君、ナルトと一緒に居る事多くない?」

「仲良いよね。喧嘩はしてるけど、二人とも一緒に修行してるらしいよ」

 

 クラスメイト達もナルトとサスケの仲が改善したことは理解していた。特に変わったのはナルトだろう。相変わらず馬鹿をやるが、体術の成績は上がり始め、忍組手でもサスケを相手に手も足も出なかった時から一変。サスケ以外には勝っているというまで成長していた。

 そして、女子に対する態度も変化していた。女子をからかい、時には怒らせる事ばかりしていたナルトだったが、なんというか少し優しくなったのだ。

 

 これまで毛嫌いしていた女子たちも、どこか紳士的な態度のあるナルトの変化を好意的に感じていた。

 

「どこいったんだろう?」

 

ーーーーーーーーーー―

 

 ナルトはサスケを屋上まで引き連れて、握りしめた手紙を見せた。

 

「なんだそれ」

「今日の昼頃に届いた手紙だってばよ。姉ちゃんが……シャナ姉ちゃんが」

 

 手紙を持ったままのナルトからサスケがそれを奪って確認する。そこには、シャナが任務で負傷し、湯の国で療養する旨が書かれていた。

 

「あいつが怪我? 殺しても死ななそうなのにな」

「おれってば、おれってば、心配で、何って言うんだろうな、この気持ち」

 

 サスケはナルトの顔を見る。普段の明るい顔から一変し、暗い表情となっている。

 家族の居なかったナルトは、新たにできた家族の怪我を聞いて、失うことに対する不安を覚えたのだ。今まで一人だったナルトにはなかった感情。

 初めての感情に振り回されているのだろう。

 

「何日かしたら戻ってくるだろう。怪我だけみたいだしな」

「そりゃ、そうだけど」

「それより、俺とお前は木登りの行が終わってねぇんだ。早く習得しないと馬鹿にされるぞ」

 

 むしろ、期限が延びたことを喜ぶべきだ。シャナは出発前に、帰ってくるまでに終わらせておけと書いていたのだ。今日帰ってこられたら、大目玉を食らったのは間違いない。

 

「……わかったってばよ」

「第一にお前は俺より遅れてんだ。人の心配してる場合かよウスラトンカチ」

 

 あえて挑発する。そうすればナルトは乗ってくると分かっているからだ。思惑通り、ナルトは激怒しながらシャナへの心配を忘れたようだ。第一、あの女が本当にケガをしたのかも怪しいくらいだった。 

 

 その後、アカデミーをさぼっていたナルトはイルカに見つかり、こっぴどく叱られていた。

 

――――――

 

 アカデミーが終わり、いつも通り修練場で修行を行ったナルトとサスケ。与えられた木登りを行い、昨日より1mほど高く登れたが、それでもてっぺんまではまだまだ遠い。ナルトはチャクラの扱いが下手なため、何度も地面に落ちては傷を負っていた。

 それでもサスケの倍以上の挑戦数で、少しづつだが差を縮めてくる。

 その修業を夕方まで行い、ナルトに誘われてラーメンを食べに行くことになったサスケ。もう断っても無駄だと理解しているからか大人しくついていく。

 

 二人して木ノ葉の夜道を歩いていると、ナルトが何かに気が付いて走り出す。

 

「やいやいやい! 一人相手になにしてるんだってばよ!」

 

 ナルトはどうやら林の中で、5人の上級生に虐められている人物を見つけたようだ。大声をあげながら、自分より大きな体の連中に向かっていく。

 さすがに分が悪いとサスケもナルトを追いかけ、彼の肩を掴む。

 

「ナルト! お前何やって」

「なんだこのチビ? この白目お化けの仲間か?」

 

 アカデミーの上級生達は、ナルトを見るなり「こいつ、あのナルトじゃね?」と悪意に満ちた目で睨み付ける。

 だがそんな目には屈しないと睨み返すナルト。

 

「ナルト君?」

「おっと。いじめられっ子同士仲良くってか?」

 

 どうやら上級生たちのターゲットになっていたのは、日向一族の娘、日向ヒナタのようだった。修行着姿の彼女は、暴力を振るわれたのか土で汚れていた。日向一族という木ノ葉の誇る一族出身である彼女だが、気弱な性格が災いし、こうやって虐められることも多いようだ。

 ナルトの声を聴いて、顔をあげた彼女だが、一番体のデカい少年に髪を掴まれていた。

 

 その様子に激怒したナルトが、指を突き差して怒鳴り散らす。

 

「ぶっとばす! ヒナタ、ちょっとだけ我慢してろってばよ!!」

「ひゅー、かっこいい。おい、ぶっ潰してやれ」

 

 5対1となれば、分が悪い。だが目の前のナルトに数の不利など頭にない。たとえ負けてもナルトは、こういう心無い悪を許さない。

 一人目の少年の顎を殴ったナルト。二人目が迫ってくるが、その拳を回避して肘を鼻に当てる事で鼻血をふかせる。

 しかし、3人目が背後からナルトを羽交い絞めにし、4人目が動けないナルトの顔面を殴ろうと拳を振りかぶる。

 

「考えて飛び出せウスラトンカチ!」 

 

 しかし、拳より先に参戦したサスケの蹴りが顔面に入り、血を噴きながら倒れる。そして、ナルトが羽交い絞めにされたまま、無理やり跳び上がり、がら空きになった腹をサスケの拳が貫く。

