NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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本編開始です。


少年編
参上!うずまきナルト 前編


 

 うずまきナルトは危機に瀕していた。

 長年の修行で無事風遁を会得した彼だが、今年のアカデミー卒業試験にて最も苦手な術。

 

「分身の術!」

 

 ナルトは、試験官であるミズキ先生とイルカ先生の前で分身の術を披露した。だが結果的に出てきた分身は、ズタボロにされたナルトの姿だった。ちょうどシャナとの修行後のような瀕死のナルト。

 とんでもない分身を出してしまったと、合否を確認するためイルカの表情を伺う。

 

 イルカは笑顔で首を横に振る。

 

「不合格!」

 

 死刑宣告がされた。よりによって一番苦手な術。シャナの目が光っていたため比較的真面目にアカデミーに通っていたナルト。姉が任務で里に居ない日は、悪戯三昧だったが、まさか卒業試験になって不合格になるとは思っていなかった。

 

「イルカ先生! お願いだってばよ。試験を変えてほしいってばよ」

「駄目だ。今年は分身の術と決まっていて、お前のそれでは不合格としか言えない」

 

 分身の術が苦手なことはわかっていた。当然姉からも「練習するってばね」と言われていたが、風遁の術が楽しすぎて基礎忍術の練習をおざなりにしていた。

 

「イルカ先生、一応分身は出来てますし……彼の成績は実習に関しては良好です。合格にしてあげても」

「あれでは足手纏いを増やしただけです。実戦では使えません」

 

 イルカが頑なに許してくれない。ミズキの助言を受けても意見を変えない頑固さにナルトは、掌に風遁・旋風玉を作って地面に投げる。すると暴風が教室を襲い、プリントなどが散乱。

 

「バーカバーカー!」

 

 ナルトはアカデミーから逃走した。

 

「こぉらナルト!!!」 

 

 怒るイルカだったが、ナルトはすでに飛び出しており、怒声だけが木霊する。逃げてしまったナルトをミズキが追いかけると言い、彼にナルトを頼んだイルカ。

 一人になり、プリントを拾い集めるイルカ。

 彼はナルトのプリントを掴んで眺めていた。

 

「ナルト。お前が努力家なのは知っている。だが、生半可な術で忍になれば、お前が危ない目にあってしまう」

 

 イルカは、うずまきナルトを生徒の中で最も見てきた。昔は孤独で、どうしようもない寂しさから里の人間達を困らせていた問題児。だが、ナルトにある日家族が出来た。

 嬉しそうに教師である自分に報告しに来たナルト。

 天涯孤独だった彼に温かさを与えてやれる存在。同じく孤独だったイルカは、ナルトの事を心から祝ってやれた。

 

 九尾の事件のせいで、里中から恨まれていたナルト。何の罪もない少年が過ごすには、辛過ぎた期間。ようやく自分以外にもナルトを想いやってくれる人物が出来たことは、イルカからしても嬉しい事だった。

 

 そこからナルトは変わった。いや、元々あった彼の良い面が表に出てきたというべきか。

 悪戯する所は変わらないが、帰りの時間には、どこか寂しそうにしていた顔が、明るくなっていた。特に女子に対する態度は大きく変わり、優しく接し、手を貸している姿をよく見かけた。

 

 クラスで一番チビだったナルトも、今は背が伸び成長期を感じさせる。

 成績も実技に関しては、非常に良好だった。木ノ葉でも有名なうずまきシャナに修行をつけてもらい体術の伸びは、うちはサスケに肩を並べる程だった。

 

 そして、いつも突っかかっていたサスケとの関係が大きく改善していた。いつも二人で組み、互いに競い合っていた。サスケの態度も軟化し、傍から見れば仲のいい友達にしか見えなかった。

 サスケの事も、うちはの事件以来気にかけていたイルカは、ナルトとサスケの二人が友情を育んでいることに安心していた。

 

 サスケのライバルとして周囲にも見直され始めたナルト。元々日向ヒナタに好かれていたらしいが、稀に女生徒がナルトの話をしているのも聞こえた。

 

 家族の存在は、ナルトの人生を変えたのは間違いないだろう。

 だが、それだからこそ、ナルトには厳しくしてしまう。甘えさせるだけで、なぁなぁにしていては、彼の人生にとっても良くない。 

 

 教育者として、そして彼を傍で見てきたものとして、イルカはナルトなら苦手な試験でも乗り越えられると信じている。

 今日は逃げられてしまったが、あらためて再試験を行うことを伝えてあげなくてはと、一人微笑んだ。

 

 

 その日の夜。ナルトが封印の書を盗むという事件が発生。

 そして、その事実を報告しに来たミズキと手分けして、ナルトを捜索することになる。

 

―――――――――

 

 三代目火影により非番の忍達が集められ、ナルトが封印の書を盗んだという事実を伝えられ捜索を命じられた。

 

 集まった忍達は、封印の書の危険性と、九尾の人柱力であるナルトへの悪感情から次第にヒートアップしていく。捜索ではなく駆除を考え始めた大人達。

 

「やるなら、化け狐の力を使う前だ」 

「どのみちろくな奴じゃねぇんだ! 見つけ次第殺るぞ」

「ナルトを殺せ!」

「今まで生かしておいてやったのに、恩知らずな九尾のガキを殺せ!」 

 

 と我先にとナルトを殺してしまおうとする大人達。彼らも九尾の事件で仲間や家族を失なった被害者ではあるが、それでも非人道的と言わざるを得ない。何人かの冷静な忍達が過激派を窘めようかと様子を伺っていると、突然空から青い閃光が降り注ぎ、ナルトを殺そうと言っていた10人の忍達の足止めをするかのような攻撃。彼らを囲むように降り注いだそれは、円となって地面に刻まれていた。

 

「なんだ!?」

「九尾か!?」  

 

 忍達がうろたえていると、遅れて青い閃光となって現れたクリーム色の髪にオレンジのゴーグル、青い忍装束の女性。うずまきシャナが小刀を構えながら現れ、忍達を青い写輪眼で睨み付ける。その怒気と殺気に身動きが取れなくなる捜索隊。

 

「ナルトの犯した過ちは、私の責任だってばね。ナルトを見つけだして、必ず封印の書は返す。けどね」

 

 写輪眼には明確な殺意が宿っており、下手な行動は、死につながりかねないと忍達を警戒させ、それぞれが武器を構える。

 

「私の弟を殺すって言ったやつ。その線を一歩でも越えたら、ぶっ殺すってばね!!!」

 

 怒りに顔を歪める少女と忍達の睨み合いが始まった。

 

 

 

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