事件が起こる数時間前。公園で時間を潰すナルト。
家に帰ろうにも、任務に出ていて夜に帰ってくる姉に、試験に落ちたとは伝えられない。
真剣に悩んでいると、木ノ葉の住人たちがいつもの目を向けてくる。人を人とも思わない目。
(なんで、どいつもこいつも)
大人達の目は未だに慣れない。
「おいナルト」
「サスケ」
「お前落ちたってのは本当なのか?」
公園に立ち寄ったサスケが自分を心配しるような言葉をかけてくる。だが今のナルトには、サスケの善意を受け入れる余裕がなかった。特にサスケが持っていた木ノ葉の額当てがナルトの神経を逆なでした。
「うるせぇってばよ!」
「なっ」
その場から逃げ出してしまう。
「あのバカ」
そんな言葉が聞こえた気もするが、全速力で逃げ出したナルトをサスケは見失う。
――――
しばらく逃げていると夕方になり、ボーと屋上で空を眺めているとミズキ先生が現れ「話があるんだ」と話しかけられた。
「イルカ先生も、別に意地悪しているわけじゃないんだ」
「じゃあ、なんで俺だけ」
「ナルト君には、本当の意味で強くなってほしいんだよ」
忍術が苦手な意識はある。けど、どうしても卒業したかったのだ。ライバルであるサスケと差をつけたくなく、姉を心配させたくもない。そして里の人間達を見返すために、忍者になりたかったのだ。
ナルトの表情を見て、少しだけ怪しく笑ったミズキ先生。彼はナルトにとっておきの秘密を教えると告げた。
それは、火影邸からある巻物を盗み出すこと。その巻物には、初代火影が封印した数々の術が書かれており、それを会得すれば忍者になる資格十分だということを。
「でも、そんなことしたらさすがに怒られるってばよ?」
盗みまでしなくてはいけないのだろうか? それがナルトの疑問だったが、ミズキは作戦を伝える。
ナルトが盗んだ巻物を合流場所に持ってくるように告げる。
「今日中なら僕が火影邸に返しておける。そうすれば何も問題ないよ」
「……わかったってばよ!」
どこか怪しい雰囲気はあった。けれど自分の悩みを解決する方法にナルトは飛びついてしまった。
ーーーーーー
ミズキの指定した時間に書物を盗み出したナルト。ちょうど警備の居ない時間を狙った犯行であり、無事に盗み出したナルトはミズキの指定した木ノ葉の郊外にある森で書物を読んでいた。
「何々~多重影分身……うっそだぁ!? 一番苦手な術かよ」
封印の書を読みながら、ナルトは書かれた影分身の習得に取り掛かった。元々姉が多用していた術であり、それを覚えたとなればイルカ先生も認めてくれると思ったからだ。
それから数時間。全身土まみれになりながら、修行の疲れを癒していたナルト。
「見つけたぞナルト!?」
息を切らしながら走ってきたイルカ先生に見つかる。
「やべ、まだ一つしか術覚えてないのに……へへへ、あのさあのさ、俺ってばスゲー術見せるからさ、それが出来たら卒業させてくれよな。そしたら合格間違いなしなんだろ?」
突然ナルトが言い始めた言葉にイルカは引っ掛かりを覚える。
「誰がそんなことを」
「誰って、ミズキ先生だってばよ。この巻物もミズキ先生に後で返すことになってるんだってばよ」
ナルトはイルカの表情を見て、何かいけないことをしたのかと不安になる。イルカはミズキという名前を聞いて、最悪のパターンが頭に浮かぶ。
その瞬間、森の奥から無数のクナイと手裏剣がナルトを襲う。
「危ない!?」
咄嗟にナルトを突き飛ばしたイルカだったが、6本ものクナイが体中に刺さり、血を吐いている。