 

「お、おぇ」

 

 鳩尾にめり込んだ拳にナルトを解放し嘔吐する少年。最初にナルトに殴られた2人も立ち上がって、サスケとナルトに向かってくる。だが、ナルトとサスケ両者の飛び蹴りを顔面に受け完全にダウンする。

 あっという間に4人を制圧したナルトとサスケ。

 

(なんか、此奴ら弱いってばよ)

(元々相手にならないような連中だが、こいつと組むとやりやすいな)

 

 ナルトは、修行する前なら絶対に勝てなかった相手。体の大きさもさることながら、数の暴力にいつも屈していた。けれどどうだろう。サスケという心強い仲間がいるとはいえ、ナルトも相手に劣っていない。少年たちの攻撃が遅く見え、なにより怖くなかった。サスケの助けがなくても、どうにかする自信すらあったのだ。

 シャナのしごきに比べれば、いじめっ子たちの暴力など児戯に等しい。いつもやられるだけだったが、実戦慣れするという面で、ナルトは確かに強くなっていた。

 一方でサスケも、初めてシャナ以外にコンビネーションを使ったが、思いの外思い通りの動きが出来たことに驚く。規格外の相手をしているせいで、成長を感じ取れなかっただけで、サスケもまた強くなっていた。

 

「な、なんだよお前ら」

 

 手下の4人が制圧され、気圧されるガキ大将。人質のようにヒナタの髪を掴んだまま、一歩下がる。そのせいでヒナタが小さな悲鳴を上げる。その声を聴いて、サスケとナルトがガキ大将に振り返る。

 

 二人して背中合わせに構えを取るナルトとサスケ。

 

「後はお前だけだぞ、デブ」

「ヒナタを放しやがれ!!」

 

 啖呵を切ったナルトにブチぎれたガキ大将は、ヒナタを放して全速力で二人に殴りかかる。

 

 本来なら体格差に任せてボコボコにしているはずだった。

 

 なのに。

 

「遅いってばよ」

「腹ががら空きだな」

 

 片方に殴り掛かれば、躱され、もう片方に後頭部を蹴られる。それに反応し、蹴りをお見舞いすれば、受け止められ。軸足をもう片方に払われる。

 そして、仰向けに倒れ込む体勢になったガキ大将の腹を二人して殴り飛ばす。筋力と体格で勝るガキ大将は、自分よりも小さな二人に翻弄され続け、徐々にボコボコにされていく。

 

 サスケが上半身、ナルトが下半身を重点的に狙い、片方が狙われればフリーの方が攻撃を仕掛ける。その戦法をアカデミー生が出来るはずがないのだ。

 これは長い事二人で戦ってきた経験故のコンビネーション。お互いにやることを理解している。とはいえ、突っ込み気味のナルトに合わせられるのは、サスケが周囲をよく見る能力にも長けているからだろう。

 

「うぉああああ」

 

 敗北の色が濃厚になったガキ大将は、3人の戦いを呆然と眺めていたヒナタへと駆け出す。人質にでもする気なのか、ナルトとサスケを完全に無視して突進をする。

 

「「させるか(ってばよ!!)!!」」

 

 ナルトとサスケは、無意識に足の裏にチャクラを集中。それを爆発させることで、急加速して走り出し、ガキ大将を追い抜いた後は、地面に素早く吸着。急ブレーキをかけながら、突然前に現れた二人に驚いたガキ大将の顎にアッパーを決める。

 それが決め手となり、口から血を噴いたガキ大将の巨体は地面に倒れ伏す。

 

「よっしゃあああ!!!」

 

 喧嘩に勝ったことでナルトが喜ぶ。サスケも、最後のチャクラ吸着と反発の感覚に手ごたえを感じていた。そんな二人を見ていたヒナタ。彼女の無事に気が付いたナルトが、しりもちをついているヒナタに手を伸ばす。

 

「もう大丈夫だってばよ」

 

 ナルトに手を引き起こされ顔を真っ赤にしたヒナタは、もじもじしながらも小さな声で「あ、ありがとう。ナルト君。それにサスケ君も」と二人に礼を言う。 

 

「ああいう輩も居る。あまり遅くまでは出歩かない事だな」

「そうだな。ヒナタは、大人しいから余計にだってばよ」

 

 ナルトは、ヒナタに家まで送ろうかと尋ねるが、彼女は首を横に振って「大丈夫。もう大丈夫だから」と改めて二人に頭を下げて家へと帰った。

 

「やっぱちょっと変な奴」

「は? お前、あの反応を見て……いや、なんでもない。飯に行くなら、早く行くぞ」

「お、そうだった。ラーメン、ラーメン、一楽のラーメン!」

 

 二人は夜道を歩いて、一楽へと向かった。一楽の店主たちが温かく迎え、二人で虐めっ子から女の子を助けたと報告したナルト。それを聞いたアヤメは、「なにその王道展開」とはしゃぎ、漢気に感銘を受けたテウチから、サービスで替え玉を無料にして貰っていた。

 

 これはシャナの居ない間の弟子たちの武勇伝。

 





 コンビ炸裂ですね。シャナと戦い過ぎて、基準がおかしくなり始めてる二人。
 現状、サスケは復讐忘れてそう。なのに実力だけはメキメキと上がってますね。

 次回は、湯の国の予定。
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