NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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日向の少年

 第四班はそれぞれの能力を向上させながら、あらゆるC~Dランク任務をこなし、稀にAランク任務もこなしていた。そして修業にも励み、何年かが過ぎた。

 

 すでに新米ではなく、経験を重ね続けた彼らは、岩隠れでの中忍試験の話を受けていた。けれどもこれまで4回もの中忍試験同様に、彼らは推薦を蹴った。

 

 わざわざ他所の国に行ってまで、任務の難易度の上がり、さらに責任も重くなる中忍になりたくないというシャナ。

 トルネも特段中忍に興味がないといい、乗り気ではなかった。

 

 一人やる気に満ち溢れていた八雲だったが、最初の受験で雷の国に向かった際、気候の変化から体調を崩し受験できなかった。その日は一晩中泣いていた八雲だった。

 

 そして、トルネは、八雲の事を考え、無理に他所の国に行かず、火の国で行われる中忍試験を待とうと言った。ホームグラウンドであるし、長距離移動による八雲の体調の悪化も防げると提案した。

 

 一刻も早く上忍になりたかった八雲だが、自分の体調のせいで二人に負担を掛けたくないと修行に打ち込んでいた。

 

 一方でヤマトは里の上層部から、優秀な第四班をいつまで下忍にしておくつもりだと圧力を掛けられていた。けれども彼らが望まないなら、無理強いなどできない。胃が痛くなるような板挟みにあいながらも、隊長として彼らを守っていた。

 そんな彼らをよく思わない人間も多かった。実力派と持て囃されながらも簡単な任務しか選ばない。忍者を舐めているとしか取れない態度に、腹が立つ人間がいる。

 

 特にアカデミーに入らなかったという話は、アカデミー出身の下忍たちからすれば、目の上のたん瘤であった。

 

 第四班の面々が久しぶりに集まり、全員で修行をしていた。

 黒い忍装束と黒い手袋は同じだが、数年間で体格が良くなり、筋肉質ながらもしなやかな肉体を持つトルネ。

 彼は、同じく数年で身長が伸び、着物のような忍装束を着る八雲と体術で対峙していた。以前と違うのは、八雲は指輪を全ての指に付けているところだろう。優しそうな雰囲気を持つ美少女に成長した彼女は、ロングの髪をポニーテールにしていた。

 

 どちらも15歳となり、成長期であり男性らしく、女性らしく成長していた。

 

 その二人の体術を見守るのは髪をサイドテール、額にオレンジのゴーグル、青い忍装束を着たシャナが居た。彼女も15歳となり、女性らしい体つきとなり、美女と言っても差し支えなかった。

 服のデザインもオビトのおさがりのような服から、女性らしい物へと変わっていた。

 両足には、ダガーのような小刀がホルスターに入れられており、彼女の戦闘スタイルを物語っていた。

  

 第四班、結成から数年の時を共に過ごした彼らは、良き仲間であった。

 

「いいぞ八雲。息も上がっていないな」

「これくらいは、ね」

 

体術で一番延びているのは、トルネであり、写輪眼がなければシャナでも体術では敵わない。

そんな彼に打ち込み続けている八雲。苦手な体術も人並みに扱えるようになり、スタミナも増えた。

 

トルネは、八雲の蹴りや拳を受け止めながら、希に反撃し、八雲もそれを回避するを繰り返していた。

そんな二人を眺めていたシャナは、手元のパンフレットに目を通した。

 

風雲姫シリーズ完結編と書かれたそれは、シャナが大好きな映画の歴史と最新作の情報が記載されていた。

 

八雲と映画館に初めて行ったシャナは、映画を大層気に入った。恋愛映画からアクションまで、あらゆる映画を見に行く程、お気に入りだった。

趣味になったそれは、シャナの生活を大きく変化させたと言って良い。

 

「早く、みたい気もするし……でも終わってほしくないってばね」

 

今一番はまっている作品ゆえ、そんな葛藤があった。パラパラとパンフレットを読んでいる間に、汗だくになった八雲が組手を終える。相手をしていたトルネは涼しい顔をしているのが、二人の体力の差を表している。

 

 八雲がタオルで汗を拭いていると、突然3人の子供達が現れる。

 

「あんた達か、アカデミー免除組っていうのは。噂を聞いていたので見に来てみれば…この程度か」

 

 一番気の強そうな少年は、瞳の色が白であった。そんな特徴的な目を持つ一族は一つしかない。うちは一族と同じ三大瞳術の一つ、白眼を持つ日向一族である。

 そういえば、今年のルーキーに日向一族の天才が居ると話題になってたなと、八雲は思い出す。

 

 悪意のある視線に、三人は何事かと目を向ける。

 腕を組みながら、シャナ達を見定める日向の少年。そんな彼についてきているのは、中華風な服装とお団子頭の少女と濃い眉毛とおかっぱ頭の目立つ少年。

 

「ネジ。急に失礼じゃないですか。先輩方に」

「こいつらが先輩なのは、卑怯な手を使って忍者になったからだろう? 実力はたかが知れている」

「もう! やめてよネジ」

 

