NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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生物兵器

 

シャナ達に敗れてから、しばらくの間任務に就けなかったコダマ。ペインからの指導を受けながら、自分の力を磨いた。

 

 とはいえ、集中力のないコダマは、すぐに暁のメンバー相手に絡みに行ってしまう。大蛇丸以外のメンバーとの交流をしていたコダマは、彼らから術を教えてもらうことも少なくなかった。

 当然拒まれることも多かったが、しつこく懇願し続ける彼女に教えた方が早いと感じる人間が多数だった。

 

 そんな彼女は、今雨の国の室内公園で10人近い子供たちに壁の隅まで追い詰められていた。

 

「いやー! 皆でコダマを虐めないでーーーー~」 

 

 人形を抱きしめながら、この世の終わりだというように叫ぶコダマ。

 だが子供たちの目は非常に冷ややかで、コダマを責めた。

 

「繋ぎ鬼してるんだから、最後まで逃げたらこうなるでしょ」

「コダマちゃんずるいよそういうの!」

「虐めてないし!」

 

 繋ぎ鬼というのは、鬼ごっこの一種でタッチされたら手をつなぎ鬼が大きくなる遊びである。同年代の子供達と遊んでいたコダマはいつも最後まで逃げ切るも、追い詰められるのがお決まりであった。

 いつも囲まれるため、最後の抵抗として被害者ぶるのである。

 しかし、子供の勝負の世界はシビアである。情けなどない。

 

「えへへ。だめか~」

 

 ついに捕まってしまい、やり直しとなる。だがそのたびに最後に壁に追い詰められるコダマ。彼女の能力なら逃げ切るのは容易いが、同年代の子供を怪我させる訳にもいかず、年齢相応の力しか出していないのだ。

 子供達と一緒になってはしゃぐコダマの様子を見ていた暁のメンバーの二人。うちはイタチと新メンバーである干柿鬼鮫が遠くから眺めていた。

 

「いやはや。ああしてみると普通の子供なんですがねぇ」

「そうだな」

「昨日まで、全身血まみれになるまで殺しまくってた子と同じとは思えませんねぇ」

 

 コダマが鬼になり、逃げ惑う子供たちを追いかける。一番最初にターゲットにされた子が、コダマによってタッチされた瞬間。鬼鮫の脳裏には昨日の光景が写った。

 

ーーーーーーーーーー――――――――

 

「ぐあああああああ」

 

 コダマの巨大な腕で地面に叩きつぶされた男性。血の池となった彼の姿に武装した50人を超える人間達は戦慄する。それぞれが武器を構えているが、頭から翼を生やし、両腕が巨大でまるで鮫肌のような鱗に覆われた怪物に恐れをなしている。

 愛らしい少女の顔をしていることが、なおのこと恐怖を増強させる。

 

「いっぱいだね!」

 

 少女は翼で羽ばたき、空中に飛びあがると羽根を発射。無数の羽根手裏剣によって男たちが突き刺されていく。少しだけ数を減らしたコダマは、猛スピードで男たち目掛けて接近。剛腕を振るい、蹴散らしていく。武器を構えた男たちの反撃も、新たに腕に追加されたサメ肌のような鱗が阻む。そして、腕を振るえば、鱗に皮膚や肉を削り取られた男が出来上がる。

 

 手あたり次第に掴んでは、叩き潰し、削り殺し、握りつぶすコダマ。その猛威に逃げ出す男達。だが逃走は許さないと羽根手裏剣を飛ばして背中を貫いていく。

 

 その戦いぶりを観察させられていたのは、イタチと鬼鮫だった。新しいツーマンセルになった彼らは、今回のコダマの見張りだった。組織に入るなり、コダマに懐かれた鬼鮫はひどく困惑しており、彼女が大名暗殺の依頼に同行すると聞き、さすがにどうかと進言した。

