NARUTO 先見の写輪眼   作:ドラギオン

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サバイバル演習 後編

 約束の時刻から数時間遅れ、ようやくカカシが現れた。

 

「やぁやぁ、遅くなってすまん。ちょっと道に迷ってな」

 

 悪びれない様子に腹が立った三人だが、おかげで準備と隠蔽までできた。後は内容を聞いて作戦を実行するのみ。

 修練場についたカカシは、時計を用意してお昼にセットする。

 

「じゃサバイバル演習の内容を説明する」

(((来た)))

 

 カカシは自分のポケットから鈴を二つ取り出す。

 

「内容は簡単だ。俺からこの鈴を奪い取れ。俺から鈴を奪えたら合格だ」

「え? でも鈴は二つじゃない」

「そうだ。だから必然的に一人は落ちる」

「そんな」

 

 サクラがカカシの出した内容に困惑している。入念に用意した作戦も、二人しか受からないのであればご破算になる。なによりサクラの実力で二人を出し抜くことは難しいだろう。

 唯一幸運なのは、二人の合格率を上げる手伝いになったくらいだろうか。

 

「殺す気で来て構わない。武器でも忍術でも自由にやれ。お前らの実力を見るためのテストだからな」

 

 手段はなんでもいいと言ったカカシ。その言葉に表情を明るくしたナルトとしてやったりといったサスケ。二人の様子に疑問を覚えたカカシ。

 

(普通は多少、狼狽えるもんなんだがな)

 

 今まで受けてきた生徒たちと違った反応に、カカシは違和感を感じる。

 

「スタートの合図で、始めるぞ」

 

 カカシが試験を始める前に、サスケとナルトがサクラの肩に手を置く。一人落ちるんだと落ち込んでいた彼女にこう言った。

 

「頼むってばよサクラちゃん」

「安心しろ」

 

 突然サクラを励ますような二人の行動に、カカシは疑問の目を向ける。だが始めない訳にはいかず、「スタート」と口に出した瞬間、二人に励まされたサクラが一番先に動いた。

 クナイを持って、しゃがみ込み、足元に土をかぶせてカモフラージュしていたワイヤーを切断した。

 

(何!?)

 

 試験開始と同時にサクラたちが仕込んだトラップが発動。森の奥から無数の起爆札付きクナイが飛んでくる。それらは、ナルトとサスケの背後から飛来し、彼らの体を貫通する。

 

「影分身か」

 

 衝撃を受けたサスケとナルトの影分身が消え、煙となってカカシの視界を塞ぐ。本能的に横に移動したカカシだったが、地面に突き刺さった無数の起爆札が爆発。直撃は受けなかったものの、爆風と粉塵に巻き込まれる。

 煙の中から飛び出したカカシは、ダメージは受けていないが冷や汗をかかされていた。

 

 すぐに周囲を確認するが、罠を発動したサクラの姿が見えなかった。

 

「一番先に動いたのがサクラとはな。それに今のトラップ。待ち時間の間に、セットしていたか」

 

 奇襲攻撃として上々。完全に虚を突かれた。特にサスケとナルトが影分身であり、彼らごと攻撃する大胆さには、肝を冷やされた。一瞬だが脳がフリーズさせられたのだ。

 

「全員隠れちゃったな(あらかじめ作戦を立てていたということか。そしてさっきの励ましは、2人しか合格できないという状況下においても作戦を実行するという合図)」

 

 中々以上に侮れないとカカシは、森に逃げ込んだ3人を追うために歩いて行く。森の中は罠だらけの彼らの狩場。だが上忍である自分が、逃げる訳にはいかないのだ。

 

 

―――――――

 

 森に逃げ込んだサクラを待っていたのは、サスケとナルト。二人と合流しながら後ろを確認したサクラだが、カカシは追って来ていない。

 

「二人とも、どうするの? 試験には二人しか合格できないって」

「あぁ影分身からの記憶で聞いてる。どのみち、さっきの身のこなしからして、一人では鈴は取れない。俺とナルトでもキツイな」

「なら」

「とりあえず三人でやればいいんじゃない? そんでもって鈴を確保してから決めようってばよ」

 

 先に鈴を確保して合格権を確保する。それに越したことはない。

 

「あ、カカシ先生追ってきたってばよ」

 

 ナルトが突然、カカシの襲来を口にする。森の入り口付近にサクラに変化した影分身を配置しており、それがカカシによって倒された。影分身の経験は、本体にフィードバックされる。その事実をシャナから聞いていたため、偵察用に用意していたのだ。