自分を庇ったイルカが大怪我をしたことで、ナルトはすぐに手裏剣の出どころである人物を睨みつける。
「その巻物を渡せナルト」
その人物は完全武装したミズキ先生だった。その顔には悪意が満ち溢れており、薄暗い欲望を感じさせる。反射的にクナイを構えるナルト。頭では理解できないが、状況がミズキが敵だと本能的に感じさせる。
「全部お前の差し金か」
「そうだイルカ。なぁナルト、イルカはお前がそれを持つことを恐れているんだ」
ナルトはミズキを警戒しつつ、話を聞いてしまう。ミズキの言葉を理解したイルカが聞くなというが無理な話だった。
「理由は一つだ。12年前の事件を知ってるだろ?」
「九尾の事件」
「そうだ。あの事件以来、俺たち木ノ葉の住人にはある掟が定められた。ナルトお前にだけは決して伝えられない掟がな」
ナルトの表情を見てミズキは意地悪な笑みを浮かべる。
「なんで俺だけ」
「聞くなナルト!!」
「それはな、12年前木ノ葉を襲い、イルカの両親や里中の人間を殺した九尾の化け狐……その正体がナルトだと決して口にしない掟だ」
ナルトは、固まってしまった。ミズキの言葉を一言一句頭の中で再生するが、思考が回らない。自分が化け物だと伝えられ、受け入れられる人間が何人いるだろうか。
「う、うそだってばよ」
「嘘なもんか。それはお前が一番理解してるだろう」
大人たちの目。自分を認めてくれない環境。そのすべての原因が自分が化け狐だったから。生まれてからの疑問に答えが出てしまう。だが一つだけ望みがあった。
あの忌々しい目から自分を救い出してくれた存在。家族として自分を認め、理解してくれる存在。
「そんな、わけない。だって俺の姉ちゃんが」
「あの女も変わってるよな。知ってるかナルト? 里の大人たちは、あの女がお前と暮らすようになってから、あの女も迫害していたってことに」
知るはずがない。自分にだけ向けられていると思っていた目が姉にも向けられ、その原因が自分だということに。
「化け狐なんかと暮らしたがる女なんて気味が悪いだろ? だから里の人間は、あの女も毛嫌いしてる」
理不尽な暴力を振るわれることは、シャナにもあった。ナルトは知らないが、彼女はそのすべてを力尽くで排除していた。あくまで危害を加える相手に対してではあるが、シャナも確かに被害を受けていた。
「言うならお前の存在自体が、里の人間にとって目障りだったんだよ」
「そんな…」
「そのイルカだってそうだ。お前を庇ってるように見えるが心の中では何を考えてるのやら。あの女も内心ではお前を憎んでるかもしれねぇな」
ミズキを止めなければと、イルカが動こうとするが体が思うように動かない。
ショックで戦意喪失したナルト。クナイを持った手を下ろし、呆然と立ち尽くす。その隙を見たミズキは背中に背負った巨大手裏剣を投擲。
「っ」
反応の遅れたナルトは、回避する事が出来ない。肉を割く音が聞こえ、ナルトの頬に血がかかる。
「イルカ先生」
動けなくなったナルトを庇うようにイルカが盾になった。背中で手裏剣を受け止めたイルカは、ナルトに覆いかぶさるような体勢で痛みに耐えていた。
頭の仲がぐちゃぐちゃになり心が悲鳴を上げているナルト。だがそんなナルトを庇うイルカ。
「なんで」
「ナルト。俺は、お前の事を恨んでなんかいない」
目の前の少年を救うには、自分の胸の内を伝えるしかない。
「確かに俺の両親は、九尾に殺された。それは今でも覚えている。誰も俺をほめてくれたり、認めてくれる人がいなくなった。だから寂しかった、そして確かに暗い感情があった」
イルカはナルトの頭を撫でた。