 だがコダマの能力を知っている面々は「見て居ればわかる」とだけ説明。

 自身の武器であり生きた忍刀・鮫肌がペットのように懐いている少女を引き連れ、土の国の大名を殺しに来た面々。コダマが一人でやると言い始め、何とか言い聞かせようとした鬼鮫だったが、猛スピードで大名家の籠を襲いに行ったコダマ。

 

 護衛の忍達すらも殺戮していく姿に唖然とする。

 

「恐ろしいですね」

「あいつは強いと言ったはずだ」

「それはそうですが。しかもあの腕……私の鮫肌を再現してるんでしょうか」

 

 自分の武器と似た体質になっているコダマ。そのことを尋ねれば「おそらくそうだろう」と返された。コダマの能力は未知数だが、常に強くなろうとしている。

 実際防御力と殺傷能力は向上し、生物兵器としての性能が向上している。

 

 あらかた護衛を殺し終えた頃には、全身血まみれの幼女が完成している。元気にハキハキとしながら人の命を摘み取っていく狂気といったらない。

 

 大名家の籠を狙って羽根手裏剣を掃射したコダマ。

 だが籠を守るように地面から石が盛り上がって巨大な盾となる。その盾に攻撃を阻まれたコダマは、首を傾げる。しかし、彼女の足元にクナイが落下。クナイに括りつけられた袋が爆発し、爆発に巻き込まれる。

 

「おっと、新手ですね。行きますかイタチさん」 

「待て。まだいい」

 

 助太刀に行こうとする鬼鮫をイタチが止める。実際、腕でガードしていたコダマは無傷であった。

 

(何この匂い……変なの)

 

 コダマは爆発にまぎれた僅かな匂いに気が付いて、首を傾げる。だが次の瞬間、花びらがコダマの周囲を舞い、周囲が見えなくなる。

 

「やれ、コンゴウ」 

 

 女性の声が聞こえ、そのあと野太い男性の声が聞こえる。コダマは写輪眼で花びらが幻術だと察知し、すぐに解除する。すると自分に拳を振るおうとしている大男が見えた。

 

「ぬぉおお!! 何!」

「きゃあああ」

 

 渾身の一撃を、小柄な少女に受け止められた男は驚愕する。巨大な腕ではなく小さくした腕で受け止められ、力負けしたのか巨体ごと投げ飛ばされる。すさまじい勢いで放り投げられた大男は、コダマに接近して幻術を掛けていた小柄な少女に激突。少女は戦闘不能となる。

 

「おい、毒が効いてないのか此奴」

 

 すぐに起き上がった大男だったが、地面を蹴って急接近したコダマの乱打を受けて吹き飛ばされる。彼の言った毒というのは、先程クナイに括りつけられた袋であり、無臭の神経毒だった。だが毒をものともしない頑強さを持つコダマには無力だった。

 

「とどめ、とどめ!」

 

 自分で作った歌を歌いながら両腕を巨大化させたコダマ。そのまま男を殺そうとしたが、無数の石が剛速球となってコダマを襲う。写輪眼で石の軌道を見ていたコダマが、それらを回避していると、石の陰から接近した赤い髪に手の甲に目がついた男に腕を触られる。

 すると、触られたコダマの巨大な腕が石に変わっていき、重みで落下。砕け散ってしまう。

 片腕を失ったコダマは、その術を観察しながら距離を取る。

 

「ずいぶん好き勝手やってくれたな小娘」

「なにこれ」

 

 石化して崩れた腕を確認しながらコダマは男を見つめる。男はコダマを警戒しながら、右手の甲にある目を開眼し、チャクラを込めていく。それは先程と違い、一瞬でコダマを石に変えるつもりだからだ。

 その男に見覚えのあった鬼鮫。

 

「あいつは、岩隠れのイシダテですね。手強いらしいですよ」

 