 少女と真面目そうな少年に止められるも、日向ネジは、止まらない。

 彼は、特別扱いで下忍になった第四班の事をよく思っていない人間だった。アカデミーで学ぶことなどないと思っていたネジは、自分も同じように下忍にしてくれと頼んだ。しかし、彼らは特別な例で、ネジはアカデミーを卒業するしかなかった。

 

 故に日向一族でも宗家すら超える才能ある自分が特別枠に選ばれなかったことにプライドを傷付けられた。下忍になり日も浅い彼だが、ちょうど第四班の居場所を聞いた事で、見定めに来たのだ。

 

 だが結果は落胆だ。憤りすら覚えた。特にくノ一の動きはひどく、アカデミー生に毛が生えた程度だった。のんきに本を読む女と、体術の腕前は散々な女。唯一、体格のいい男がいるが、そいつも敵ではないと踏んでいた。

 全力は出していないようだが、動きは早くはない。

 

 唯一警戒していたのは、うちは一族の生き残りである女だけ。一人本を読んでいる彼女だけが、自分に抵抗できそうな相手だと感じていた。

 

「随分と失礼だな」

 

 日向ネジの言葉にトルネが反応する。

 

「何か間違いがあるか? 言葉の通りだろう」

「自分の価値観だけで相手を判断してはいけない」

 

 トルネの注意にも似た言葉。だがネジは鼻で笑い、挑発するように白眼を発動する。目の周りの血管が浮き上がり、かなりの遠方まで360度全てを見通す透視眼。その目で全てを目視する彼は、トルネを挑発する。

 

「卑怯な手を使い忍者になったようだが、中忍にもなれていないお前たちなど、その程度だということだ」

「はぁ」

   

 溜息を吐いて首を振るトルネ。その様子に「なんだ図星か? 腹が立ったなら、かかって来てもかまわない。なんなら三人纏めて相手してやる」と強気に出ている。

 実際アカデミーでは負け知らずで、ナンバーワンルーキーの名を聞いた先輩達に絡まれたこともあったが、全て蹴散らしてきた。

 

「そこまで言うなら、俺が相手になろう」

「いや、私が相手するよ。模擬戦でいいよね。なんでもありの」

 

トルネを遮って八雲が模擬戦を提案する。突然口出ししてきた八雲にネジは、「あんたじゃ相手にならない」と彼女の動きを見ていたが故に断った。

八雲は、ネジから見て弱く、下手に戦えば怪我をさせるだけだからだ。

 

「確かに私は、二人より弱いよ。けど君よりは強い」

「あんたが幻術使いなのは知っている。だが、俺の白眼にちんけな幻術など効きはしない。引っ込んでいろ」

 

眼中にないと言われた八雲だが、優しく微笑みながら、「恐いんだ」と呟いた。

 

「なんだと?」

「恐いんでしょ。幻術にかけられるのが。だから理由をつけて逃げるんだよね。日向一族の天才といえども、恐いものはあるよね」

「もう一度言ってみろ」

 

すぐにでも攻撃態勢に入りそうなネジ。流石に無視できないとシャナも本を閉じ、青い写輪眼でネジを見つめる。

しかし、八雲は続ける。

 

「日向一族なんて、その程度だったんだね」

「日向を馬鹿にするのか。没落した鞍馬一族の人間風情が」

「なら、やろうよ。日向ネジ君」

 

八雲の誘いにネジは乗った。

 

「いいだろう。後悔しても俺は知らん」

「おい八雲。俺がやる。だから君は……」

 

トルネの提案を首を横に振りながら、「私は大丈夫」といい拒否した八雲。

 

「その身の程知らずはすぐに終わらせるさ。そしたら次はお前達だ」

 

ネジはそう言いながら、シャナとトルネを睨み付ける。一方八雲は、心配そうに見守る少女、テンテンに審判を頼んだ。

彼はこちら側の人間が審判をするのを嫌がるだろうからと。

 

「お姉さん……ネジは本当に強いんです。だから、だから」

「ありがとう。でも見ててね。くの一を馬鹿にするとどうなるかを」

「ご、ご武運を」

 

優しく接してくれる八雲を心配するテンテンと応援する少年ロック・リー。

ネジと八雲が距離をとって向かい合った。白眼を発動しているネジは、柔拳の構えを取る。一方、八雲は自分の手につけられた指輪を弄っていた。

 

二人の戦いが始まるという時。再び本を読み直すシャナ。そして、八雲を止められなかったトルネ。

 

(私がやれば良かったってばね)

 

自分なら程よく生意気盛りの天才君を追い払えたのにと考えるシャナ。一方トルネは、ものすごく心配していた。

 

(俺が一番ましなんだ少年。お前はハズレくじを引いてしまったんだ)

 

第四班でもっとも恐ろしいのは、シャナやトルネではなく、ぶちギレた八雲なのだ。

トルネは、日向の少年の未来を案じていた。

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