「でもな、それはナルト、お前にじゃない。俺にとってお前は、化け狐なんかじゃない。お前は俺が認めた、木ノ葉の里のうずまきナルトだ」
自分を認めてくれた存在。姉やサスケ以外にもしっかり自分を見てくれる存在が居た。そのイルカ先生が、今ミズキに殺されそうになっている。
「ごちゃごちゃいってんな!」
ミズキがもう一個あった巨大手裏剣を投擲する。当然イルカがそれを受けようとするが、もし食らえばイルカの命が危ない。そんな状況で怯えているうずまきナルトではない。
「風遁・旋風玉!!!」
イルカ先生を庇うように立ち上がったナルトは掌に風遁のチャクラを集め、巨大手裏剣を弾き飛ばす。
「なに!?」
「イルカ先生に手ぇだすな。殺すぞ」
殺気を込めてミズキを睨みつけるナルト。風遁の術には驚いたが所詮アカデミー生ということで、ミズキがナルトを舐めて掛かる。
「やってみろよ化け狐!」
「イルカ先生。見ててくれってばよ。俺のスゲー術。影分身の術!」
ナルトは指を十字に組みながら、生来持っている膨大なチャクラを練り込む。次の瞬間、森全体に無数のナルトの影分身がひしめき合う。その数は1000にも及び、それぞれが実体を持った高等忍術。つまり1000人のナルトに囲まれたミズキ。
「じゃ、遠慮なく行くってばよ」
「うぁあああああ!!!!」
1000人のナルトは、それぞれが旋風玉を構えながら、ミズキに襲い掛かる。絶望的な状況に尻餅をついたミズキは、無数のナルトの攻撃を受け、再起不能になる。
(強くなったな。ナルト)
生徒の立派な姿に、イルカは安堵していた。
――――――
ミズキがぼろ雑巾になったころ、イルカは戦い終わったナルトを手招きした。
「何? イルカ先生」
「お前に渡したいものがある」
そう言ってイルカの傍まで近寄ったナルトに、イルカは自分の額当てをつけてあげる。目を瞑らされていたナルトは、目を開けるとイルカが微笑んでいた。
「卒業おめでとうナルト」
恩師からの賛辞に、ナルトは涙を流しながら喜んだ。だが、ナルトを探す木ノ葉の忍達の事を考えれば、早く封印の書を返さなくてはいけない。
「一緒に返しに行くぞナルト」
「う、うん」
だがナルトとイルカが森を出る前に、青い閃光となったシャナが訪れる。突然の姉の登場にナルトがおののく。明らかに怒気の籠ったシャナは、ズイズイとナルトの傍まで近寄る。
「あのさ、ねえちゃん、おれってば、その、あの」
ナルトの頬から乾いた音が聞こえた。それは姉にぶたれたということだった。
明らかに怒っているシャナに、ナルトは何も言えなくなる。再び手をあげたシャナにもう一度殴られると構えたナルトだったが、その手はナルトの頬にやさしく当てられる。
「姉ちゃん今日はナルトを許してあげないってばね。けど無事でよかった」
そのままナルトを抱きしめ、静かに涙を流す姉の姿。自分の事を心から心配してくれた彼女の泣き声を聞いていると、かつて自分は誰かに心配されたいという願いがあった事を思い出す。
けれど、人に心配させるということは、こんなに胸が痛いんだと気が付いた。姉にぶたれた頬と胸が、いつも動けなくなるまで殴られた痛みより遥かに痛かった。
「ごめんだってばよ」
「この馬鹿弟」
その後、様子を見に来た第四班のメンバーとも合流。無事に封印の書を火影に返すことに成功した。
だが、シャナを含む第四班は、しばらくの間、謹慎処分をくらうことになる。理由は、同じ木ノ葉の忍を再起不能寸前まで痛めつけた私闘によるものだった。