 鬼鮫が知っているレベルの忍。だがイタチが動こうとしないことで、鬼鮫もコダマの様子を見守る事しかできない。

 イシダテの石化する腕を警戒しながら回避し続けるコダマ。

 不意打ちを食らってしまったが、相手の目を見るコダマにイシダテの術は当たらない。 

 

「なんで当たらないんだって思ってるねおじちゃん」

「なに?」

「何を考えてやがる薄気味の悪いガキ? ふふ、なんで俺の考えがって?」

 

 攻撃を回避しながら、イシダテの心の声を口にし、小馬鹿にしていくコダマ。小さな少女に舐められていると悟ったイシダテは、額に青筋を浮かべながら右手にさらにチャクラを集中。地面を殴りつけ、巨大な石礫の弾丸を飛ばし続ける。

 けれど、イシダテの目を見ていたコダマには、一発も当たることなく回避される。

 そして、石化して砕いたはずの腕が瞬時に再生する。あまりに異様な力にイシダテも警戒したのか、一歩下がってしまう。

 

「そろそろ終わりにするよ?」

「黙れ!!」

 

 プライドを傷付けられ、コダマの体に触れようとしたイシダテ。だが、動きを見切ったコダマによって手首をつかまれ、怪力によってブンブンと振り回される。その時、手首をへし折られ、意識を取り戻していた大男の方向に巨大化した腕で殴り飛ばされる。

 殴り飛ばされたイシダテの体を大男が受け止める。だがダメージが大きいのか血反吐を吐いて蹲っていた。

 

「おじちゃん結構強いね。けど、もうつまんないや」

 

 石化は面白かった。だがそれ以外は特色のない相手。同じ青い写輪眼を持っていたお姉ちゃんとは大きく違う。コダマの人生に敗北の二文字を刻んだ強いお姉ちゃん。あの人にもう一度会いたい、お話ししたい、戦いたい。あらゆる興味が同じ目を持っていたシャナに向けられている。

 湯の国での敗北以来、コダマはシャナに執着していた。天涯孤独だった自分と同じ目を持ち、自分よりも強いシャナこそが、自分の本当の家族ではないだろうかと。

 

 彼女の中では、今は敵だがいつか暁に入ってほしいとすら思っていた。人懐っこいコダマの性格は寂しさの表れ。大切にしてくれるがどこか距離のある暁のメンバーとは違う、家族を求めていた。

 

 

「粒遁・天墜の術」

 

 すでに興味のない人たちを無視して。コダマは、口の前にチャクラ粒子の塊を作り、シャナの天倫と同じ要領で粒子弾として発射した。コダマの膨大なチャクラをチャージした粒子弾は、岩でできた盾に守られた大名の籠を跡形もなく消し飛ばした。

 岩の盾など無意味だと言わんばかりに膨大な熱と威力でもって吹き飛ばした一撃。まるで尾獣の放つ、尾獣玉のような威力のそれは、イシダテたちが護衛していた大名をこの世から蒸発させた。

 速度では、シャナの術に劣るが、攻撃範囲の面ではコダマの方が上だった。

 すさまじい爆風に戦意喪失したイシダテと大男は、コダマが死体がないかと確認している間に、気絶した少女を抱えて逃げ延びた。護衛対象の大名を殺されたことで彼らは、里を追われることになったが、それはまた別の話。

 

 まさに怪物と言ったコダマの暴れっぷりに、鬼鮫は唖然とさせられたのを今でも覚えている。

 

――――――――

 

 そんな暴れっぷりの彼女は、雨の国に帰るなり、同い年の子供達と戯れて全力で遊んでいるのだ。

 彼女たちがコダマの正体を知れば、いったいどうなることやら。

 

「何者なんですかね、コダマは」

「全くわからない。ただ、俺たちの仲間だということだけは確かなんだろう」

 

 正体不明のコダマ。後に生物兵器コダマと呼ばれる彼女の正体を知る物は、その場にはいなかった。

 





 今回出てきた石化の忍ですが、劇場版の敵キャラです。
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