 一方カカシもナルトが影分身に変化まで使うと思わず、サクラが消えた瞬間には驚いていた。

 

「場所は?」

「えっと、あのワイヤーいっぱいのところ」

「まだ遠いな。ナルト、影分身を増やせ。罠では仕留められない。いくぞ」

「本当に作戦通りでいいの? 私ずっと後ろにいることになるわよ?」

 

 当初の予定通り、二人が前に出る。最も危険な役割であり、サクラは罠を状況に応じて発動させるだけ。

「でもさでもさ、俺とサスケ戦いながら難しいこと考えられねぇし、戦況を見てくれる人って大事だってばよ」

「何もできないって考えるなら、合格してから強くなればいいだろ。自分に出来る事をしろ」

 

 ナルトが影分身を2人出し、それをサクラの護衛に当てる。サクラは何か言いたそうだったが、すぐにナルトの影分身たちと安全圏に避難した。

 そのタイミングで、森の木に飛び移ってきたカカシが現れる。

 

「お前ら、随分と森を魔改造しちゃって。罠だらけだな」

「それを全部潜り抜けてきたやつに言われたくねぇな」

「数には驚かされたが、捻りがなかったからな」

「じゃ、そろそろ、俺らとやるってばよ」

 

 カカシを警戒しながらも、サスケとナルトが背中合わせで構える。正直な話、これだけの罠を設置し、綿密な作戦行動、チームプレイを行えている3人。カカシの基準からしても合格だった。鈴などなくても、チームプレイの大切さを理解している。

 元々つるんでいた二人はともかく、足手纏いになるであろうサクラも作戦に組み込んでいる。3人で協力する考えを持ち、実力の劣るサクラの安全を確保しながらの戦闘。

 

(いいチームだな)

 

 だがどうせなら実力を見せてもらう。

 

「火遁・豪火球の術!!」

「風遁・旋風玉!!」

 

 サスケの火遁の術をナルトの風遁の術が強化する。サスケの出す炎に風遁の回転力を横から加え、炎の竜巻となった合体忍術は、カカシに襲い掛かる。カカシはすぐに木から飛び降りるが、炎の竜巻はカカシを追う。

 

(下忍で性質変化。それも合体忍術まで。こいつら、アカデミーでは実力を隠してたのか)

 

 明らかに情報以上の実力。カカシは土遁・土流壁を発動。地面から盛り上がった土の盾で炎を防ぐ。

 

「「おらぁ!」」

 

 壁を盾にしていたカカシの両サイドから、ナルトの影分身が迫る。カカシはナルトの影分身の腕を掴んで、もう片方の影分身に投げる。激突して影分身が消えるが、今度は空から無数のクナイが降り注いでくる。

 

(サクラの罠か)

 

 降り注ぐクナイの雨を手に持ったクナイで弾きながら、森の中では形勢が悪いと判断したカカシ。しかし、火遁の術を解除したサスケとナルトのコンビが迫る。

 走りながらナルトは旋風玉を構え、サスケも印を結んで雷遁・雷掌を発動。電気を両手両足に纏う。

 

「お前ら、本当に下忍か?」

 

 ナルトの旋風玉を手首をつかみながら、受け止めると、サスケがナルトの体を飛び越えて、雷遁を纏った連続攻撃を仕掛けてくる。サスケの攻撃を回避するために、ナルトの手を放せば、ナルトもサスケに合わせて体術を仕掛けてくる。

 雷遁を纏った体術がひどく目立ち、ナルトの動きが洞察しにくい。

 片方を抑え込もうとするともう片方がフォローし、互いの体が一切邪魔にならないように戦っている。当たり前のように踏み台や、支えにしての連続攻撃。

 

 本来なら本でも読んでのんびりやろうと思っていたのだが、そんな暇はない。そして二人に意識を割けば。

 

「ぬお」

 

 突然ロープでつるされた丸太が襲い掛かってくる。姿勢を低くして回避すると、待ち構えていたナルトとサスケの蹴りを受ける羽目になった。ガードしたが、蹴り飛ばされたカカシ。すぐに木を足場に受け身をとって体勢を立て直す。

 

「お前ら、師匠は?」

 

 明らかに戦いなれている。師匠の名を尋ねるカカシ。子供二人で修行しても、ここまで強くはなれない。なんとなく答えに心当たりはある。以前、テンゾウから聞かされた愚痴を思い出したからだ。