夜までの任務だった第四班。ヤマトが報告に行き後は帰るだけという段階で、シャナの予知が発動した。木ノ葉の忍達にナルトが囲まれ、ナルトが殺される光景を。胸騒ぎと共に、騒がしいエリアに急行したシャナは、ナルトが封印の書を盗んだ事実と大人達がナルトを殺そうと宣言している現場に遭遇。
その言動に頭に血が上った彼女は、彼らを行かせないために戦闘を開始。
全力で挑んできた忍達に、シャナが応戦。写輪眼を最大限活用した戦闘で次々に撃破していく中、数の暴力で挑んできた忍達。
そこに遅れてきた八雲とトルネの二人も、状況が状況の為、シャナ側で参戦。結果的に過激派を無力化は出来たが、仲裁に来た三代目火影によって痛み分けにされたのだ。
火影が止めなければ、殺人も辞さない覚悟だったシャナ。興奮状態で言う事を聞かない彼女を八雲とトルネが宥め、ようやく落ち着いた彼女が勘を頼りにナルトを見つけたということだ。
―――――――
家に帰ったナルトは、姉に尋ねてしまった。
「姉ちゃんは俺の正体知ってるのかってばよ」
そんな言葉が出てくると思わなかったシャナは、少しだけ驚きながらも、ナルトに向き合いながら答えた。
「知ってる」
「だったら、なんで」
「姉ちゃんにとってナルトはナルトだからだってばね。九尾の化け狐は全く別の存在。なのに姉ちゃんがナルトを嫌う理由なんてないってばね」
その言葉を受けて、酷く安心したナルト。
そう、シャナはナルトと九尾の狐を別のものだと考えている。混合する大人達に吐き気がするし、力づくでも否定する。
けれど、シャナはナルトを愛すと同時に、九尾の狐を殺したくて仕方ないのも事実。今すぐにでもナルトの腹を掻っ捌いて九尾を引きずりだして、肉塊に変えたい。けれどナルトが苦痛を味わうことになってしまうし、人柱力は尾獣を抜かれれば、死んでしまう。
だから行動に移せていないだけ。のうのうとナルトの腹の中で生きる怪物に全身を搔きむしりたくなるような憎悪と嫌悪感を宿すシャナ。日に日に膨れ上がっていく復讐心は、ナルトとの生活でも一切消えない。
むしろナルトを盾にしている事に、恨みが深まっていく。ナルトがシャナからどこか怖い印象を感じるのは、その憎悪が自分越しに九尾に向けられているからだろうか。
名前 うずまきナルト
忍者登録番号:012607
誕生日:10月10日
血液型:B型
身長:153.5
体重:42kg
好きな食べ物:一楽のラーメン、おしるこ
嫌いな食べ物:生野菜
戦ってみたい相手:うちはサスケ、三代目火影、うずまきシャナ
好きな言葉:味噌チャーシュー大盛りなると付
趣味:イタズラ、花の水やり
性質変化 風
血継限界 なし
名前 うちはサスケ
忍者登録番号:012606
誕生日:7月23日
星座:しし座
血液型:AB型
身長:153cm
体重:43kg
好きな食べ物:おむすび(おかか)、トマト
嫌いな食べ物:納豆、甘いもの
戦ってみたい相手:うずまきシャナ
好きな言葉:力
趣味:修行、散歩
性質変化 火 雷
血継限界 写輪眼(現在使えず)
名前 うずまきシャナ
忍者登録番号 012587
誕生日 12月24日(推定)
血液型 O型
身長 162.5cm(15歳)
体重 43.9㎏(15歳)
好きな食べ物 おにぎり(梅干し)、稲荷寿司、温野菜
嫌いな食べ物 納豆 白子
趣味 忍術開発 映画鑑賞
闘ってみたい相手 波風ミナト コダマ
好きな言葉 強さ 弟
性質変化 風 雷 火
血継限界 先見の写輪眼(万華鏡を含む) 粒遁(正確には血継淘汰)
原作と違い、ナルトの身長が伸びてます。理由は食生活の改善ですね。サスケよりちょっと高いくらいですね。