 試験官だった自分を全力で殺しに来て、自分が試されていたような気がすると。

 生半可な忍なら、既に死んでいてもおかしくない。

文字通り殺す気で来ている。そして鈴を狙う様子は一切ない。おそらくカカシを倒した後に回収する算段なのだろう。

 

 

「ん? 姉ちゃんだってばよ」

「うずまきシャナ。あの女に師事している」

 

 やはりそうかというカカシの顔。里抜け未遂以来会っていないが、実力は聞いているし悪評や武勇伝も耳にしたことがある。だがまだ下忍のシャナが二人を弟子にしているとは思わなかった。

 いつまでも幼い頃の姿が脳裏に浮かび、今ではシャナも教える立場になったんだなと、自分が年を取ったことを痛感する。

 だがあの子の弟子である二人も普通ではないということだ。鈴を狙わないところが特に。

 体術の腕前や連携に関しては、満点。忍術も高水準であり、正直侮っていた。

 

「そうか、どうやら俺は、お前らの事は好きになれそうだ」

 

 もう少しだけ見せてもらおう。合格は間違いない。だからこそ、底が知りたいのだ。カカシは自分の額当てをあげ、隠れていた左目を開放する。

 

「!?」  

「うっそだってばよ!」

 

 カカシの左目を見たサスケとナルトが固まる。何故なら、カカシの左目は、赤い光を放つ写輪眼だったからだ。サスケはうちは一族でないものがその目を持つことに驚き、ナルトは初めて見た姉以外の写輪眼に驚いていた。

 そして二人そろって写輪眼の脅威を叩き込まれていたため、警戒心を強める。

 

「影分身の術!!」

「多重影分身の術!!」

 

 人数で押すしかないとサスケが一体、ナルトが10体の影分身を出す。警戒の色を強くした二人の様子からカカシはシャナの修行風景を思い浮かべる。

 

(こいつら相手に写輪眼まで使ってたのか)

 

「うぉおお!!」

「おらぁあ!!」

 

 影分身と一緒にカカシに向かうサスケとナルト。その動きに合わせて、サクラも罠を何個も起動し、援護を行う。だが写輪眼を使うカカシの実力に影分身は蹴散らされ、サクラの援護も決定打にならない。

 的確に罠を起動するのだが、一発も当たらない。

 手ごたえがなくなったことで、ナルトとサスケも焦りを覚えるが、カカシの方も焦っていた。

 

(写輪眼と目を合わせないか。よく訓練されている。それに影分身を盾に、自分の動きは洞察させない。鍛えすぎでしょシャナ)

 

 持久戦になりかけたとき、演習の終わりを伝える時計の音が鳴り響く。

 

――――――――

 

 演習が終わり、集められた3人。疲れ切っていた3人を傍に、カカシも体力の限界が来ていた。どっと疲れた顔をしながら、三人に結果を発表する。

 

「お前らは合格だ」

「え!?」

「なんで!?」

「どういうことだ」

 

 時間が足りず、仕留めきれなかったことで不合格だと思った三人。最後の写輪眼で完全に計画が狂ってしまった。なのに結果は合格。

 

「演習の中でお前達には、忍者として一番大事なものが備わってると判断した」

「大事なもの?」

「あぁ。忍者にとって大切なことはなんだ、サクラ」

「掟を守る事?」

 

 教科書に載っていた答えを出すサクラ。その答えを聞いてカカシは頷く。

 

「そうだ。忍の世界では、掟を守らないやつはクズだ。だがな、仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ」

 

 その点。この三人は仲間を大切にしている。二人しか合格できない条件下でも、チームワークを忘れなかった。その時点で合格なのだ。

 

「お前らの戦いを見て、確信したよ。ヨシ、サバイバル演習終わり。明日から、第七班で任務を始めるぞ」 

「お、おぉーーー!!」

「ふっ」

「やった、合格した」

 

 合格宣言で緊張が解けた3人。ようやく長かった演習が終わり、帰れると思った時、カカシからある注意をされる。

 

「弁当食ってから、森の罠回収しとけよお前ら」

「「「あ」」」

 

 森に仕掛けまくった罠。それを回収しないと、次使う人が危ないからと伝えられる。膨大な罠を仕掛けた3人は、回収の事を考えていなかったのだ。既に疲れ切った三人が、罠を回収し終えるのは、夜までかかったという。

 

 

 





鈴は絶対に狙わない、新生うずまき流サバイバル演習。
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